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2016年9月10日 (土)

芸人コンティニュー【スクエア】160909

2016年09月09日 ABCホール (110分)

安定の人情喜劇。
程よいしんみりさ、突き抜けた笑いで面白かったという感想以外は無いですね。
また、小さな商店街の一角にある立ち飲み屋で繰り広げられる、芸人たちの姿を描いた話ですので、味わいがあって、心に沁みます。
舞台も、高架下を完璧に具現化したような凄いものでした。昭和という時代や、そこにある大衆の人情みたいなものが常に溢れかえっているところも、また安定して、楽しめる要因のように感じます。

20周年を迎え、これでいったん活動休止期間に入るのだとか。
観劇記録をたどると、初見は2010年のマンガマンみたい。
そこから、ずっと楽しませていただいたのかあ。
マンガマンは今でもだいたい内容を話せるくらいに覚えている。色あせない面白さも、またこの劇団の魅力なのかもしれません。

<以下、あらすじがネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

高架下の立ち飲み屋。花ちゃんと呼ばれる、ちょっとボケた爺ちゃんが長年に渡って営業している。
その向かいは小さな喫茶店。よっちゃんという大阪らしいおばちゃんが営む。
隣にはボロアパート。2階から男が外を覗いている。
ここは、大阪の商店街にある一角。お笑い芸人たちが棲みつく芸人村。
2階のアパートの男は元気という漫才芸人。デビュー当初はCMに起用されたりして、そこそこ売れていたが、ここ数年は落ち目。さらに、最近、相方が辞めて一人になり元気が無い。
そんなこともあってか、花ちゃんは男が飛び降りるつもりではないかと大慌て。急いで部屋に向かう。
そんな中、いつものように集まってくる面々。
漫才芸人のナンバンは、ピン芸人の西中島と一緒に。
遅れて、ナンバンの相方、おかずが、ゆたかとみどりという新人男女漫才コンビと共にやって来る。ナンバンは隠れる。コンビ仲は悪く、色々と口うるさいおかずが苦手らしい。会えば、今日のダメ出しをまたされるに決まっている。
さらには、すぐに男に騙されて、死ぬ気も無いのにレンガを体に括り付けて、浅いションベン川に身を投じようとするまゆみという女も泣きながらやって来る。
立ち飲み屋が開いていないと外が騒がしいので、よっちゃんが出てくる。
アパートの窓が開く。花ちゃんと元気の顔が見える。
自殺は花ちゃんの勘違い。
でも、夜逃げでもしようかと、外の様子を伺っていたのだろうとよっちゃんが鋭いところを突いてくる。相方に逃げられてウジウジしている奴に飛び降りる勇気があるわけ無いと。
元気は片意地を張り出し、飛び降りると言い出す。やれるならやってみろと煽るよっちゃんに、止めようとするみんな。
元気は昔、CMで活躍していた頃の等身大のパネルを投げる。過去の栄光に浸り、いじけて、度胸も無い。どうやらよっちゃんが言っていることは本当らしい。
ただ、一人、気を失っている男。ゆたか。生真面目な性格で、本物だと勘違いしたらしい。水を吹きかけられて意識を戻す。

飲み屋にはナンバン、元気、西中島が残る。
まゆみは、喫茶店でよっちゃんに愚痴。
もう芸人を辞めようと考えている元気。ナンバンが下手くそな例え話で、諦めてはいけないことを伝えるが、通じない。
いつのまにか、トリオを組んで再出発みたいな話に。コンビ仲に問題があるナンバン、芸人を続けるか悩む元気、自称、天才的なピン芸人だが売れない西中島。
まゆみの方は、男にお金を持ち逃げされた模様。まゆみの父は有名な漫才芸人。この村出身のヒーロー。これからさらに売れるという時に事故で亡くなった。
父から、辛いことがあったら、この村に戻るようにと言われて、最近、戻って来ている。戻って来て、さらに辛い状況に追い込まれているというわけだ。
よっちゃんは慰めるものの、甘い考えのまゆみを厳しく叱る。そうすると、まゆみが怒ってふくれる。こんなことをずっと繰り返している。
そんな二人を見て、まあいいじゃないかと、まゆみに奢ろうとする花ちゃん。あかん、そんなことをするから赤字になるんだと、また厳しいよっちゃん。
まゆみに乗じて、一緒に奢ってもらおうと、一芝居打ち出すナンバン。
結局、みんな安く飲ませてもらう。

翌日、飲み屋ではおかずと、ゆたか、みどりの漫才コンビ。
説教好きなおかずは、ゆたかとみどりにアドバイス。また、二人が真面目なので、大して役に立ちそうもないアドバイスを真剣に受け止めている。
花ちゃんから、トリオの話を聞いて、怪訝な表情を浮かべるおかず。
スーツ姿の元気がやって来る。
会社の面接に行ってきたらしい。おかずと元気が、面接がどんな感じだったかを即興で演じる。やはり根っからお笑い芸人だといった感じ。
まゆみがやって来る。笑顔を浮かべながら。男が戻って来たのだと。でも、聞いたところ、どうもまたお金をせびられているみたいだ。今度は鍵まで渡しているので、根こそぎやられるかもしれない。厳しい現実を突き付けるよっちゃんに、またまゆみはふくれてケンカ。
まあまあいいじゃないか。昨日と同じ状況に。そして、一緒に奢ってもらおうと、一芝居打ち出すおかず。
やっぱりコンビだ。
相変わらずの毎日。

トリオがネタを披露。
想像以上の出来の悪さ。
そんな中、元気に電話。会社合格。
喜ばしいところだが、自分を見失っている元気にとって、果たしていいことなのか。
おかずがやって来る。
ナンバンを見つけ、説教を始める。分かりにくい例え話で、コンビを組んでいるのに、勝手に他の人とすることの裏切りを責める。分かりにくさは、やっぱりコンビだ。
ややこしくなって、おかずを置いて、みんな逃げ出す。
置いてけぼりのおかずも、どこかへ去って行く。
戻って来た花ちゃんとよっちゃん。作戦実行。二人に何か考えがあるらしい。ちょうど戻って来たゆたかに店番を任せ、二人はどこかへと向かう。
まゆみがレンガを体に括り付けてやって来る。本当に根こそぎいかれたみたいだ。
ちょっと分かりにくい言葉で励ますゆたか。
隠れて聞いていた元気が我慢できず、ツッコミを入れる。びっくりしたゆたかが気絶。
二人で水を吹きかけるが、意識を取り戻さない。まさか、死んだのでは。

動かないゆたかを放って、元気とまゆみは言い合い。いつまでも相方のことを引きずって。お前こそ、男をずっと引きずって。前を向け。互いに響く言葉。
おかずがやって来る。
ゆたかのことはややこしくなるので、酔いつぶれたと説明。
その理由が、おかずがナンバンのことをいつも責めるから、人のいいゆたかが耐え切れなくなったのだと。
もっとナンバンのことを信じて、力を合わせろと、元気はおかずにダメ出し。
調子にのって、ナンバンがおかずからの非難を苦にして自殺するつもりだと言ってしまう。
おかずは、ナンバンを探しに走り去る。
とりあえず、ゆたかを元気のアパートに運ぼうとする。みどりがやって来る。まゆみがゆたかを抱きかかえている姿を見て浮気と勘違い。泣きながら去って行く。
さらに、西中島が戻って来る。
さっきまでネタを披露していたので、おかしな格好をしたまま。まゆみは驚く。そして、ゆたかも驚いて気絶した、死んだかもしれないと、罪をなすりつける。
花ちゃんとよっちゃんが戻って来た。たくさん、何かを買いこんで。すぐに厨房に入って忙しそうにしている。
ナンバンが戻って来る。
ゆたかのことを誤魔化そうと西中島は必死。
ゆたかは、ずっと言うことを聞いていたおかずに逆らって、やけになって飲んだ。
おかずは今、傷ついている。自殺するかも。
おかずにはナンバンが必要。別れてはいけない。西中島はじめ、まゆみ、元気までもが、凄い形相でナンバンに迫るので、勢いに押されて、元気のアパートに逃げ込むナンバン。
おかすが戻って来る。
アパートの窓から顔を出すナンバン。
飛び降りるつもりか。
おかずはこれまでのことを詫びる。ナンバンも、漫才から逃げていた自分のことを謝る。
二人は抱き締め合い、これからも漫才を続けることを誓う。

花ちゃんとよっちゃん。
準備が出来たみたい。
気絶したままのゆたかを花ちゃんが抱え起こす。
みどりが戻って来る。女なら誰でもいいのか。みどりはゆたかをビンタ。
目を覚ますゆたか。気絶していたことに気付くみどり。ごめんなさい。いいんだ。二人は愛を確かめ合う。
準備されていたのは花ちゃんライス。
ただのチャーハン。でも、具たっぷり。それはこの商店街の色々な店で余ったものを分けてもらっているから。
頑張れ、みんなの応援の気持ちがそこにはこもっている。
みんな、最初はこれを食べて、売れる芸人目指して頑張ろうと前へ歩み出そうとしてきた。まゆみの父だって、最初はこれを食べて芸人の道を出発したのだ。ナンバンやおかず、西中島、元気だってそう。
こんな時だから、始まりの気持ちを思い出して、また頑張って欲しいという花ちゃんとよっちゃんの願い。
みんなでその味を噛みしめる。
元気。辞めてしまうのか。辞めるな。
そんな言葉が飛び交う中、相方がいないからと答える元気。
相方ならいるじゃないか。まゆみ。父のお笑い遺伝子は引き継がれているはず。
新コンビ結成か。
でも、元気はやっぱり、自分の相方はあいつしかいないと。漫才に妥協はしたくないから。
そこまで意志が強いなら仕方がない。それならば、元気の新たな旅立ちを祝おう。
盛り上がる中、元気が煮え切らない。
やっぱり、続けようか考え中。
そう、この男は、そんな強い男じゃなく、ウジウジと優柔不断でしっかりしないダメ男なのだった。
きっと、こんな感じで、みんな芸人を続けていく・・・

後半は入れ替わり立ち替わりのコメディー鉄板の展開で、記憶違いのところがあるかもしれません。
日常の何も無い普通の姿を見せる中で、そこにある人の欲望を映し出しながら、そんなことに翻弄されながらも、夢やら希望に向かって、諦めずに進もうとする魂みたいなものを感じさせてくれます。

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コメント

SAISEI様

第一報。

『アベノ座の怪人たち』が気になりつつも行けず。『ひかげの軍団』で初観劇。『湿原ラジオ』は好みそうでしたが劇団ショウダウンの『パイドパイパー』を観に東京に行ったため気になりつつも行けず。今回も直前まで迷いましたが無期限休止ということで予約。

上田泰三さんが抜群に面白かったです(笑)

投稿: KAISEI | 2016年9月10日 (土) 16時30分

>KAISEIさん

湿原ラジオも良かったですけどね。
ここは、まあ、だいたい安定しています。20年の力なのでしょうね。いつも、美味しいなあといった老舗の店の安定感ですね。
上田さんは、あんなはまり役を用意されていたら、笑いを生み出すなんて、お手の物だったでしょうね。

投稿: SAISEI | 2016年9月11日 (日) 23時28分

SAISEI

泰三さんの爺い芸は鉄板ですよ(笑)

相変わらず配役表は観劇前に見ないので花ちゃん役の人ウマイなあ、と(笑) 若干仁鶴さんぽいなあ、と(笑)

投稿: KAISEI | 2016年9月11日 (日) 23時37分

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