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2016年9月11日 (日)

七人の語らい(ワイフ・ゴーズ・オン)・笑の太字【アガリスクエンターテイメント】160910

2016年09月10日 インディペンデントシアター1st (50分、休憩10分、50分)

昨年、京都で拝見して、ここはかなり注目だと好きになった劇団。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/125-5c8a-1.html
大阪に来ていただけたのだったら、足を運ばないと。
それに、観劇三昧ではまだ映像配信されていない、DVDを入手しないといけない。
もちろん、豪華2本立ての作品も楽しみたい。

ということで、全て目的達成。
上記リンク先の作品(なんと、拝見した京都公演だけでなく、本拠地の東京公演や試演会まで収録されている2枚組のきちんとしたものだった)と、まだ拝見できていない作品のDVDを入手。
2本の作品も笑って楽しむ。というか、笑えると同時に、その独特の仕掛けに驚く。そして、何よりもご自分方の作品を突き詰めて、より向上させていくプロ根性が強く感じられるような作品自体が、表現者としての主義主張に同調する創りになっているようで、その巧妙さに感激。
次回公演は京都に来ていただけるのだとか。作品は観劇三昧で映像配信されており、既に2回拝見して、その面白さは確認済み。生で拝見できるのは嬉しい限り。また、是非、観に伺いたい。

<以下、あらすじがネタバレしていますが、すじがどうこうといった作品では無いのと、許容範囲内と判断して白字にはしていませんので、ご注意願います。公演は本日、日曜日まで>

・七人の語らい(ワイフ・ゴーズ・オン)

ロンドンのそれっぽい洋風の部屋。
妻のバーバラに電話するデイヴィッド。
仕事で今日の友人宅への訪問は無理になった、すまない。週に何日かは、家を空けないといけない忙しい夫を理解し、バーバラは代わりに友人を連れて行くことにしたようだ。
これでゆっくりできる。ソファーに寝転がり、リラックスしていると、メアリーがやって来る。テニスラケットを持っている。
早く準備してよ、あなた。今日は私の友達夫婦が遊びに来るので、一緒に夫婦でダブルスの試合をする予定でしょ。
そんな予定があったか。デイヴィッドはメアリーに分かったと言い、メアリーは準備のため外に出る。
このメアリーもデイヴィッドの妻。つまりは、二重結婚をしているのだ。
ジョンがやって来る。デイヴィッドの友達で、今はこの家に居候している。最近、手品に凝っているらしく、披露するとうるさい。ワイワイやっていると、隣のちょっとおかしなボケ爺さんがうるさいと文句を言ってすぐに立ち去って行く。
来客が来た。扉を開けるとバーバラ。バーバラに執心のチャンという片言の中国人の友達を連れている。
あなた、都合をつけて来てくれたのね。バーバラの言葉に曖昧に返事するデイヴィッド。
メアリー、それに旦那さんはどこ。メアリーの旦那さんって、あなたと同じ名前なのよ。
助けてくれ、ジョン。デイヴィッドは、メアリーの旦那はジョンだということに。
これで設定説明は概ね終了。
これから、スレ違い、勘違いを交えながら、話を展開させていく。特にギャグを盛り込む必要は無い。この設定を活かして、登場人物が普通に真面目に言動するだけで、どんどんと笑いは生まれていくはず。そんなワンシチュエーションコメディーの始まり。

しかし、すぐに行き詰まってしまう。
あまりにも厳しい設定だ。バーバラとメアリーをスレ違わすだけでかなり無理が出てくる。
その無理がたたって、いまひとつ笑いが無い。ダジャレのようなギャグも少しぐらい盛り込んだ方がいいのでは。
それに、チャンのわざとらしい片言の 中国人キャラ。差別的に思われないだろうか。
そもそも舞台セットがロンドンの洋室らしく組まれているが、そんなもの必要なのだろか。客のイマジネーションをくすぐるスタイリッシュな舞台を目指さないといけない。
問題が出るたびに、笛を吹いて芝居を止めて、議論。そして提案に対して議決を採る。
そんなことしていたら、45分で終わらない。それでなくても、今回は二本立てなのだから。
それに、まだ登場していない大事なキャラもいる。メアリーの父で厳格な軍人役の男はイライラしている。早くしないとそこまですら進まないのではないのか。
何とか進むものの、まだまだ問題点は浮き上がる。
音響が何も無い部屋でいきなり鳴り出すのは不自然ではないか。
自分の役は本当に必要なのか。
数々の議論が飛び交いながら、話は進み・・・

最後は、実はメアリーもバーバラも、デイヴィッドが二重生活をしていたことを知っていたオチ。
それに激怒するメアリーの父がデイヴィッドに銃を向けるが、二人はそれを庇おうとする。そんな愛の形もあるのだと。
ちょっぴりいいムードになる。
笑いじゃなくて涙。許されないことだ。これはコメディーなのだから。無理矢理にでも笑いの要素を入れるべしと、ある手段を一人の役者がとり、そのままラストへと向かう。

暗黙の了解とか、客の想像に頼るなんてことを許さず、きちんと見せるプロ根性でコメディーを創ってみたら、その真剣な模様が、そのまま、まさにシチュエーションコメディーそのものになりましたって感じかな。
衝撃的な作品でした。まさか、こういう仕掛けをしているとは思いもしなかったので。
なぜシチュエーションコメディーは面白いのか、ご自分方がそのジャンルを選択して舞台化した作品をどうやってより面白く高めていくのかを、しっかり見詰めるといったプロ魂を垣間見たような作品で、その姿に、この劇団に惹かれる理由が見えてくるような気がします。

・笑の太字

大学の劇作コースの卒業制作。課題はオリジナルの脚本。
指導教官はある学生を呼び出す。
提出された作品の題名は笑いの太字。まさかと思ったが、想像した通り。確認のためにDVDまで購入した教官。一字一句違わぬ、完璧なる文字起こしをしたものだった。
もちろん、一体どういうつもりなのかを問い詰めて、すぐに書き直しをさせるために呼び出した。
ところが、学生は悪びれもせずに、自信満々で、何くせつけてオリジナルだと言い張る。
作品名は作品の象徴だと先生は講義で言っていた。作品名が違うのだから、これはオリジナル。コンセプチュアルアートなんだと。
さらに、この作品の面白さを世に伝えたい。でも、この作家は、脚本を公にせず、上演許可をしないことで有名。だから、自分が世に伝えるべく、こうして作品にしたのだと。だから、設定はおろか、セリフを変えることは許されないのだと。
だったら、どうするのか。教官なんだから指導してくれと逆ギレする学生。いつの間にか教官も、そのペースにはまり、中国語にすることで新しい価値を生み出し、社会風刺として成立した作品になると判断。
翌日、学生は再提出。しかし、中国語にはなっていない。上演許可をしないことをチクリと刺した前書きを書き足したのみ。確かに、学生が伝えてたいコンセプトとしては成立しているが。
どうせ、翻訳が無理だったのだろう。これでは卒業は認められないと教官は厳しく学生に言う。
昨日のように、また屁理屈、詭弁で返してくるかと思いきや、学生は諦めて帰ろうとする。
父が病気になり、実家に戻らないといけないらしい。大学も中退するつもり。
教官はいつの日か、この作品を上演しなさいと言う。学生の考え、オリジナリティの高さは認めているからと。
学生は作品を教官に預けて、大学を去る。
しばらくして、世に面白い作品が発表される。教官が執筆したという、笑いの犬宇という作品。
作品名は作品の象徴。犬宇なんて言葉は無いから、オリジナル。先生は自信満々で元学生に、私のオリジナル作品だと語る・・・

学生と教官のやり取りが、そのうち、どうやってこれをオリジナルとして世に認めさせるかみたいになり、そのまま、あの作品と同調していく。
オリジナリティーの言及は、これまでに拝見した作品でもよくとり挙げられており、作品は誰のものなのかも含めて、表現者としての生き様を浮き上がらせたような感じの話。
どこか芯ある一貫したポリシーを感じさせられ、ここも好印象の理由だろう。
公演は4チームの組み合わせがあり、拝見したのは、鹿島ゆきこさんと沈ゆうこさんのコンビ。先の作品でメアリーとバーバラを演じられている。
両作品ともに絶妙な間合いでの掛け合いが見られ、これまたプロの演技を魅せられる。

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コメント

SAISEI様

昨年『ナイゲン』を見逃して非常に悔しい思いをしましたが今回初観劇。今まで観たコメディの中で一番笑いました。

私が下ネタを好まないことは御存知だと思うので(笑) こういう笑いは好きですね。

『七人の語らい』ではメアリーの父親役の方がウマイなあ、と思っていたらこの方が塩原さんなんですね。鹿島さんも台詞回しが好きだし沈さんは表情が好きでした。津和野さんもカタコト中国人の時の雰囲気が好きだったし。斉藤さんも顔芸が(笑) 矢吹さんは関西でこの役をされるとしたら佐竹さん、かなあ? 体型だけで言ってるかも(笑) 実は三重結婚というオチも(笑)

『笑の太字』は塩原×淺越ペアを拝見。淺越さんもウマイ。こちらも好きなタイプの作品。著作権問題なんて大好物ですしね(笑) こういう屁理屈も大好きですし。知的かつ屁理屈作品。

いやもうウマイとしか。そしてそのウマイ方々がうまくまとまっている。ウマイ台本とともに、かな。

投稿: KAISEI | 2016年9月11日 (日) 09時40分

>KAISEIさん

あ~、多分、私の感覚では、KAISEIさん、ナイゲンは相当、はまると思いますよ。
コメントに書かれている、魅力要素が間違いなく、全て組み込まれていますから。
また、いつの日かされることでしょう。その日まで、観劇を続けるしかないですね。
次回、京都でされる作品は、タイムスリップものなので、もしかしたら、少しダメ出しが入るかもな(゚ー゚)

投稿: SAISEI | 2016年9月11日 (日) 23時32分

SAISEI様

観劇三昧で『ナイゲン』は買ってあるんですが仕事以外は寝てるか観劇関係のことしてるので観る暇が無いんですよ(笑)

来年は1ヶ月に10~15本に落とします。今年みたいな300本ペースで観たら死にますわ(笑)

投稿: KAISEI | 2016年9月11日 (日) 23時41分

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