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2016年9月 8日 (木)

モンタージュ はじまりの記憶 土×村【Contondo】160907

2016年09月07日 会ふ afu (85分)

1ヶ月にわたり、3会場、7人の女優さんの様々な組み合わせで二人芝居が行われる企画公演。
今回、拝見したのは、上記会場で、土江優里さん(Contondo)と村田千晶さん(劇団センマイる)の組み合わせ。
会場は、心斎橋の繁華街の中にある雑居ビルの屋上にある店。綺麗だとはとても言えないビルの入り口から階段を上って、屋上に出ると、ひょっこりと不思議な空間が現れる。どこかという場所をイメージさせ、この空間の中で、いつに、どこに連れて行かれても、そのまま境界線無く、引き込まれてしまうような感じか。
役者さんのお二人は、これまでもよく拝見してきた、私の中では相当な実力派女優。ド素人が演技力うんぬんを語るのはおこがましいことだろうが、役の空気を創られる力はかなりのものなのではないかと思っている。おまけに、ちょっと弾けて飄々とした面白さを醸すことが出来るのも、また魅力的なところか。
これまで観てきた役の影響が多々あると思うが、お二人のイメージ。
土江さんは優しく温かみある印象。母性的な空気が漂い、少し年配の口うるさいおばちゃんのような雰囲気で包み込むような感じ。
村田さんは、見た目の茶目っ気ある可愛らしさに反して、奥に揺らがない芯が感じられ、それ故に不器用な生き方を強いられ、薄幸へと自分を追い込むような感じ。
不思議とこの作品は、そんな抱くイメージにぴったりはまる役だったように感じます。

追いかけ、追われ。想われ、想い。時の移ろいの中で、ずっと互いに惹きつけ合い、繋がり合っていた二人の友情。
一人では耐えきれなかった、逃げ出すしかなかった数々の悲しい思い出も、そんな二人の友情をたぐる記憶への旅で、断片化された記憶を再構築することで、大切な生きる証となって浮き上がってくる。
そんな重なり合うことで自身の生は年月と共に積み上げられてきており、その積み上げられる積み木のピース一つ一つは、その時、その場所で出会った数々の人たちと通じ合わせた想いの塊だったように感じます。
だから、そのピース一つ一つには、様々な喜びや、時には悲しみが詰まっていたとしても、どれも人生の中で尊き素敵な自分の記憶の欠片なのだと思えるような気がします。

<以下、あらすじがネタバレしますが、公演期間が今月いっぱいと長いので、白字にはしていませんので、ご注意願います。組み合わせ、会場の妙も楽しみの一つでしょう。私も、どこかで違う組み合わせでも、もう数回、楽しめればと思っています>

老女二人。
かつて、よく遊んでいた秘密のお家で昔の思い出を語り合う。
海辺のレストランでコーヒーを飲んだ。素敵な景色に、記憶に残るコーヒーカップ。
一方的に思い出を語る女。誘ったのは自分らしいが、そんな覚えが無いユミ。
そんなことが本当にあったのだろうか。自分の記憶に疑いを抱く。だから、思い出しても、その記憶が嘘のように思えてしまう。
何を言っているの。昔から、一緒に走って、一緒に笑って、ずっと一緒だったじゃない。そう言いながら、女は外の景色に子供たちを見つける。勝手に、お家の庭にまた入っている。ここは私たちの場所なのに。
ユミにその景色は見えない。今、見えていない景色なのか、かつての一緒にいた時の景色が思い浮かばないのか。女は庭の方へ向かって行ってしまった。
置いていかないで。そう、いつもそうだった。ユミは女を走って追いかける。

少女時代。
水溜まりに足を突っ込んで、靴を濡らしてやって来るユミ。
秘密のお家。
ついて来るなと言ったのに。違う、あなたが行こうと言ったから。違う、あなたが勝手について来ただけ。
新聞紙で簡易スリッパを作り、ユミに渡す女。
どうでもいいような言い合いでケンカしても、結局は互いに気遣いあって、心が惹きつけあってしまうような間柄。
路地裏の小さなパン屋。もらったメロンパン。欲しければ、しもべになれ。でも、私は既に知っていた。そんなはず無い。
人の家の庭の面白い枝。一番最初に見つけたのは私だ。いや、私の方が先に見つけた。
あなたと出会って最悪だと思っていた。あまりに嫌でその日は食べたものを全部吐いた。私の方が先に最悪だと思ってた。私は、その日、下痢をした。
写真の見せ合い。今日は記憶から消したい写真を封印するために集まったらしい。
小さい頃の写真を互いに持って来ている。
まん丸い。うるさい、マントヒヒみたいなくせに。
互いの思い出話。
初めて歩いた時のことを覚えている。じゃあ私は目が開いた時のこと。生まれて2日目、お乳を吐いた時のこと。そんなこと言ったら、私は生まれてきた時のことを。いや、私は羊水の中を漂っていた頃。足の指が出来た瞬間も見た。いやいや、まだ存在が形として無かった頃から。
いつも言い合い。
よく喋る女におとなしめのユミは抑え込まれてしまい、怒ってだんまり。顔を見ればどれくらい怒っているか分かると言う女がじゃれ合いながらなだめる。
あなたと出会って良かったと本当は思っている。そんな女の言葉に、ユミも私も一番の親友だと思っていると返す。これからも仲良く、よろしく。差し出された手を握ろうとするユミの手を叩く女。
あなたって人は。それで、またケンカ。
女は写真を燃やしてしまうつもり。魔除けのネックレスに、どこで覚えてきたのか塩でお祓い。神に懺悔。ローソクを取り出す。
ユミは、やっぱり残しておきたい写真があると言い出す。そんなのダメ。写真の引っ張り合い。大事な写真が破れてしまう。ユミと、お父さんとお母さんが写った写真。
酷い。私は悪くない。走り去る女。
ユミは、燃やされなかった写真たちを缶の中に入れて、部屋の暖炉の奥に隠す。

破れた写真を家に持ち帰るユミ。
お父さんだけ、切り離されてしまった。
お母さんはテープで写真をつなぎ合わせながら、ユミと会話。
よく喋るお母さん。
ユミにお父さんとどんな話をしているのか、お母さんのことを何か言ったりしているかなど、何か探り出すような感じで聞いてくる。
何でも言ってちょうだい。お母さん、怒らないから。
お父さんは、お母さんが料理が下手なのであんぽんたんだと言っていた。怒らないなんて嘘だ。お母さんの表情が歪むのをユミは見逃さない。お母さんの料理もおいしいけど、お父さんは料理が上手だからと言い足すユミ。
良い食材を買えば、料理なんて誰でもおいしく作れるものなのよ。やたら、負けん気強く、お父さんと張り合おうとしている。
お母さんのことは嫌いなの。怒らないから言ってちょうだい。きっと、これも嘘。好きだけど、ちょっとうるさい。控え目に発言する。
うるさくなんてないわよ。ユミのことを想って、色々と話しているだけ。でも、ユミの邪魔なことはしていないはず。よく家に連れて来る、おかしな髪型の子のことも、何も言わないでしょ。ユミへの愛情故のことなのだと。
だったら、初めて私が歩いた時のことを覚えている。そんなユミの質問にお母さんは、少し興奮気味にあの時のことを語り出す。
その世紀の一瞬を見逃すまいと、おばあちゃんを呼び出したりして大変だったみたいだ。ユミの顔に自然に笑顔が戻る。
顔がお父さんにしか似ていないから、お母さんの子では無いのかと思っていたと言うユミ。
生まれた時は確かにお父さんそっくりでちょっと悔しかったと答えるお母さん。でも、今は違う。ユミはお母さんに似てきている。顔の半分なんか、もうお母さんそっくり。このままいけば、大人になる頃には全部、お母さんになる。成人式には、揃って二人で写真を撮ろうと言うお母さん。お父さんは一緒じゃないの。
そんなユミの言葉を遮り、お母さんはミックスジュースを用意する。可愛らしいストローも一緒に買っておいたおいたらしい。
飲みながら、お母さんは離婚の話を切り出す。
嫌だ。走り去るユミ。お母さんは、飲み残したミックスジュースのグラスを洗いながら、思いにふける。

引っ越すことになったユミ。
モジャモジャ頭の変な髪型の男の子が遊びに来ている。
見た目のまま、どんくさいらしく、ユミがしていた積み木を崩してしまい叱られている。
自分の顔のどこが好きかなんて話。
男の子は前歯がチャームポイントらしい。
ユミが答えに悩んでいると、男の子はオドオドした口調で、僕はユミちゃんの目が好き、耳も、鼻も、口も。
千代の富士みたいという余計な言葉を付け加えたので、少し怒りを買うが、ユミは何て言ったのかはっきりと言いなさいと迫る。
男の子はぎこちなくなるのが嫌だからとぼかすが、ユミは許さない。
男の子の口から好きという言葉が発せられる。
驚き、喜び、焦りやら色々な感情が交じり合い、ユミはちょっと怒るという態度で男の子に接する。
男の子の口から、結婚して、子供が生まれたらどんな顔になるのかみたいなことまで出て来たので、冷静を保つために怒らないと仕方がなくなっている。
でも、私はいなくなるから。
ユミは引っ越しのことを男の子に伝える。
私のこと忘れないで。ユミのそんな言葉に、この歳の男の子が乙女心を理解できるはずもなく、自信が無いと正直に答えてしまう男の子。だって、大学でコンパとかして、彼女が出来たりしたら、忘れてしまうかもしれない。
じゃあ、写真を撮っておこう。そうしたら、きっと忘れないから。
男の子は写ルンですを撮り出し、無理な態勢で二人で自撮り。
出来上がりは3日後ぐらいか。
間に合わない。だって、明日、引っ越しだから。
何年も後にまたここで会おう。そんなユミの提案に、奥さんが嫉妬して、行ったらダメだと言われるかもしれないと余計なことを言って、また怒りを買う男の子。
積み木をしよう。
どんくさいから、やりやすいように低くしてあげる。
ユミが積み上げたところに、最後の積み木のピースを載せようとする男の子。でも、男の子はその積み木のピースを持ったまま、走り去って行く。

何年も後、相変わらずモジャモジャ頭の一人の初老の男性が、この家を訪ねて来る。まだ、残っていた積み木を持っていた最後の積み木のピースで完成させる。そして、一枚の写真を置いて去って行く。
足だけ写った写真。ちゃんと撮れているのかと、あれほど確認したのに。ユミはその写真を見ながら、男の子のことを思い出す。今は立派な人になっているのかも。
あの変な男の子が立派になっているわけないでしょと否定する女。
また、言い合いが始まる。
あ~言えば、こ~言うの繰り返し。
最後は、女の出会えて良かったと思っているという言葉。私も一番の親友だと思っている。これからも仲良く、よろしく。差し出された手。
もう騙されない。ユミはその手をかわす。
女が心臓が痛いと言い出す。ユミに遺言を残すために、メモを書かせる。でも、嘘。また、騙された。
悪い冗談だ。お互い、死んでもおかしくない歳なのだから。
死んだら、口座に毎月、お金を振り込むから、墓に花を供えてと言う女。誰が振り込むのか。自動振り込みなんてシステムがあるらしい。
遺影もそろそろ準備しておかないと。
海辺のレストラン。海への旅行の時だっただろうか。
楽しくない表情をしていたユミ。どうしたのって聞いても、別にしか答えない。
母親が入院していた。
そんな時に無理に旅行に来ることなかったのに。いつも、そうして無理をする。
夫と別れる時も、娘を手放す時も。
本当の気持ちを隠してしまう。嘘にしてしまう。私はあなたの顔を見ているだけで、あなたの心が分かってしまうのだからと言う女。
片意地張って、全部忘れてしまいたいと思っているのかも。自分の存在がぐらつき、不安になる。
そんな怯えるユミに恐れることはない、いつも一緒だからと優しく抱き締める女。
写真を撮ろう。女はデジカメを取り出し、二人で自撮り。
リウマチがひびいて、セルフタイマーが厳しい中、何とか撮影。
これからも仲良く、よろしく。差し出された手。その手を掴もうとするユミの手は、はたかれる。
あなたって人は、また。ケンカが始まる。あの頃と何も変わらない。
そうだ、ずっとこうやって、言い合い、笑い合いながら、想い合ってきたんだ。
そしてきっとこれからも・・・

遠い昔の思い出をたぐりよせていく。
ユミ一人では、出来なくなってしまったこと。数々の悲しいことや、大切なものを失ったことから、目を背けることで、そんなことを全部嘘にしてしまいたいという気持ちが働いたのか。
両親の離婚によるお父さんとの別れ、ボーイフレンドとの別れ、病気のお母さんとの別れ、作品中には描かれていないが、恐らくは自身の離婚による愛する夫との別れ、子供との別れ。その他にも、長く生きてきたのだから、そんな、喪失による悲しさや辛さはたくさんあったのだろう。
その切り取られた一瞬、一瞬の別れだけを思い出せば、確かにもう消してしまいたいと考えてしまうようなことだろう。
一枚の写真。気に入らない写真を捨ててしまおうとしたユミが、その写真が数々の写真の中の一枚であり、繋がりの中の一枚であることに気付いたのか、やはり捨てられなかったように、そんな悲しく辛い思い出の記憶も断片としてみれば、消し去りたいのだろうが、その重なり合いで自分自身の人生を浮き上がらせると、愛おしく尊き大切な思い出と見えてくるような感覚を言及しているのかな。
そんな記憶のモンタージュは、たくさんの写真だけでなく、その時間、場所、共にいた人たちのことを想うことで、自分が構築されるかのように感じます。
かつての出来事をエピソードとして描き、その記憶を掘り起こしていくことで、その時間、出会った人、場所とモンタージュしていき、積み木のように重ね合わしていくと、そこに自分の生の証が見出される。
そして、その生の時間の中で、数々の別れの中でも、ずっと一緒にいた大切な人の存在が見えてきた。
抱き締めたくなるような、大切で愛おしい、人間の生の喜びを感じさせるような作品だったように思います。

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コメント

SAISEI様

しまったなあ。contondoもはじめは行く気満々だったのに他公演が詰まってくるにつれ会場が違うこともありハシゴに組み込みにくく忘れてました。

村田さん出演されてたんですね。観たかったなあ。3日(土)なら空いてたのに。あとの出演日には他公演が。。

土江さんにも興味が湧いてきたし(笑) SAISEIさんのせいで。社会人劇団の時は(笑)

SAISEIさんいつからいつまででしっけ?

私の9月の予定は以下の通り。19日まで確定してます。

16日(金)劇団しようよ
17日(土)劇団五期会→プロジェクトうず
19日(月)プロジェクトうず
21日(水)劇団チョコレートケーキ
22日(木)悪い芝居→匿名劇壇
24日(土)舞台工房solaーTobu→劇団壱劇屋

これにアカル劇場、contondo、関西大学学窓座なんかをどう組み込むか、ですわ(笑)

投稿: KAISEI | 2016年9月13日 (火) 00時11分

>KAISEIさん

組み込むのがなかなか大変でしょうが、9月いっぱいされているので、観る価値はあるように思います。
話自体は、特に何と言うことは無い思い出話。わが町とかと同じような感じかな。
でも、そこから浮き上がる何かが、きっと心地いいと思います。
二人芝居だから、役者さんの腕前もじっくり観れますから、KAISEIさんにはまあまあ合ってると思いますよ。

投稿: SAISEI | 2016年9月13日 (火) 14時00分

SAISEI様

しまった。。言葉足らずだった。こういう場ではぼやかした方がいいかと。SAISEIさんがされないのいつからいつまででしたっけ? ということです。

投稿: KAISEI | 2016年9月14日 (水) 01時50分

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