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2016年11月19日 (土)

フェスティバル#2 B【プロトテアトル】161118

2016年11月18日 カフェ+ギャララリー can tutku (20分、休憩10分、40分)

昨日のAに引き続き、観劇。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2016/11/2161117161118-c.html
こちらはかなり色の違う2作品。
しっとりとした淡さを漂わせながら、何か不穏なものを突き付けようとしてくる作品と、とにかく笑えるコメディー作品。本当にかなり笑える。
4作品通じて、何でもこなす腕ありますからということを証明した公演になったような。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

・一つの石と二羽の鳥

長い長い道のどこかにある給油所。
歌を口ずさみながら、女がいる。
男がやって来る。
こんなところに給油所があるとは思わなかったと驚いている。
宣伝もしていないから、客が来るのかどうか。でも、女は必要な人が調べたらいいと言う。給油所はそういうところだ。
男は国に帰るところ。そっちの方の。あっちの方の国では無いらしい。男は女にどちらの国かを尋ねるが、分からないと女は答える。思い出したく無い。思い出せば、帰るか帰らないかの二つの選択肢しか持てなくなるから。
ここから男の国までは、多分、ここまで来た距離と同じくらい。給油所が無ければ、間違いなくガス欠だっただろう。それにタイヤもだいぶすり減っている。
準備が悪い。帰ると気合をいれるだけではダメ。覚悟とは準備が必要。女はそんなことを言って、歌を口ずさみながら、タイヤの交換を始める。
歌が好きなのか。男の質問に今は好きと答える女。昔は歌うだけだった。歌うしか出来ない人が歌うのは普通のこと。ここでは給油所の仕事をして、好きな歌を唄える。一石二鳥って奴だ。
男はふと考える。一石二鳥ってことわざはどうも不自然だ。どういう状況だったのか、どうして一緒に石で落とされたのか。本当は一緒に逃げるべきだったのではないのか、そもそも一緒にいるべきではなかったのではないのか。まあ、起きなかったかもしれないことをただ話しているだけだが。助かったかもしれない一匹の鳥の。
周りの鳥はどうしたのだろうか。誰かが見ていたのだろうか。石を投げた人は何も考えていないだろうし、落とされた鳥だって。周りの鳥も、見ていた人も。誰も結局、何も考えてはいない。
タイヤ交換が終わる。
男は女に一緒に行かないかと言う。
その国が自分の故郷かも分からないのに。ここはどうするのか。
女は今日、男を待ってここにいた訳ではない。また、給油しに来る人がいるかもしれない。
男にとっては、今日は特別の日になったのかもしれない。でも、女はただの普通の日。
女は急いでいるんじゃないのと男を促す。
男は出発する。
女はただ、それを走り去る車を見詰めている・・・

どうにも難解でよく分からないのだが、観終えて、直感的に感じているのが、どうも女が凄くずるく感じるのだが。
閉じ込められているようで、自由な女への嫉妬心かなあ。ずるいと感じる自分に罪悪感や後ろめたさみたいなものもある。もしかしたら、給油所を去って行った男の心もそんな感じじゃないのかなあとも思う。
石が投げられ、二羽の鳥が落とされたという起こったことに、こうしていれば、こうするべきだったのではと起きなかったかもしれないことを話す不毛。でも、それを語れるのは、現実に助かってどこかへ羽ばたいた鳥、もしくは、それをどこか別のところから見ていた人だけ。その鳥はどこかにたどり着き、今、囀っている。その人は、結局は何もしなかったので、変わらず、でも、何か心に残して日々を過ごす。
例えば、ある群れがいる。そこにいる者たちは、ごく普通の日常を過ごしてる。楽しいとか楽しくないとかではない。日々、そこで生活を営み、生きている。
そんな群れに石が投げ込まれる。不条理に襲い掛かってくる、戦争や天災みたいなものでもいい。
誰かはやられてしまう。助かる者もいる。そして、そのことをニュースとかで知る者がいる。
やられてしまった者はもう何も語れない。その石がどれほど恐ろしいものだったのかも。
助かる者は逃げる。どこかへたどり着く。もう、帰りたくない。そこで生き始める。群れの中にいた日々の違和感から解放され、今、ここで自由と幸せを得る者もいる。もちろん、逃げずにそこに留まる者もいる。それはまた群れの中の一員として生きる。
ニュースで知る者は、どうして、こんなことになったのかを考える。考えても仕方ないのに。もう起きたことなのだから。それよりも、石を投げようとした者がいたこと、それを止められなかったこと、投げられた石を防衛する準備を怠っていたことを本当は考えて、これからに活かさないといけないのに。
そういう者たちは、どこかへ逃げてそこで幸せを掴もうと頑張っている人に目を向ける。そして、そこにいてはいけない。孤独なんじゃないか。群れの中に帰ろう。そこが、元の群れじゃなくても、その群れの中にいた方が安心だよと言う。
それがこの給油所の女と男の関係のように見える。
要は、被災者とそれと距離のある非被災者の関係性みたいな。
ほっといてくれとなりますわな。でも、女も本当にそれがいいとは思ってはいないのだと感じます。今は、こうしたい。まだ、傷が癒えず、でも、囀っているのが好きだから。男は、そのことを心に残し、女のことをずっと覚えていることが必要なのかな。男はこれからも道を走るはず。その時に、また時間が経った給油所の女と出会う日が来るかもしれない。その時、女が求めるなら、車で一緒に走ればいい。
女を演じる小山亜衣さんのクールだけど温かみあり、透き通った雰囲気がとても素敵。

・アカガミキタカラ、ヨマズニタベタ

1945年。田舎町に赤紙が届く。
お国のために出征する太郎を祝して、仲間たちは宴会を開く。
町の有力者の一人息子、一郎。
その許嫁である美代。
足を怪我して出征出来ない五郎。
弟が既に出征して、残された姉妹、幸子と京子。
太郎はみんなに感謝をして、お国のために戦ってきますと覚悟を決める。
美代が突然、口を開く。太郎のことが好きだ。そう言って、納屋の方へと走り去る。
一郎は太郎に後を追いかけろと言う。戸惑う太郎にさらに声をかける。誰よりも戸惑っているのはこの俺だと。一郎の男気を感じて、太郎は後を追う。
部屋に残された赤紙。よく見ると、そこには一郎の名前が書かれている。
一郎が太郎の後を追おうとするのを、幸子が制する。やってる最中だから危険だ。殺してしまうか興奮するかのどっちかになってしまうから。五郎が連れ戻すことに。
京子が口を開く。一郎のことが好きだ。幸子は抱いてやれと一郎に言う。
太郎だけがパンイチで戻って来る。やたら冷静。確実にやった後。一郎は美代を連れ戻そうとするが、再び幸子に制される。多分、五郎とやってる最中だと。
一郎は駆け出す。京子も後を追う。
赤紙は間違いだった。役人である一郎の父から渡された。恐らく、我が子をかばったのだろう。バレたらやばいことになるのに。太郎は安堵で泣き出す。すぐに恥ずかしいことだと、見ていた幸子に黙っていてくれと言う。
幸子は太郎に自分も同じだと答える。幸子は男だった。出征している弟は姉が代わりになったらしい。家に男手を残すために。でか過ぎる嘘は意外にバレないものだ。大本営が日本優勢だとずっと伝えていたように。
それに五郎の足は幸子が折ったのだとか。みんな、戦争には行きたくないのだ。
一郎が戻って来る。五郎も美代もいなかったらしい。幸子は探しに行く。
太郎は一郎に伝える。自分が出征すると。その代わり、美代のことは無かったことに。そうしないと、美代がこの町にいられなくなってしまうから。そして、自分の家のことも頼むと。男と男の約束。
五郎と美代が戻って来る。二人は付き合うことになったらしい。五郎も家柄が良くて、一郎の家とは張り合えるみたいだ。
一郎は暴れ出す。美代にまで手をあげて、暴れまくって、皆を引かす。
美代は五郎に病院に連れて行かれる。
太郎はやっぱり出征しないと言う。そりゃあ、美代があれだから。
でも、一郎は言う。この戦争は負ける。誰が行っても結局は。自分は京子と一緒になる。幸子のことは知らなかったことにする。五郎と美代のことも認める。太郎の家の面倒は見る。権力者の息子、一郎だから出来ること。太郎では何も出来ない。
太郎は一郎となって出征することに。一郎は太郎になる。
幸子が戻って来る。一郎は京子の下へと向かう。
幸子は出征したく無い太郎の足を折ろうとする。でも、そんなことで解決することでは無い。
幸子は自分が出征すると言う。カツラを太郎に、いや今は一郎に渡す。2代目幸子誕生。そして、2代目一郎の誕生。
一郎、いや元一郎で今は太郎が京子と共に戻って来る。皆で逃げよう。このやたら冷静な考えはやった後。それに妙にテンションが高いので童貞を捨てたのだろう。京子は女の顔になっている。
戦争なんか辞めよう。もっと愛と平和を。
そう語る一郎の言葉を太郎は信じられない。最初に自分を好きと言った美代を見てみろ。これほど不確かなものがあるか。それに、元々は一郎の父の息子への愛から始まっている。
そんな反論をする太郎。
幸子は再び、やはり自分が出征すると決意する。でも、京子から嫌だと言われ、心があっさりとぐらつく。
全部、自己愛だ。元々は一郎の赤紙。お前が行けと太郎は一郎に赤紙を突きつける。
京子が土下座して、太郎にお願いする。幸子も一郎も。
太郎はやけ気味だが、これが結局一番いいのだろうと納得する。
五郎が駆けつける。
太郎に赤紙が届いた。なぜ、2通くるのかと騒ぎになっているらしい。それに幸子のこともバレた様子。そして、一郎の父はボコボコにされているらしい。
一郎は五郎に美代のことを認めると言う。その代わり、この赤紙を食べろと口に押し込む。
赤紙は五郎の口に飲み込まれて行く。
蝉の声がする。いつ、戦争は終わるのだろうか・・・

たくさん入れ替わりがあり、きちんと覚えていないので細かなところは違うかも。あれっ、この人、いつ戻って来たんだっけみたいな感じで。
でも、だいたいはこんな感じ。
赤紙テーマだから、不謹慎かもしれませんが、とにかく笑えた。まず、声を出して笑うことは無い私ですら、ちょっと声が漏れそうになった。
国のことなど本当は何も関係ないって思っている田舎町の閉鎖性なんかも感じられ、そこに赤紙一つ舞い込んだだけで、こうまで人間臭さが露わになるなんて。
掛け合いのチームワークも抜群。各役者さんに見せ場があるが、幸子演じる、豊島祐貴さんがかなりおいしいところを持っていく。

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