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2016年10月23日 (日)

コインランドリー【べろべろガンキュウ女】161022

2016年10月22日 イロリムラプチホール (80分)

これまでと大きくは変わらないべろべろガンキュウ女らしい話。
これといって目新しさは無いよくありがちな演出。
自分たち自身の演劇をすることへの心の葛藤を描くのは、若い劇団はじめ、けっこうよく見かけるスタイル。
映像でスタイリッシュさを醸し、歌と楽器でエンタメ性を盛り上げるのも定番。
特にこれといったものは無かったように思うのだが、感想は新感覚のこれまでに無い興奮を感じる魅力溢れる作品だったとなってしまうのはどういうことなのだろうか。
若さが成せる技なのか、やはり奇才と呼べる劇団と出会えたということなのか、本気の度合いが常軌を逸脱するレベルなのか。
とにかく、べろべろガンキュウ女、期待を超えてきよるなあといったところだ。

<以下、あらすじがネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は月曜日まで。演劇ならではの中毒性を得たいなら、ここはまずまずお薦めかもしれません>

舞台はコインランドリー。
誠と大樹は、雄介をそこで待ち構えている。
バンド解散を言い渡すため。全ては雄介のわがままが原因だ。
雄介が現れる。
バイトをしないから活動の金を払わない、社交性がないから何かあっても謝るのはいつも誠と大樹、女とでも遊んでいるのか携帯でいつも連絡がつかない、挙げ句の果てには、この前はライブに来なかった。
これだけ揃えば、解散やむ無しだが、雄介は自分にはバンドしかないと抵抗する。そして、遂には、作詞も作曲も全部自分、客だって全部自分が呼んでいると逆ギレ。完全に決裂してしまう。
雄介は悩む。色々な意見が脳内を飛び交う。舞台には、反骨精神、元気、キムタク、落ち込み、恋、性欲、道徳・・・と様々な言葉が書かれたシャツが置かれている。それを役者さんが着るとそのキャラになる。雄介の脳内会議をそんな演劇の技術で表現する。

大樹はコインランドリーにいる。女装が趣味。下着やスカートを家では洗濯できない。
ところが姉と鉢合わせ。
お漏らしをしたとか言って誤魔化せばいいものを、バレてしまう。
姉はすぐさま、家の母にライン。すぐに返事が返ってきた。妹が出来たね。3人で買い物に行きましょう。
大樹は家族という理解者を得て、苦しみから救われる。
しかし、大樹はその時、姉の携帯を見てしまうことにより、新たな苦しみを得る。
姉は誠と付き合っているらしい。それも、もう騎乗位でやってる仲らしい。
姉のことが好きな雄介が悲しむことだろう。
その頃、雄介は大樹の姉に会いたくて仕方がない。その心の葛藤が脳内で駆け巡る。

誠は大樹の姉と会っている。
未だに姉が処女だと信じている雄介にうしろめたい気持ちを抱きながら、姉に望まれるまま、セックス。
誠はセックスの中、決断する。
バンドを解散しよう。雄介は連絡がつかないので、大樹を呼び出してコインランドリーで会う。
雄介は、大樹の姉の心が自分に無いことに気付いている。女なら誰でもいい。雄介は好きでもない女の家に転がり込む。つまんない。思わず出てしまった言葉を聞かれて、家を放り出される。たくさんの洗濯物を抱えて。コインランドリーで全部、洗い流そう。
3人が出会う。
誠はバンド解散を口にする。
雄介は謝る。自分にはバンドしかない。心を入れ替えるから。許して欲しい。
大樹が女装趣味を暴露する。今度のライブで自分は女装したい。
誠は釈然としないが、2人の想いを受け止める。
雄介は曲を作ってきていた。
その曲をコインランドリーで3人で歌い上げる。
全ては洗い流され、バンドに新しい道が切り開かれた。
これまでのべろべろガンキュウ女と同じく、リフレインのループで繋げた、らしい作品。
今回はちょっと友情なんかで攻めてきたか。脳内会議のシーンでは、新しくはないが、アドリブも必要な新たな試みを組み込んだようだ。さらには歌も盛り込み、エンタメ性も高めている。少々、物足りない感じもするが、十分、満足できる。

カーテンコール。
3人はありがとうございましたと、頭を観客に下げて、舞台の終演を伝える。
・・・の筈が、進信也は頭を下げようとしない。こんなクソ演劇で終われるか。
これに作・演の小山雄太がキレる。どういうつもりなんだ。
フランチャイズ黒田は、ひたすら観客に頭を下げて謝っている。
進は脚本を観客に配り出す。どうやら、やり直すつもりらしい。
もうお終い。べろべろガンキュウ女は解散だ。
そんな進の言葉に、小山が反論、というか逆ギレ。
脚本も演出も全部自分がやってる。歳下にこき使われて、お前らは恥ずかしくないのか。自分は1人でべろべろガンキュウ女をやっていけると。
小山は進と黒田に責められながら、観客もいるので、とりあえず、脚本に従って、もう一度、舞台を始めることにしたようだ。

作品名なのか、テーマなのか、リアルな事を話そうという言葉と共に演劇が始まる。
舞台はカラオケを中心に、べろべろガンキュウ女のこと、そこに所属して演劇の人生を歩む自分たちの話が繰り広げられる。
カラオケなので誰かが歌う。熱唱だ。その歌を軽く聞き流しながら、残りの人は色々と話をする。騒がしさも手伝って、本音でぶつかり合い過ぎることもあるようだ。
そんな、恐らくはこの劇団の日常が描かれる。
公演の裏事情。お金の無さそうな若者が集まっている。色々と苦労も多いようだ。金のことなので、ケンカに発展することも多々あるみたい。
公演をしたら、今はSNSで感想が流れる。賛否両論はどの劇団でもあるのだろうが、ここはその突き抜けた個性から、かなり極端な意見も多いのだろう。気にはしない。でも、へこむことだってあるようだ。

8月に行われた公演。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post-15.html
小山は客席で涙を流した。自分の頭の中で描くリアルが舞台で動く様に感動したらしい。確かに悪くない作品ではあった。
進はトイレが近いことで有名。本人は泌尿器系の病気だと言っているが、トイレの中で、あの温厚そうな雰囲気から豹変して、死ねとかつぶやいている噂もある。根拠が無い訳ではない。進が制作を担当していた時、小山はTシャツ発注の件でバイト中の進に連絡するがブチ切れられている。
黒田は最近、悩んでいる様子。一人称に俺を使ったりする男の振る舞いと、自分の中にある本来の女性がぶつかる。好きな絵を描く時間が無い。バイト先で仕事のミスをしでかした。全ては演劇活動に原因があるとも言える。そんな中で、ウィングカップの前夜祭でのパフォーマンスで、詰まってしまうという大きなミスを犯す。小山は、このウィングカップにかける意気込みが強く、相当切れてしまったらしい。そのことで、黒田は演劇に対しても引け目を感じるようになってしまっている。

黒田が稽古に来なくなったべろべろカンキュウ女。
いつものカラオケで、進が小山に劇団を辞めたいと言い出す。
結婚。というかできちゃったらしい。
小山は脚本を描く。進まない。悩み苦しむ。それでも、自分には演劇しかない。
黒田は口紅をつけて、自分の中の女を探す。進にセックスを願い出る。ビデオ撮影して、やってる時の中から女を見つけるつもりらしい。
できちゃって大変なのに進はやる。
進はスーツを着て、親に結婚の挨拶。生活も安定できるように固く生きるのだろう。
黒田は絵を描き始める。自分がしたいこと、なりたい自分を探しながら、これからの人生を歩むつもりだ。
二人とも、その道に演劇は無くなっている。
小山はギターを弾きながら歌う。自分にはそれしかないから。
何が絵を描くだとキャンバスのスケッチブックを投げ捨て、何がサラリーマンだと締められたネクタイを外して投げつける。
小山の選択は、これからも演劇。
互いの人生が始まる。
べろべろガンキュウ女は解散する。

雄介と小山雄太、大樹とフランチャイズ黒田、誠と進信也を、前半と後半で同調させているのでしょう。前半に観ていた話は、実はこの劇団をモチーフにしたものであり、後半はそれをリアルとして見せる。 ややこしいのは、その役が必ずしも対応しておらず、日によっても変えているみたい。
ちなみに、後半はフィクションだそうです。逆に虚構として見せていた前半の演劇作品はリアルなのかな。その皆でやっぱりやり続けるといったラストを目指して活動しているというところは本気のリアルとして見せているのかもしれません。

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コメント

SAISEI様

精力的な劇団ですよね。学生主体なのかな?

8月末にして2ヵ月で公演をうつなんて。

投稿: KAISEI | 2016年11月 4日 (金) 00時09分

>KAISEIさん

主宰の方が確か17歳だとか。
系統はがっかりアバターですが、ちょっと不思議な感じもする作品創りをされているようで、嫌いじゃないかなといったところ。
まだ、様子を見ている段階で、なるべく観に伺おうとは思っています。

投稿: SAISEI | 2016年11月10日 (木) 17時24分

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