« HPF2016 総括 | トップページ | ウソを数えて108つ【劇団暇だけどステキ】160805 »

2016年8月 5日 (金)

THE FIRST CAUSE【爆劇戦線 和田謙二】160804

2016年08月04日 人間座 (105分)

あまりベタ褒めするのも、何なのだが、何から何まで良かったなあ。
この劇団の作品は少年漫画によく例えられているが、その要素がしっかりと盛り込まれて、それこそ数十年前に、今から思えば、どうしてあんなにはまったのか分からないような、数々の名作たちと触れた時の興奮に近いものを得る時間だった。
シーン転換がちょうど、週刊誌の続きのような感覚で、早く次の展開が見たいとなる期待感を楽しみ、それを裏切らぬ、お約束ありきの意表を突く面白さを堪能。

やっぱり、愛と正義だし、ヒーローは内に秘めた力を持ってかっこいいし、悪はとことんまで腐っているし、ヒロインは清楚で綺麗だし。登場人物はキャラが立っていて、影ある狂気を秘めたミステリアスさで話を謎めかしているし、破天荒な自由な生き方が味あるし、やっぱり萌えや純粋さで心惹かれるし。
しっかりした個々の背景、作品の世界観を描きながら、人の心に巣食う天使と悪魔の心が、ぶつかり合い、夢や希望の未来を生み出す世界を導き出すような、見応えある作品でした。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

20歳の誕生日の前日、盲目の少女、愛は天使と出会う。
人間の負の感情が渦巻き、汚染された地上。その見えない負の感情は天界をも蝕み、その脅威を怖れ、天界は地上との境目にある天界の門を閉鎖することを決める。
しかし、先に派遣された天使は、その負の感情に侵され、既に汚染、腐敗し切った悪魔へと姿を変えていた。
愛と出会った天使は、未だ成されていない天界の門の閉鎖、及び、その悪魔を倒しにやって来ている。
目が見えないことで得られる純粋な力があるのか、少女は盲目にも関わらず、天使の姿をはっきりと感じ取ることが出来る。また、天使も、これまで出会った人間たちとは違う、見えない力を感じる。
二人が出会ったのは運命だったのだろう。
天使が悪魔を倒すために地上に滞在するためには、肉体を保持する力がいる。その力を愛から得る契約を結ぶ。代わりに、愛には天使から世界を見る力、視力が与えられる。
天使は、まず天界の門を閉鎖する。
そこに悪魔が現れる。
悪魔は人間から追われているが、人の奥底に潜む悪の心を読み取ることで動揺させ、次々と力でねじ伏せる。
天使は、聖なる力を持って、悪魔を倒そうとするが、汚染された地上にいたためか、体力の限界がやって来る。
契約を結ぶと、各々に何らかの代償が発生する。
天使は肉体を得て、生を手に入れたがために、同時に死、つまりは寿命を持つことになってしまったようだ。
愛の方にも異変が起こる。彼女の代償は、未来へと繋がれる生を生み出すこと。天使との子を腹に宿す。
天使は決意する。
この命をもって、悪魔を封印する。そして、いつか繋がれた天使の生が、悪魔を滅ぼさんことを願い、全てを愛に託す。

愛の娘は、祈と名付けられる。
悪魔が封印された場を毎日、訪れ、いつか復活するであろう悪魔との戦いを不安の中で、自分の使命だと覚悟する生き方。
そんな祈と、封印場所で出会う中で、互いに想いを育んでいった青年、君貴。君貴の両親は、その悪魔に殺されている。
祈が20歳を迎えるまで、1年と10ヶ月になった時、祈は、君貴に自分のこと告白する。
天使とのハーフであること、目覚めた悪魔と戦わないといけないこと、そして、20歳で死を迎えること。
君貴は、祈に自分も一緒に戦い、その覚悟を分かち合うことを伝える。
君貴と祈は結ばれ、息子、聖が生まれる。そして、祈は亡くなった。悪魔は目覚めず、戦わずして死ねたことは神の思し召しだったのだろうか。
君貴は、この時から決意する。
祈の覚悟は、自分が全てを背負い、引き継いで生きていくことを。

時が経ち、悪魔は目覚め、今、人間界を脅かしている。人類を守るために、悪魔を撲滅しなければいけない。
君貴は、悪魔を倒すための国家組織の司令塔として任務する。
息子の聖は、祖母となる愛に預け、悪魔を倒す目的を果たすまでは会うこともない。
そんな父、君貴を、聖は自分を捨てたと憎んでいるようだ。
君貴の下には、4人の部下がいる。
君貴は、自分たち、人間の手で悪魔を倒すつもりだ。それが人が進化することだと。そのために、聖を自分から切り離した。そして、祈の意志を継ぐために、悪魔を自分が倒そうとしている。
悪魔を倒すためには手段選ばずという考えに固執した神原。神原の息子の聖が天使の血を引いていることを知っており、君貴のやり方に反発心を抱いている。
君貴を支え、その息子、聖のことも常に思いやっている友香。君貴の意志の力は強い。でも、それを聖が認めていない。君貴も自分の考えを聖に伝えようとしない。そんな悲しい父子関係をなんとか改善したいと思っている。
伊代は、スサノオの血を引く末裔。代々、伝わる神の聖なる力を持つ木刀。その木刀は剣術に優れた兄ではなく、伊代を選んだ。その結果、兄は亡き者となり、伊代に全ては引き継がれる。自分が成さなければいけないことを背負い、認められなければいけないという強拍観念に押し潰さそうになりながら生きているようだ。
自由奔放な雷電。自分には、自分のソウルがあると、あまり協調して動かず、自由気まま。その力は確かにあるようだが、悪魔を倒せるほどのものではない。そのことは、自分でも分かっているようだが、ここでやらねばいけない使命があるらしい。

知香がおとりになって、君貴たちは悪魔を廃工場におびき出す。
その廃工場には、知香から内緒で、一度、父の仕事をする姿を見て欲しいと聖が呼び出され、隠れていた。
伊代が一撃を悪魔に喰らわす。ダメージを与えるものの、倒すには全く至らない。
雷電が自分のソウルパワーで倒すと、ドラムスティックで音楽を奏でる。
悪魔がもだえ苦しみ始める。しかし、これは聖が隠れて、自分の力を発揮していたから。
夜が明け、悪魔は瀕死の状況で逃げ出す。

聖は自分の中に眠っていた天使の力を知る。
聖には空という恋人がいる。
空に、自分が天使の血を引いていること、目覚めた悪魔と戦う力を持っていること、そして、もうすぐ20歳を迎えて死ぬことを伝えられないでいる。
自分は戦わなけれなばいけないのか。葛藤する聖に神原が接触する。
廃工場での悪魔との戦いにおいて、隠れて聖がいたことを、知香から聞いた神原は、聖に戦うべきであると伝えに来た。
神原と別れた後、聖は空に全てを告白する。
空は信じてくれない。ただ、病気で死んでしまうと伝わってしまう。
聖は自暴自棄になり、自分は病気だと真実が伝わらないまま、嘘をついて、その場を去る。
その一部始終を見ていた悪魔。
聖から受けたダメージは相当で、聖によって倒されるかもしれないという恐怖で一杯の悪魔にとっては、最大のチャンスを得た。
悪魔は空をさらって、人質とする。

君貴は、聖のことを知らないので、前回の廃工場での戦いの実績から、今度の悪魔との戦いは雷電を中心に据えることにする。
伊代は、亡くなった兄のためにも、お家のためにも、自分が戦わなければいけないのだと反発し、悪魔の下へと向かう。
全てを悪魔との戦いに注ぎ込もうとしている君貴。知香は、もっと仲間や家族も信じて、戦って欲しいと伝える。聖に自分が戦っている理由、聖を戦わせたくない意志をきちんと伝えるべきだと。
君貴は悪魔との最後の決戦を前に、きちんと聖と向き合うために、一度、家へ戻る。
そこには祖母、愛がいた。聖はいなかったが、愛に自分の正義を語り、けじめをつける。

伊代は悪魔と戦う。
しかし、雷電にその役割を取られ、自分が成すべきことが揺らいでいる。そんな心の隙を悪魔は突いて、聖を殺すようにと伊代を洗脳する。
神原は悪魔が出現したと聖を迎えに来て、共に向かう。
君貴もその知らせを受けて、付いて行くと言う愛と共に向かう。
聖が悪魔の下へと向かう途中、伊代が聖に木刀を向ける。
雷電が登場。お約束のパターンだと、雷電は伊代と戦い、聖を悪魔の下へと向かわせる。
悪魔の下に皆が集結。
君貴は聖の姿を見て、お前は戦ってはいけないと言う。
しかし、神原がそんな君貴を発砲。悪魔を倒すことへの執着が狂気へと変わる。
聖はどうしていいのか分からず、外へ飛び出す。

雷電と伊代が木刀とスティックを交える。
雷電はもっと、自分のために生きろ、自分の生き方は自分で決めろと伊代に言う。
それを伝えたくて、ずっと一緒にいた。
雷電は伊代の兄だった。
お家の習わしから、殺されそうになった雷電は逃げた。逃げて、自由を得た。その自由の中で、自分のソウルに従った自分の生きる道を歩んでいる。
二人で、お家に縛られず、自由に生きよう。
聖がやって来る。
伊代は木刀を聖に手渡す。もう、この木刀は伊代には不要。戦うのか戦わないのかを決めなければいけない聖に委ねられる。

聖が戻って来る。
瀕死の君貴。最期の言葉を聖に投げ掛ける。母、祈への想い。祈から託された自分の使命。そして、大切な聖への想い。
神原の狂気が、悪魔に操られ、神原は聖に発砲。自分を制御できない神原は、知香に自分を撃つことを命じる。
知香は神原に発砲。正気を一瞬取り戻した神原は、聖に悪魔を倒してもらうために、自分に銃を向けて自殺する。
皆の想い、各々の描いた希望ある未来のために、聖は立ち上がる。
たくさんの人たちの想いを背負ったその力を木刀に込めて、悪魔を倒す。

空を救出して、抱き合う聖。
聖は空にさよならを告げる。
悪魔の亡骸と共に天界に戻るつもり。悪魔も犠牲となった一人だから。誰が悪い訳でも無い。
空は学校の先生になるのが夢だ。
その夢を叶えて欲しい。子供たちに教えて欲しい。自分たち、人間の希望ある未来を。そして、その夢を紡いで生きて欲しい。
また、天国で会おう。
聖は悪魔を抱きかかえ、天界の門を開き、天界へと戻っていく。

天使が悪魔になる。
元々の善意が、悪意へと変わる。
人の欲望、恨み、妬みなど、愚かさや弱さからだろうか。
人は容易に悪魔を生み出して、自分たちの世界を腐敗させる。
戦争がいい例になるのか。過ちを繰り返し、破壊をしては、また創造する。これは人の本当の進化では無い。
悪魔を消してしまえばいいのか。悪魔を消しても、また次なる悪魔が生み出される。そんな人の弱さと対峙して、同時に天使のような目に見えない自分たちの持つ強い力を信じることから、人の本当の希望ある未来が始まるのかもしれない。

作品において、悪魔はずっとギルティと名乗る者だけ。
天使はその血を薄めながらも、最初の天使、祈、聖へと繋がれていく。そして、その中で、たくさんの人の想いが背負わされていく。
悪の心は、変わらず、いつでも世に存在する。でも、正義の心は、必ず、一人一人の人間の中に欠片であっても存在し、そこに数々のこれまで生きてきた人たちの想いが込められていることになる。
紡がれていく生を持つ人間が進化する中で、希望ある未来を生み出す原動力は、やはり正義の心にあるのだろう。

|

« HPF2016 総括 | トップページ | ウソを数えて108つ【劇団暇だけどステキ】160805 »

演劇」カテゴリの記事

コメント

SAISEI様

今回も行けず。SAISEIさんも昨年来べた褒めしたはるので行きたいんですけどねぇ。DFGには載せてないんですね。

午前にあれば確実に行ってたかな。。

粗筋のスケールを人間座の規模で違和感なくできたならスゴいですが。

投稿: KAISEI | 2016年8月 6日 (土) 13時59分

>KAISEIさん

今回は、かなり良かったかな。
どんどん、レベルアップしているように思います。
私の中では、人間座で、違和感なく、なかなかの規模の話を舞台化したなと思っています。

投稿: SAISEI | 2016年8月 8日 (月) 12時09分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549536/64012405

この記事へのトラックバック一覧です: THE FIRST CAUSE【爆劇戦線 和田謙二】160804:

« HPF2016 総括 | トップページ | ウソを数えて108つ【劇団暇だけどステキ】160805 »