« かもめ -海に囲まれた物語-【ノアノオモチャバコ】161119 | トップページ | 降月~月降り姫のお話~【しろみそ企画】161120 »

2016年11月21日 (月)

煩悩がやってくる【かのうとおっさん】161119

2016年11月19日 HEP HALL (105分)

煩悩を持つ人間を肯定。
好きなように生きる。時には人を傷つけてしまうのかもしれない。煩悩だから。
でも、そんな煩悩を認めて生きることで、幸せを得られるなら、そんな幸せを分かち合い、皆で分け与え合うような人間関係があってもいいのかも。
観ていて、そんなことが頭に浮かびながらも、すぐに笑いでかき消され、結局、面白かったという感想だけが残りました。

定期的に集まり、ジブリについて語り合う会のメンバー。
サワキは28歳の時、30歳を迎える女性に結婚をせがまれるものの、バンドの方が大切で別れてしまう。その後、バンドメンバーは次々に家庭の事情で脱退。バンドも解散。今は中古車販売でセールスをする冴えない中年。彼女が欲しい、結婚をしたいと今になって思う。同じ会の若い可愛らしいヨシナに惚れている。ヨシナもその気が無い訳でもない様子で期待は高まる。
ヤスダはエクササイズに通いながら、結婚を欲する妙齢女性。婚期を逃した友達の女性たちと男について勝手なことを語り合う。男にも巧く利用されているみたい。新任のエクササイズの筋肉質な先生、タマシロから、可愛い、付き合ってくれと言われ、すっかりその気になっている。
ツネオは学生時代に好きだった女の子をイケメンの友達にとられる。その友達が女の子をフッた時を見計らってアタック。でも、相手にされない。そんなことが続き、自分がモテない人間だということに気付き、社会の隅で生きる決意をする。なぜか、妹だけは敬愛してくれるので、妹の前だけでは出来るいい男を無理して演じている。最近、会に入って来た色気を出しまくりのサエコに好かれ、付き合うことに。
アラシヤマは才能が無く、売れないイラストレーター。でも、それを自分では認めておらず、未だに今や売れっ子のかつての同期たちと飲んだりしている。友達は結婚もして、セレブな日々。明らかに格が違う寂しい自分。それも認めない。そんな自分に声をかけてきてくれたサエコ。ツネオと付き合っているようだが、自分の方が好きなはず。そう信じて疑わない。
ヨシナはこれまで、ずっと可愛いと言われ続けてきた女性。だから、これから先には華ある未来がある。男だって幾らでも寄って来ると思っている。
会場となっている喫茶店のマスターは、出来もしないメニューを並べて、努力もせずにいつか作れるようになりたいと夢を追う。
メイドはおっとりとしているが、その心の内には、暴発しそうな結婚した女性との人間関係の煩わしさが渦巻いている。
あと、会員にヤマシタという男がいたが、最近、出席しなくなっている。

そんな会のメンバーたちに異変が起きる。
みんな妖怪になっていく。
すっかり俺はモテるんだと嫌な奴になり下がったツネオ。
俺には才能がある、他の奴らとは違うと偽りの出来るオーラを出すアラシヤマ。
二人は町を襲い、皆を欲望渦巻く妖怪へと引きずり込む。
若い男に言い寄られ、身の程知らずに愛に溺れるヤスダにも異変が。
マスターやメイドも、心の内の欲望が妖怪となって顔を出し始める。
ヤマシタが会に来なくなってから、こんなことが起き始めた。
サワキとヨシナ、ヤスダは、ヤマシタを探す旅に出る。
京阪の田舎町の館にヤマシタはいた。

全てはヤマシタの皆を妖怪にしようとする企みだった。
サエコはその手先。サエコはサワキも虜にしようとする。男の頭の中を読み取り、好みの女性になることが出来るらしい。ツネオやアラシヤマもそうして落としたみたいだ。サワキは簡単。一定レベル以上なら、それでいいようだから。
そんなサワキにヤスダが結婚を迫る。タマシロが自分を愛するのは、母からの愛の飢えであり、要はマザコンであることが分かったから。マザコンは結婚の最大の障害だ。
サワキは、一定レベル以下のヤスダを傷つけないように断る。優しい、いい人だから。いや、違う。そうしていればモテると思っているからだ。そんな彼の欲望が妖怪となって姿を現し始める。
このままでは妖怪になってしまう。
結婚して落ち着きたい。結婚の近道は元カノの見直し。サワキはあの時の女性の今の姿を見せられる。そこには生活感溢れるおばちゃんの姿が映し出された。時既に遅しだった。そうなれば、今、自分の結婚相手は一人しかいない。
人を妖怪にしようとする力は、どうやら煩悩石から発せられているらしい。
それを壊せば。
サワキはヨシナの手を取る。
ジブリならこういう時はあれだ。有名な呪文を唱えて、同時にプロポーズ。
あなたをそういう風には思っていなかった。歳の差、まだ若いし、もっといい男と私は出会えるから。
ヨシナの言葉にサワキは破壊される。同時に煩悩石も崩れ始める。

世界は元に戻った。
煩悩は相変わらず、人に宿っているが、それが妖怪となっては現れない。
ジブリの会も再会。
皆、それぞれ、ちょっとだけ、自分を高めようと何かをし始めようとしている。
サワキ。酷く心が傷ついた彼は単身、ニューヨークへ向かった。そこで、フリーハグをしているらしい。
だったら、私たちも行きましょう。
私たちにとって、共に幸せを分け合える大切な仲間であるサワキに会いに・・・

あんなに笑いを振り撒きながら、無茶苦茶に話を展開させて、ハイスピードで駆け抜けていたのに、最後は温かく締める。その瞬間だけスローモーションになったような感じで、妙にラストの皆の笑顔が頭に焼き付く。
笑いに、人間の煩悩を覆い被せてしまうような力を感じる名作。

|

« かもめ -海に囲まれた物語-【ノアノオモチャバコ】161119 | トップページ | 降月~月降り姫のお話~【しろみそ企画】161120 »

演劇」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549536/64518289

この記事へのトラックバック一覧です: 煩悩がやってくる【かのうとおっさん】161119:

« かもめ -海に囲まれた物語-【ノアノオモチャバコ】161119 | トップページ | 降月~月降り姫のお話~【しろみそ企画】161120 »