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2016年8月15日 (月)

アワーベイビー【三好大貴プロデュース】160814

2016年08月14日 インディペンデントシアター1st (70分)

はあ~っ?
全く納得できない、同調できない話にびっくりしました。

と書くと、完全否定的な感想のように見えてしまうのでしょうが、作品としては心震える面白さを感じるものでした。
自分の考えと異なるのは面白くない理由にはなりませんから。空気とか感覚が合わないとかは、その理由になるのでしょうが、この作品というか、4人の役者さんの心情を真摯に込めた、程よく息を抜き、それでも、熱情的な想いが潜む迫力ある丁寧な演技に心惹かれたってところでしょうか。

話としては、彼氏の友人と浮気した女が妊娠する。友人には彼女がいる。そんな男女4人が、お腹の中にいる子供と共に話をするという設定です。
観る者の男女の性差、家族構成、宗教観、ジェンダーとセックスへの捉え方、浮気に対する考え、結婚の意味合い、親になることへの責任の捉え方、同経験の有無などなど、様々な観点で、見方も異なり、この作品で描かれる一つの結論が異なるものであることは当たり前かもしれません。それを否定する必要もありませんし、そんな考え、より良き導き方もあるのだろうということでしょう。
だから、個々のキャラやシーンに関して考えるのは言葉尻をとってしまうような感じで、あまりいいことでは無いような気がします。これをすると幾らでも、いいこと言った、こいつ最低だなとか、キリが無くなってしまいます。
全体として、何を感じるのか。
それは、この作品の場合、命の尊さだと思います。

基本的に上記設定で、会話の中に、ある言葉が一切出てきませんでした。堕胎。この中絶に関しても、色々な観点からの是非があるのでしょうが、ここでは、命ありきで、私たちがどうするかを考え、未来を導こうとした姿を描いたということになると思います。
作品中にも言葉として出てきますが、生まれたらいいわけでもなく、そのまま生きていればいいわけでもない。人を育てるという、愛を与えていかなくてはいけない。それは、生まれる前から、そうであり、生まれた時点で、既に愛されていた状態でなくてはいけない。
これを考えられるのが親なのかとも感じます。
4人は、皆、誰かを愛し、愛される人であると同時に、一つの命を通じて、人の親になろうとして、これからを考えているように思います。
そう、考えることが出来たのは、自分たち自身がきちんと人を愛し、愛されることが出来ているからなのではないかと感じます。
愛を知るから、生まれてくる命に愛が与えられるのを当たり前だと思い、そのために全力を尽くすことが出来る。それが、人の愛の繋がる姿のように見えます。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は本日、月曜日まで>

彼女の誕生日サプライズ準備をする男、光樹。
チャイムが鳴る。彼女が帰宅したと思いきや、やって来たのは友達のカップル、寛也と采花。
何か話があるらしいが、二人はなかなか話し出さない。
見ての通り、サプライズ準備中。彼女の和季が帰ってくるまでに何とかしたいからと、光樹はせかすが、二人は黙ったまま。また出直すと言い出す。
せっかく来たのにそれは寂しい。一緒に誕生日を祝ってやって。和季も会いたがっていたから。
そんなことを言う光樹に、采花は意を決して妊娠したことを伝える。
光樹は大喜びで、二人を祝福。そして、自分も今日、和季にプロポーズするつもりだと。念入りに調べ上げたゼクシィを手にしている。
W挙式にしたらどうだろうか。友人スピーチなら、お任せを。
はしゃぐ光樹に、今度は寛也が口を開く。
俺の子じゃないんだ。
妊娠3ヶ月。寛也は5ヶ月出張に行っていた。このまま何も知らない振りをすればいいのか。計算してはいけないと思いながらも、どうしても無理だった。采花を問い正した。
覚えがあるはずだ。お腹の子供は、光樹、お前だ。
完全にパニックになる光樹。
チャイムが鳴る。今度こそ、和季だ。

こういうことは隠していても仕方がない。
和季に話して、4人で話し合おうという寛也を押し切り、光樹は寛也をソファーの下、采花をトイレに隠す。
和季が入って来る。サプライズは大成功。
続いて、プロポーズ。和季は幸せ過ぎて、泣いている。
和季が寛也に気付く。寛也は、とりあえず、自分もサプライズの一つのように振る舞って誤魔化す。
早く言えと光樹に促す寛也。
寛也は、意味無く、和季にスムージーを作らせたり、野菜スティックが食べたいと料理をさせたりして、時間を稼ぐがうまくいかない。
クソ不味いスムージーを飲まされ、セルフサービスだと、大根とまな板、包丁を机の上に置かれる。
寛也は、まずは誰かから聞いた話として、和季の反応を確かめる。友達の彼女を妊娠させた男。その男の彼女だったどうする。和季は、息子を切って、風船にくくりつけて飛ばすと。机の上には包丁、部屋にはサプライズの風船がいっぱいだ。

寛也からもせかされ、光樹は、采花がそんな妊娠をしたことだけを話す。
寛也がそれを受け入れようとしていることも。
和季は寛也に別れないのか、そんな人と一緒に暮らしていけるのかと否定。
寛也はダメかもしれないが、諦めたくない。采花も子供も受け止めて、本物になれるような気がすると答える。
トイレから音。
止める光樹を押しのけて、和季はトイレに。
采花を捕まえて戻って来る。
トイレの女神様だと誤魔化す訳にもいかず。
采花はよく聞こえていなかったが、全てを和季に話したと思っている。
しかし、どうも和季と話が噛み合わない。
采花は、光樹に迫る。今、言うのと、後で言うのでは、どっちが残酷なのかと。
何も言えない光樹。その姿を見て、和季は全てを悟る。
和季に声をかける采花に、包丁を突き付ける。
和季は完全に全てを否定した状態に。

光樹は、この4人とお腹の中の子供と一緒に暮らしたいという提案をする。
寛也と采花はうまくいかない、続かないと思っている。人を育てるのだから、ダメでしたでは済まされない。
寛也も受け入れると言っているが、受け入れられていない。
子供は生まれて、生きていればいいわけではない。愛を与えないといけない。
そんな言葉に寛也も和季も拒絶するが、采花は心を開く。
寛也は確かにきっと無理なんだと思う。寛也はちゃんとしてくれるのだと思う。結婚も寛也としたい。でも、親子に家族となると、無理なのだと思うと。
寛也も、そんな采花の言葉を冷静に受け止め、今の自分をもう一度見詰める。
すると、光樹の提案に少し納得できるところを見出したようだ。
光樹が和季に変わらぬ想いを伝える。好きになった方が負けとはよく言ったものだ。
和季は采花に近づき、彼女に手を差し出す・・・

上記したように、ツッコもうと思えば、本当にいくらでも。
それぐらい、自分と異にする言動がたくさんあります。
全てが正しい訳でもないでしょうし、上手くいかないこともあるのでしょう。
それでも、そうして、良かれと真剣に考えて、寄り添って想いを寄せてくれた積み重ねは、人を豊かに成長させるのだと思います。

冒頭のシーンは何だったのかな。
ここでは寛也は我が子を笑顔で愛でて、和季は子供を産もうとし、光樹はそんな和季に寄り添う。采花は、本当は産みたくないとお腹の大きな体で叫ぶ。
自分の血の繋がりがある子を愛する。好きな人の子供を産み、それを受け止める人がいる。そんな中で孤独な女性は、新しい命を産み出せる気にはなれない。
そんな残酷な姿が浮かぶようです。
こんな未来もあり得たのでしょう。でも、4人は、新しい命が安心して生まれてこられる、彼ら彼女らなりの最善の策を見出した。
自分たちの想いを、自分たちの欲望を満たすために向けるのではなく、生まれてくる新しい命に向けて、未来を導こうとした。
最後に、命の尊さを慈しみ、そのための覚悟を決めた力強さを思わせる最後のシーンをより打ち勝ったと強めるようなものだったのでしょうか。

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コメント

SAISEI様

結局行けず。残念(>_<。)

最初、高安さんが出演されているので興味。今年2月の『愛のメソッド』の劇中劇「奇跡の人」でヘレン・ケラー役を好演。ダンサーではない役者としての可能性を感じたからです。

ただ価格を見て躊躇。

1stで3,000円は高いですね。勿論使用料等わかっているので仕方ないと思うのですがそれならもう少し綺麗でないと。ABCホールやHEPホール、近鉄アート館ならともかく3,000円は小劇場では1つの大台ですよね?(笑) とよく観劇されている方に言うと2,000円がいいところ、と(笑) 私はカフェ公演なら2,000円以下、2,500が1stの劇場としての適正価格かと(笑) ある劇団の劇団員の方も他の公演の時に1stで3,000円は高いですね、と言われていたのでまあそうなんでしょう(笑) ライトアイがやってるから高いのか? 劇団PATCHの子がやっているから高いのか? 観たかったんですけどね。

上演時間1時間で3,000円はボルなあ、と(笑) ムダに時間伸ばして駄作もイヤですが1時間半はやらんとあかんわな~ 価格的には。前回公演『オンタマジャクシ』だったかな。。もフジハラビルで3,000円だったんですよね。劇団PATCHに胡座かいてるな、と思って他公演やハシゴの関係で見送ったはずですが。。

過去1stで3,000円で満足した公演は劇団競泳水着くらいかなあ。2回とも満足してる。あの時もライトアイが絡んでいた気が。。

ライトアイが絡む公演は間違いないとも言えるけど価格は高いとも言える。

今回は費用対満足度はどうだったのか気になる次第。

脚本のかまとと小町の高道屋さんも気になってました。

投稿: KAISEI | 2016年8月16日 (火) 22時45分

>KAISEIさん

結論から言えば、あくまで私見ですが、費用を気にされているのでしたら、観逃しで正解だったかも。
話は記したとおりで、けっこうありがちなシチュエーションのありがちな話。
こういう考えもあるはなあと、それほど感銘を受けるものではなかったというのが正直なところ。
命を見詰めようとしている感覚は嫌いじゃないですが。

ただ、役者さんの熱演はすさまじく、ファンならその姿を目に焼き付けたいといったところはあるでしょう。

投稿: SAISEI | 2016年8月23日 (火) 14時58分

SAISEI様

いや、予約はしたんですよ。千秋楽に。その前にお金を使いすぎて財布の中がスッカラカンに。で、実家に法事に行ったのですがキャッシュカードを持っていくのを忘れて。。会場までは行けるのですが入場料が。。電話して後振込で行けるか訊いたのですがムリとのことで(笑)

ミジンコターボの例のDVDライトアイから送ってきたので融通きくかと思ったんですけどね(笑) 人の金は杜撰に扱うけど自分の金は無理みたいですね(笑) ちょっぴり嫌味(笑) ま、今回は私が悪いんですけどね(笑)

投稿: KAISEI | 2016年8月24日 (水) 00時04分

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