カゲロウのような夏の日を、シャボン玉にうつる華の燈を【ステラポンテ】160821
2016年08月21日 カフェ+ギャラリー can tutku (90分)
話があっさりし過ぎていて、言葉がちょっと悪いですが幼稚臭いってところはありますが、けっこう好きな感じではあるかな。
ひと夏の思い出。
何か分からないけど、一生懸命な人がいて、その人に巻き込まれるかのようにワイワイとやった時間。もしかしたら、自分がその一生懸命な人だったのかも。
何を得たのか、自分の人生の何かの分岐点になっているのかなっていないのか。でも、不思議とあの時のことを思い起こすと、また頑張らなあかんなとか思える。
そんな時間って、けっこうあって、でも、どこかにいつの間にか隠れてしまって。そんなしみじみと思い起こす時間も無く、日々流れる時間に乗っているだけで精一杯になってしまうんだけど。
そんなノスタルジックな空気を楽しむ、心地いい時間だったように思います。
ちょっと頼りなさそうな感じで飄々としている、少々、医師として不安を覚える院長先生。
病院のルールが絶対の、冷徹な鬼と患者から恐れられる婦長。二人のしもべ、いや看護師を従えて、病院業務に務める。
そんな病院に食中毒で入院している夏美、24歳。学生時代は陸上に勤しむものの、怪我で引退。と言っても、深刻なものではなく、それ以後も趣味で楽しむ程度に陸上を続けている。そんな陸上以上の今の趣味は食べること。こんな感じなので、今は彼氏募集中である。
同室の入院患者。
女子高生の咲。明るく元気いっぱいの若さに溢れる。病気も熱中症と若さを感じさせる。少々、考え無しに言葉にしてしまうのか、本人が気付かず毒を吐いてしまうことがある。
29歳のいつき。同じく明るく元気だが、こちらはアルコール依存癖による、おっさんの陽気さって感じで、やはり歳を感じさせる。
世間知らずのお嬢様、レイラ、24歳。高飛車な態度を振舞うが、こうして同世代の人と毎日、過ごせるのを実は楽しんでいるみたい。いわゆるツンデレってやつだ。病気は何か恥ずかしいものらしい。
病室では、いつも、今、流行のドラマを、登場人物になりきって再現するドラマごっこ。と言っても、この病院、婦長方針でテレビが禁止。夏美の幼馴染である考太郎が録画したDVDを持ってきてくれる。下着や、部屋にあるものなんかも持って来させるので、皆は二人の関係を怪しむが、夏美はあくまで幼馴染だと言い張っている。
夏美、いつき、咲、さらには二人の看護師まで巻き込んでの熱演。それをレイラが、本当は仲間に入りたいのだが、うるさい、ここは動物園かと悪態をついて、夏美といつきとケンカになり、それを咲が諌める。婦長が調子にのる看護師を叱りつけ、院長が見て見ぬ振りなのかブラブラしている。そんな病院の日常。
ある日、新しい患者がやって来た。女子高生の華。
皆は華を歓迎し、友達になろうとするが、華は心を開かず、自分の殻に閉じこもろうとする。
咲が夏美にアクセサリーをプレゼント。他のみんなの分も作製中。もちろん、華にもあげると言うが、華はこんなの友達ごっこだと拒絶。言い過ぎだとたしなめる夏美の手を振りほどこうとした時に、アクセサリーが落ちて壊れてしまう。
夏美は思わず、華をビンタ。華は病室を飛び出してしまう。咲も落ち込んで、病室から消えるように去っていく。
院長曰く、華は今、心を閉ざしてしまっているらしい。いじめ。と言っても、新しい父親の苗字がある芸能人と同じで、それをいじられることで、勝手に自分を疎外するようになった感じみたいだが、本人にとっては深刻なことなのだろう。
夏美は自分がしてしまったことを悔いて、考太郎に相談する。
考太郎は、昔、夏美とケンカをした時のことを話す。考太郎は気にして、仲直りをどうするかなどと悩んでいたが、夏美はある日、あっさりとお揃いのアクセサリーをプレゼントしてくる。仲違いをしていたことがバカらしく思えた。
それがきっと夏美のいいところ。夏美は、いつも自分らしくしていれば、周りはきっと幸せになる。そんな考太郎の優しい言葉に元気付けられる夏美。
夏美は、華の誕生日が近いので、サプライズパーティーをしようと考える。
いつきとレイラは、華の態度にまだ怒っているが、何とか説得して、一緒にサプライズパーティーの準備。
咲は、まだ落ち込んでいるようで、一人、こもってしまっているみたい。
準備の最中、華が病室にやって来てしまう。
華は、自分抜きで、パーティーをしようとしていたのだろう、私が邪魔なんだと勘違いして、病室を出て行こうとする。
それをいつきが止める。
ウジウジと悲劇のヒロイン気取り。自分で勝手にいじめだと、殻に閉じこもって。
いつきは、自分のいじめの話をする。
サバサバした姉御風の性格。いじめなんか許せないと、いじめられていた子をかばい、いじめっ子に立ち向かう。気付けば、自分がいじめのターゲットになっていた。今でも、ふとした時に思い出す。そんな時に、酒を飲んでしまうと。
華が、これが自分の誕生日祝いだということに気付く。
みんな自分のことを考えてくれていたのに、勝手に自分でそれを拒絶して、孤独だと思い込んで。
咲が病室にやって来る。そして、華にアクセサリーを渡して、華の気持ちも考えずに勝手にプレゼントをしてしまったことを謝る。
謝るのは自分の方だ。華は咲に謝る。皆にたしなめられる。違う。華が咲に言わないといけない言葉はごめんなさいではないだろう。
ありがとう。
病室でパーティーが始まる。
雨降って地固まる。
華はすっかり皆に溶け込んだ。歳が同じ、咲とはすっかり仲良しコンビに。
病院は夏なのにインフルエンザが流行り、外出禁止令が出る。これでは、夏の祭り、花火大会にも行けない。
夏美が風邪をひいたのか、咳が出て、調子が悪い。
皆に心配されて、院長先生のところへ。
そこで、院長先生と婦長が深刻な表情で会話。余命3日。あんなに元気だったのに。
自分のことだと思った夏美はショックを隠せずに病室に戻り、皆に別れを告げる。
仕方がない。でも、こうなった今、自分の中で大切な想いに気付いた。考太郎のこと。
しばらく出張で会っていない。会いたい。私は彼のことが好きだ。
会いに行けばいい。外出禁止令。そんなことどうとでもなる。皆が揃って口を開く。
病院のペンタゴン並みのセキュリティーシステム。その開発会社はレイラの父親の会社。どうにか止めることが出来るはず。院長と鬼の婦長は、皆で協力して、巧く騙す。
かくして、脱出作戦が実行される。
数々の困難を乗り越え、院長と婦長との最終決戦。
皆は夏美を先に行かせ、院長と婦長との対決に臨む。
院長が皆を外に行かせる。
規則を破ってと怒る婦長に院長は、若さっていいじゃないかと答える。
婦長も思う。もう自分が大人になって忘れてしまった心をあの子たちは持っているのかも。
何でもがむしゃらにひた走る。すっかり忘れてしまっていたけど、夏美たちを見て、少し思い出した二人。
本当は消えてなんかいない。今でも心の奥底に眠っている。いつだって、あの頃の気持ちは取り戻せる。
二人はあの頃に戻る。まだ若かった二人。院長に告白する婦長。仕事が忙しいやらで、すっかりそのままになっていた。今、返事をしよう。院長は婦長に自分の想いを伝える。二人は、時を経て、今、結ばれる。
夏美は考太郎の下へ。
夏美は自分の想いを伝えることを躊躇する。
花火も終わったようで、場の空気も冷めてしまった。
このまま終わりかと思った時、花火が再び上がる。レイラのお金と権力。それだけでは決して無い。みんなの夏美への想いが込められている花火だ。
夏美は全てを考太郎に伝える。
そして、昔、仲直りした時に渡したお揃いのアクセサリーの自分のものを、たまに思い出してと渡す。あなたのことが好きです。
考太郎は、そのアクセサリーを受け取らない。だって、同じものをずっと肌身離さず付けているから。夏美は全く気付かなかったようだが、ずっとネックレスにしていたみたいだ。
駆け付ける皆。
夏美と考太郎は抱き締め合う。
院長と婦長が、申し訳なさそうに口を開く。
あの余命3日って、夏美のことじゃないんだけど。
院長と婦長も流行りのドラマごっこをしていたらしく、そのセリフだったらしい。
だいたい、食中毒で入院して、いきなり余命3日になるわけがなかろうに。
夏美と考太郎はもう一度、抱き締め合う。皆の笑顔に見守られながら。
夏美が急に退院。皆には黙っていたらしい。そう言えば、もったいないからと差し入れの食べ物を朝から、全てたいらげていた。
お別れは寂しいが、仕方がないことだ。
みんなも、いつかはここを退院して、元の生活に戻っていくのだ。そして、自分も。
すっかり自分の殻に閉じこもって、ありとあらゆることを否定して、荒んだ時間を過ごしていた華。
今は違う。夏美をはじめ、皆と出会えたから。私は、この一時の夏の日を、ずっと忘れることはないだろう。
考太郎が夏美を迎えに来た。
ありがとう夏美。みんなの笑顔に見送られて、夏美は去って行く。
しばらくして、新しい患者が来た。
何でも、食べ過ぎてお腹を壊したという女性。その顔は皆がよく知る・・・
話として好きなのは、人を善意で見詰めることが出来る人たちが揃っているからかな。
すぐに人と仲直り出来てしまうような人って、基本的にその人のいいところをいつも見ようとしているからなのだと思います。夏美はそれが出来る子のように感じます。
それは夏美だけでなく、その表現の仕方が個性的なだけで、他のキャラもみんなそうであるようです。
そんな善意の塊のような空気の中にいれば、華のような病気はすぐに治りますね。今の自分がバカらしく思えてしまうのではないでしょうか。
この人のこんなところが嫌。そんな嫌になる自分が嫌。この負のループに陥ってしまうよりかは、そりゃあ、この人のこんなところが好き、人を好きになれる自分が好きって感じのループの方が素敵ですもの。
実際は、好きだけど、素直にそうは言えない、きちんと伝えるべき言葉を知らない、酒のテンションで誤魔化す、厳しい態度で防御壁を張るとか、人だから色々とあるのでしょうが、やっぱり、気持ちが通じるものは通じているように思います。
通じ合っていることに本人が気付かなかったりもして。
そんなめんどくさい人間だけど、だからこそ、こうして、繋がり合えるきっかけや、その時間を愛おしく思えるように感じます。
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コメント
SAISEI様
これは完全にノーマークでした。某劇団のブログに某役者さんが記事にされてまして。DFGにも揚がっていなかったですからね(苦笑) 確か。。
Team Lunaの方も出演されてたんですね。火ゲキで観た『カルディアの鳴る頃に』来年上演楽しみにしてるのですが。。前にSAISEI さんの記事に粗筋をコメントしたのかな。。
投稿: KAISEI | 2016年8月24日 (水) 00時34分
>KAISEIさん
最近はチラシでチェックして、漏れをDFGさんに頼るみたいな感じだから、私もたまたま知っていたみたいですね。
ご出演の方々が、けっこう過去にも拝見したことがあるのと、Team Lunaの黒崎さん脚本に興味があり。
まあ、爽やかさと温かさのバランスがとれた素敵な作品だったと思います。もう少し深く突っ込んで欲しいなというところは多々ありますが。
投稿: SAISEI | 2016年8月27日 (土) 19時41分
SAISEI様
フライヤーをほとんどといって良いほど見なくなった私とは違いますね(笑)
こりっち基準→DFG補完ですから(笑)
あとは学生劇団はホームページチェックですかね。
投稿: KAISEI | 2016年8月27日 (土) 21時43分