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2016年11月 5日 (土)

ANCHOR【劇団うんこなまず】161104

2016年11月04日 ウィングフィールド (80分)

日常の何気ない一シーンや、元ネタをあまり知らないがそんなシーンの中に、たくさんの意味合いが沸きあがるように創られているみたいな作品。
同じものを観ても、恐らく多層構造になっているかのように、観る者によって社会生活、恋などの話として色々と捉えられるかのよう。
下記の感想では、私が一番強く感じた路線での感想を記しています。
この他にも、様々な解釈が出来るように感じ、そんなパラレルに感じられた感想たちを共有することで生まれる何かに楽しみを見出せるのかもしれません。
当日チラシに、視る、居る、聴くを楽しめる時空間を創られていることが記されています。それはきっと、それにより頭の中で拡がる各々の想像を楽しむことに繋がっているのでしょう。
観に伺って良かった。当たり前ですが、観終えて、そう思わせる魅力を力強く感じる作品だったと思います。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

役者さんが、梯子のような階段から降りて来て、舞台に全員集合。
二人の女性が前説。猫耳つけて、猫になる。
映像。爆弾投下。
(舞台はモノトーンでスタイリッシュな感じ。役者さんの衣装も同様。機械的で冷たい空気を感じるが、その反面、猫は可愛く、温かい感覚。このアンバランスさも、この劇団のらしさの一つか。これまでとよく似た、舞台を始めますといった、メタ的な匂いも醸す。爆弾はこれからの作品を意味しているのだろうか。それを投下されるのは客席の私たちか。大きな被害を受けなければいいのだが。過去作品では何度か、痛く辛い思いをして帰ったことがある。自分の無事を祈る。)

各々、ウォーミングアップ。一人の男が、一匹の猫に近づく。猫が気付いて視線を向けると、見てないふりをして、距離をとる男。見ている、追いかけていることを指摘すると、グダグダに認め、逆に自分に干渉するなとキレる。猫は、姉猫を呼んでどうしたらいいかを尋ねる。逃げるのが一番。でも、どこまで逃げればいいのだろう。
(自分への自信の無さなのか、興味あることへの核心には触れず、距離を置いてしまう人がいる。それが楽なのだろう。そういう人はそのことを突つくと怒り出してしまう。相手にしても仕方がない。所詮は分かち合おうとか、協調しようという気持ちに欠けているのだから。だから、逃げる。どこまでも。追っては来ないだろう。その程度の気持ちしか無いはず。だから、その人から見えなくなるまで。)

男は、警察へ向かう。自分を逮捕して、牢屋に閉じ込めて欲しい。自分はテロリストだから。何かとんでもない爆発をこの世に起こしてしまうから。そんな様子を、調子に乗って見て笑い、とばっちりを喰らう者。
(自分が、何かしでかすぐらいの凄い奴だと過剰に信じ込んでしまう時期がある。自意識過剰なのか、自分のとんでもない言動が世を変えしまい、周囲の人に大きな影響を及ぼすものなのだと。行動は起こさないだろう。そもそも、そんな具体的な行動の考えも無いし、そんな勇気も無い。自分は危険だから、周囲から拘束されて、何も出来なかったと言い訳する理由を潜在的に求めているだけなのかも。でも、囃し立ててはいけない。おかしな考えがより、悪い方向へ進んでしまう。)

男はセールスマンの自分の話を集まった皆にする。自分では無い、どこかの自分。
シミュレーションをしながら、分かりやすく解説するつもり。そのための設定として、ある男を女性役とする。男性が女性に見えるのか。そういう目で見れば不可能な話ではない。そこには、観る側の想像力が求められる。
でも、どうしてそんな必要があるのか、そもそも、この話をする目的、使命にそういう思考実験は必要なのか。正論を唱える者は殺される。しかし、その後も、知ったかぶりや、いい感じでものを言いたい人や、同意しかしない人たちがいて、話はなかなか始まらない。
(何かしたいことがある。それを説明する。ただ、聞けばいいだけの話だが、世の中は、その是非を議論して、始まりまでなかなかたどり着かないことがある。その要因として挙げられる者を描く。たくさんの具材が入って美味しい鍋が出来る。自分を主張するだけの具材は不要だろう。あらゆる味をただ受け止められる具材は邪魔しないから入れておけばいい。いい感じになりたい具材は、そうなるようなタイミング、調理法が大事だ。ただ、世の中は、料理のようには簡単にいかないことも多い。)

男は望遠鏡のセールスのために、渇いた女性を訪ねる。
望遠鏡のプレゼンをしたいと願う男の話を女性は聞く。
大したことを言わない。セールスにやって来たのに、それだけの言葉しか用意していないことに驚く女性。
(ユーザーが何を聞きたいのか。何を視たいのか。望遠鏡は遠くを見られる。その遠い先の風景をミクロ視点で解析できる。でも、そればかり見ていたら、目の前に広がる、その遠い先の風景も含めたマクロな視点を失ってしまっているのかも。技術者が陥りやすいことかもしれない。いつの間にか、普通の人と共有する視野が狭くなってしまう。そんなマニアックなことを別に普通の人は聞きたくない。綺麗に見えるのか、それは楽しい気持ちになれるのか。値段は、修理の保証は。聞く、視る側が欲する情報を組み込んでいないプレゼンに対して、怒りよりも驚きが先にきてしまう感覚は何となく理解できる。この劇団を観劇した時にそんなことがあったような・・・)

野良猫姉妹。誰かれ構わず、ものをねだる妹猫。それを姉猫はたしなめる。私たちは野良猫なんだから。妹猫は反論する。野良猫だからそうなんでしょ。同じ立場なのに、こうも考えが異なることに幻滅する姉猫。
(価値観は人によって異なる。モノに見出す価値から、ひいては生き方に至るまで。それは、今、同じ状況にいる仲間との間でも、さらには血が繋がっている家族ですらそんなことがあるかもしれない。だから、全否定はしない。ポリシーを貫くことも大事だが、いい考え、価値観を自分の中に一部、取り込むことは、その人に屈服したことでは無いし、自分を曲げたことでも無い。生きるという中で、より豊かに幸せに生きるための、大切な手段なのだろう。)

男は望遠鏡を覗く。遠い先へ行ってしまったかつての友達。
男の頭の中で、友達がまあまあ、幸せに楽しく生活している姿が浮き上がる。
(ずっと一緒にいたけど、人生のどこかの段階で道を分かつことになった友達。そんな友達の姿から、あの頃の過去を振り返る。今、これでいいのか、この道を歩んでいていいのか。数々の不安はあれど、元気でいる友達の姿は、いつでも、自分を前向きの気持ちにさせてくれて、まあ、今は今の道をしっかりと歩んでやってみようかと思えるようになるのかも。)

男は酔っぱらった男にからまれる。キャン玉をくれとしつこい。じゃあ、望遠鏡をくれと言われて、渡す。無理やりではない。一つぐらいなら、この人にと思えたから。男は喜んでいる。いい夜になりそうだ。
(キャン玉は、きっと男は要らない。だって、もうあるから。それは酔っ払いの戯言。望遠鏡が欲しい。そこに男の今の気持ちを見出せたのかもしれない。どういう人が、どういう気持ちで、自分の望遠鏡を欲しがるのか。貧乏そうだから、お金はもらえなかった。でも、それを知った価値は大きい。だから、この夜は、男にとって大切な時となった。)

寝坊した小6の男。迎えに来た美人の幼馴染を放って、ダッシュで登校。
名探偵コ〇ンがいる。周囲もいつの間にか、お馴染みのキャラたちが。
コ〇ンは青酸カリを舐めるのに忙しい。それに対して〇太はウナギを食べようとしつこく、ケンカ。その戦いは、やがて、対立する勢力の大きな争いへと発展する。
(こっちの方が美味しいんだから、それを食べようと誘っても、自分を苦しめる毒を食べ続ける男。まだ、幼いのでモノの価値が分かっていないから。違う、コ〇ンはもう立派な大人だ。それでも、そんな毒を食べないといけない時がある。それは、やがて周囲の者へと拡がる。食べなくてはいけない。他のモノは見えない。こうして集団心理が生まれ、周囲に対して盲目になった集団が生み出される。どうにかしようと争いが起こる。個人戦では対応できず、そこに組織の力が働き、事は大きくなってしまう。そんな争いに終止符を打てるのは、その人を本当に想う純粋な心、つまりは愛なのかもしれない。)

出航。船は大海へと進む。
釣りをする乗組員。大したものは釣れない。
居眠りしている乗組員を叱りつける船長らしき男。ゴミ、バカと言いたい放題。乗組員も反抗しない。
船長はタバコの火を求め、持っていなければ、その男に失望する。セクハラまがいの言動で空気を悪くしながら。
(ここは海。船に乗る乗組員たちの力で、どんな海にも出来る。大したものが釣れないということは、まだ、その海が未熟なのだろう。それを皆で認識し合い、自分たちの創造力をもって、豊かな海へと変えていかなくてはいけない。豊かな海へ向かうことも出来る。ただ、そのためにはもっと大きな船、そして、もっと賢明な船長が必要だ。今の面子で出来ること。それは、この小さな船で迎える海を自分たちの手で豊かにすること。これが市場開拓の原理なのかも。)

人間博物館。
人間を知ってもらうための場所。飾られる人間たちが会話をしているが、飾った言葉で語り合い、実は本当のことが何も語られていない。当然、この人たちのことを知ることが出来ない。揉めだして、やがて、その責任を館長に追求し出す皆。
(会話をすることで、互いのことを理解し合う。そのためにそういう場をもうけて、時間を費やして相互理解を目指す。全てでは無いが多くの接待なんかはそんな場だろうか。でも、飛び交う会話は、論点がズレたり、詭弁だったりして、互いに知ってもらうまでには至らない。分かち合うことが出来ずに終わったその場は、後に、通じ合えていないところは、上に立つ者が責任を持って、理解させるということになる。元々、不要だったのだ。そんな人間博物館は。)

男は、今、話すべきことがあると言う。
自分はつまらない大人になったのではないだろうか。
遠い先の友達の姿。
彼はまあまあ楽しい日々を過ごしているようだ。ドライブを楽しみ、走行距離も相当いっているのだと。でも、調べてみたら、それほどのものではなかった。
(ずいぶんと頑張ってきた。必死になってがむしゃらに。でも、今、自分の手元にある実績はそれほど誇れるものでは無いような気がする。そんなものだ。めちゃくちゃ走ったと思っても、それほど走っていないこともある。頑張ったという思いや、精神的、肉体的な疲労が、必ずしも比例した数値となって、結果になるわけでは無い。それでも、いいんじゃないだろうか。頑張ることで、走ることで、たくさんの景色を見たことは本当だ。これから、まだまだ開拓できるんだと考えれば、やる気も湧く。捉え方次第、考え方次第で、今の自分の評価など幾らでも変わる。)

男は、望遠鏡を渡した男と再会する。男は失明していた。望遠鏡で太陽を見続けたのだとか。
でも、楽しかったのだと男は語る。
男は、寄り添ってくれて傍にいてくれる者を見つけたようだ。それは姉猫。
そして、男は猫になり、暗闇の中へと消えていく。
(見えなかったモノが見えるようになり、男は輝く場に躍り出たみたいだ。輝く場は、光がまぶしく、目が疲れる。でも、楽しかったのだろう。ずっと、暗闇で酒浸りだったのだから。でも、その時間には限りがあった、しかも、その代償を背負うことにもなった。それでも、彼の人生の中で、その時間は楽しかったのだと悔いは無い様子。何が起こるかなんか分からない。それを怖れて、縮こもって生きるよりかはいいのだろうか。彼は、元いた世界で、光輝いた日々を思い描きながら、昔とは違った、元の世界での日々を過ごすのだろ。)

男は彷徨っている。
自分の限界、無いものばかりが目につき、ただ、何かを求める日々。
そんな時にカリスマが現れる。退屈は敵だ。爆発させろ。テロリストになれ。
男は、自分自身を頭の中で盛り上げる。そのために必要な想像力を手にしなくてはいけない。
(自分はつまらない。日々の生活も。その時に出会った人によって、道は変わってしまうものだ。前向きに元気にしている友達を見て、自分を高めようと歩き出す人もいるだろう。この男が出会ったのは、何も変わっていないのに、自分自身は大きく変わった、凄い者になったと洗脳してしまうような人か。そこに人への想いの欠けた悪質な宗教みたいなものか。強引に事を進めればいい、頑張れば結果はついてくると信じて疑わない団塊の世代の人たちみたいなものか。とにかく、彼は悪い方向へと舵をきったようだ。)

一人の男が、一匹の猫に近づく。猫が気付いて視線を向けると、見てないふりをして、距離をとる男。見ている、追いかけていることを指摘すると、グダグダに認め、逆に自分に干渉するなとキレる。猫は、姉猫を呼んでどうしたらいいかを尋ねる。
姉猫はいない。
男は猫の猫耳を外し、猫をかぶるなと激怒。
自分はテロリスト。この劇場に爆弾を仕掛けていることを伝える。劇場は男の手によって占拠される。
舞台のスピーカーから、音が聞こえる。3、2、1の男の合図で爆発するらしい。
男は窓に向かう。猫を呼んで、外の景色を望遠鏡で見る。
吹っ飛ぶのは、この劇場のあるビルだけではなく、このあたり一帯が崩壊するらしい。
男が3、2、1とカウントする。猫はそれを傍で見守る。
何も起こらない・・・
(冒頭のシーンに戻る。彷徨い続けた男の最後を描く。紆余曲折の末、破壊することでしか、自分を見出すことが出来ないような結論を自分につけてしまった男。爆弾は、彼のどうしようもなかった感情の塊だったのだろう。でも、それは爆発することは無かった。姉猫は寂しい男の傍に寄り添うために一緒に去って行った。妹猫は、今、この男の傍に寄り添う。本当は救われたかった男。その救いに本当は妹猫を求めていた。恋ってやつかもしれない。その気持ちは、妹猫に伝わったのだろう。だから、カウントの最後まで男の傍を離れなかった。自分が伝わらずに、ここまでになってしまった男。その気持ちが伝わった今、爆弾が爆発することは無い。これから、男は、傍にいてくれた人と共に、何かを創り上げる道を進むはずだ。)

と、抜けているところや、おぼろげなところがありますが、だいたいこんな感じで話は進む。
各シーンで感じたことを(  )内に記しました。
これまでも、この劇団の作品を観た時に、社会の中で生きる苦悩をほのめかしているところがあるなと感じていたので、社会生活の色々を斬新に描いた現代童話集のようなものとして、そちらを中心に書いています。
ただ、もう一つ、この劇団の作品でよく感じること。それは一言で言えば、愛。
この視点で捉えることも出来るような気がします。
冒頭のシーンが片思いの始まりで、その欲望を抑えきれることに苦しみ、自分をどうPRすればいいのか悩み、遠くから眺め・・・、そして、最後は追い詰められた男に救いの愛が与えられるみたいな。
そんな恋のノウハウ本としても成立は出来るように思います。
観方によれば、こじつけになるところもありますが、世界情勢、宇宙の中での地球といった大きな視点や、ごく身近な人との関係といった些細な視点でも考えることができるようにも感じます。
こういった、多視点で作品を感じることが出来る魅力を生み出す空間を創られているところが、非常に楽しい時間として観劇できたように思います。

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