« 宇宙の人々【劇団925】161016 | トップページ | Nice To Meet You, My Old Friend. Aチーム【劇団競泳水着】161021 »

2016年10月22日 (土)

さきっちょ【劇団チェリーボーイズ】161021

2016年10月21日 大阪大学豊中キャンパス 学生会館2階大集会室 (95分)

昨年の筆おろし公演の感想。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/105-d6aa-2.html
やや厳しめの感想だけど、今回、前回公演のDVDをもらえるというだけで、一発目公演に伺っているので、あまり認めたくないけど、この劇団、大好きなのだと思う。

今回の感想だが、とても惜しかった。
70分ぐらいまでは、これは素晴らしいなあと、乏しい語彙力でどう褒めた感想を書こうかと考えていたぐらい。
作・演、主演と大活躍の大野皓太郎さんは、出だしから、妄想一人芝居でもされたら、かなり魅力的な空気を醸されるのではないかと思うくらいに、リズム良く、ダメ男を演じられる。そんなダメ男の周囲を取り巻く男たちも、シュールだったり、考えの浅いバカだったり、悪い妄想に憑りつかれていたりと個性豊かなキャラが、変にぶつからず、頭がおかしいというベースで均整のとれたバランスの良さを見せる。
女優陣も、その個々の可愛らしさ、美しさ、ちょっと痛々しい姿で、魅力を振り撒いている。
おまけに何かよく分からないシュールなキャラや、飛び道具的なキャラを走り回らせて、舞台にメリハリをつける。
話の展開はスムーズ。笑いも、程よい下ネタに加えて、そのキャラに合った様々なタイプの笑いを舞台に飛び散らす。
メタ的な展開に持っていく腕も魅せて、演劇ならではの魅力も兼ね備える。
これが終盤に私の中で崩れてぐちゃぐちゃになってしまった。
突拍子も無い展開に、置いてけぼりになり、もう話についていくことが出来なくなってしまった。
それらしき作品名ではあるが、おふざけだけでは無いところは前回と同じだ。チェリーのセックス観と同じく、社会生活をテクニシャンのように巧く生きられず、不器用に、単なる漠然とした憧れのようなものを抱いてでしか生きられない若さの中でのもどかしさを感じさせるような話になっているはず。
学生を卒業して社会に出る。でも、その心はまだ取り残されてしまっているから、色々なことで悩み、不安を抱き、それでも頑張って生きなくてはいけない。ただ、セックスして童貞捨てたら、チェリーじゃなくなって、道が開けるのかと思っても、人生そう甘くないのと同じような感じだろうか。
そんな、チェリーという言葉に込められている若者の様々な想いに、もっと心を響かされて、終えることが出来たら、最高だったのだが、ドタバタになり過ぎて、それがほとんど消えてしまったように感じる。
もっと最高だったと思いながら、劇場を後にすることが出来る作品であり、それを実現できるだけの方々が揃っていたように感じるのが少々、残念。
でも、まあ、そんなことも含めて、やりよるなあと思わせるだけのパワーを感じさせられる楽しい時間だったと思います。

大学を卒業して2年。
その間、就活もせず、何の夢を背負っているつもりなのか、ギター片手にブラブラした日々を過ごすタラヲ。
遂に恋人のサキに愛想をつかされ、別れ話を切り出される。ダメ男のタラヲにはもったないくらいに、可愛らしく、しかも優しい、いい子だ。当然、別れたくない。大事な話になったらすぐに逃げてしまうのは昔から変わっていない。はぐらかしてみるものの、サキの意志は固い様子。
仕方がない。覚悟を決める。別れの最後の言葉は男として言っておかねばなるまい。最後に一発やらせて。サキの悲鳴とビンタの音と共に二人の関係は終わる。

傷心のタラヲ。でも、相変わらず何も変わらない日々。
喫茶パイ乙を開店することになった友人、乳林。開店準備で忙しいのに、タラヲは愚痴りに行く。お前も仕事を探せ。そう言われるが聞く耳持たず。
店に同じように遊びにやって来る、学生時代は紙相撲でライバルだったオシリス。一緒に店で騒いだりしているが、そんなオシリスだって仕事をしている。多分。詳しいことは話してくれないが、恐らくは覗きに近い犯罪まがいのことをしていることが彼の隠し持つ荷物から推測される。それでもタラヲよりはマシってところか。
店に高子という女性が訪ねて来る。喫茶巡りをしているらしい。美人で巨乳。乳林のドストライクらしく、一目惚れ。仕事にも気合が入るというものだ。ただ、鋭い視線をオシリスもその高子に向けており、ボスらしき男に報告をしている
一方、タラヲの方は、未練がましく、サキの家を訪ねたりするが、大声を出される。警察を呼ばんばかりの勢い。最近、出没するオッパイと叫びながらパンイチで走り去る変態男よりも嫌悪される存在となってしまったらしい。
しかも、どうやら新しい男の影も。高男とかいう、学生時代から既にITで成功を収めており、今は新しい道を歩もうと就活をしている。未来を向いて、前を見据えたキラキラ輝く目をしている男。
完全に人生を彷徨い始めたタラヲとは真逆とも言えるような男だ。
タラヲは決心する。就活を始めよう。サキとよりを戻す。そして、その先はもちろん、サキとセックスだ。

スーツ姿へと変身したタラヲ。
企業合同説明会に、面接へと足を運ぶが、うまくいくはずもなく。
いつもお世話になっているシコリッティーというティッシュメーカーのサガミとかいう研究員らしき男からはいい目をしていると言われるが、その会社の面接もかんばしくない結果に終わった。面接を終え、助手らしき、オカモトという女性の案内で、退社。オカモトがタラヲの姿をじっと見つめていることには、落ち込んでいるタラヲは気付いていない。
タラヲはサキに電話。就活を始めたことには喜んでくれたが、心が離れていっていることを感じる。恐らくはあの高男とかいう男に。今は何も言えない。同級生だった乳林が喫茶店を開いたから、今度遊びにおいでと何とか心を繋ぎ止める。
何もかもうまくいかない。タラヲは喫茶パイ乙に向かう。
乳林の喫茶店も不調だ。目の前にスタバが出来たから。しかも、高子がそのスタバで悠然とお茶をしている姿が見える。その高子の座る席の前には、あの高男がいる。
二人は情けなくも、文句をつけに向かうが、当然のごとく、返り討ちにあってみじめになるだけ。
高男は、ある就活塾の手伝いをしている。その就活塾を盲信して、はまっている高子。自分のいじめられていた過去を受け止めることで、そこから脱却し、自分らしく生きることが出来るようになったらしい。その痛々しい姿からは、恐らくはいかがわしいものなのだろう。
それでも、タラヲは現状を打破するために、その就活塾を訪ねてみることにする。
高杉という主宰。いわゆる意識高い系の人。ITKだ。言葉巧みに自己分析へと話を持っていく。I Translate Kako。
タラヲの頭の中で、まだ色々な未来があった、懐かしくも二度とは戻れない過去が巡っていく。

サガミはかつて、高杉の下にいた。自己分析と称して、人の過去をおもちゃにするやり方に反発。
だから、開発に乗り出した。助手のオカモトと共に。
完成したダッチワイフ型の装置。いわば、過去をやり直すことができるもの。数々の選択の上に今があるなら、そんな選択をしていない白紙の過去から、自分の描く夢を実現する。
しかし、その装置を盗み出そうとするものがいた。ボスの指令で、オシリスは潜入。オカモトとの忍術合戦の末、戦いに勝利し、盗み出して逃げる。
オシリスはパイ乙に向かい、奥にその装置を隠しておく。
レーダーと女の直感を頼りにパイ乙にやって来たサガミとオカモト。
就活塾のいかがわしさに嫌気がさして、戻って来たタラヲ。
完全に洗脳されてしまっている高子が、高男を連れて久しぶりに来店。複雑だが、それでも喜ぶ乳林。
喫茶店に遊びに来たサキ。高男と高子の姿に怒りを露わにする。
皆が集結して、ドタバタを繰り広げる喫茶パイ乙。
奥からあの装置が出てくる。
サガミはこの装置の素晴らしさを語り出すが、同感は得られない。所詮は過去の栄光に固執し、逃げている人生だから。
それでも、サガミは自分のためにその装置を作動させようとする。作動後に声紋を認識させる。そして、装置に触れることにより、自分の思い描く夢の世界へと導かれる。
装置を作動。その時、オッパイと叫びながらパンイチ変態男が走り去る。声紋認識はこの男のオッパイとなる。
焦るサガミから装置を奪い取るタラヲ。それを止めようとオカモトもその装置に触れる。
装置は動き出し、皆を過去の世界へと連れて行く。

タラヲはあの時に戻っていた。学生時代の文化祭。
横暴な先生に無理やり、文化祭の出し物を決めるように言われ、クラスで話し合い。
オシリスの紙相撲大会の案をはじめ、色々な案が飛び交う。その時、オカモトが演劇という案を出す。タラヲはその案に同意した。オカモトのことが気になっていたから。おとなしく、自分のことを主張できない控えめなところに優しさのようなものを感じていた。
結局、出し物は演劇と決まる。
オシリスには裏切り者だと殴られたが、タラヲはオカモトと共に演劇作品を創り上げるべく、色々と話し合う。
反発もあったが、結局は皆で協力して、しかもオカモトの脚本で準備を進めることに。
タラヲはダメ男役。乳林はパイ乙とかいう喫茶のマスター。オシリスは工作員らしい。サキは男に尽くすいい役。先生にも研究員役をしてもらう。
みんな、演劇などしたことがない。オカモトは、大事なセリフを舞台美術のどこかに書いたりして、いざという時に備える。
円陣を組んで、上演の成功を誓って掛け声をあげる。
そこで、描き出される、かもしれない過去は止まる。再び繰り返される過去。

ここは夢の中。繰り返されるだけの世界。
それにタラヲだけの夢の世界ではないようだ。一緒に装置に触れたオカモトの夢が混じる。
オカモトの夢。
自分の手で創り上げる公演をしてみたかった。だから、一度だけでも。泣きの一発公演だ。
繰り返しの中で、タラヲは意識を取り戻す。傍にいた乳林とオシリスも無理やりたたき起こす。
オシリスは自分のボスのことを語り出す。ボスが現れる。パンイチ変態男。
サラリーマンとなり、ストレスが飽和して、ついにこんな姿になってしまった男。装置を使って、自分の過去を学生の頃から、やり直そうと考えていたらしい。だから、この世界を終わらせようとする。夢から覚める方法。それは夢の中の世界の者が死ねばいい。変態男はピストルで次々に皆を殺していく。
タラヲはピストルを奪い、変態男に発砲。しかし、世界は終わりへ向かったまま。声紋認識により、変態男は世界の編集機能を得ていたらしく、世界崩壊へのプログラムを組み込んでいた。殺してしまったので、もうこの男のオッパイによりプログラムは起動しない。
世界は終わらせない。
ここは二人の夢の世界。オカモトは、自分かサキを消せば、世界はまた動き出すと言う。
タラヲは選ばなくてはいけない。
あの時、演劇をしたいと言えなかった。おとなしくて目立たない子だったので。本当の過去で、演劇をしたいと声をあげたのは、サキ。
ここはオカモトがその失った過去をやり直したいと描き出した夢の世界。
その夢の世界と決別して、タラヲは自分が夢見る、やりたかった世界へと向かうために、オカモトとお別れする。
この世界も楽しかった。二人はそう言って、互いの道を歩み出す。

乳林とオシリスは、撃たれたものの、漫画のように、何かにかばわれて、無傷だったみたいだ。
元の世界に戻ろう。
あの時、サキがカンペとして舞台美術に書き記したセリフを探す。
そこに、自分をこれからの世界へと導いてくれる答えがあるはずだ。
幾つかは見つかるものの、大事な言葉はここにない。
だったら、ここを出て、外の世界で見つけ出そう。
そこにある言葉が、未来の自分とサキを繋げてくれるものとなるはずだ。
タラヲがやりたいと描く夢。それを実現してくれる世界へ。
そのためにはサキの元へと向かわなければ。
だって、今のタラヲの夢は、文字通り、サキとやりたいのだから・・・

後半、展開についていけず、少々、置いてけぼりになってしまったところがありますが、だいたいこんな感じの話だったように思います。
前半は展開もスムーズで、その余裕からか、すかした笑いやシュールネタが響いて笑えるのですが、後半、少し熱く飛ばすのにいっぱいいっぱいで、観るのに疲労を覚えてしまうような感覚があったように感じます。
前半に感じていた様々な点でのバランスのいい展開が崩れて、熱き魂だけが残って、その力に任せてラストに持っていく。
ロックのコンサートとかなんかはそうなのですかね。
これはこれでいいのでしょうが、私はちょっと、後半だけでだいぶ疲弊したなあという印象が残っています。

|

« 宇宙の人々【劇団925】161016 | トップページ | Nice To Meet You, My Old Friend. Aチーム【劇団競泳水着】161021 »

演劇」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549536/64379329

この記事へのトラックバック一覧です: さきっちょ【劇団チェリーボーイズ】161021:

« 宇宙の人々【劇団925】161016 | トップページ | Nice To Meet You, My Old Friend. Aチーム【劇団競泳水着】161021 »