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2016年10月 9日 (日)

猿川方程式の誤算あるいは死亡フラグの正しい折り方【劇団ジャブジャブサーキット】161008

2016年10月08日 ウィングフィールド (115分)

小説として読んでも、これまた面白いのではないかと思う、見事な話。
バラバラの登場人物たちのエピソードが、繋がっていく爽快感たるや。
おかしな個性的なキャラ、くすりと笑わせる言葉遊びの妙、何となく大きな力に抑え込まれているような不気味な背景、それでもこれからの未来に射し込む光を掴もうとしている力強さ。

震災などの天災により辛い思いをする人もいる。そんな人の悲しみを自分の欲に利用しようとする悪者がいる。それどころか、そんなことを国家がしていることもある。
家族を失い、身寄りの無い者。不幸な生い立ち。何をやっても上手くいかず、衰退していく人生。突然、降りかかる病気。死の宣告。虐待、DV。
不幸は幾らでも自分たちを襲って来る。
それどころか、どうやら、人にはそんな不幸に自分を追い込んでしまうかのような自己破壊欲なんてものもあるようだ。
そんな人間の姿を因果律の方程式で解析なんて出来るのだろうか。
無理だと分かっていても、そんな方程式を解いてみたい。
一つの答えが導かれたようだ。
人は傷つき、迷って、壊れたりしながらも、いつも変わろうと生きている。
今とは変わった明日を見て、それに向かって生きる。
その先に、死が待っていたとしても、それは生きようと懸命だった証。
死亡フラグを立てても、それは死へ向かうのではない。
死の伏線の中で、因果律を崩した法則の下、人はその原因から導かれるだろう結果を変えようと生きることが出来るみたいだ。
そんなことを感じるような話で、傷ついた人たちへのエールと共に、今の辛さ、悲しみからの脱却への後押しをしているかのような印象を受ける。

<以下、複雑な話なので、まとまっていないですが、相関図、あらすじを書いており、ネタバレしますのでご注意願います。大阪公演は月曜日まで、東京公演が11月にあるようなので、白字にもしていません。少し、前情報を頭に入れておいた方が分かりやすくなるような気もしますが、あらすじや相関図を頭の中で観ながら作るのが楽しい作品でもあるので、重々ご注意願います。>

Photo

震災、津波で多くの犠牲者を出したにも関わらず、織部組組長は、国会議員の姫島と組んで、原発建設を強行に進める。
織部組はヤクザといっても任侠道を外れ、闇で大麻栽培もしている。
また、身寄りの無い若い者を組織に入れて危険な仕事をさせる。
児童福祉施設で育ち、黒い過去を持つ京香や美里もそんな中の一人。
大きなプロジェクト遂行のため、二人は緊急召集される。
そのため、京香は恋人の信也に災いが無いように、彼を騙して失踪する。謎のメモを残して。

番場元組長は少々抜けているが信用している子分の根元を連れて、作家の朝比奈を訪ねる。依頼は自伝の執筆。そのために、取材としてしばらく一緒に旅をすること。しかし、実際は何かをしようとしている。頭のキレる朝比奈は番場の命が長く無いこと、自らの命に危険があることをしようとしていて、根元を巻き込まないように考えていることを見抜きながら、同行する。

組織から召集がかかった美里は勤めていた巫女カフェを後にする。ここは、敵対する組の組長、番場が紹介してくれた。自分の素性を知りながら、いつも支えてくれた優しく信頼できるおじさん。
そんなおじさんが最後に子分と堅苦しい先生を連れて来てくれて、お別れの言葉を交わすことが出来た。何となく死亡フラグだ。

織部は、原発建設のための労働者として、記憶喪失か身寄りのない者を集める。
ある村の村長、宇佐美はその拉致を依頼されるが、罪の呵責に耐えきれなくなっている。その情報を掴む刑事の東出は宇佐美を監視。
そんな中、村にやって来た女性、鳥本。失踪した猿川教授の手掛かりを探しに来たらしい。同窓生である東出は、鳥本も利用して、大きな手柄をあげようと考える。

組を裏切ろうとしている宇佐美を京香は始末する。
美里から組を抜けたい意志を聞く。
互いに身寄りが無く、施設で一緒に育ち、そして横暴な園長先生を殺め、警察の目も誤魔化した仲だ。
逃げよう、一緒に。
やってみなければ分からない。若いんだから。そう、番場も言っていた。

猿川教授は、全てを崩壊したい、自分を壊してしまいたいといった誰でも抱いてしまう感情に支配され、失踪した。色々なことをしたらしいが、震災で被災し、記憶を失う。
連れて来られたのが、織部が管理するある施設。
医師の平沢の管理の下、記憶回復のプログラムが実行される。
そのかたわら、施設にやって来たホームレスを薬漬けにして、どこかへ送り込む。
治療と称して、実態は治すことなく、支配下に置く人間を量産することにあるみたい。

信也は京香のことが忘れられなく、彼女の残したメモを持って占い師に相談。
占い師は、元研究室の同僚である鳥本、助手の緑川と共に暗号解析に乗り出す。
出て来た答えは西日本の原発建設が強行されようとしている場所。どうも何かの施設があるようだ。
鳥本は緑川と共に幽体離脱して、その施設へ向かう。
東出も鳥本からその情報を掴み先回りして組織を潰して手柄を立てようとするが、まさか幽体離脱して向かうとは思わず悠々と構える。

番場たち一行は、大麻栽培施設に向かう。
大麻を焼き払い、後は、爆薬を背負った番場が自らと共に施設をふっ飛ばしてお終い。
もちろん、朝日奈には最後の仕事を遂行してもらう。根元を頼むと。
一人残った番場の下に織部と姫島がやって来る。
テレビドラマのような最後の決戦。とはならず、いぶされた大麻に三人はハイテンションになってめちゃくちゃに。姫島はテンションが上がり過ぎて、施設をランチャー砲で潰すように自衛隊に指示。

施設に鳥本と緑川が到着。
猿川教授、そして平沢先生と出会う。
でも、猿川教授はそんな人は知らないし、自分も猿川では無いと言い張る。
緑川は平沢のことを知っている。姉妹らしい。つまりは猿川教授と平沢、緑川は家族だったらしい。
母から虐待を受け、夫からDV。傷ついた心を持つ平沢は、記憶を失って施設にやって来た猿川教授に自身を投影してしまっていたようだ。
そのことを猿川教授は知っていた。だから、記憶が回復しても、失った振りをしていた。そのことを鳥本だけに猿川教授は伝え、このままにしておくように願う。
そんな中、轟音が響く。
爆弾でも撃ち込まれたのか。
とにかく、逃げよう。
猿川教授は鳥本に言う。もし、また会えたら、その時は寿司でも食いに行こう。これは死亡フラグだろうか。

占い師は水晶玉で皆のそれからを見ている。
京香と美里は無事に逃げ出せた様子。報道では織部、姫島、番場の事故死が伝えられている。もう追って来る者はいないはず。
一人だけ、京香を追って来る者が。信也。何も聞かない。3年待っているからとお別れ。
朝比奈と根元は番場の墓参り。まだ若い二人。まだまだ、これからだ。
鳥本は東出と再会。東出の今回の事件における本性を推測で語る。遠からずといったところだ。二人は距離を置くことに。
占い師は助手と一緒にこれからどうするかを考える。
手品師にでもなろうか。
巨大な力が降りかかろうとしているこの国。
その先には何があるのだろうか。
占い師の机の上には、手品のネタで使う平和の象徴、鳩のぬいぐるみが置かれているが・・・

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コメント

SAISEI様

劇団ジャブジャブサーキットも気になりながらも行けてない劇団の一つですね。結構長いことされている劇団みたいで。脚本家の評価も高いみたいですし(笑)

毎回ウイングフィードなのかなあ。

THE ROB CARLTONも12月に公演を放り込んできましたね(笑) 「THE WILSON FAMILY」どんな話なんだろう?(笑)

投稿: KAISEI | 2016年10月22日 (土) 09時07分

>KAISEIさん

多分、ジャブジャブはこれからもウィングでしょうね。
ずっと観れないですね・・・
けっこう、パズルピースが揃う快感と、ちょっと皮肉めいた社会への警鐘なんかも込められて、味のある面白さが楽しめるんですけどね。

投稿: SAISEI | 2016年10月25日 (火) 12時46分

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