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2016年9月 5日 (月)

みかんせいのくだもの【プラズマみかん】160904

2016年09月04日 SPACE9 (100分)

社会の中にはびこる女性にまつわる問題を、皮肉を交えて、じわじわと締め上げるように突きつけてくるような作品。
今を生きる女性たち。変わりゆく社会の中で、様々な問題が彼女たちに降りかかる。
もちろん、その親の世代の女性たちもかつて、そんな変化の時代を同じように過ごしてきた。その結果、生身の肉体を機械に変えるように、身体を軋ませて生きる中、今、その動きを止めようとする時代に入った。
急速な変化にもてあそばれるかのように必死に生きてきた女性像。
今、女性はその変化に向き合い、己の生身の肉体のままで生きようとする。でも、それを良しとしない社会。
社会は変わるが、女性が変わることは、阻止しようとしているかのごとく。
ずっと、このままなのか。いつまで経っても、女性にまつわる問題は曖昧に、焦点をぼかされて伝えられ、同じことが世代を超えて繰り返されていくのか。
そこに一石投じる。それが演劇なら出来る。
そんな感じの作品か。

妊婦のための出産セミナー。
5人の妊婦の生徒に、同じく妊婦の先生。
天井に設置された分娩くんから吊り下がるバスタオル。
へその緒かのようなそのバスタオルを掴み、我が子への想いを込めながらいきむシステム。
皆の陣痛が始まる。どうやら、みんな同じ誕生日の子供が生まれそう。

4人の女。
天井に見たことのない果物を見つけ、それを育てようと、各々が水をやる。
各々が果物の絵を描いて、フルーツバスケットをしようとするが、絵が下手なのでゲームにならない。
園長先生が個々にアドバイスをする。
上手な絵が描けて、ゲームが成立するようになる。
園長先生のようになりたいと言うみんな。
園長先生の生い立ちが振り返られる。
あーうー、大平総理。ベストテンでスクールメイツに囲まれた聖子ちゃん。やがて、おニャン子。時代は進み、チャチャチャでダンス。ディスコでボディコン姿。バブル時代到来。三高男を掴まえる。結婚。夫との冷めた関係。夫の姑依存。娘の非行。金銭価値の暴落。リーマンショック。アベノミクスの三本の矢。
働かないといけない。時代は変化した。

公園を潰して保育園を建設する予定。
役所の担当者は、最新ロボット、ポッパーくんを使って待機児童問題について説明する。
住民たちは大反対。ゲートボールが出来なくなる老人、息子の野球練習場所がなくなる母親、夜勤で不眠症を患う男は静かな場所を失う、樹木や鳥たちを守りたい自然を守る会の会長。
そんな中、シングルの母親は、保育園の必要性を訴える。母親は自分で子供を育てるのが当たり前。そんな意見に、皆はよそ者だと反論するが、多数意見には勝てず。示談に持ち込めば1世帯に100万円は入ると思えば、そう安々と住民たちも従うわけにはいかない。

電車の中で、痴漢を疑われるカメラマン。被害者は女子高生。隣のお局様がカメラマンを指差した。本当の犯人は痴女で同じ女だったようだが、決めつけられる。
どうにか疑いが晴れて釈放。
職場で皆にからかわれる。
カメラマンの仕事は報道番組撮影。ちょうどいい題材。
痴漢の犯人を捕まえるためだと、女子高生にインタビュー。
思ったままのことを放送禁止用語も交えて話すので編集が大変。ほとんどカット。それでも、放送は好評。人気女子アナと個性的な痴漢撲滅コメンテーターの出演も功を奏した様子。プロデューサーには、この調子で保育園問題、派遣社員問題も頑張れと言われる。

もっと綺麗にならないと。美容、痩身に執着。
通販番組でそんな商品をカードで購入。友人たちとの食事もダイエットを理由に食べず、盛り上がらない。皆でプール などとんでもない。水着になるためにどれだけにの準備が必要か。
そのうち友人たちからも距離を置かれ、カードはリボ払いになり自己破産。
そんな貧困女子のインタビューの放送を見て、口々に酷い言葉を浴びせる世間。

保育園はいつまでたっても建設されず、働くために女性は方々を回る。全部ダメ。どうしたらいいのか。日本死ね。その放送も数々の世間のパッシングを生み出し、好評。

派遣社員の女。
長年、頑張って勤めているものの、やはり社員との差別はある。
部長も課長も新入社員贔屓。新入社員を早く育てたいからと、仕事も奪われる始末。お茶汲み、コピーも、いまどきの若い新入社員は巧いこと立ち回る。コピー機は、愛想を振りまく必要もなく、いつでも仕事が無くならないからいいもんだ。さらには、新入社員はイケメン先輩社員にアタックを仕掛ける。その人と実は付き合っている。
派遣社員の女は、派遣会社から今の会社の派遣契約打ち切りを伝えられる。こうなったら永久就職しかない。先輩社員にセックスを迫る。子供を作って結婚だ。排卵は月に一度。考えれば、それほど多くのチャンスは無い。
でも、男は子供は無理だと思っている。自分の興味は女性の足だけだから。
こんな派遣社員女性の生の声を放送。同情の声は少なく、女性への非難の声が大きい。

痴漢被害者の女子高生は、カットされまくった放送に怒りを露わにする。
嘘つき、どうして本当のことを伝えてくれないのかとカメラマンを責める。
カメラマンは、かつても同じ言葉を聞いた。
戦場でのボランティア。毎日、忙しく、でも、みんなから感謝され。充足した毎日。でも、前線はもっと酷い状況らしい。危険だから行くなと言われるが、カメラマン魂が湧き上がり、前線に向かう。
銃で撃ち合う兵士たち。倒れる兵士のそばに駆け寄り、身につけた金目のものを奪う少女。数々の死体に吐き気をもよおしながら、少女を見つめるカメラマン。
少女はカメラマンに歩み寄り、スカートをたくし上げ、自分の股を見せる。目を覆うカメラマンに少女は同じ言葉を投げ掛けた。

4人の女性。
痴漢被害、派遣問題、保育園問題、貧困。
そんな苦しみを抱える女性たちは、その真実を世に伝えることもできず、曖昧に切り取られた報道でパッシングを浴びる。
それでも、今は走るしかないと言う園長先生。
三高男の取り合い。男は果物を採った人と一緒になると言う。
ゲームで決めることに。剥き出しの闘争心。
勝者は女子高生。女子高生は天井の果物を採る。
それは靴。三高男は足しか愛せない人だから。
それでも、結婚。29歳。子供は無理って言ってたけど、子供を無理やり、股から引き出す。
これで安心。園長先生は動きを止める。機械だったらしい。
運送業者が回収にやって来る。演劇をしている女。宣伝を軽くして、結婚してからも、こうして色々としながらやってることを伝えて去って行く。
警察が踏み込んできて、三高男を逮捕。痴漢容疑。
女はシングルに。働かないといけない。そのために、保育園を探さないと。でも、ここには無い。
女は動こうとするが、足が動かない。
カメラマンが体を確かめるが、錆び付いているらしい。随分と無理をしてきたのだろう。
このことを世間に伝えてくれるかという女の問いにカメラマンは答える。
機械だから編集も要らないし、キチンと報道しますと・・・

女子高生のように若ければ、痴漢など性的な被害のターゲットになる。ただ、電車に乗っていただけ。それをどう防げと言うのか。
成人女性になれば、女性の本能として、より綺麗になりたいと美を追求するために頑張ってしまう。美を保つには金がかかる。定職に就くことも難しく、バイトで稼いだ金をつぎ込むしかないではないか。
就職は厳しい。格差社会に、未だはびこる男女性差別。派遣でも働くしかない。大人だから。頑張って長く勤めても、正社員になれる見込みは無し。それよりも、自分より出来ない新入社員だ。でも、今さら若くはなれないのだから、こうして働くしかないではないか。
妙齢を迎えたら、結婚、さらには子供を産むということを意識する。歳のことを考えたら、そんなに悠長に構えてはいられない。でも、男は煮え切らない。男が自分を愛しているところってどこなのか。私自身をきちんと見ているのか。都合のいいように、付いてくるような人を求めているのか。
出産したら、子育て。子育て支援の政策。どんなことをしてくれるのか。それは社会全体に必要だと認知されているのか。認知されているなら、どうして待機児童なんて言葉が生まれるのか。子育ては母親の仕事なの。でも、この時代、母親だって働いてお金を稼ぐ仕事をしないといけないのだけど。

こんな女性にまつわる問題が社会の中にはびこっていることをきちんと知っていますか。知っているというなら、何から知ったのですか。テレビや新聞、マスコミの報道。それがきちんと正確な情報を伝えず、大事なところは曖昧にしたり、カットしたり、歪んで捻じ曲げた形になっていることは恐らく知っているはず。だって、世界のどこかで起こる戦争の報道だって、前線で起こる多くの死の現実や、生きるために人の道に反する残忍な行動があることからは目を背け、受け取る私たちもどこかで真実の奥深くを知ろうとしないのだから。
それなのに、そんな曖昧な情報だけを受け取り、他人事気取りで、非難や否定。言葉尻だけを捕らえたり、枝葉部分だけに視点を置いて議論したり、ただ全否定して酷い言葉を投げ掛けたり。
いったい、みんな、どういうつもりなの。
って感じのことを、皮肉を交えながら、じわじわと突き付けてくるような作品でしょうか。

女子高生、貧困女子、派遣社員、シングルの母親は個々の役者さんが演じていますが、今のこの世に生み出されてしまった女性の人生として同一視するような感じです。
そんな女性たちの親や年配者、ここでは園長先生として描かれているようですが、変わりゆく昭和を生きた人たち。
別に楽して生きてきたわけではなく、変化に対応しながら、必死に生きてきている。女性としては、今より制限されることも多く、生き辛かったような気もします。そして、今、急速な変化を遂げた世の中で、生を全うするような時期に入っている。
その肉体は、変わる社会に対応するために、機械化されてしまったのでしょうか。もがきながら変化に追随し、軋んでいく体が遂には止まってしまう。
そんな機械化された親世代を引き継いで生きる今の時代の女性たち。
生身の肉体で生きようと、何かをしようとしても、靴をもがれ、歩かせてもらえず、制限されてしまう。作品では、この靴をもぐのは女性たち自身で、そのもがれた靴をもう履けないようにと隠してしまうのが男のように描かれています。
いつの間にか、錆び付いてしまい、その肉体は同じように機械となってしまう。その方がきっと社会としてはありがたいのかもしれません。生身の肉体の女性たちの言葉を編集しなくてすむから。機械化された、それこそポッパーくんのように正論だけを語り、コピー機のように黙って決められたことだけをしてくれていた方が都合がいいのでしょう。
そうはいかないよと、抵抗しようとしている女性の姿が機械を回収しに来た運送業者の女性のように感じます。
彼女は子供はいないけど、結婚をしていることを語ります。そして、演劇をしながら生活をし、生きている。
女性として、今を生きている。それも、自らの肉体を使って表現する手段を持つ演劇をしている。
そこから発せられる言葉が、今の本当を伝える手段となり、それが世を変えるかもしれない。
そんな気持ちから生み出された作品こそが、今、観たこの作品なのかもしれません。

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コメント

SAISEI様

一昨年から気になっていたものの初観劇。終演後,帰宅したのち当日パンフレットの主宰の挨拶を読むと,大枠だけ決めてあとは出演者全員で作り上げた,とのこと。

観ている途中で台本の上りが遅かったのかな,公演直前に仕上がったのかな,と思ったりもしてまして,その違和感が当日パンフで理解できた感じです。

別にできが悪かったとかではなくて最初の構想段階と公演内容がスムーズに推移した感じがしなかったんでしょうね。

投稿: KAISEI | 2016年9月 5日 (月) 13時24分

>KAISEIさん

試行錯誤の末に、女性として今を生きる、演劇という表現の世界に身を委ねる者たちの共鳴する想いが舞台に散らばっていて、興味深い作品だったように思います。
作品名からすれば、もっとファンタジー色が強い感じの作品への道もあったのかもしれませんね。それよりも、現実を見詰める抵抗する意志が強く溢れてきたのかもしれません。

投稿: SAISEI | 2016年9月 5日 (月) 23時43分

SAISEI様

9月末の練習に(笑) 日曜日はKAIKA→アトリエ劇研の京都ツアー(笑) 前日のプラズマみかんとこの日の2本に来られていた観劇客もおられましたが(笑)

tusk international theatre company『解禁 -kaikin-』 KAIKA

【出演者】
大名など/高杉征司
大名の家来?女中かもなど/黒木陽子
大名の家来?女中かもなど/紙本明子
大名の家来など/柴田惇朗
通詞など/サンディー海
召使いのインドネシア人の少女/高柳友紀子
エヴァ/エリス・ヴァン・マーサベイン
※配役は載っていなかったのでKAISEIがつけたもの

脚本/演出:エリス・ヴァン・マーサベイン

【あらすじ】
エヴァは負傷したオランダ商人の妻である。彼女は召使いのインドネシア人の少女と共に出島にいる病床の夫の看病を申し出るも,存在自体が不法として日本政府から拒絶されてしまう。医者の娘であり自らも医学の知識がある彼女は断固として戦おうとするが,大名から逆に病で苦しむ自分の息子を回復させることを命じられてしまう。エヴァは気丈にその命令を拒否するが,果たして強大な権力と戦えるのだろうか?笑いありドラマありの日蘭貿易をめぐる悲劇を見つめた,インターナショナル演劇作品。

【KAISEIあらすじ】
上のあらすじで大体網羅はされている感じがしますが通詞と召使いのインドネシア人の少女が恋仲だったり。エヴァが大名の家来に斬られたり,が載ってませんね。

オランダの方が脚本/演出とか出演されてるとか全然知らずで(笑) 高杉さんが非常に良かったです。エリス・ヴァン・マーサベインさんも存在感あられたし。有名な方なのかなあ。。サンディー海さんもハーフっぽい顔立ちで良い役者さんだと思いました。。柴田さんも良かったし。黒木さん,紙本さんについてはいうことはないと思いますし。

前日睡眠不足で良かったにもかかわらず眠気が襲ってきたのが残念。

投稿: KAISEI | 2016年9月 8日 (木) 18時56分

SAISEI様

Hauptbahnhof『和え物地獄変』アトリエ劇研

脚本/演出:金田一 央紀

【出演者】
萬谷重三郎…勝二 繁
のっぺらぼう/少女/東洲斎写楽…楠 海緒
富士そば店員…嶋本 禎子(虹色結社)
瑣吉/曲亭馬琴…伊勢村 圭太
勝川春朗/葛飾阿北斎…大崎 詩織(劇団ちゃうかちゃわん)
勝川春章…延命 聡子
閻魔大王…辻 智之
小野篁…赤坂 咲空
崇徳上皇…山下 多恵子
源為朝…髭だるマン(爆劇戦線・和田謙二)
源義朝…ガトータケヒロ
船頭…河合厚志
ハエ/絵師良秀…土肥 嬌也
美福門院得子…鈴木 翠(演劇ユニット遊走子)
待賢門院璋子…藤居 里穂
耕書堂の印刷屋たち/劇団地獄AZ…浦賀 わさび・小野寺 未季・ガトータケヒロ・河合 厚志・川本 泰斗(BokuBorg)・嶋本 禎子(虹色結社)・鈴木 翠(演劇ユニット遊走子)・髭だ

るマン(爆劇戦線・和田謙二)・藤居 里穂・三鬼 春奈

【あらすじ】
天狗の鼻を折られた葛飾北斎が地獄に落ちた。
地獄で北斎は「地獄変」を描き続ける一人の絵師と出会う。
絵のために自分の娘を生きたまま燃やしたという。
同じころ,北斎を失った版元の蔦屋重三郎のもとに,東洲斎写楽と名乗る絵師が現れる。
次々とヒット作を飛ばす写楽だったが,やがてその筆が止まってしまう。
少年・葛飾北斎があの世とこの世を大奔走!
狐と天狗を巻き込んで東へ西へ大騒動!

【舞台】
床には勇壮な浪の絵が。客席以外の方向には幕がはられ出入りできるところが数か所。

【KAISEIあらすじ】
萬谷重三郎(勝二 繁)が登場。夜道を歩いていると道端に女が座っている。警戒しつつも声をかけるとかわいい声で返事が。ついつい下心は出て近づくと振り向いた顔はのっぺらぼう(

楠 海緒)。悲鳴を上げて富士そばに逃げ込むと店員(嶋本 禎子)が「券売機で買っとくれ」と。券売機でチケットを買い店員に渡して「この辺は出るのかい?」などと聞いている。蕎

麦が出てきて食った途端に店員が「こんな顔でした?」とのっぺらぼうの顔を見せる。悲鳴を上げて逃げる萬谷。

場面変わって耕書堂。職人たちが萬谷がのっぺらぼうに驚いたことをからかっている。そこに勝川春朗が絵を納めにやってくる。打ち合わせ通りに描いてきた春朗に萬谷は打ち合わせ通

りの絵なら別に春朗に頼まなくても勝川流の他の絵師に頼めばいいんだと,一番若いんだからはみ出るものがないと,みたいなことを言う。「それならそうとそう言えばいいのに」とむ

くれる春朗。

春朗は萬谷がのっぺらぼうに出くわしたことを知って自分も夜道を歩く。のっぺらぼうと出会うがのっぺらぼうは「金をくれ」とつきまとう。持ち合わせがなかった春朗はのっぺらぼう

に目を描いてやる。喜ぶのっぺらぼう。

場面変わって,その話を師匠の勝川春章(延命聡子)にするとそれは〔たぶん〕飛騨工のようだと誉められのっぺらぼうに描いた目を描くように言われる。しかし筆に墨が着かない。師

匠がすると筆に墨がつく。「住み(墨)つかない」と師匠に言われ萬谷に唆された件を怒られ〔たのかな? 〕春朗は破門される。勝川も春朗の名前も名乗ってはいけないと言われ「阿呆

くさい」と言ったことから葛飾阿北斎と名乗ることにする。春朗は耕書堂に行くが耕書堂の人々は春朗のことを誰も覚えていない。しかとではなく本当に知らないみたいだ。しつこくす

がる春朗を耕書堂の人々は隅田川に投げ込む。

ここは地獄。閻魔大王(辻智之)が死人たちを裁いている。二人裁かれたあとに春朗が裁きの場へ。極楽へ,という裁きに対して現世に未練があるという春朗。現世に戻って何をする,

と問う閻魔大王に絵が描きたいと。

閻魔王宮の役人小野篁(赤坂咲空)の指示で浄玻璃の鏡で春朗の生前の素行を見ることに。閻魔大王は悪かったら地獄に落とす,などさっきとは違うことを言っている(もしかすると次

の段落ののっぺらぼうが幸せでなかったら,のところかもしれない)。すると春朗がのっぺらぼうに目を描いてやった場面で「なゑ」がのっぺらぼうに移動している,ことがわかる。そ

の時に春朗の絵の才能がのっぺらぼうに移ったらしい。

のっぺらぼうが幸せかどうかを見ることに。のっぺらぼうは東洲斎写楽と名乗り彼の描く絵はバカ売れに。蔦谷は味をしめて量産して儲けている。のっぺらぼうが幸せそうなので春朗は

現生に生まれ変われることに。その生まれ変わる過程のところだと思うが保元の乱の崇徳上皇(山下多恵子)や源義朝(髭だるマン),源為朝(ガトータケヒロ)が登場する。

春朗は肥溜めに生まれ変わる。便所に排泄物と一緒に便所紙に使われていた春朗の印が入った絵が落ちていた。春朗は耕書堂に訪ねて行くが相変わらず耕書堂の人々は春朗のことを誰も

覚えていない。春朗は春朗の印が入った絵を耕書堂の人々に見せて春朗がいることを証明する。

春朗はやはり絵が描けない。萬谷はのっぺらぼうこと東洲斎写楽でもっと儲けようとして絵を量産しようとして写楽が見たことがない役者や力士を役者絵や力士絵を見本にして描かせよ

うとする。写楽は見たものしか描けない,といいやる気をなくす。やる気をなくした写楽の絵は出来が悪く大量に売れ残る。

耕書堂を出て行った写楽は春朗こと阿北斎と路上で出会い目のお礼を言うが「なゑ」が春朗からのっぺらぼうの自分に移動したせいで春朗が絵を描けなくなってしまったことを知りどう

していいかわからず泣く。涙で目が消え春朗の絵の才能が戻る。

この辺に挿入されていたのだと思うが,絵師良秀(土肥嬌也)が〔たしか〕炎に焼けている人を描けと命令されて「見たことがないものは描けませぬ」ということで待賢門院璋子(藤居里穂)が美福門院得子(鈴木翠)を謀って誘い出し焼き殺させて絵師良秀に見せる。

※芥川龍之介の『地獄変』の登場人物をが美福門院得子を追い落とした待賢門院璋子の事件に換骨奪胎した。

春朗が最後浪の絵を描く場面で終わる。

全体的にダジャレが多く,金田一さんに伺うと「おっさんなんでしょうね(笑) ダジャレがないと戯曲を書けないんですよ」みたいなことを仰ってましたが(笑)

大崎 詩織さん…声がそんなに大きいほうではない,どちらかというと小さいほうだと思いますがクリアで綺麗な声ですよね。大阪大学劇団ちゃうかちゃわん『てのひらを太陽に』の際に

も感じたことを思い出しました。今回で澤井里依さんの声の感じと似てると思いましたが。。ちゃうかちゃわんの評価が私はイマイチ良くないんですよね(笑)

※小野篁
また,なぜか閻魔王宮の役人ともいわれ,昼は朝廷に出仕し,夜は閻魔庁につとめていたという奇怪な伝説がある。かかる伝説は,大江匡房の口述を筆録した「江談抄」や「今昔物語」

「元亨釈書」等にもみえることより平安末期頃には篁が,閻魔庁における第二の冥官であったとする伝説がすでに語りつたえられていたことがうかがえる。こうした篁の冥官説は,室町

時代にはほぼ定着した。今なお,本堂背後の庭内には,篁が冥土へ通うのに使ったという井戸があり,近年旧境内地より冥土から帰るのに使った「黄泉がえりの井戸」が発見された。そ

ばには篁の念持仏を祀った竹林大明神の小祠がある。《六道珍皇寺の公式サイトより(http://www.rokudou.jp/legend/takamura.html)》

投稿: KAISEI | 2016年9月16日 (金) 18時32分

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