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2016年10月17日 (月)

宇宙の人々【劇団925】161016

2016年10月16日 インディペンデントシアター1st (60分、65分)

宇宙人をテーマにした2作品。
設定がシュールで面白いのだが、不思議と笑えるよりも、温かみを感じるような作品に仕上がっているような。
価値観の異なる者同士が分かち合い、繋がる。
そんな場で、活躍する大した力も無く、平凡だけど、真摯に誠実に、相手への想いを伝えようとする地球人。
地球、そこに住む地球人ラブって感じの人間賛歌の誇りを得るかのような感覚も残る、どこか優しい両作品だった。

・7人の冷静な宇宙人

太陽系惑星の代表が集まって開かれる会議。
今年の開催惑星は地球。
各惑星の代表が何十億光年の遠路はるばる、地球に集まってくる。
水、金、地、火、木、土、天。
一番遠い天王星の代表は、あまりにも遠くて首を寝違えてしまった上に、お腹の調子も悪いようだ。
なかなか会議室にやって来ないので、水星代表がテレパシーを使って呼びかける。トイレにいたらしい。
開催惑星の地球代表が開会の挨拶、諸注意を述べようとするといきなりトラブル勃発。
天王星代表の首が曲がっているので、終始、右隣の代表が視線を感じることになる。これが嫌だと席替えに。でも、誰も視線を感じるのは嫌だ。
思いっきり首を捻ればいいのだが、なかなかその勇気は湧かないものだ。
仕方なく、木星代表が天王星代表をマインドコントロールして、無理やり首を捻る。無事に治った。
地球代表が仕切り直す。
諸注意として、会議中の能力の使用を控える旨、皆に通達する。
さっきのように地球以外の惑星では、何か特殊な能力を持つのが普通らしい。もちろん、地球人にはそんな力は全く無い。
続いて議題が提示される。
今年の最大の議題は、来年度より海王星の参加を認めるか。
太陽系を超えて、宇宙の様々な惑星との交流が必要な時代。太陽系惑星の最端にある海王星の参加は重要だという認識をどの惑星も持っている。それに冥王星が準惑星に降格され、これまでとは違い、海王星だけ参加していないのは不自然だ。
まず、決を採る。反対する理由はどこにも無い。全会一致の賛成で会議は早々に終了。今年で引退が決まっている木星の代表は歴史に残る決議に関わったことでレジェンドになると意気込んでいる。
ところが、天王星代表だけが反対。自惑星では意見が半分に分かれているので、賛成は出来ないと言う。そして、とにかく議論をしようと面倒くさい。
一通りの議論をして再度、決を採る。それでも、天王星代表は引かない。
そこで、各惑星代表は隠れて能力を使うことにする。地球代表には黙って。
天王星代表がトイレに行った隙に、地球代表も巧く外に追いやって作戦会議。
まずは木星代表のマインドコントロール。バレバレなので、金星代表が時間を戻す。水星代表のテレパシーで会話をしながら、次の作戦に。土星代表の記憶能力で分析を行い、火星代表の擬態能力で天王星代表に化けて賛成したことにする。
しかし、そんな企みも天王星代表の透明になる力で全て見られていたみたい。
どうしてそこまで頑なに反対するのか。地球代表は、天王星の状況を既に調べていた。天王星代表の言っていることは嘘。天王星の人たちはほとんど賛成している。
天王星代表が口を開く。遠路はるばる来たのに、すぐに帰りたくなかった。ただそれだけの理由だった。最後の最後には賛成するつもりだったようだ。
これで無事に解決。
でも、地球代表は怒っている。自分だけが騙されたのだから。でも、そこは冷静に、事の本質を見て会議を進める。
決を採る。今度こそ、賛成で全会一致。
無事に会議は終了する。

何も能力を持たない地球人。
でも、それだからこそ、真摯に、相手のことを思いやりながら、事を進めることができる。
もしもの世界だが、地球人に誇りを感じるような。
個性をまとめるのって、こんな無個性な人種が合っているのかな。

・キスしてエイリアン

プラネタリウムでデート。
キスをするタイミングも分からないチキンな男。しがない中華料理屋の雇われ店長だ。
おかしなタイミングでキスをしようとして、女性から責められる。今のは忘れて。男のその言葉どおり、女性は頭に手をやり、その記憶を消去する。
そんな男が、これまたタイミングおかしくプロポーズ。
今度は忘れてもらっては困る。真剣なのだから。結婚できるなら、どんな障害だって乗り越えてみせるつもりだ。
そう、たとえ、女性が宇宙人だったとしても。
女性はバリカン星人らしい。
何となく気付いていた。笑いのツボも少しおかしい。痛いの痛いの飛んでいけ~。これで大笑いして、しかも痛いのが治ったと言うのだから。
宇宙人っているんだ。そう言えば、昔、同級生にジャミラに似ていた奴がいた。そいつは、ある日突然、失踪する。いじめを疑われたが、そんなことはしていない。きっと、宇宙に行ったのかも。
構わない、宇宙人だって。
その力強い言葉に女性は、私で本当にいいのかと続ける。
嬉しい。こんなバツイチ、3人の娘がいる子持ちの私と結婚してくれるなんて。
それは聞いていなかった。でも、宇宙人を受け入れたんだ。それに比べたら大した問題ではない。
男は、娘たちに結婚を許してもらうために、女性の星へ向かう。
娘たちを説得するのはかなり大変そうだ。
地球人は嫌いらしく、チハマ星人ということに。大きくなったら、ブリにならないといけない。
長女は、離婚した父親、つまりは女性の元夫が大好きで、未だに復縁させようと必死。だから、再婚相手は元夫でないといけないと頑なだ。自分ではどうしようもない。
次女は自由奔放で、面白ければ何でもいいといった子。地球の漫画の話をするが、全くうけない。笑いのツボが全く掴めない。
三女はペットを愛している。そのペットは人間のような姿をして喋れない。でも、イケメンだ。かっこよくないと受け入れられないようだ。ナイオロン星人をかっこいいと思っているらしいが、あの痛いの痛いの飛んでいけ~ではダメだろうか。
要するに、元夫と同じような人で、かっこよく、面白くないといけないという訳だ。
さらに困ったことに、母親と同じように、嫌なことをすぐに忘れる力を持つ。
自分の立場が悪くなったら、すぐに記憶消去で話が進まない。
元夫は、今は彼女もいて、再婚などしたくないらしく、男を応援してくれる。それでも、なかなか厳しく、いったん休戦。部屋を出て行く。
その時、男の目の前にゴキブリ。
中華料理屋でよく出て来る、あの嫌われ者。
男は雑誌をもって、ゴキブリを追いかける。母と娘が、その姿に引いていることに気付かずに。
ゴキブリは仕留められなかったが、深手を負わせたらしい。
元夫がボロボロの姿で戻って来て、何てことをするのかと激怒している。
バルサン星人。皆、ゴキブリが変身した姿らしい。
真実を知られて、女性は部屋を後にする。
そして、男の目の前にゴキブリ。
男は覚悟する。自分の女性への愛は本物だ。ゴキブリを掴み、唇を近づける。
元夫と娘が、その姿に引いていることに気付かずに。
キス。男にとってはファーストキスだった。
女性が現れる。
ということは、男が今、手にしているゴキブリは。
ただのゴキブリだったらしい。
男は全てを告白する。自分が地球人であることを。ゴキブリたちを忌み嫌い、色々な形でこれまで傷つけてきた。それでも、女性のことが好きだ。結婚させて欲しい。
でも、その姿に長女は男への見る目を変える。バカじゃないか。それにかっこ悪い。そう、お父さんそっくりだ。
次女は何かこの状態が面白いらしい。気に入ってもらえたのか。
三女は抵抗している。長女はいつも勝手だ。両親を再婚させようとしたりして、自分がいいと思うことを、いつも強制してくる。私は長女が嫌い。長女が賛成なら、私は反対すると。
長女が男にお願いする。あなたの力で、私の心を引き出して。そんなこと出来るのか分からないまま、男は長女の頭に手をやる。
長女が三女に話しかける。見て欲しかった。父と母が仲良しだった姿を。三女が幼い頃に離婚したので、二人のキスするラブラブな姿を見せてあげたかったらしい。
母も男に引き出してと言う。そんな素直な心を引き出す力があるのだろうか。男は同じように女性の頭に手をやる。
母も三女に声をかける。再婚して、みんなに喜んでもらいたかった。だから、一人でも喜んでもらえないなら、結婚は自分が反対すると。
男もその言葉に続ける。自分も同じ気持ち。三女に喜んでもらえないなら、結婚は反対だと。
再婚したら、二人のキスする仲睦まじい姿が見れるのだろう。毎日、いやそれはやり過ぎか。週三ぐらい。三女は母の再婚を祝福する。
これで、ハッピーエンド。
と思いきや、ペットがいきなり口を開く。
喋れたらしい。こいつは噓つきだ。
男は気付く。よく見たら、ジャミラだ。あの失踪した同級生。
ペットは男にいじめられていたと告白する。そして、このゴキブリたちの星に監禁されていた。喋ると殺されると思って、ずっと黙っていたらしい。
誤解だ。いじめてなんかいないし、帰ると言えば、いつでも帰れたらしい。だって、地球で活躍する、宇宙を題材にしたSF作家などは、たいがいこの星に来て、そこでの経験を元ネタにしているのだから。
ペットは呆然。そんな中、三女が口を開く。私も結婚します。ペットと。
地球人とバルサン星人の両親。私だって同じ幸せを掴むことが出来るはず。よく分からないまま、ペットは、元同級生の男に娘さんをくださいと挨拶をしている。
これで本当のハッピーエンド。
皆が部屋を去り、残った男と女性。二人っきり。
男はまたモジモジし出す。どこまでもタイミングを掴めない男だ。
電気を消す。真っ暗。女性が男に顔を近づける。
電気がつく。男が動くから、歯が当たってしまったようだ。
女性は手を頭にやり、得意の記憶消去を・・・

宇宙人の恋愛。そして、結婚。
先の作品、同じく、様々な価値観を持つ者同士が結ばれる。
それをシュールにおかしく描いているが、その根本にある相手への想いが浮き上がり、どこか優しく感じられる作品。

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