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2016年11月 3日 (木)

あしたは全力モンキー【超人予備校】161103

2016年11月03日 インディペンデントシアター1st (100分)

今回は猿。
猿と言えば、・・・
ネタバレになるので、この部分では書きませんが、そんな幾つかの話を収束させて、自分がなりたい自分として、楽しく生きる術を導き出そうとしているような話に感じます。
難しいことではない。思い描けばいい。その思い描いた自分が、なりたい自分へと動き出す。その姿は妄想の産物ではなく、自分が全力で生きることによって、たどり着ける自分なんだ。
そんなことを考えさせられる話だったように思います。
キャラはいつにも増して濃く、ハチャメチャに暴れまわりながら、笑いのネタを振りまいています。
そして、いつもながら、微笑ましく、ちょっとだけ元気に爽快な心持ちになるようなラストで締められます。このちょっとだけというのが、程いい緩さでいいんだと思います。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

俺は世界を回すなんて、意気込んで出版社に入社したものの、会社が倒産。今は、なぜか猿回しをしているタスケ。
そこで出会った、恐るべき身体能力を持つ猿のハナ。でも、いつも本番で舞い上がってしまい、舞台でその力が発揮できない。いつも舞台上で固まったまま。仕方なく、タスケが必死にハナに芸をさせようと、色々とする。その様は、猿回されになっており、それで逆に話題になっているぐらい。当然、師匠はカンカン。新風を巻き起こすなんて言って、この世界に入ったのにと厳しく言われる。それでも、タスケはハナにはキツく当たることなく、何とか舞台を成功させようと一生懸命だ。そんなタスケに電話が入る。大学の同級生のミユキから。

東京で出版社に入社したミユキ。この十年間、私生活を犠牲にして、とにかくがむしゃらに働いてきた。その甲斐あって、今は編集長を務める。
社長から呼び出され、少し体を休めなさいと大阪支社転勤を言い渡される。担当雑誌の売り上げが落ち込んでいる。これは左遷だ。それでも、腐ることはない。大阪でいいものを仕入れて、また東京に戻ってそれを活かす。そう、気分は天竺に向かい、貴重な教典を持ち帰った三蔵法師だ。
とは言え、大阪。聞けば聞くほど、同じ日本だとは思えないようなところみたい。大阪に住む友人、タスケに電話。色々とアドバイスをもらう。
大阪支社はラブホテルの中にあるオフィス。ヨシオカという女性編集長が出迎えてくれる。寿退社をするため、ミユキに引き継ぎをすることになっているらしい。結婚相手はアラブの石油王なのだとか。どこまでがボケなんだろうか。結婚は冗談?、アラブの石油王は本当?ミユキはその境目に苦しむ。
タスケと久しぶりに再会。色々ともらったアドバイスは全部嘘。嘘じゃない、冗談だと言うタスケ。これだから、大阪は分からない。でも、元気そうで良かった。彼も編集長を務めているらしい。私も大阪で心機一転頑張らないと。

ハナは悩む。
どうして、舞い上がってしまうのだろう。タスケはやればできると励ましてくれる。その言葉に優しさが徐々に薄れていっているのは気がかりだが。私はこんなはずじゃない。明日こそ、全力モンキーだ。私は孫悟空になる。
ハナは妄想する。
石から生まれた孫悟空。その身体能力の高さで天界に向かい、釈迦如来と対決。見事に敗れ、500年間、山の下敷きになって自由を奪われる。
500年経った。
皇帝から、強引に天竺に行かされることになったチンゲンジョウ。貴重な経典を持って帰るように使命を与えられるが、要は邪魔だということだ。これまで、天竺に向かった僧はみんな死んでいるのだから。蔵が3つ建てられるくらいの額の生命保険を賭けられて、三蔵法師となる。
三蔵法師は孫悟空と出会う。釈迦よりも先に、封印を解いてしまい、一緒に天竺に向かうことに。
筋斗雲を使えば一瞬なのだが、歩いていく。じっくりと時間をかけて三蔵法師と心を通わせて、スーパーヒーローの孫悟空誕生。ハナは、自分を認めてくれるタスケとそんな三蔵法師孫悟空の関係となることを思い描く。

ハナは相変わらず、舞台で何も出来ず。
明日こそ全力モンキー。
孫悟空の妄想を続ける。
旅の途中、弟子志願の若者や村人、釈迦の生まれ変わりと名乗る者まで現れるが、三蔵法師は全て拒否。
人間が嫌いだから。強引にこんな旅に出る羽目になったのだ。皇帝は力を振るって無理やり、他の僧も何もしてくれなかった。僧なのに、そんな恨みが頭の中を渦巻いているらしく、もはや人格破綻者のようになっている。
そこに現れた猪八戒と沙悟浄。人間じゃないから。理由はそれだけ。一緒に旅をすることに。人間はボコボコに、妖怪とはきちんと話をして、分かち合うといった、これまでに無いスタイルで旅を続ける。

大阪支社では、ミユキが苦戦中。
東京で担当していた雑誌の関西版を任せられるが、こちらでは連載コラムがあるらしい。豚のような横暴な態度の男、河童のように気味の悪い男がフリーライターとして担当している。
後、ずっとパンケーキ特集をしたいと売り込みをかける、がっちりした体格のエル・ニンジャを名乗る男もウロウロしている。
東京で担当していた時の雑誌のコンセプトは、旅・グルメ・ファッション。こちらは目を通すと風俗特集もあったりして、ミユキはついていけない。でも、それが関西なのだ。これまでのスタイルでは、ここでは生き残れない。私は、ここ関西で、妖怪のようなフリーライターたちと一緒に頑張って進まないといけないのだ。

ハナは相変わらず、舞台で何も出来ず。
遂に、タスケは師匠から破門を言い渡される。
もう一度だけチャンスを下さい。必死に頭を下げて、次の舞台に全てをかける。
ハナは相変わらず、ボーっとしているようだが。
三蔵法師一行は、砂漠を彷徨う。水も無く、このまま行き倒れになって、遂にもうお終いみたいだ。
その時、向こうの方でJKが水を持って色気を振りまいている。
一行はそのJKの下へ向かう。JKは手紙を落として、立ち去る。
その手紙を読んでみると、孫悟空がJKと付き合っているようなことが書かれている。
孫悟空は誤解だと反論するが、三蔵法師は、孫悟空に破門を言い渡す。孫悟空は立ち去る。
しかし、これが罠。あのJKは白骨婦人だった。金角、銀角も瓢箪を持って現れ、一行を襲う。
猪八戒、沙悟浄が応戦するが、かなりの強さでかなわない。

孫悟空は立ち去ったものの、やはり三蔵法師たちのことが気になる。引き返そうとしたところ、牛魔王が現れて、行く手を阻む。今頃は妖怪たちが三蔵法師を襲っていることだろう。
そんな言葉に、孫悟空は急いで駆け付けようとするが、牛魔王の前に何もできない。
そんなはずは無い。自分は出来る。三蔵法師を救えるだけの力がある。全力モンキーだ。
孫悟空は秘めていた本当の力を発揮する。その瞬間、舞台上のハナは、その隠された身体能力を発揮する。風のように舞台を駆け抜け、客席からは盛大な拍手。

妖怪たちに取り囲まれて、絶体絶命の三蔵法師たち。
皇帝が現れる。全ては仕組まれたことだったみたいだ。三蔵法師を亡き者にするための。
大阪支社では、社長がやって来ていた。ミユキに自分の本当の気持ちを伝える。辞めて欲しかった。プライド高いミユキに大阪転勤を言い渡せば、辞めると思っていたが、しつこく、こちらで頑張っている。連載コラムのフリーライターとも何とか、上手くやっていることが気に入らない。
もう辞めてくれ。社長は手下たちにミユキを襲わせて、強引に会社から追い出そうとする。
ミユキには、今、助けてくれる人がいる。エル・ニンジャを呼ぶ。
社長の手下たちはかなり強い。しかし、エル・ニンジャの身体はパンケーキのように柔らかく、それを活かして撃退。
逃げる社長。

孫悟空は牛魔王を撃退。
舞台のハナは、さらに芸を披露し、拍手喝采。
孫悟空は三蔵法師の下に駆け付け、妖怪たちを始末した。
舞台ではハナがお得意のポーズで、鳴り止まない拍手の中で大成功の舞台を締めている。
社長は、卑怯にもヨシオカに銃をつきつけて人質にし、ミユキに辞めることを迫る。
ミユキは助けを呼ぶ。ボケの境界線を知らない者が起こす奇跡。呼び出したアラブの石油王は、可憐、かつゴージャスに社長を始末した。

三蔵法師は旅を続ける。
破門になっているから、自分は同行できないと言う孫悟空。三蔵法師は、なんでやねんの一言で破門をチャラにする。
この旅で得た、全てを無かったことにしてしまう魔法の言葉だ。
三蔵法師、孫悟空、猪八戒、沙悟浄たちの旅は続く。
ミユキは東京に戻ることに。やはり、不在だと色々と困るみたいだ。大阪支社の方は寿退社したはずのヨシオカが復帰することに。専業主婦におさまるようなたまでは確かに無かったが。
東京には、あの豚のような男と河童みたいな男のフリーライターたちも連れて行こう。そう、こちらではエル・ニンジャも一緒に。一応、助けてくれたから。部数が落ち込んでいる担当雑誌。仲間たちの手で、きっと新しい風を吹き込めるはずだ。
タスケに挨拶。タスケは猿を連れている。猿回しになったことを伝えられる。おとなしそうだけど、かなりの実力がある猿らしい。名前はハナ。
タスケも新しい世界で、新風を巻き起こすつもりみたい。家族のためにも。
えっ、結婚していたんだ。ミユキの言葉に、タスケは子供もいると答える。
まあ、いいか。何かちょっと寂しい気はするが。
そんなモンだろう。それより、明日。明日は全力で、今日とは違った新しい自分に。
私は、得た仲間たちと一緒に、これからも旅を続けるんだ・・・

前作のラムチョップと似た感じで、出版社のミユキ、猿回しのタスケとハナ、妄想する孫悟空の話が収束するみたいな構造かな。
妄想する世界が、現実に近づき、やがて、取り込まれてしまうみたいな感じ。逆とも言えるのかもしれないが。
と言っても、妄想なんだから、好き勝手に、かっこよく、スマートに都合よく、進めればいいのに、そうはなっていない。
現実の世界以上に、悩み苦しんでいる人たちがそこにはいる。
現実と妄想の対応する者同士が、互いに励まし合いながら、お互い、いい結末を生み出しましょうと頑張り合っているような感覚を得る。

左遷されても、腐ることなく最善を尽くそうと、自分を抑え込んでいるようなミユキ。彼女の奥底に隠された、周囲の奴らふざけんなよみたいな感情が、思いのままに言動する三蔵法師となって現れているみたい。
実力が発揮できず、そのプレッシャーでどんどん、自身を抑え込んでしまって悩み苦しんでいるハナは、自由奔放に、少し、過剰なくらいに自信満々の孫悟空となっている。
でも、結局、現実も妄想の世界も、ラストは一緒。
得たことをはじめ、寄り添ってくれた仲間だって、そう変わらない。
旅は続く。仲間たちと共に何かしらを得て、これからを生きる姿が映し出されている。
つまりは、現実も妄想も、どちらも自分だったんだなと感じる。
自分なんだから、いつだって、その自分になれる。妄想ではない、現実の自分もその描いた姿になれるのでしょう。
そのために、どうしたらいいのか。
左遷やら、破門やら、力が出ないやら、思いが伝わらないやら、色々と困ることもいっぱいあるけど、やっぱり全力で生きる。明日は、また違う自分が生まれて、きっと、今日、頭の中で描く自分よりもかっこいい。だって、全力だから。
そんな、明日、また歩くことが、どこかへ向かうことが、誰かと出会えることが嬉しくなるような、人生の旅を楽しく感じさせるような作品だったように思います。

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コメント

SAISEI様

3日(木)と5日(土)は

●仏団観音びらき「蓮池温泉極楽ランド」

●超人予備校「あしたは全力モンキー」

●BLACK★TIGHTS「ファウストの檻」

●木ノ下歌舞伎「勧進帳」

●劇団ヴァダー「エキストラフォーエバー?」

●四方香菜「セブンスコード」

をどう詰め込むかを悩んでましたが完売であったり土曜日朝に仕事が入ったりで4本しか観られないことに。

今日は

BLACK★TIGHTS「ファウストの檻」→仏団観音びらき「蓮池温泉極楽ランド」のハシゴ観劇。

土曜日どこを予約するか。。

●超人予備校は2014年、2015年と11月に観劇。どちらも水準以上の満足度。ただ2014年My 屈辱ベスト3に入ることを主宰にされてるんですよね(苦笑)

●木ノ下歌舞伎は気になりつつもまだ行けず。今回は杉原邦生さんが演出とのことでお薦めしてくださった方も(笑) 前売券は完売。

●劇団ヴァダーも気になりつつもまだ行けず。

●四方香菜さんは過去1度観劇(『ガウデンテ』)。今回も行こうかな、と(笑)

超予備の出来が気になりますねぇ(笑)

京都ツアーを組むか。それとも。。

投稿: KAISEI | 2016年11月 3日 (木) 23時48分

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