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2016年8月22日 (月)

撃鉄の子守唄【劇団ショウダウン】160821

2016年08月21日 HEP HALL (90分、休憩10分、95分)

180分は長いですね。
最近、大丈夫だったのですっかり忘れていました。頸椎ヘルニアの影響で、長時間観劇で右手が痺れることを。2幕後半あたりから、痺れだして、ちょっときつかったです。
長編の群像劇は、恐らく昨年のパイドパイパー以来でしょうか。この作品がどうも私の好みに全くと言っていいくらいに合わなかったので、ここは一人芝居をはじめ、少人数芝居が好みに合うのだろうなあと思い、上演時間の絡みもあって少し躊躇していました。

結果はどうも違うようです。
まあ、一言で言えば、最高の言葉でいいように思います。
1幕は、あのかっこいいガンマンたちの西部劇スタイル。各々の、その銃の弾丸に込める運命を描きながら、この作品の背景にある大いなる謎を見せています。ちょっと三枚目のキャラでコミカルさも醸し、西部劇と言えば、酒場。酒場と言えばショーって感じでエンタメ要素もたっぷり。
そして、2幕。
ワクワクと男のロマン、冒険心を煽る、様々な運命を持つ者たちの旅の物語を楽しみながらのロードムービースタイル。数々の出会いと別れ。裏切りによるどんでん返しを経て、その謎が明かされ、迎えに来る運命の結末に涙する。
そんな感動巨編といったところでしょう。

話の緻密な構成、それを実現する舞台の技術的な側面、そして役者さんの見事な力。これが巧く絡み合って素敵な作品に創り上げられているように思います。
目を惹く役者さんは多数ですが、今回は劇団「劇団」、いわゆるゲキゲキメンバーの方々が、客演なのにどうしてこんなにいいところをかっさらいまくっているのかと思うくらいに、素晴らしいお姿でした。

<感想は上記したので、以下、簡単に自分なりにまとめたあらすじしか記していません。ネタバレになりますので、ご注意ください。白字にはしていません。東京公演が9/1から始まります>

コナン・ドイル。
彼の盟友とも言えるシャーロックホームズをはじめ、南米を舞台にした冒険小説、ロストワールドなど数々の名作を残す。
晩年、彼は語られることのなかった、失われた物語を語る。それは、幻の大地を目指して、仲間たちと旅したあの日々。

祖父の残した書物に記されたエルドラドの文字。エルラルドは無かった。世の中では、これが常識。でも、ドイルはそれを信じて渡米する。
やって来た西部の町。
そこでドイルは、ロックという男と出会う。
ミゲルという酒場のマスターに拾われて、そこで働く流れ者。臆病者で有名だが、ドイルは確かに見た。彼が自分を襲ってきた悪党を銃で瞬殺するところを。
ドイルは、ロックに一緒にエルドラドを探す旅をしようと懇願するが、なかなか首を縦に振らない。
この町を離れたくないらしい。その理由は、町の名士の娘、スザンナのボディーガード、キャロルに恋しているから。
そんな町が謎の盗賊集団に襲われ、保安官も殺される。
酒場にショーの興行に来ていたバッファローとアニー、流れ者のビリーとパットの援護を受けて、町を守ることに。
冷静沈着なユル、高名な女銃士ジェーン、若い勢いのあるケリーたちは、町を脅かす。
盗賊集団の狙いはキャロルにあるらしい。彼女がエルドラドの地図を護る者、チブチャの生き残りだからなのか。
独立記念日。この日は盗賊たちも襲って来ない。酒場の歌姫、シャロンの美しい歌声が響く。皆が歌い踊り飲む中、ロックはキャロルに告白。二人は結ばれる。
そんな幸せの中、町の人たちはキャロルを町外れに追放する。盗賊から町を守るために、キャロルを差し出したも同然の仕打ち。
ロックたちは、キャロルを守ることに。
敵はやっつけても、何度も襲ってくる。バックに巨大な組織が付いているようだ。それは恐らく国家組織。かつて、エルドラドを襲ったのも国の軍隊だった。ホロコースト。あの残酷な風景は今でもキャロルの目に焼き付いている。
盗賊たちが襲いかかる。
ロックはかつて、原住民のインディアンの虐殺に関わったことがある。それ以来、銃を捨てた。自分の銃の能力が恐ろしくなったから。相手の銃が抜かれて、コンマ何秒の世界。ロックはその瞬間を自在に動くことが出来る力を持つ。
キャロルを守らなければいけない。ロックは、再び銃を抜き、盗賊たちを追い払う。
盗賊がいなくなった町。町の人たちは、ロックを賞賛すると思いきや、ミゲルから町からの追放を言い渡される。臆病者の姿をして皆を騙していたと裏切り者扱いされることに。
ロックのこの特殊能力は、エルドラドの血を引いているらしい。それも王族の尊き血を。
ロックはキャロル、ドイルと共にエルドラドへ向かう決心をする。面白そうだと、ビリーとパットも同行することに。
しかし、その出発の前日、ビリーは殺される。
バッファローの裏切り。彼はスザンナをさらって、町を征服しようとする。
ミゲルはロックたちに助けを求める。
キャロルを盗賊に差し出し、ロックを追放した町の人たち。そんな連中を助けることはないと言うドイルを諫めて、ロックは恩があるこの町を救うために立ち上がる。
ロックの研ぎ澄まされた能力が解放される。銃の狂気。ロックはその銃でバッファローを追い詰める。
そして、最後はアニーがバッフォローの汚いやり方に嫌気がさして、裏切り、銃で撃ち殺す。
町を救い、ロックたちはエルドラドへと旅立つ。
しかし、町の外には巨大な軍隊が待ち構えていた。

ロックたちはエルドラドに向かう険しい山中にいる。
ロック、キャロル、ドイル。パットとアニー。途中で出会った案内役のフェルナンド、学者のサマリー教授。
軍隊はなぜか、撤退し、彼らを襲うことは無かった。
軍隊を指揮する元大統領ヘイズ。彼の側近、ウィーラーは、エルドラドの財宝を国家が独占するべく、ロックたちを亡き者にするつもりだった。しかし、チブチャの生き残りを名乗る女性がヘイズの下にやって来た。彼女の名前は、酒場の歌姫、シャロン。
シャロンは、ロックとキャロルをエルドラドへ向かわせ、エルドラドの財宝である、魔法の力を持つ世界樹までたどり着かせ、そこで、自分たちがその力を手にする計画を考えているようだ。
それでも、簡単にエルドラドへは向かわせない。
傀儡子や妖艶なアサシンを、ロックたちに送り込む。
そんな中、キャロルは不老不死の能力を世界樹から得ていて、さらには地図を護る者として、その背中に地図が刻まれていることが明らかになる。
不気味な女。キャロルは、そう言って、皆の下を飛び出す。追うロック。
キャロルは湖にいた。自分が一番好きな風景。
その風景を、200年以上、姿が変わることなく生きてきた中で、初めて好きになった人と一緒に眺めたかったらしい。
今、世界は世界樹の力を間違って使おうとしている。だから、世界樹を燃やさないといけない。この世から魔法を消す。キャロルはロックに願う。最後の魔法使いをあなたが殺して欲しいと。
湖からエルドラドの守護神、ヴァルキリーが現れる。ヴァルキリーは問う。エルドラドに向かうことで、生み出されるであろう残酷な運命に何を持って立ち向かえるのか。
ロックは覚悟だと答える。
エルドラドは二人を招き入れてくれたようだ。
サマリー教授とフェルナンドが行方不明に。血の付いた服や靴が発見。
犯人は。アニーがパットに銃を向ける。ずっと怪しんでいたらしい。ビリーも彼が殺した。パットはアニーの弾丸を受けて、滝へと落ちていった。
仲間の死、裏切りを経験しながら、ロックたちは遂にエルドラドの森へ到着する。
そこには軍隊、ヘイズが送り込んだ数々の暗殺者たちが待ち構えていた。
ロックたちは、ドイルに全てを託す。元々は、ドイルのエルドラドへの信念が皆を動かした。世界樹を燃やす。その役目として適任だ。
ドイルは走る。そして、宮殿に到着。
世界樹を護る者たちに、試練を与えられる。仲間を一人差し出せ。人間にとって一番簡単な試練。かつて、ここに来た人間たちは皆そうだった。
ドイルは抗う。仲間は見捨てない。でも、諦めもしない。それが自分の答えだ。そう、力強く答える。
世界樹への扉が開く。世界樹は、ドイルを認めたらしい。
現れる世界樹。
そこにヘイズたちがやって来る。さらにはロックたちも戦いを潜り抜けて。
シャロンは、この世は不公平だと言う。だから、魔法の力で強くなる。その力は、国のためでも、皆のためでもない。全ては自分のためだと。
王族の血を引かないシャロンは、恐らくエルドラドで悔しい想いをしたことがあったのだろう。でも、そんな不公平はどこにでもあることだ。ドイルだって、好きだった女性に貴族じゃないという理由だけで捨てられたりしている。だからと言って、魔法で得た力は、本当の自分の力じゃない。
シャロンはヘイズを利用して、世界樹の力を独占するつもりだったようだ。さらには、バッファローも利用して。そのバッファローがさらにパットを利用していたらしい。
バッファローが現れる。死んでいなかったらしい。アニーと一芝居うったようだ。そして、アニーに命じる。皆を撃ち殺せと。
アニーは皆に銃を向ける。しかし、一緒に過ごした時間を想うと撃てない。そこに、パットが現れる。バッファローの首にひもをかけて絞殺。
ロックは世界樹を燃やす。
どうして気付かなかったのか。世界樹が消えれば、その魔力は失われる。キャロルは、200年の不老不死の力が無くなり、みるみると歳をとる。そして、ロックに言う。最後の魔法使いを消してと。
ロックは銃を抜く。もう、自分にもあの特殊な力は無くなっている。そして、引き金を引く。永遠の眠りにキャロルをつかせるため。
銃声。ロックはキャロルを抱えて、燃え盛る炎の中、消えていく。ドイルはただ、ひたすら彼の名前を呼び続けるだけだった。

全てを語り終えたドイル。
彼の目の前には、今、あの時、共に旅をした仲間たちの姿がある。
ロックとキャロルも、あの時のままの姿で待っている。
年老いて、人生を全うしたドイルは、かつての日々を頭に描きながら、笑顔で皆の下へ歩み出す・・・

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コメント

SAISEI様

フライヤーなどに書かれていたあらすじから西部劇ものかと。西部劇ものは劇団天八『カラミティ・ジェーン』,Cheeky☆Queens 『アタシたちには明日しかない』に続き2作品目なのでそこと比べることになるなあ,と思ってました。劇団天八『カラミティ・ジェーン』は史実に近いかもしれないが盛り上がりがなく西部劇ものではCheeky☆Queens 『アタシたちには明日しかない』が個人的には最高峰なのでどっちに軍配が上がるか楽しみにしてました。しかし。。西部劇ものではないんですよね(笑)

また現在の劇団ショウダウンに大人数の役者陣を統率できるかどうかも疑問でした。

3時間の作品でしたが時間が経つのが早かった。前半はやや役者さんの呼吸が合わなかったり,という場面もあったしイマイチかな,と思うところもありましたがナツメさんの壮大な物語に首根っこを掴まれて捩じ伏せられた感じの3時間(笑)

ただやはり詰めが甘い,と感じたのも確か。公演中に進化している,といえば聞こえはいいですが初日にベストを持ってくることができないなあ,とは思いました。伸びしろがありすぎる(笑)

今回は個人的には林遊眠さんがそこまで際立った感じはしなかったかな。可愛い感じの役でしたね。可愛すぎるんじゃないか,と思ったり。

印象に残った役者さん

私が声量のことを書くのは毎度のことですが(笑)次のお二人が声量が凄かった感じ。

●加東岳史(劇団GAIA_crew)さん…出てきはって台詞を聞いた瞬間,知らないお顔だったということもありますがこの方が劇団GAIA_crewの方だろうな,と直感でわかりました。

●升田祐次(遊人A)さん…出番が多かった方の中では一番魅力的な感じがしました。

昨年の『パイドパイパー』と今回くらいしか大人数のものを拝見してないのですがナツメさんのくせなのか後半人ならぬもの(神的な存在)が出てくるな,と。そこが少人数の作品との違いに感じました。映画的な感じなんですかね。

投稿: KAISEI様 | 2016年9月 5日 (月) 14時23分

>KAISEIさん

西部劇と冒険ファンタジーを巧いことまとめたかなといった感じですかね。
世界観がしっかりと感じられるので、舞台への惹きつけが強く、観させる力に長けている印象が残ります。
壮大な物語を、一人芝居や少人数の世界で、かつ、こうした多人数のエンタメ舞台でも魅せることが出来る力ある劇団も少ないと思うので、これからもこの独自路線で大活躍して欲しいものです。

投稿: SAISEI | 2016年9月 5日 (月) 23時39分

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