真夏 no 夜 no 夢!【いるかHOTEL】160903
2016年09月03日 ピッコロシアター 大ホール (125分)
これまで結構な数の演劇作品を観劇してきたものの、この有名なシェイクスピア作品はまだ観たことがなかった。
話の内容も実は知らない。知っているのは、ガラスの仮面で北島マヤが、人とは思えない動きを魅せる妖精パックを演じたみたいなことを漫画で読んだだけ。
これではいけないとずっと思っており、ようやくその機会を得る。
観終えた今、これで良かったのかと少々不安を覚える。
観劇を趣味にしていますと誰かに言って、シェイクスピアの夏の夜の夢ってどう?と聞かれた時。私は、今回の観劇をベースに、半ば興奮気味に、めちゃくちゃ面白いよ、これは絶対、観ておかないとダメですねと答えていいものなのだろうかと。
元々こんなに面白い作品なのか、この劇団の手に掛かり、関西弁のノリやボケとツッコミのリズム、女優さん方の個性ある弾けた魅力でパワーアップしたのかが分からない。
君主と女王はあんなに好感度が高い仲睦まじい姿を見せるのか、あの可愛らしい召使いのキャラは存在するのか。イジーアスはあんなに横暴な古臭い考えを平然と主張するのか。ハーミアの美しさは変わらないだろうが、あんなに急にキレたりする不安定キャラなのか、ライサンダーはちょっとチャラチャラした感じなのだろうか、ディミートリアスは貫録あるオーラを醸しながらもどこか三枚目の空気を漂わすのか、ヘレナはあんなに卑屈になり、純粋な愛を見せる姿と攻撃的な姿の裏表の激しいキャラなのか。
妖精の王はちょっとせせこましさを見せる貫禄あるのに可愛らしい感じなのか、妖精の女王はガツガツ肉食系の姿を見せるのか、妖精パックはちょっと悪意ある悪さをするような大人びた感じなのか。森の妖精たちも、女性の美しさと、少女の可愛らしさを巧く醸すような構成でチーム化されているのか。
アテネの職人たちは、そこらのお笑いグループに負けないぐらいの、計算された笑いを生み出すコミカル集団なのか。
今回、拝見したものを基準とするので、次に観た時は、これと異なると違和感を覚えるだろうし、これを越えてこないときっと面白いと感じない。
ずいぶんと高いハードルを作ってしまったかのように思う。
<以下、あらすじだけしか記していません。ネタバレですが、有名過ぎる作品なので、白字にはしていません。一応、ご注意願います。公演は、本日、日曜日まで>
アテネの君主、シーシウスは、アマゾンの女王、ヒポリタと婚約中。
宮殿では、その結婚披露宴の準備のため、シーシウスの召使い、フィロストレートは大忙し。
そんな中、シーシウスの下に、貴族、イジーアスがやって来る。
娘のハーミアが、自分が決めた許嫁、ディミートリアスとの結婚を拒絶し、愛するライサンダーと結婚するときかないらしい。
イジーアスは、娘は自分のものだから、自分のお気に入りの男にあげるのは当たり前だと考えている様子。ヒポリタは複雑な表情を浮かべているが、シーシウスは、ハーミアにイジーアスの気持ちを察するべきだと言う。結婚披露宴までにハーミアに決断するように迫る。ディミートリアスと結婚しないならば、死刑、もしくは一生、幽閉された生活を強いられる。
ライサンダーは、ハーミアに駆け落ちを提言する。ハーミアはその言葉に従う。
ハーミアは、友人のヘレナにサヨナラを伝える。ヘレナはディミートリアスの元婚約者。ハーミアの美しさにディミートリアスの心を奪われてしまい、今では残忍なまでにディミートリアスに嫌われている。ハーミアがいなくなることは歓迎だが、ディミートリアスの心を取り返したいヘレナは駆け落ちのことをディミートリアスにチクってしまう。
妖精の王、オーベロンと、女王、ティターニアは、インドから連れてきた子供を巡って仲違い中。
オーベロンは、妖精パックに惚れ薬の作用を持つ花を探してくるように命じる。
パックがひとっ走りしている間、森にディミートリアスとヘレナがやって来る。妖精の姿は人間には見えない。オーベロンは、様子を見守る。
ディミートリアスは、ヘレナに大嫌いだから付いてくるなと酷い言葉を投げかけ、立ち去る。それでも、ヘレナは愛するディミートリアスの傍にいようと覚悟して、付いていくために後を追う。
パックが戻って来る。
花は2本。この搾り汁を眠っている者の瞼にかけると、目を覚ました時に、初めて見た人を好きになるらしい。それがたとえ獣であっても。
一つはオーベロンがティターニアに使う。獣にでも惚れている間に、子供を奪うつもり。
もう一つはさっきのアテネの者に使ってあげようとパックに命じる。
ハーミアとライサンダーが森にやって来る。二人は眠る。結婚前なので離れて。
パックはアテネの者としか聞いていないので、間違ってライサンダーに花の搾り汁を。
ディミートリアスを追って、ヘレナがやって来る。
ライサンダーが目覚め、ヘレナと。
愛の言葉をヘレナに語るライサンダー。ふざけていると勘違いしたヘレナは立ち去る。ライサンダーは後を追う。目覚めたハーミアは、ライサンダーが消えているので探しに向かう。
アテネの職人たちは、結婚披露宴で芝居を披露することになった。配役も決まり、森で稽古。
素人ながらもアイディアを出し合って、下手な演技で懸命に練習。
主役演じるボトム。妖精パックはいたずらで彼を獣の姿に変えてしまう。逃げ出す皆。訳が分からず、追うボトム。
その途中、オーベロンに花の搾り汁をかけられたティターニアと会ってしまう。目を覚ましたティターニアは、ボトムを食わんばかりに襲いかかり、妖精たちに命じて、東屋へと向かう。
オーベロンは、パックからティターニアの状況について報告を受け大笑い。
そこにディミートリアスとハーミアがやって来る。ハーミアは、ライサンダーを殺したのだろうとディミートリアスを酷く責めている。元から嫌われてはいたが、より一層、嫌われてしまった様子。
オーベロンは、パックが人違いをしたことを知る。本物の愛を偽りに変えてしまった。オーベロンはすぐにヘレナを連れて来るようにパックに命じる。
オーベロンはディミートリアスに花の搾り汁を。
ヘレナとライサンダーがやって来る。ディミートリアスが目覚めて、ヘレナと。
ディミートリアスとライサンダーから言い寄られるヘレナ。ハーミアはライサンダーと再会して喜びを露わにするが、もう愛していないと言われ泣き出す。ヘレナは、みんなで自分を馬鹿にしていると思い込み、その主謀であろうハーミアに食ってかかる。ハーミアは訳が分からず、さらには酷い言葉をライサンダーに投げ掛けられて、ただ泣き叫んでいる。ディミートリアスとライサンダーは、ヘレナを賭けて決闘することになり、どこかへ向かう。
オーベロンはパックに魔力を消す花を渡し、ライサンダーにかけるように命じる。
パックは、皆を誘導して、一ヶ所に集め、眠らせる。そしてライサンダーの目に魔力を消す花の搾り汁を。これで、皆が目覚めた時には2組のカップルが成立しているはず。
オーベロンは、ティターニアにかかる魔力も消す。パックには、ボトムの獣の姿も解放するようにと。
森にシーシウス、ヒポリタ、イジーアスがやって来る。
眠る4人を見つけ起こす。
ハーミアはライサンダーとの愛を語る。魔力が解けたライサンダーもシーシウスにもう一度二人の愛を願い出る。
ディミートリアスがシーシウスに伝える。自分も夢から覚めて、ヘレナを愛していることを。
シーシウスは、2組のカップル誕生を祝い、イジーアスにも言ってきかせる。
結婚披露宴パーティーで、皆の祝福をすることに。
目を覚ましたボトムは、皆と合流。
宮殿での芝居に向けて最終調整。
パックがいたずらをしたりと、色々とトラブルがありながらも、シーシウスはじめ、皆が楽しく笑う芝居を披露。
真夜中の鐘が鳴る。
楽しい宴は、今日はお終い。ここからは妖精たちの時間。
人間たちは、愛し合う者同士、眠りにつく。
パックはじめ、妖精たちは、この夜の時間を楽しく舞い踊り・・・
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コメント
SAISEI様
SAISEI様
良かったですか。。
面白かったとは思います。ほぼ脚本通りだと思いますし。全員女性役者なのと関西弁を使うのと小ネタ以外は(笑)
関西弁のセリフは出だしイントネーションが面白かったのですが合うところと合わないところがあるかなあ,と思って観ていました。
『(真)夏の夜の夢』観劇は今年3本目。私もSAISEIさんと同じく『ガラスの仮面』の北島マヤ演ずるパックの場面から永らく期待を膨らませてきた作品。
今年は殊の外『(真)夏の夜の夢』を関西で公演される劇団が多いようで私が知るだけでいるかHOTELさんで5劇団目(劇団音芽『真夏の夜の夢~A Midsummer Night's Dream~』・劇団The Timeless Letter『夏の夜の夢』オックスフォード大学演劇協会(OUDS)『夏の夜の夢』・柿喰う客『艶情☆夏の夜の夢』、上演順、私が観たのは劇団音芽・劇団The Timeless Letter版)。
『(真)夏の夜の夢』に限らずシェクスピア作品に思うことですがイマイチ面白いとは思わず。過去観た中では『ロミオとジュリエット』を翻案したそとばこまち『アノコノトナリハ、ユズレナイ』が個人的には最高峰ですかね。もしくはKUNIOの『ハムレット』か。
今回は音響は今まで観た夏夢の中では一番自然で良かった感じがします。衣装も壮麗で華麗だし大道具小道具も素晴らしいし。
ただ役者さんや演出が負けてる感じがするんですよね。
一回蜷川さんレベルのシェイクスピアを観ておくべきだったかな,と悔やんでいます。昨年8月の演劇ユニットNOLCA SOLCA(ノルカソルカ) 『暁の雲』を拝見した時にNOLCA SOLCA主宰の竹田和哲さん(さいたまネクスト・シアター所属) の佇まいを観てそう思いました。
現在では言い回しが難しい台詞や使い慣れぬ言葉があって台詞回しが難しい。役者のレベルが如実にわかりますよね。思い切って今の言葉に変えたほうがしっくりくる感じがします。そとばこまち『アノコノトナリハ、ユズレナイ』は変えてたんじゃないかなあ。
投稿: KAISEI | 2016年9月 5日 (月) 14時00分
>KAISEIさん
シェイクスピア作品のイメージは、言葉が難しく、話としてもそう面白いものでは無い印象は持っています。
今回は、関西弁のノリのリズムで、その両者のマイナスイメージを払拭してくれたかなあと感じています。
一度、ほんまもんの堅苦しそうな舞台作品も観たいものです。ただ、それよりも小劇場を優先してしまう、コストの問題、そして、何よりもそんなにシェクスピア好きじゃないってのがあるからなあ・・・
投稿: SAISEI | 2016年9月 5日 (月) 23時53分
SAISEI様
仕事帰りに覗いてみるとちょうどコメ返中でした(笑)
前コメ訂正。「ほぼ脚本通り」→「ほぼ原作通り」。
照明も良かったです。書き忘れてました。
アンサンブルの方達の動きが若干ズレてると感じたりしたのでシェイクスピアものはやはり寄せ集め、と言っては失礼ですが常時劇団員の人数が多く練習量が多い劇団向けなのかな、とは思いますね。
沙翁(シェイクスピアのことw 御存知だと思いますがw )の名前は世界に轟いておりますから観客としては期待もしますしね。演出も緊張感があるのかな? 私はシェイクスピアものは上品に過ぎると思ってまして。たぶん私が小劇場にそれを求めてないんですよ。勢いというか荒々しさが魅力というか。エレガント勝負なら大劇団に負けてしまいますからね。中途半端に映ってしまうのかもしれません。前コメに書いたそとばこまちやKUNIOのものはコメしてかから何が良かったのか考えてましたが荒々しかったな、と思います。
とは言え基準となるものは観ておきたいのでねえ。今回のは相応しかったのではないかと思います(the timeless letter のものも基準に相応しかったですが)。
いるかHotelは2014年の『木曜組曲』に続いて2回目。それ以後『ベニスの商人』を見逃すなどハシゴなど他公演との関係で御縁がなく。『木曜組曲』良かったのでねえ。劇団伽羅倶梨の徳田尚美さんを知るきっかけとなった公演で。
岸原香恵さんも『木曜組曲』の他に劇団SE・TSU・NA『SANTA×CROSS』で拝見したり。北村さんはneomarch.『無理はしないで』で拝見してますし。
仲村綾美さん、坂口ゆいさん、ハシグチメグミさん、小川十紀子さんは御名前も存じてますし所属劇団や客演先で拝見してますね。
投稿: KAISEI | 2016年9月 6日 (火) 02時22分