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2016年10月27日 (木)

GLOVER【梅棒】161026

2016年10月26日 森ノ宮ピロティホール (125分)

ネタバレのことを考えると、素晴らしかったという言葉ぐらいしか書けないですね。まあ、そんなことは観る前から、ある意味分かっていることで、今さら、ここで書いても仕方がないか。
確かに観に伺って、素晴らしかったということを確認してきましたという報告ということで十分でしょうか。

ロミオとジュリエットをベースに、人間とロボットが敵対する世界の中で愛を描く。
登場人物相関やストーリーが明快なのはいつもと同じく。
もちろん、基本的にセリフは無し。個々の役者さん方のお得意な持ち味を活かしたダンスを中心とした身体表現で全てを伝える。
それなのに、どうして、こんなに頭の中に色々な情報が入ってきて、それを想像で膨らませて、満足感たっぷりの気持ちになるのか。
色々なことが心に訴えかけてきて、心が震え、締め付けられるくらいに感動して、涙がこみあげてくるのか。
不思議と言えば、不思議ですが、それが梅棒なんだろうと言われると納得できるような気もします。

今回拝見して、話、作品の根本に、人の優しさ、分かち合えること、善意を信じているところが強く感じられます。だから、私たちは必ずより良き道へと進めるんだという信念、それを実際に証明すべく、舞台で熱を込めて訴えかけてくる。そんなところに心を動かされてるように感じます。

<以下、あらすじがネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は、本日、木曜日まで。仕事でどうしても行けず。何も無ければ、間違いなく、もう一度観に伺っている作品>

人間とロボットが敵対する世界。
ロボットと戦うレジスタンス組織の人間だけを地上に残して、ほとんどの人間は地底で身を潜め、言葉を声にすることなく、たまに、地上に出てきては、捨てられた機械を回収しながら、生活しているみたい。
長らしき荒々しくたくましいジズー、イケメン気取りのロベルト、知的な風格があるファビオ、お調子者で目立ちたがり屋のエドガ、飄々としているパヴェル、純粋そうな可愛らしい少年のアレックスが集落を作って暮らしている様子。
もし、ロボットに見つかったら・・・、それは、もう命を落とす覚悟をしないといけない。
だから、ロボットが嫌う煙が出るタバコみたいな粉を吸う。ロボットが寄り付かないダンスなんかもあるらしい。とにかく、ロボットに見つからないように、目立ったことをしないでいること、もし、見つかっても抵抗しないことが一番大事なのだとか。
地底で唯一ペラペラと喋るルイジという男が教えてくれる。いい人らしく、煙を吸わせてくれたり、ダンスを教えてくれたり、なぜか持っている風船をくれたり。
そんな話を聞いていたら、本当に4体のロボットが現れる。綺麗な風貌の女性型ロボットだが、その目つきはキツく鋭く、見つからないように息を呑んでジッとする。風船をもらった人が見つかる。そりゃあ目立つから。そのまま連れて行かれてしまった。
ロボットに取り囲まれ、殺されてしまうのかと思ったら、レジスタンス組織の人が颯爽と現れて、ロボットたちを追い払ってくれた。
この世界がロボットに支配されてしまっており、人間がそれに抵抗して争っていることはどうやら本当らしい。
ルイジは世界がこうなった歴史も話してくれる。

天才と呼ばれる科学者兄弟、吉田ベルリネッタと吉田テスタロッサ。どこかで聞いた名前。この話の前なのか後なのか、きっとタイムマシンを開発して一騒動起こすはずだ。
二人は科学の力を使って、この国を豊かにした。彼らが開発した中でも、とりわけ国の発展に貢献したのが、ロボット。先ほどの美しい四体のロボットも生みの親は彼ららしい。
そんな二人にライバル心を燃やす男がいた。中田カウンタック。二人のように愛嬌があるわけでもなく、いつも孤独で、二人に嫉妬する日々を過ごしていた。
カウンタックもロボットを開発する。最初に完成したのがウラッコというロボット。アンドロイド型ではなく、一昔前のこれぞロボットといったごつく不格好なもの。ビルぐらいなら平気で壊してしまいそうなくらいに、強大な力を持っていそうだが、その外観とは逆に、花を愛でて、いつも花に水をやるような優しいロボットだ。
これでは満足せず、カウンタックは遂に最高傑作を生み出す。女性の美を余すことなく盛り込んだ、完璧な魅力を醸すジュリエッタ。
ただ、不器用で、わがままで、お転婆で、頭もちょっと弱いのが玉に瑕だ。それでも、カウンタックはジュリエッタを大切に、それはもう溺愛する。
しかし、人間はそんなジュリエッタをおかしなロボットだと迫害し、壊してしまう。
カウンタックは怒り狂い、ロボットたちを連れて、人間たちと分かつ。
こうして、人間とロボットが争いを繰り広げる世界が生まれた。
こんな世界がいつまで続くのだろうか。
いつか正義の味方が現れて、この国を救ってくれるのだろうか。
いや、違う。ルイジは言う。ご先祖様はこう言っていた。
この国はきっと愛によって救われると。

ジュリエッタはカウンタックにより、再生され、前以上に天然ボケの入った純粋な元気な姿を見せる。
さらに、小型タイプだが、動きのキレが半端じゃない二体の女性というか幼女型アンドロイドを開発。そして、まさにモデルのような美男美女といったところの、2体のアンドロイドも開発。
カウンタックはそんなロボットたちを率いて国を支配し、抵抗する人間を傷つける争いを繰り広げ始める。
一方、レジスタンス組織。
ベルリネッタとテスタロッサは、対ロボット用の武器を開発し、戦いに備える。
そんなある日、ロボットとの戦いで生き絶え絶えとなった男が運ばれてくる。
男はロメオ。弟分のピッコロが何とか運んできたらしく、二人に助けを求める。
二人は手荒く、ロメオを介抱し、自分の力で動き出せと熱く励ます。
ロメオは意識を取り戻す。
ロメオは、その容姿も、動きも、ありとあらゆるところで満点だなって人。レジスタンス組織のリーダーとなり、皆と力を合わせることに。
ロボットの手から、この世界を救い出そう。
そんな皆の想いに引き寄せられたのか、いつの間にか、ずいぶんと戦闘能力が高く、強そうな二人の女性も仲間に加わった。

ロボット軍団は地底を襲う。
地底人たちは逃げ惑うが、少年のアレックスが捕まり、連れて行かれる。
地底人たちは、アレックスは殺されてしまっただろうと、葬式を行い、悲しみに暮れる。
しかし、アレックスはロメオが救い出していた。
ロメオはアレックスをレジスタンス組織に連れて帰り、一緒に暮らすことにする。
アレックスは純粋で可愛らしい子なので、みんなからチヤホヤされる。ガサツな感じのピッコロは何となく嫉妬して、いいところを見せようとしたのか、アレックスを連れて、勝手にロボット軍団の拠点に向かう。
それに気付いたロメオは急いで、後を追う。
ピッコロたちは、当然、ロボットに見つかり、追いかけまわされる。そんな中、アレックスは、デカいからか柱に挟まって動けなくなってしまっているロボット、ウラッコを助ける。ウラッコは花を大切に育てていた。花を愛するアレックスと心を通じ合わせ、二人は友達となる。
ロボットに追われ逃げ惑っているピッコロ。アレックスと合流。ウラッコの手助けもあり、何とかその場を逃げる。
一方、ロメオ。
二人を探していると、縛り付けられているジュリエッタを発見。どうやら、やんちゃが過ぎて、カウンタックにやられたらしい。
ロメオは縄をほどく。そして、颯爽と去って行く。
ジュリエッタは一目惚れ。ロメオの後を追う。
カウンタックがそれに気付き、二人の後を追う。
ロメオは、ピッコロ、アレックスとも合流。付いてきたジュリエッタも連れて、レジスタンス組織まで何とか逃げのびる。

レジスタンス組織の皆は、ロメオたちの無事を喜ぶが、ジュリエッタを認めない。
そこにはロボットへの拭えぬ憎しみ、そして、女としての嫉妬もあるみたいだ。
ロメオはジュリエッタを連れて、レジスタンス組織を去る。
行き倒れるように二人は地底へ。
地底人たちは、二人を受け入れ、ロメオとジュリエッタはしばらく一緒に暮らすことに。
ジュリエッタの天然ぶりは相変わらずだが、その生活は楽しいものだった。
愛する二人は抱き締め合うもの。でも、ジュリエッタは力が強過ぎて、ロメオの身体がもたない。地底人たちは身をもって、正しい抱き締め合い方を教えたりする。
そんな楽しい日々は長く続かない。
地底人たちのロボットの嫌う煙が原因なのか、ジュリエッタは動かなくなってしまう。
ロメオはジュリエッタを連れて、レジスタンス組織に戻る。ベルリネッタとテスタロッサなら、ジュリエッタを治すことが出来るはずだから。
しかし、レジスタンス組織はそれどころではなかった。
ジュリエッタを奪われたと、カウンタックはレジスタンス組織に攻撃を仕掛けてきていた。圧倒的な力の前に何もできず。
そのことで、仲間割れも起こし、レジスタンス組織は壊滅状態に追い込まれていた。
地底人たちも、ジュリエッタを助けてくれと願い出る。そこで、死んだと思っていたアレックスと再会。皆、喜び合う。
ベルリネッタとテスタロッサは、ジュリエッタを治す。
しかし、それ以上のことは出来ない。他の皆は、まだジュリエッタのことを認められないでいる。
ロメオはジュリエッタを連れて、地底へ戻る。地底人たちもアレックスと一緒に。

ロボット軍団が地底を襲撃。
レジスタンス組織の協力は仰げず、ロメオは倒され、ジュリエッタはカウンタックに奪われ連れて行かれる。
多くの地底人も連行されていった。
ウラッコは傷つき倒れるロメオとアレックスをレジスタンス組織まで運ぶ。
レジスタンス組織の皆は、ウラッコのロボットの姿を見て、敵対心を露わにするが、アレックスはそれを止める。
ウラッコは自分の友達。ウラッコは去って行った。
難しいことを考えるのは苦手。仲間がやられた。それを助けてくれたウラッコ。ジュリエッタも兄貴分、ロメオの大切な人なのだろう。だったら、助けなくてはいけない。ピッコロは走り出す。
続いてアレックスも。ベルリネッタとテスタロッサもアレックスに続く。二人にはある案があった。
ロメオも傷ついた身体で向かおうとする。それに付いて行こうとする二人の女性。その姿は戦闘態勢になっている。

一方、カウンタックは、暴れるジュリエッタに手を焼いている。自分に心を向けないジュリエッタに怒り、その心が向いているロメオへの嫉妬から、ジュリエッタの記憶装置を抜き取ってしまう。
そして、世界を壊滅させようとロケット砲を準備する。
ウラッコはそれを諫めようとするが、カウンタックは辞めようとしない。
レジスタンス組織の皆は合流。アレックスは地底でロボットの嫌う煙の粉を大量に仕入れて来ていた。
囚われている地底人たちも解放して、ロボットたちとの最後の戦いが始まる。
ロメオはジュリエッタと再会。近づく、ロメオ。ジュリエッタの右手がロメオの身体を貫く。
崩れ落ちるロメオ。その瞬間、ジュリエッタの頭の中に、消されたはずのロメオとの楽しい時間の記憶が蘇る。
目の前に倒れているロメオ。ジュリエッタは悲しみ、自らの手で自身の身体を貫く。
ベルリネッタとテスタロッサは、開発したロボットの嫌う煙の波動砲でロボットたちを一網打尽。
カウンタックは、全てを終わらせようとロケット砲の発射装置を作動させる。
ウラッコがロケット砲に近づく。ロケット砲を抱え込み、アレックスに視線を送って、そのまま自爆。爆音と共に世界は救われた。そして、人間とロボットの長き争いに終止符が打たれた。

人間とロボットたちが一緒に暮らす日々が始まる。
ロボットも、人間以上に色々と興味を持って、新たなことに挑戦し出しているみたい。
戦いに明け暮れていた人間の中には、ロボットより不器用な姿を見せている者もいるみたいだが。
カウンタックは、何も言わず、町を去る。ウラッコの残した一輪の花をアレックスに託して。
今は、ウラッコの純粋な想いのこもった花たちを、いつまでも美しく咲かせ続けられるように、私たちは生きなくてはいけない。
そして、いつの日か、そのウラッコの想いは、再び形となってこの世界に姿を現すのかもしれません。
カウンタックは町から逃げ出したのでは決して無いだろうから。彼もまた天才科学者。彼を決して見放すことは無かったウラッコはじめ、多くのロボットたち。それはきっと彼の中にある純粋で優しい、心の美しさを信じていたのかもしれません。そんな心が、ウラッコやジュリエッタという純粋なロボットを生み出したのでしょうから。きっと、どこかで、今度はこの世界が優しさで満ち溢れるように、素敵なロボットたちを生み出すはずです。

さて、ロメオとジュリエッタ。
ロメオのしなやかで強靭な肉体は、手で貫かれるくらいでは、滅びることは無かったようです。
ジュリエッタは記憶装置もカウンタックから取り戻し、天才科学者二人の手で蘇ります。
再会する二人。
抱き締め合う、でも、そ~っと、地底人たちに教えてもらった記憶を思い出しながら、ジュリエッタはロメオの背中に手を回し。
ロメオはまだ傷癒えぬ身体で、そんなジュリエッタを受け止めて、きつく抱き締め返し・・・

ストーリーテラーのルイジのご先祖様が言われていたとおり、愛が世界を救った。その愛の象徴がラスト、舞台を飛び交う。
声をあげそうなくらいに美しい舞台、劇場となっていました。
目を惹くなんて方は、全てと言ったところですが、特記するなら、やっぱりロボット軍団ですかね。
幼稚な書き方ですが、まあ可愛い。どれか一体、持って帰りたいくらいに。
そして、ウラッコとアレックスね。自分の中にある悪いものが全部流されて、心が浄化されていくことが分かるくらいに、美しい純粋な姿でした。お二人の姿を見ているだけで、何か涙が溢れてきます。

ロミオとジュリエットを観た時の、その悲しみ、争いに対する憎しみの感情がどうして生まれてくるのかが、よく分かるような作品かなとも思います。
争いは、ただ敵対する誰かと誰かの決着をつければ終わるというものでは無いようです。どうして争うようになったのか。そこには、人の欲望、歪み、妬みといった弱さがあるように感じます。
それに憑りつかれてしまっていることを知る。そして、それだけではない。あなたには優しく、人を想える純粋な心もあることを知る。
孤独、嫉妬に苛まれていたカウンタック。そんな彼の中にあった純粋な心。それは、彼が生み出した自分の分身ともいえるロボットたちが象徴しているようです。
花を愛で、皆の幸せを祈る気持ちを持っていたウラッコ、人を愛する純粋な気持ちを抱くことが出来るジュリエッタ、人を傷つけるために生み出された戦闘ロボット。
全ては彼の心の彷徨いの中で生み出された感情の欠片であり、彼にそれを気付かせてあげることが戦いを終わらすことに繋がったように思います。

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