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2016年11月27日 (日)

無人島【劇団 身体言語】161126

2016年11月26日 OVAL THEATER (90分)

独白で綴られる朗読劇みたいな様相を持つ作品。
と言って、言葉一つ一つを噛みしめる余裕を与えられるような、緩い流れで話は展開しない。
静かに煽られているような感覚が怖くもあるが、覚悟へと導かれているような感覚も得る。
今、生きている中で、おかしいと思ったり、不安だなと感じる違和感はないだろうか。それを、知らない振りしていないか。声にあげなくてはいけないくらいに大きなことが降りかかっているはずなのに、それを無視していないか。放っておいたら、あなたが生きる、この世界を崩壊に導くものになるのかもしれない。
それを止めるのは、あなたが発する言葉の表現。
黙っていて生きていられる時間はもう終わった。
そんな突き付けられるような感覚にたじろぎながらも、何か抵抗したくなるような感覚を得る作品だったように感じる。

100億人が住む無人島に暮らす男女8人。
争うこともなく、いい距離を保ち、互いを尊重し合いながら生きているかのよう。
でも、そんな無人島で起こったある事件をきっかけに、互いが抱いていた、この島での違和感が露出する。それは、各々に向けられた言葉となって、その人にぶつけられる。ぶつけられた相手は、それを言葉にして返し始める。
きっと、今まで話さなかったわけではないだろう。無人島にだって、色々な言葉が自分たちの周囲を飛び交っていたはず。 でも、そんな空を舞う空虚な言葉ではなく、想いの込められた言葉を受け止めて、返さないといけない状況に追い込まれたかのように映る。
今までのように、いい感じではもう生きてはいけない。

無人島の真ん中に塔がある。その塔は亡くなった者を弔う場所。塔に対する考え方は様々。ただ、近づかないのが暗黙の了解。
敷かれた境界線。一緒には過ごせない人たち。これまではそれでよかった。子供たちが大きくなったら変わるのかも。
そこで人が殺される。命を心配しないといけない日々となる。それでも、幸せ。満たされている安心。
子供は欲しくない。
生きることに無関心。もし、育てられなかったら。その結果が愛が無かったという決断に持っていかれる。愛に計画性が求められている。

等しく与えられるのは重力だけ。この地からどこかへ飛んで行ってしまったりはできない。

後からあれでよかったのかもと受け止められる。強くなった自分に幸福感を得る。大概のことは受け止められるのだったら、受け止められないことって何なのか。
人を殺す。人殺しと殺された人。無機質に判断するなら、殺された人を受け止めることは出来ない。

地震。本震で大丈夫だった家が余震で崩れる。ものが壊れるってそういうものなのかも。

様々な人が生み出したツール。自分たちで生み出したものだが、そこから逃げ出したいと考える者もいる。

こうして、島のことを独白で議論することを、島はどう思っているのか。考えないようにすることを望んでいるのではないか。

裁判。決定するのはルールというシステム。実行する人が必要。
殺した男は洞窟の中に閉じ込める。いつの間にか消えている。

塔は死の象徴。忘れてしまおうとしている。それが殺しで浮き上がってしまう。

この無人島にどれくらいの人が住んでいるのか。それがどんな構成になっているのか。それは分からない。でも、皆、いつかは、この無人島に流れ着く。

男女8人の独白に耳を傾ける。難しい言葉も多く、全容は分からず、かなり感覚的に理解することになる。 残したメモを今、見ても上記したように、よく分からず、文字にしにくい。
言葉はこうして、かなりの部分を捨てられて、残るものだけを心に刻むものなのかもしれない。

今の社会の実態を描いているようが、なんだか一人の人の心の中を覗いているような感覚にもなる。
この舞台にいる男女8人は自分の心の中にいつしか棲みついた、自分を構成する心の欠片ではないだろうか。
親から命をもらって、この世界、社会に生み出された自分。
最初は何もない無人島。
そこに色々な考えが流れ着いてくる。元は、自分のいる社会に住む人たちなのだろう。だから、そんな自分も誰か隣の人の無人島にたどり着いたものでもある。
最初はそんな流れ着いてくる者も多かったのかもしれない。何でも受け入れられる幼少期は。
その中で、ここでは生きられず死んだり、根付いたりと、ある平衡状態となる。自我の芽生えみたいな感じで。
無人島で生まれる子供は、様々な考えを融合して新たに生み出した自分の想いだ。
流れ着いたそんな考えの中から自分のルールを生み出す。自律みたいな感じか。
反する考えには罰を与える。どこかに閉じ込める。 そんな消し去った考えは塔に封印。その封印の仕方は、試行錯誤の上で、自分なりの葬り方を覚える。 中にはわざと封印して、無かったことにしているものもあるのかも。だから、境界線を敷いて、暗黙の了解で触れないようにする。怖いから。
いつしか、本当に消えてしまうかもしれない。でも、それが、人生のどこかで存在を思い出させる時が出てくる。

無視はできない。逃げることもできない。等しく与えられた重力は絶対だから。
本当は何も考えずに、安楽に生きていられれば良かったのかもしれない。
でも、そうはさせてくれない。じわじわとこの無人島を脅かす存在があることに気付いてしまったのだから。ものが壊れるのは、そんなじわじわと迫る微弱な力だ。
もう、私たちは目を背けては生きてはいけない。
感じた違和感と向き合い、それを無かったことにしたり曖昧にすることも出来ない。
だから、言葉を発して、そこで生きなくてはいけない。
そんな追い詰められるような感覚が、怖くもあるけど、そうしないといけないと覚悟を決めさせれる感覚にもなる。

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