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2016年11月 6日 (日)

EXTRA FOREVER?【劇団ヴァダー】161106

2016年11月06日 KAVCホール (130分)

昨年、火ゲキで少しだけ拝見しましたが、本公演は2011年以来。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/110702-4965.html
活動休止みたいだったので、最後に観ておこうかなと。

一つの作品を創る。
そこに関わる様々な人たち。
技量やしがらみなど様々な視点から出演するキャストを決める権威ある人。権力、地位をもって、その利益を基に作品のキャストに送り込む人。キャストを統括する人。スポンサー。作品創りを裏方で支える人。
仕事として出演するプロの役者。生活のために出演する役者。夢を掴むために出演する役者。そんな役者も、権力、地位のあるベテランから、駆け出し、名も知られていない、素人のエキストラ・・・と色々。
みんな、各々な考えをもって、その作品に関わろうとする。
やるからには、その作品は認められないといけないし、利益も生み出さないと続けていけない。厳しい現実と向き合いながら、自分のポリシーを、やりたいことを注ぎながら、必死に頑張る。
そんな姿が作品に込められるから、作品が愛おしく感じられ、心揺さぶられるのかな。
映画のエキストラに焦点を当てながら、私たちが観る作品にどんな人たちが、どんな気持ちをぶつけ、どんな触れ合いや想い合いをしながら、それが創り上げられているのかを見せているような作品でした。
20周年を迎える、この劇団の作品創りのポリシーにも通じているのかもしれません。
創ることへの真剣、真摯たる想いが浮き上がるような話のように思います。

数々の賞を受賞して注目される映画監督、本能寺の新作、極道の花道がクランクイン。
大御所女優の蓉子、元アイドルの伸がメインを務める。今回は映画初出演の人気モデル、美穂も抜擢されている
助監督の心屋、米沢が集まったエキストラたちに撮影現場での注意を伝える。
撮影が始まる。
街中で銃声。傷を負う、伸が演じる舎弟頭。蓉子演じる姐さんを守り、この場を逃げることにする。俺が組を絶対に守る。カット。
次は、この二人が街中の人たちをくぐり抜けて逃げるシーン。街の人たちはエキストラだ。
制作の山村は、エキストラたちに、段取りを説明するが、専門用語が分からない人もいて苦労する。こういったややこしい仕事は全部、山村に押し付けられている模様。
エキストラに集まった6人。
妙齢の主婦のめぐみ、プロダクションに所属する若いまいとりか、なかなか芽が出ず焦っている涼、エキストラ歴が長く映画俳優を目指す中年の源次、役者を目指すつもりの中学生の山村の弟である嵐。
撮影は順調にとはいかない。
めぐみはこれまでの日常に無い世界を見て興奮気味。若い二人は、間近で俳優が見られてキャーキャー。変に目立とうとする涼に苛立つ嵐。ケンカになりそうなところを源次が間に入る。
プロデューサーの永井が現場に現れる。涼は自分に役をくれとアピール。それに対して、厳しい言葉を投げかける永井。そんな偉そうな永井にも嵐は食い掛かりそうになる。まだ、世間知らずで、自分は何でも出来るんだと世の中を舐めているところがあるみたい。そんな甘さに対して涼は涼で嵐に苛立っている模様。

撮影は進む。
逃げ切った先にも追っ手が現れる姐さんと舎弟頭。俺は負けない。極道を貫くんだ。そんなシーンを、監督は擬音語中心にミュージカル調に演出する。
しかし、伸はそれに納得ができない。役者としての自分の考えを演技に込めたいみたいだ。
監督は拗ねてどこかへ行ってしまった。助監督が伸をなだめる。
そんな伸に蓉子は映画は監督が一番なのだと意見する。それでも、伸は自分のポリシーを貫きたいと言う。そんなポリシーが、役にも宿っているみたいだ。蓉子はそんな伸の言葉に実力が伴っていないと厳しく返す。
でも、蓉子だって、そんな自分のポリシーとの狭間で苦しんでいる。マネージャーがとってくる仕事。物欲しそうに頭を下げてとってくるそんな仕事が気に入らない。私にはプライドがある。仕事は選びたいのだと。
シーンの死体役は嵐が演じていた。でも、動いてしまいきちんと演じられず、違う人と交代。その代わり、源次に若頭補佐という役がついた。永井の目にかなったらしい。
撮影終了後、永井と伸は飲みに行く。店を決めるのは山村。いつかは監督になるために、どんな雑用でも必死にこなす。そういう道を通らないといけないらしい。
伸は永井に、今の自分について相談する。大きな事務所に所属している。アイドルとしては厳しい歳。役者の仕事もして幅を広げているが、それがいつまで続くか不安みたい。永井は答える。事務所の社長を怒らさないこと。今日の監督のように。
でも、映画は監督だけのものでは無いはず、役者が自ら創り出す権利もあるはずだと反論する。永井は映画はスポンサーのものだという。若かりし頃、スポンサーに逆らって、数年間干された経験がある永井は、スポンサーが怖いと言う。

涼が再び、永井に直訴。
永井は前回以上に厳しい言葉を投げかける。役者になりたいのか、タレントになりたいのか。売れると言ってもどの程度売れたいのか。ビジョンが見えてこない。役がこないのは所属するプロダクションのせいだと思っているのだろう。違う、才能が無いからだ。
そんな言葉を聞き、嫌いな涼のことだが、嵐は激怒する。
今日の撮影はモデルの美穂が来る。関西弁の社長と共に現れる。社長は、美穂のNGなことを現場の段取りを無視して、好き勝手に喋る。次の予定があるからリハ無しの本番。米沢が文句を言いそうになるが、永井が制する。社長はスポンサーでもあるから。
蓉子とのシーンを撮影。美穂は、セリフは覚えていない、段取りは把握していない、演技は下手くそと酷い姿を見せる。蓉子が常々語る、プロ意識からは遠くかけ離れている。でも、監督からはOKの声が。それが現実だ。

伸はイライラしている。そんな伸に米沢が声をかける。観客を喜ばすためにどうするかを一番に考えている米沢。役者として、役としてとかではなく、伸自身がこの仕事と。作品とどう向き合おうとしているのかを問う。米沢の熱い真摯な気持ちに、舞台に立つという初心を思い出したかのような伸。
蓉子のマネージャーは、この仕事の次をとってくる。主人公の叔母役。出番は少ないがキーとなる役どころ。また、これまでとは全然違うキャラとなる。文句を言う蓉子にマネージャーは自分の想いを伝える。同じような役ばかりが続き、苦しんでいる、やりがいを失っていることを心配している。もっと上を目指せると信じている。怖がらないで、今の安全領域から抜け出して、挑戦して欲しい。ずっと、自分のことを支え続け、見守り続けてくれていた人の言葉に蓉子は、女優として生きる自分の道が少しだけ見えたようだ。
作品にはダンスシーンがある。ダンス経験が全く無い嵐は、思うように出来ない。諦めて、ふて腐れて、立ち止まってしまう。そんな嵐を舞台から降ろそうとする米沢を蓉子は制して、嵐に声をかける。自分の力の限りをやればいい。でも、ここは舞台。プロ意識を持つ者だけが立てる場所。遊びなら出て行けと。
本番が始まる。
皆が各々の力を尽くす。監督からOKの声。
皆は手を取り合って喜び合う。嵐も初めてやり遂げた感覚を得たのか、少し笑顔を見せる。
色々あったが、撮影は何とかなりそう。
裏で懸命に動く山野の力も大きい。そんな山野に米沢は、絶対に辞めるなと声をかける。今、辞めたら、この世界の嫌なところばかり見て終わりになってしまう。自分は、この世界を今までと変える。だから、山野も監督になって、自分の世界を作れと。その言葉は、今の自分にも投げ掛けて奮い立たせようと必死に頑張っているかのよう。

源次のシーン撮影が近づく。
その景気づけか、エキストラたちは港で少し話し合う。
まいやりかは、海のばかやろうとか叫んで、純粋に楽しい姿を見せる。
めぐみはそんな若い人たちを見て、自分の今を振り返る。主婦で育児、家事に追われる日々。生産性が自分には無い。だから、この撮影の間、何かを創る感覚を楽しんでいるのだと。
そんなめぐみに、源次は母の話をする。母が自分にたくさんしてくれたこと。それがあるから、今の自分がいる。生産性が無いなんてことはない。母は私にとって大切で必要な人だったと。
撮影は本格的になる。
エキストラは早くから現場に入るが、待ち時間がほとんど。撮影が始まる時には既に準備されている小道具やセットと同じ扱いなのが現実。エキストラ。余分なとかいう意味そのものだろう。
そんな空き時間に伸はライブの練習をしている。役者とかにこだわるのではなく、舞台に立つ自分としてのプロ意識に目覚めたみたいだ。
源次の母が内緒で訪ねてくる。役がついたので、エンドロールに名前が載る。早くから父を亡くし、映画館を保育園代わりのように過ごしていた源次。映画に恩返ししたい。そう言って、ずっと地道に頑張ってきた息子に花が咲く。嬉しくて仕方がないようだ。何かをしたい。スタッフに少しばかりの差し入れをして帰る。
涼はどこかのオーディションに合格したものの、大きな事務所から横やりが入ったのか出演できないことに。イライラが募る。家事が忙しくて、遅刻してくるめぐみにあたったりして、また険悪なムードに。

撮影は伸が高いところに上って、見せ場を演じている。カット。次のシーンのために、伸に降りてくるように米沢は言うが、伸は足を震わせている。高所恐怖症らしい。それでも、舞台に立つ。彼のプロ意識は今や本物となったみたいだ。
いよいよ、源次のシーン。エキストラ仲間はみんなで見に行く。
源次がきめた服装でスタンバイ。
永井と米沢が話している。米沢の顔が曇る。
米沢は山野に源次には必ず出番を作るからと言って、源次を舞台から降ろすように伝える。
美穂の事務所社長がやって来る。源次が演じる予定の若頭補佐をすることになったらしい。
嵐は怒り、エキストラを舐めるなと永井に直談判。源次が必死に止める。
嵐は源次に、もうこんなところは出ていこうと促す。
しかし、源次は米沢を信じると言う。出番を作ると言ってくれた。だから、ここで待つのだと。
結局、源次に出番は無かった。

エキストラだけで源次のシーンを再現。
立派にできるのに。
それを見て、山野は必ず自分が監督になって、源次に役をしてもらう、だからそれまで待ってと言う。
これからも辞めないで続けますよね。その問いに今は答えられない源次。源次はそのまま立ち去る。
これが現実なんだと吐き捨てる涼。
翌日、源次は撮影現場にやって来た。どうして、そこまでするんだ。好きだから、映画が。そんな源次を裏切った永井たちへの嵐の怒りは収まらない。
嵐は、社長と永井に、エキストラの、人の気持ちをもっと考えろと叫ぶ。
社長は、若造の言うことなど聞く耳持たずで、軽く受け流している。永井は好きなだけでは単なる道楽だと厳しい言葉を吐く。道楽じゃないと言うなら、どうしてもっと最短距離で成功を収められる道を進まないのか。それは怖いから、逃げているからだと。
米沢が口を開く。自分が監督になったら、あなたたちとは絶対に一緒に仕事はしないだろう。
涼がキレる。社長を殴る。これが何を意味するのかは分かるはず。それでも、そうしないと気が済まなかった。何がいけない。好きで何がいけない。才能が無くても、役者をしたい。それがどうして悪いのか。皆は必死になって止める。社長は不愉快だと吐き捨てて立ち去って行った。永井もその後を追う。

撮影はクライマックス。
ベテラン役者、陣ノ内扮する敵対するヤクザと、舎弟頭と姐さんの最後の決着シーン。
舎弟頭がヤクザを撃ち、姐さんと組の復帰を誓う。これぞ、極道の花道だと。エキストラも敵ヤクザの子分に扮している。
リハはOK。
本番が始まる。
しかし、エキストラたちが、自分たちで話の展開を変え、各々の見せ場を作る。
陣ノ内が機転を効かせて、ラストはきちんと元に戻す。
奴らはきっと仇を討ちにまたやって来る。でも、組は守る。伸のセリフでラストを締める。
エキストラたちのこれからの、この世界での逆襲をほのめかすようなラスト。それに今、活躍する自分たちは真っ向勝負してやろうみたいな感じ。
この真剣な熱さが受けたのか、監督はOK。永井もお手上げだと今回は負けを認める。
クランクアップとなった。
色々あったが、一つの作品が出来上がった。
後から聞けば、永井は社長に土下座して謝罪し、皆を守ったらしい。彼もまた、現実を知る厳しいビジネスの世界に生きていても、映画を愛する気持ちは忘れていなかったようだ。
各々の舞台に対する様々な想いをぶつけ合いながら、紆余曲折の末、作品は出来上がった。
ここから、皆の舞台での道が始まる。それは、どうして舞台に自分が立ちたいのかという答えをいつも追い求めながら、自分自身をより向上させて生きていく道に通じているのだろう。
そんな始まりの記念に、皆は舞台で集まり、この厳しくも、義理人情に厚く、本物の道を進む極道の花道を掲げて写真撮影をする。

映画は誰のもの。演劇や映画など、ある区切られた世界の中で、舞台という一つの場で何かを創る中で、その使命は何に委ねられているのか。
自分自身、それを統括する者、援助してくれるもの、それを観る者。
よく言う会社は誰のものみたいな感覚でキャラを見詰めていました。
ある市場の中で、何かを製造する会社。これが演劇という世界と舞台で生み出される作品。
役者は社員、監督は社長、スポンサーは株主、観客はユーザー。
こんなステークホルダー、全てが大切で、共に成長していく中で、各々が豊かになることが望まれるのでしょう。
エキストラは、社員の中のカテゴリーに入るのかな。有能な社員一人でなど、出来ることは限られています。でも、現実はそんな人が評価されることも多いでしょう。そんな力が発揮できる場を与えてくれる人たち、辛い時、苦しい時に手を差し伸べてくれる人たち。そんな人たちのことを思えば、それは誤りであることが分かるはずです。
エキストラはやっぱり、各々が特別な存在なのだと感じます。
才能が欠けていたり、幼く未熟だったり、他にも大切なするべきことがある時期だったりと、色々な人がいます。ただプロ意識だけをもって、技能的に有能な人たちだけで創り上げたものなど、本当に魅力があるでしょうか。色々な人たちが、互いに見つめ合い、心を通じ合わせながら、足りない何かを相互補填したり、高めあったり。そんな過程で、苦労の末、出来上がったものだからこそ、美しく、尊く感じられ、心揺さぶられるものとなるような気がします。
ただ、これは正論ですね。
現実は厳しい。だから、好きなだけでものは出来ないだろうし、最短距離で物事を進めないと時間や金銭など、多くの負担で結局ゴールまでたどり着けないこともたくさんある。
でも、そうだからといって、正論を捨ててしまっていいものでもないように思います。
特に、こんな芸術の世界は。
回り道をした、無駄なことをした、欠片しかない才能で必死に頑張ってみた・・・、そんな数々のことが込められたものが創り上げられたなら、やはり、そこにはその特別な魅力があって、それに心を揺すぶられることになるのではないかと感じます。

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コメント

SAISEI様

活動休止なんですか? それならムリして行くべきだったかなぁ。。

しかしSAISEIさんが四方香菜プロデュース行かれないとは意外でした。

岡田かいりさんを2015年の2月だったかな? ズッキュン娘以来拝見できて良かったです(笑)

四方香菜さん、今回のはともかく私と合いそうな感じかな。。

次回は『ガウデンテ』の再演なのかな? 1月13日~15日に大阪心斎橋でされますね。御存知かな?

投稿: KAISEI | 2016年11月 8日 (火) 01時53分

>KAISEIさん

けっこう、自分のこれまでとかに同調させて、心穏やかには観られない話でしたけどね。
観られていたら、まずまず評価は高かったと思います。味のある役者さんもいらっしゃいましたし。

今週は仕事の都合で、京都よりも神戸の方が日程調整しやすかったので。
四方さんのは、DVDが販売されるらしいので、ゆっくり自宅で推理して楽しみますわ。

投稿: SAISEI | 2016年11月10日 (木) 17時34分

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