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2016年10月 9日 (日)

-Hana-【赤猫プロジェクト】161008

2016年10月08日 シアトリカル應典院 (85分)

美しい佇まい、仲睦まじい可愛らしい姿を見せる四姉妹に、純真無垢で、ちょっと小悪魔的な可憐さがある花たち。
冒頭から、その舞台に漂う美しさに魅了される。
でも、その時から既に何となく気付かされる。この美しく、楽しい空気の陰に隠れて、とても残酷な、まだ見せられていない核があることを。
ラストに向けて、その核は育っていく。
それは目を背けたくなるような悲しい結末を迎えるのだろうことが予期されても、この四姉妹、花たちから目を離すことが出来ないような惹き付けの力に惑わされながら、そのままえげつないラストへと導かれてしまったような感じか。

何となく萩尾望都を思い出すような世界観だろうか。こんな気持ちになるような作品を確か、昔に読んだような気がする。
相手を想い、自分を犠牲にしてでも守ろうとする。これは愛だろう。その中で生まれる相手への憎しみ。同時に狂おしいほどの愛が生み出される。これも愛だろうが、こちらは歪みとか狂気に近い感じだろうか。
その歪んだ狂気的な愛が美しい。
どうしようもない愛ゆえの残酷な美しさを醸す。
咲いている花も美しいが、その花が壊れて散っていく様も美しい。そんな人の持つ残酷な感情、でも、それが愛おしくも思えるような人間の本質を突こうとしているのだろうか。
ストーリー、舞台の美しさに惹き込む力を魅せつけたような作品でした。

<以下、あらすじだけを書いており、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は本日、日曜日まで>

村から身を隠すように山奥に住む姉妹たち。
長女は雨を降らせ、村に実りをもたらす巫女。その命は花と共にあり、その花が枯れる時に命も尽きると言われている。
次女、三女、四女は、そんな長女の花を守って、日々を過ごす。
生真面目で心配性の次女は、花びら一枚、落ちそうなだけで長女を心配する。
しっかり者の三女は、薬剤師の仕事をしながら、姉妹たちの生活のために金を稼ぐ。
自由奔放な四女は、好きな絵を描くことを諦めて、居心地の悪いパン屋で働きながら、たまに薬草を採ったりもして姉の手助けをしている。
長女は、次女に自分の好きなことをもっとしたらいいと、ここに閉じこもっていないで外の世界に出たらいいと言葉をかける。
自分だけ、何もしていない。自分も皆の役に立つべく、外に出ようと思い始める次女。
しかし、三女は無理はしないでいいと、それを止めようとする。
最近、次女が見る夢。そこには、色で言えば白か水色のイメージの爽やかな男性が出てくる。そんな話をすると三女は険しい表情を見せて、より外に出なくていいと言葉を強める。
もうすぐ、村では祭りがあるようだ。アイドルデビューをしようとしている、おやゆびプリンセスなんて名前のユニットも出演するらしい。

まだ、四女が幼かった頃の話。
祭りの日。
長女の巫女の舞を見ようと皆で出かける。帰るとわがままを言い出す四女を次女と三女が諭しながら、美しい長女の巫女の晴れ姿を見た。
両親を亡くした四姉妹。私が巫女として生活費も稼いで、みんなのお父さん、お母さんになるから安心して。
そんな強くて美しい長女は、姉妹たちの誇りだった。
しかし、そんな巫女で生活をすることは現実には無理だった。
長女は体を売って、金を稼ぐ。
見ず知らずの男に体を投げ出す長女。そんな姿を見てしまった次女。
長女はそんなことしない。こいつは偽物だ。次女は長女の首を絞める。これで、巫女という偽りの自分を演じて、陰で穢れたことをして姉妹たちのために生きる自分から解放される。長女は抵抗することなく、その命を終える。
三女と四女が帰りの遅い次女を迎えにやって来た時には、長女は既に亡骸になっており、傍には見ず知らずの男、呆然としている次女がいた。
三女は男に口止めをして、嫌がる四女を説得して、長女の死体を埋める。次女は記憶を失ったらしい。
今度は自分がみんなを守る。三女は、体を売りながら、生活費を稼ぐようになる。長女と同じように偽りの自分を見せながら。
その日から、次女は花を長女と信じ、山奥の中で自分だけの時間を過ごすようになっ。そして、その時間を三女と四女は守ることにした。

三女は次女が外に出ようとしていることを四女に伝える。その理由の一つに、最近、四女が次女に冷たくあたり、自分も何かをしなくて嫌われるという意識を持ってしまっているからだと非難する。
四女は、反論する。このままではいけない。次女に全てを思い出させるべきだと。
自分のことだけしか考えていないと三女に言われる四女は、長女の花を植えた鉢を叩きつける。枯れたらすり替えて、ずっと次女に、これが長女だと思わせておくのか。三女は何も言わず、散らばった花びらを片付ける。
次女が長女の幻影に惑わされて、外に出てしまう。
三女は、次女があの時のことを思い出してはいけないと探しに出る。
次女は、村の中で、あの日の場所で、全てを思い出す。
三女と四女が駆けつけた時には、錯乱して、花の植わった鉢を長女だと抱きかかえていた。
連れて帰ろうとする三女。しかし、四女はそんな花は長女じゃないと次女に突きつける。
気を失ってしまう次女。目を覚ました時には完全に狂ってしまっていた。
三女は次女を見捨てる。そして、全てを壊した四女も突き放す。
長女が体を売っていたことは知っていた。だから、次女がなぜ、長女を殺めたのかも何となく分かっていた。長女がいなくなり、自分しか頼れない次女を愛おしく思っていた。そして、いつもわがままで可愛がられていた四女を憎んでいた。そんな四女が自分がいないと生きていけない状況も楽しんでいた。
三女はそんな自分の真の想いを暴露する。
一人にしないでと懇願する四女。
そんな四女を三女は責める。
その時、次女が鉢で三女を殴りつける。四女をいじめるやつは許さない。私が守ってあげるからと。
そして、次女はその割れた鉢の欠片で自らを刺す。
次女と三女も花になる。
四女はその花たちと共に、これからを生きる・・・

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コメント

SAISEI様

平本茜子さん主催でしたかね?

四姉妹と言えば谷崎潤一郎『細雪』や『若草物語』を想起しますね。フライヤーから受ける感じはもう少し禍々しい感じかなあ。萩尾望都かあ。候補には入っていたし見つけた時は行くつもりだったんですけどね。シアトリカル應典院で3,000円かあ、と躊躇するという。。出演メンバー的には妥当な価格ですがシアトリカル應典院の座席評価が低いんですよね。よくある最前列背もたれなし。パイプ椅子詰め詰め。木製の緑色座席シートの椅子ならシアトリカル應典院は良い劇場に早変わりしますが(笑) 8月の劇団ショウダウン『撃鉄の子守唄』のあとしばらく腰に来ました(笑) なので余計ハシゴの時は会場を考えてしまいます。基本1日2本にしたいんですけどね。。中毒者なので観たいのがあると観てしまう(苦笑) 観劇ブロガーYさんなんかがしきりに言われてますが観劇マニアは昭和の第二次ベビーブーム世代の高齢者が多いですから座席は拘りたいところです。HEPは背もたれが倒れすぎ、ABCは足が長い人には座席が低いんですよね。Yさんが仰るように倶楽の椅子が一番楽かも。。若い方の多い劇団なんかだと気がつきにくいことかもしれませんね。

ところで当舞台観客席がフラットだったんですか? それとも舞台がフラット? Twitterで「前でないと観えないところがあった」とあったり観た方にも少し聞いたりして。そういう演出なのか気がつかなかったのか、気になるところです。劇団側の自己満足公演になるのか観客目線で考えられるのか。Twitterなどで評判良くてもどこまで信用できるか。皆さん悪口書かないみたいですしね(笑)

『ガラスの仮面』の北島マヤが『女海賊ビアンカ』を演じる時だったかな? マヤが観客席が咳から舞台を見てどう観えるか考えるシーンがありましたね(笑) そうそう『女海賊ビアンカ』と言えば劇団つきかげの公演を随分前に検索してたらこんなものが。ご興味あらば(笑)

もともとはこの記事に興味を(笑)

http://s.ameblo.jp/asukaamachi/entry-11573084198.html

次に

http://s.ameblo.jp/asukaamachi/entry-12090266335.html

なんとなくわかるなあ、って(笑) 公演の裏側が少しわかって面白かったです(笑)

投稿: KAISEI | 2016年10月14日 (金) 12時45分

>KAISEIさん

そうか、四姉妹というベースからの視点もありますね。
文学に疎い弱さが出てしまい、そこまで頭が回りませんでした。
私はフライヤーからの印象で、妖しげな女性たちのファンタジーっぽい話を思い描いていましたが、けっこう現実の闇を浮き上がらせる欝々したものでした。

前じゃないと観えないTwitterは私も目にしていました。一応、客席に段差はあるし、舞台もフラットではなかったので、何なんでしょうかね。
ただ、應典院は、以前から、最前列に座らないと、寝たり座ったりの芝居が観にくい印象があります。
寝そべるダンスシーンや、崩れ落ちるようなシーンで、表情が見えにくかったりしたのかな。
と言って、最前列は桟敷のことも多く、悩ましいところですが。今回はパイプ椅子でしたけどね。
私も、まだ頚椎ヘルニアによる手の痺れが出るので、椅子は色々と改善して欲しいですけど、お金、厳しいんでしょう。
ちなみに、HEPはあの席番のクリップみたいなのが背中に当たって痛い。
こういう客席の気配りは、創り手の方々が舞台を観に行けば、きっと経験して、改善できることだと思うのですが。
なかなか、惰性でそのままってことが多いのでしょう。ちょっとしたことでも変えるってことはパワーいりますから・・・

投稿: SAISEI | 2016年10月17日 (月) 11時03分

SAISEI様

四姉妹はともかく姉妹でおどろおどろしい系なら横溝正史なんかもそういう作品がありますね。

應典院はホンマに椅子だけが問題点です(笑) 個人的にはもい一つありますが大きな問題ではない(笑) パイプ椅子もindependent theater や芸創の椅子に比べて狭いですしね。木の緑シート椅子なら幅広なんですが。会場に客を詰め込もうとするとパイプ椅子になりますね。なのでその場合は80分未満の公演がありがたいです(笑) 應典院は結構使用料が高いみたいで(笑)

HEPの席番のクリップが背中に当たって痛い、ってSAISEIさんもですか?(笑) 実は私はあまり気になったことがなくて(笑) 背中の形なのかなあ私はHEPの椅子は最初は良いと思ってて観劇ブロガーYさんが悪いと書いたはるのを見て(?_?)となっていたんですが背もたれが倒れすぎて疲れることに気づいて(笑) 舞台との位置関係にもよるみたいですが(笑) ABCの短足専用座席もそうかな(笑) 大丈夫な時もありますし。

客席についてなどは知り合いの役者さんや演出家にはガンガン伝えていっています。観客として行かれることもあるので御存知なこともあるのですが(笑) 確かにちょっとしたことでも変えるってことはパワーいりますよね(笑)

投稿: KAISEI | 2016年10月20日 (木) 11時08分

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