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2016年10月 8日 (土)

米元の変 2025【劇団SHINKOUJI】161007

2016年10月07日 心光寺 (90分)

日本が日本でなくなる日。
経済成長が頭打ちになって発展に影が見え始める現況、古き日本の否定、物事を全否定で見て拒絶してしまう不寛容社会、日本人である誇りをどこか持ちにくくなりつつある今の日本。
日本がいつか消えてしまうそんな日は、もはや現実としてあり得るような気もする。
それでいいのでしょうか。
自分たちのアイデンティティーを喪失して、何かに従属して生きる。それは本当に自分の心に素直に生きていると言えるのだろうか。
変わりゆく時代の中で、変わらない自分たちの真実の想いに目を向けてみて下さい。
その場所として、お寺という日本独自の、仏様のいらっしゃる、いつも変わらない空間はけっこういいのではないでしょうか。
そこには家族と共にいるかのような、憩い、安らぎを与えてくれて、きっとあなたを笑顔にしてくれます。そして、気付かせてくれるはずです。私たちはいつも家族や周囲の人たちと共に笑顔で生きていきたいと祈っていることを。
そんな本当の自分の心を知って、そのために生きるという信念を忘れることなく、今の社会をより豊かにしていきましょう。

そんなことを伝えているような作品かな。
お寺という場所を活かし、仏様の教えを交えたりしながら、何かに締め付けられて、自分を失いつつある者たちを繋がりを通じて、自身を取り戻させ、さらに、皆と共にこの世を素敵に生きたいという気持ちにさせる話となっているように感じます。
とこんな感想を書くと、堅苦しい感じがしますかね。
実際は一言で書くと、コメディー作品です。各キャラに吉本新喜劇ばりの特徴的な個性を持たせ、そんな人たちがドタバタする中に、ほのかに上記したようなことを感じさせるような作りになっているので、基本は笑える作品だったと言っていいかと思います。
観終えて、何か爽快、明日への安堵を得るような感覚になります。

<以下、あらすじだけ書いているので、ネタバレしますのでご注意願います。公演終了まで白字にします。公演は月曜日まで>

西暦2025年、平成天皇、生前退位。元号は米元となる。
新元号の意味合いは、米国の元に。日本を米国の支配下に置き、JAPAN州とする計画を政府は進めている。
その一環として、既に2年前から、まずは日本人のアイデンティティーを喪失させるために、言語を標準語に統一しようとする取り締まりが始まる。
大阪で起こった反対派の決起集会。大阪の寺、心光寺の住職はその反対運動の主謀者として検挙され、5年の懲役刑に処される。
住職の妻は、そんなことにも動じない肝っ玉の据わった大阪のおばちゃん。長男の丈徳は少し固すぎるところがあるが、寺を守ろうと懸命に努める。次男は少しチャラついているが、家族の一員として手助けをする。
そして、牢獄の中にいる住職の意志を引き継ぐべく、大阪弁を喋ることができる闇のカフェを寺で開いている。
もちろん、政府に見つかったら大変なことになるので、完全会員制。毎月変わる合言葉に携帯の持込みは禁止と厳しいルールを守らなければいけない。
それでも、その寺にやって来る人は後を絶たない。非定期な人も含めれば200人はいる模様。
常連もいる。
関西で記者をしている男に、その男を愛するがゆえ、大阪弁を覚えたという女のカップルはイチャつきに来ている。
稽古、ネタ披露のためにやって来る女性漫才コンビ。
関西のお笑いDVDを観にやって来る、いいとこの坊ちゃんとお嬢様。
相当な頭の良さらしく、いつも寡黙に読書をしている影のある二枚目。
そんな寺は、締め付けが厳しい社会の中で、皆に、家族と一緒にいるかのような憩いと安らぎを与える場所。そこには皆の笑顔がある。
しかし、政府はこの寺に目をつけていた。
大きな身体に鋭いアゴを持つ部長の指令で、成績優秀なエリートであるハヤセは、初仕事として潜入捜査に乗り出す。
無事にカフェに潜入成功。
怪しまれたが、なぜか寡黙な男が知り合いだと助け舟を出してくれた。そして、女の色気も多少使って、そのまま住み込みで働くことになる。

お母さんと次男は、人を疑うことを知らないのか、普通にハヤセを受け入れる。まあ、次男の方は少しやましい思いもあるようだが。長男の丈徳は寺を守らなければいけない責任感から、最初はハヤセを拒絶し、冷たく接する。
しかし、1週間、1ヶ月と経つうちに、打ち解けていく。ハヤセがとても真面目に懸命に仕事に取り組むから。ハヤセも最初は、もちろん騙して受け入れてもらえるように計算をしての行動だった。でも、いつしか本当にこの寺を、この大阪弁カフェにやって来る人たちを大事にしたいという気持ちになったようだ。だって、大阪弁カフェはとても楽しいし、みんなが本当に笑顔を見せているから。
ハヤセは、幼い頃に両親を強盗に殺されてしまっている。その犯人が大阪弁だった。だから、今、こういった仕事に就いて、大阪弁を喋る者たちを抹殺しようとしている。本当にそれでいいのだろうか。ここはお寺。罪を憎んで、大阪弁を憎まずじゃないといけないのかもしれない。恨みや怒りを抱えて、復讐をしていれば、それがずっと連鎖して続くだけだ。
丈徳が教えてくれた。法然上人も自分と同じように幼い頃に父を殺されたらしい。仇を必ず討つ。そう言う法然に父は、負の連鎖を説き、本当に父のことを思うなら仏に仕えて弔ってくれと願ったらしい。
今、ハヤセは寺で過ごす中、恨み、怒り、悲しみで凍ってしまっていた心を溶かし始めている。
そんなハヤセをアゴ部長は非難する。
感謝祭と称して、会員をみんな集める。その日に機動隊を突入させ、一斉検挙の計画を着々と進めなくてはいけない。
ハヤセだけに任せておくのは心もとないとアキモトという若手も潜入させることにする。

アキモトは若い女性。この仕事に就いたのはデカいことをしたい、歴史の変わる瞬間に立ち会いたいといったことから。
米国に日本が支配される。確かにそのためのこのプロジェクトはデカい。歴史も変わる。
でも、それを間違っている、日本は日本でいいんだと世の人に説いて回って、政府の思い通りに進ませないようにすることだってデカいことではないのだろうか。歴史の変わる瞬間に自らが立ち会えるのではないのか。
政府を裏切り、ここの人たちを守りたい。
そんなハヤセの言葉にアキモトはのる。
ハヤセは寺の皆に自分のことを全て暴露し、その真実の想いを語る。
驚きは隠せず、裏切られていたことに愕然とする皆。
でも、もうハヤセは自分たちの家族になってしまっている。
今は、彼女を信じたい。彼女と一緒にこれからのことを考えたい。
ハヤセは感謝祭は開催し、検挙したという偽情報を流す案を出す。その間に、皆はどこか安全な場所に逃げるという計画。
でも、それは出来ない。心光寺を置いて逃げることは無理な話だ。
だったら、牢獄の中の住職を脱獄させたらどうか。母の提案のために、ハヤセとアキモトは動くが無理だった。
母は柔道家の住職を機動隊と戦わせるつもりだったらしい。これも無理な話だ。
話はまとまらぬまま、感謝祭の日を迎える。
神頼み。心光寺に伝わる勝負の神様、将軍地蔵様に祈る。

ハヤセはアゴ部長と感謝祭潜入の打ち合わせ。その時に銃をすり替えることに成功。
アゴ部長も連れて、感謝祭で盛り上がる寺に入る。
きつい一発ギャグなどが飛び交う中、ハヤセはアゴ部長にプロジェクト中止をお願いする。
そんなことが出来るはずが無い。これは正義だから。家族を守るために、大阪弁を喋る犯罪者を取り締まるのが自分の仕事だと。
アゴ部長は銃を皆に突きつける。でも、その銃はおもちゃだ。
ハヤセが本物の銃をアゴ部長に突きつける。
拘束しておとなしくなったアゴ部長に丈徳が自分たちの考えを説法する。
自分の心に素直に生きることの大切さ。家族を守る想いがあるなら、それは皆も同じ。大切な者を守るってことはどういうことなのか。今の政府のしていることは、自分たちの家族に本当に誇れるか。
そんな言葉にアゴ部長は納得して、握手を丈徳と交わす。
しかし、それは納得の振りで、アゴ部長は機動隊を呼び出すリモコンのスイッチを押す。
これで、直に機動隊がやって来て、一斉検挙。一貫の終わりだ。

慌てふためく皆。不敵な笑みを浮かべるアゴ部長。
しかし、一人だけ冷静な男がいた。いつも寡黙に読書をする男。
その男もリモコンを取り出し、そのスイッチを押す。
機動隊襲撃中止命令。この男は、このプロジェクトの司令官だった。
2年前にここの住職を検挙した。その妻が、自分の母と仲良しだったことから、このカフェに出入りするようになった。
そして、いつしか自分たちの考えが誤りではないのかと思うようになった。
今回、ハヤセを潜入させたのは、何も知らない普通の人が、ここの人たちの姿を見て、自分たちがしていることをどう考えるのかを確認したかったから。
これで答えは出た。
プロジェクトはやっぱり中止だ。するべきではないことだ。
男の父は、このプロジェクトの総司令官。
無理かもしれない。でも、戦い合っても意味が無い。それは恨みの連鎖を引き起こすだけ。だから、自分たちの想いを何度でもぶつけて、説得しようと思う。
今まで騙していて申し訳ないと謝る男に、皆はそんな立場でいながら、こうしてずっと自分たちを見守っていてくれた感謝を伝える。もちろん、大阪弁で。おおきに。
みんなで総司令官の下に向かい、話をしよう。
そう言えば、住職が決起集会で着ていたハッピがある。
皆はそれを着て、これからの新しい未来へ向けて立ち上がる。
後にきっと語られるはずだ。
日本を米国の支配から守り、アイデンティティーを貫き、日本を大きく変えた歴史上の事件、米元の変と。

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コメント

SAISEI様

観劇生活ですね。待ってました。

ちょっと意外なところから持ってきはりましたね。

私はここはもう無いですね(笑)

投稿: KAISEI | 2016年10月 8日 (土) 18時01分

>KAISEIさん

海外出張の後、すぐに東京出張が重なったり、歳なのか疲れがとれず、2週間ぶりになってしまいました。
ここは気楽で、仏教思想がちょっと心に安堵を与えてくれるような温かさがあるんですよ。それでいて、けっこうコメディーとして面白いので、調度いいように思いまして。
まあ、思ったとおりの感じでしたかね。

投稿: SAISEI | 2016年10月12日 (水) 14時41分

SAISEIさん

昨年も面白かったんですけどね。。それなりに(笑)

ま、二足制キライなの御存知だと思いますし(笑)

それ以外にもあるんですが(笑)

SAISEIさん、最近劇団「劇団」の方がお気に入りみたいなのでそれもあるのかな、と思っていました(笑)

栗田さん久しぶりに観たかったな。。

投稿: KAISEI | 2016年10月12日 (水) 16時46分

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