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2016年8月29日 (月)

最悪なきのうともう無いあした【べろべろガンキュウ女】160828

2016年08月28日 芸術創造館 (130分)

この劇団は3回目の観劇で、個性的なリフレインを連続してシーンを繋げて、話を膨らませながら展開するパターンは、少し慣れたものの、やはり難解な意識は残る。
でも、前回ぐらいから、少し、描きたいことがぼんやり見えてきた感じだろうか。
好きやら愛やらに囚われて生きる、もしかしたら生きざるを得ない人間への愛おしさが詰まった話のように感じる。
そして、それが生きる、世界を創る力となることを信じているようだ。
今回の話は、神によって終わりを決められた世界の中で蔓延る、人の好きという気持ちが、終わるはずだった今日から、明日への始まりを導き出した創世記のような印象を受ける。

サエコの世界は明日終わるという宣言が、世を騒がす
サエコの兄で、神となった男のお告げらしい。
その終末の日の出来事。

アオトはシラカワさんを呼び出して、一緒の時間を過ごす。
18回目の告白は実らず。こんな日に呼び出して一緒に過ごしてくれるのだから、流れから付き合うことになりそうなものだが、上手くいかない。付き合わないと、キスもセックスも出来ない。また、サザエでオナニーをするしかないか。
今日一日で100万回の好きを言うから、その時に笑顔を見せて欲しい。
アオトはシラカワさんとそんな約束をして一日が始まる。
シラカワさんの家へ。
お兄さんが寝ている。というか、寝たふりで、世の中から目も耳も塞いでしまっている人だから。
サヤマという怖そうな男がやって来る。シラカワさんを脅して、身体に絵を描き始める。その様はエロく、アオトは悪い気持ちも芽生えるが、兄を煽って、助けようと言い出す。
兄は起きて、二人に家から出て行くように促し、サヤマを撲殺。
アオトはたくさんの好きをシラカワさんにぶつけるが、反応は薄い。嘘でも好きと言って欲しいとアオトは願うが、シラカワさんはそんな好きじゃなくて、今日一日で私をその気にさせてと返す。
シラカワさんは、アオトに好きだったユイに会いに行けばいいと言う。アオトはユイが好きなどころか、彼女の記憶がなぜか無い。
それでも、シラカワさんはユイに会って、それでも私が好きなら戻って来てと送り出す。
アオトはユイに会いに行く。男の人が一緒にいる。やはり、ユイの記憶は無いが、ユイはアオトのことを大事な人で好きな人だと言う。
部屋にはギターが置いてある。アオトが渡したものらしい。
ギターを弾いてもらう。男が気を使って、出て行こうとするが、ユイは一緒に聞いて欲しいとその場にいてもらう。男は小林というらしい。
その歌を聞き、アオトはユイのことがきっと好きだったのだろうと思う。シラカワさんが待っている。アオトはユイにありがとうの言葉を残し、去って行く。
アオトはシラカワさんの下に。
そこには神様がいた。
二人は1分間だけ二人っきりの世界を望む。
好き、好き、好き、好き・・・
やっぱり付き合おうかというシラカワさんの言葉。
100万回の好きまで、後1回。神様はアオトから好きという言葉を、シラカワさんから笑顔を取り上げる。
好きと言えないアオト。付き合っているから、キスをしていいんだよね。アオトはシラカワさんにくちづけをする。
100万回達成。
時間は24時。いや、0時なのか。今日の終わりか、明日の始まりか。
神様は二人に1時間だけ時間を与える。
していいんだよね。もちろん、あれを。二人は結ばれる。

ここまでで30分。
これで話としては、ほぼ全て。
ここで、サヤマがシラカワさんの身体に絵を描くシーンに戻り、この劇団お得意の繰り返しパターンの始まり。
以後は、この登場人物たちと関わる人たちが多数登場する中で、関係性や抱く心情に肉付けがなされ、やがて、もう一つの更なる結末を迎える。
シラカワさんは、アオトにユイのところへ向かわせる。アオトが好きだったユイ。ユイもアオトが好きだ。こんな終末の日。二人の想いは、ただ会いたいだ。
神様だって、人間だって寂しい。だから、好きになる。会って、好きだって言いたくなる。神様の叫びと共に、世界は動き出す。アオトとユイをはじめ、たくさんの人々が互いに好きを通じ合わせる。
それは、神様と聖母マリアが、たとえ世界が終わろうとも、囚われて手離すことが出来ない人間の好きの気持ちに、かけがえのない大切な優しい想いを抱き、世界を再生するかのような創世記を想像させるシーンで締められているように感じる。

1

この肉付けされていくところを、文章にするのが大変なので、とりあえず、リフレインされ続ける細切れのシーンを自分なりに繋げて出来上がった相関図を記しておく。

だらしなかったり、お人よしだったり、障害があったり。生活保護を受けるくらいに金が無かったり、家庭環境が恵まれていなかったり、いじめられていたり。
心の救いを家族、友達、恋人に求めるが、相手にされなかったり、自分のことで精一杯だったり、裏切られたり、捨てられたりと上手くいかない。そりゃあそのはず。だって、神様だって同じように寂しく、悩み苦しんでいるのだから。
挙句の果てには世界を終わらすとまで言い出した。
最悪続きだった昨日までの日。そして、もう来ないという明日。
だったら、今日することは。それは、そんな寂しいとか、憎いとか、悔しいとか思って上手くいかなかった人たちにもう一度、自分の想いを伝えるために動かなくてはいけないのではないか。
昨日までダメだった。明日だって来ない。だったら、今日、そんなことする必要は無いだろう。神様だったらそう思うのだろうか。人間はやっぱり、そんな賢くないから違うんだ。好きって言うために、今日、走り出してしまうんだ。
そんな人間の消し去ることの出来ない、人への想いが、昨日とは違う今日という世界を創り出し、その終わりと共に、明日への始まりを導き出すような感覚を得る。

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コメント

SAISEI様

初観劇。抽象的かつ不条理系を私が好まないのは御存知のはずなので。。

何回か観ないとわからないみたいですね。。

観やすかった、とは思いますが。演出意図を無視しているかもしれませんが90分くらいの方が良かったかな、と思います。

投稿: KAISEI | 2016年9月 3日 (土) 23時46分

>KAISEIさん

抽象的、不条理のイメージは私も強いですが、何回か観ているうちに、けっこう単純な好きって想いをそのまま伝えようとするような作品が多いような気がします。いい言葉では無いですが、青臭さみたいなところが、純粋で微笑ましいみたいな気持ちを抱かせるような。

時間は同意。今回は音楽を組み込んだ分、長目になったのかな。あのスタイルで120分はダレるなあと感じます。

投稿: SAISEI | 2016年9月 5日 (月) 23時48分

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