モンタージュ はじまりの記憶 土×寺【Contondo】160912
2016年09月12日 会ふ afu (85分)
2回目の観劇。
(1回目の感想:http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/post-3.html)
今回は、1回目と会場は同じ。二人の役者さんの組み合わせは、土江優里さん(Contondo)と寺井幸菜さん(遊劇舞台二月病)とお一人は同じ。つまりは、村田さんが寺井さんに代わった作品。
動きやセリフは所々違っているみたい。だいぶアドリブが盛り込まれているのだろうか。
互いに相手の言動を見ながら、合わせ合わされみたいな感じで演じているかのよう。これが、この話の二人の女性の想い合い、分かち合いに繋がっているのだろう。
前回の感想と同じ書き方をすれば、寺井さんのイメージは、見た目の美貌のまま、凛とした冷たさすら感じさせる、ある意味残酷な美しさを醸すような感じか。美しさは時として、人を傷つけ、そのため自律の精神で自分を抑え込むような葛藤の心も垣間見られるような。
今作品でも、どこか冷静に自分を見詰め、正当化しようとする知的さを見せながらも、その奥にある本当の幼稚な自分を暴露したいみたいな葛藤の空気は醸されていたように感じる。
1回目と2回目の感想の違いは微妙なところで、言葉にはしにくい。でも、けっこう違うと断言できるくらいでもあるか。
寺井さんのユミはちょっと、幼稚な意地悪な感じが強いかな。生意気というか。それは、自己防御の手段としている、少し知的さや巧妙さを感じさせる。子供ながら、いつも、何に対してなのかは分からないが、負けたらダメだと言い聞かせて無理して必死だったみたい。それだけに生意気言っても、今にも泣き出しそうな表情がいじらしい。
村田さんのユミは、不器用さの方が強く感じられ、自分を守る最適手段を見出せないから、不安な中、虚勢を必死に張っているみたいかな。まあ、どちらもいじらしく、可愛気があり、愛おしいキャラではある。
また、そう感じさせるように、相手の女性役の土江さんが、素直になれない、ユミの複雑な心理を引き出しているような構図になっているのだろう。
実は一番違いを感じたところは、不思議なことに、代わった役者さんではなく、同じ土江さんである。
村田さんの時は、どこか母のような優しい愛情、寺井さんの時は、本音をぶつけ合える家族以上の友情みたいなものを感じる。
だから、1回目の土江さんは温かさを強く感じさせるキャラだったが、今回はコミカル色が強く、ズバズバと相手をツッコんでいくようなキャラだ。
母と娘。娘と少年。
今回、新たに面白いなあと感じたのは、このエピソードシーンから、母と娘の繋がりを感じたこと。
娘が母の血を引いていることを思わせるような、掛け合い。母と娘では土江さんが寺井さんを、娘と少年では逆転して寺井さんが土江さんを攻め込むみたいな感じで喋る。ここは同調性を感じ、やはり性格や顔が似ていて、互いに影響を受け合ってきたのだろうなと。
否定から、ガツガツと追い詰めるような口調で攻め込むような話し方。だからと言って、冷たいとか、相手を傷つけるとかいった感じでは無い。
自分への自信の無さ、不安があるからこそ、相手の素直な好きとかいう想いを受け止められない不器用さ。だから、相手がそんな想いを伝えてこないように、素っ気なく冷たい態度をとるしかない。でも、きっと本当は、そんな相手の自分への想いに恋い焦がれている。それが災いとなり、結ばれなかった、分かつことになったみたいな母と娘の恋愛における男女関係が浮かぶ。
きっと、言葉にされた相手の自分への想いをどう伝え返せばいいのかが分からず、拒絶した振りをしてしまう。もしくは、そんな言葉にするチャンスを相手に与えないように言動する。そうしておけば、気付かない振りで誤魔化せるから。もちろん、自分の相手への想いも言葉にしない。ただ、心の奥底で想いを大切に保管しておくだけ。
でも、女性とは違った。そんなユミを丸ごと受け止めてくれていた。だから、ユミも自分を全部出せていたみたいな感じだろうか。
そのことを、記憶の旅の中で、様々な時間、シーン、抱いた心を重ね合わせることで知ったユミは、自分の本当の想いを外に出し、女性の変わらぬ自分への想いを受け止める。
ラスト、長い間、この部屋で眠っていた写真が掘り起こされる。それは、ユミが記憶の断片を重ね合わせることで、自分の人生を肯定できたことから、恐らく、どれ一つも消し去りたくない、愛おしい思い出となっているのだと思う。
これだけ違う感覚を抱かせてもらえるなら、もう一度は、会場、役者さんの組み合わせをさらに代えた回を観に伺う価値があるかなあ。
今週末は公演激戦で、日程調整できるかが微妙ではあるが・・・
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コメント
二度目のご来場ありがとうございました。
Contondo代表の紺野と申します。
いつも興味深くブログを拝見させて頂いております。
今週の水・木には中崎町のcommoncafeにて上演がございます。今回、役者や会場に併せて様々なモンタージュを仕掛けておりますが、キーアイテムとなる小道具さえもafuとは異なるものを用意しております。その日、その時の【モンタージュ】を是非お楽しみください。
宣伝となってしまいましたが、今後ともContondoをどうぞ御贔屓願います。
投稿: 紺野ぶどう | 2016年9月13日 (火) 08時30分
>紺野ぶどうさん
コメントありがとうございます。
私もいつも作品を拝見して、感じたことを振り返りながら、自分の人生を見詰め直してみたり、色々なことを頭に思い描いてみたりして、楽しませていただいております。
コモンカフェは、日程調整して伺おうかなと。今度は、会場も、きっと役者さんも丸ごと違うので、共通して心に響いていることなんかが、見えてきたら面白いかなあと思っております。
投稿: SAISEI | 2016年9月13日 (火) 14時06分