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2016年8月 9日 (火)

ここも誰かの旅先【空晴】160809

2016年08月09日 HEP HALL (90分)

勘違い、すれ違い、嘘、秘密・・・
部屋、押入れ、外とを繋いで繰り広げられる、王道のワンシチュエーションコメディ。
その中で、いくら勘違いしていても、その誤解は解けるし、いくらすれ違っていても、必ずぶつかり合って対峙する時が来る。嘘は、それが相手を思う優しいものだと分かるし、秘密はその真意をきちんと伝えた上で暴かれる。
最終的には、バラバラになっていても、一つにまとまる。いや、まとまってしまうものなんだ。家族ってやつは。
そんなことを温かく描いているような作品でした。
この劇団は、ここ何回か観逃してしまっていましたが、変わらないほっこり具合と、観終えて爽快、心地いい感覚を久しぶりに味わえて満足。

<以下、あやふやなあらすじですが、ネタバレにはなると思います。公演は大阪を終えて、東京、札幌と続きます。白字にはしていませんので、ご注意願います>

独身の中年男、藤堂が1DKのアパートに引っ越してくる。
何も無い部屋。1階だし、少し古いが、まあ一人で住むには十分。最近は流行の民泊も始めたのだとか。
引越し業者の手配ミスで、荷物は明日届くことになっている。電気もまだみたいで、備え付けのクーラーは動かない。
それでも、新しい生活の始まり。まだ、カーテンのついていない窓を開けて、外を眺める。
何か、事件でもあったのか、サイレンが鳴り響いている。
押入れの奥にある火災報知機を確認。
その隙に、仁がやって来る。
工務店の男もやって来て、頭を下げながら、58000円を請求してくる。
仁は何のことやら分からない。工務店の男も、自分のことをはっきりと名乗らないし、そのお金が手違いで不足しているお金だということもしっかりと説明しない。
仁は、怪しげな風貌のその工務店の男を疑いの目で見る。
ふと男の携帯を見ると、見覚えのある女性と藤堂が一緒に写った写真。これは強請りだ。外のサイレンも関係しているのではないのか。仁は、許せないと男の携帯を奪い、逃亡。男は仁を追いかける。

ずいぶんと騒がしいと、藤堂が押入れから出てくる。
みやがやって来る。途中、逃げる男を見て、追いかける男とぶつかったようだ。そこそこの歳だが、まだ小学生ぐらいに見える女性なので、飴をもらったみたい。
部屋を見ると、お金の入った封筒。
さっきの人の忘れ物なのではないか。追いかける二人。
ずっと様子を伺っていた男、東吾がやって来る。
また、工務店の男がやって来る。今度は違う男。早乙女と名乗っている。このアパートの管理会社の早乙女工務店の人みたいだ。
早乙女も58000円を申し訳なさそうに請求してくる。もちろん、東吾も意味が分からない。でも、藤堂が支払っていないならば、立て替えておこうとお金を卸しに出掛ける。

戻って来た藤堂とみや。
早乙女は親子かと思う。そして、58000円のことを説明しようとするが、テンション高い女性がやって来て、うやむやになってしまう。
女性は津喜子。藤堂のことをお父さんと呼んでいる。姉妹にしては似ていないし、歳も違う。しかも、二人は初対面みたいだ。
津喜子は、男を呼び出す。仁がやって来る。みやに怪訝な表情をされるが、しらを切る。津喜子は、このクソ暑い夏の中、コタツを持ってくるように言っていたらしい。津喜子は仁を、元旦那だと藤堂に紹介している。
複雑な事情なのだろう。多くは聞くまい。早乙女はそう思う。
そんな早乙女を仁は、早乙女工務店を名乗る詐欺師だと疑っている。
どうも勘違いがこじれまくっている様子。
藤堂は独身。もちろん、子供などいない。津喜子は会社の後輩。引越しの手伝いに来てくれている。そして、元旦那の仁を呼び出し、冬になったら絶対にコタツだと用意してくれようとしている。
みやは、この部屋の元住人。母と弟の3人で住んでいた。
よく猫が遊びに来ていて、いつも餌をあげていた。家族が猫アレルギーなので連れて行けなかった。引っ越してからどうしているのか心配で、たまにやって来てはかつおぶしを播いたりしていたみたい。その猫がしばらく顔を見せていないので、かなり心配している。
白黒模様、足は白い長靴を履いたみたいな感じの猫らしい。
何とか見つけてあげたいと皆が熱くなる中、津喜子は冷めており、コンビニに出掛ける。それでも、途中で見つけてくると一応、仲間に入る。
しばらくして、津喜子が戻って来る。本当に見つかったらしい。みんな、猫の元へと向かう。

東吾がお金を用意して戻って来る。
猫は違ったみたいで、皆が続々と戻って来る。
そこに、工務店の男もやって来る。
詐欺やら、強請りだという声が飛び交い、ぐちゃぐちゃな状況になる。
どうやら、最初に仁と出会った男と早乙女と名乗る男は兄弟らしい。ただ、本当に不足分のお金をお願いしていただけ。
いや、顔が似ていない、嘘だ。
その言葉で、また揉めそうになるが、早乙女が親が違いますからと平然と答える。
兄は驚く。このことはずっと隠していたから。
でも、弟は全く気にしていなかったようで、平然としている弟と、ずっと辛かっただろうと涙をみせる兄の温度差が見える。
仁も、変な写真を見て、気が動転したこともあったようだ。自分自身が新しい道へ、今、進もうとしているので、過去ときちんとけじめをつけたかったから。
これで、一件落着かと思ったら、押入れから男が出てくる。
白黒模様の服に、白い靴下。
猫の化身。
そんなわけなく、みやの弟、マルだった。
みやは、今、結婚を考えている。親に反対さると思っているのか、家族から逃げている。それを心配して、向き合って欲しいとずっと姉のそばにいたらしい。
早乙女が口を開く。猫だったら、2階のベランダにいる。赤ちゃんを産んでいる。
みやは、探している猫はオスだと言う。
本当にそうだろうか。今日のこの流れ。間違いだった、勘違いだったという完全な流れだと思うが。藤堂のその言葉に、皆は納得して2階へ駆け上がる。

間違い、勘違いの最後。
藤堂と東吾が二人っきりになる。
東吾にとって、藤堂は叔父となる。
東吾の父は亡くなった。家族を信じられなくなっている写真がある。
藤堂と母と自分が一緒に写って、笑顔いっぱいの写真。
藤堂は、東吾をたしなめる。
その写真は誰が撮っているのか。東吾の父親だろう。
だから、みんな笑顔なんだ。
ファインダー越しに、皆への想いが向けられているから、母も東吾も、そして、自分も笑っているんだ。
こんなこと、少しでいいから話しておけば、何の誤解も無かったのに。

言わなくていいこと、言わないと分からないこと。
分からないものだ。
人は自分の価値観、基準で、物事を決めて、口を閉ざしてしまったりするものだから。まあ、口がいっこうにふさがらない面白い人もいるけど。
だから、勘違いやすれ違いが起こってしまう。
でも、気持ちはいつも通じ合っている。それがきっと家族なのだろう。
そんな勘違いやすれ違いが、好きなだけ蔓延った今日。
みんな、互いのことを分かち合い、想いを受け止めあって、終えることが出来た。
明日は、荷物が届く。
引越しの手伝い、頼むぞ。
藤堂は、東吾に目を向ける。

と、まあ、こんな感じだとは思いますが、かなり違うところがあるでしょう。
書いていても、つじつま合わず、破綻してしまっているなあと思うところが多々あります。
もちろん、実際は違います。
よくもまあ、これだけ勘違い、すれ違いを散りばめておきながら、最後にまとめるなあと感激してしまうくらいの鮮やかさです。
人間関係も、きっと、これくらい、もしかしたら、もっと勘違いやすれ違い、嘘やら秘密やらが、真の気持ちと交錯しているのでしょう。
でも、きちんと、最後にはまとまりました。一つになりました。
それが出来たのは、技とかだけではなく、この劇団が人の想いを大切にする気持ちを真摯に抱いているからなのだと感じます。
人との相違、価値観の違いなど、逆にそれがあるからこそ、分かち合おうと結ぶつくのかもしれません。
何か気持ちが楽になって、嬉しくなるような感覚。
人のことを想いたくなる素敵な作品でした。

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コメント

SAISEI様

初観劇。

最初のほうはシチュエーションコメディっぽい感じでTHE ROB CARLTONの方が面白いかな,と思ったりしたのですが後半の甥(息子)が叔父と母親との関係を疑う場面,南河内万歳一座の河野洋一郎さん演じる叔父の台詞場面,会場の空気が明らかに変わったと感じました。ベテランの凄みを見せつけられた気分です。良いものを見せてもらった。

投稿: KAISEI | 2016年8月12日 (金) 18時48分

>KAISEIさん

ほっこり温かくて、かつ、しっかりと芯のある作品を創られるので、好きな劇団です。
何か、ここ数回、タイミングが合わず、観逃していましたが、やっぱりいいですね。
河野さんは素敵でしたね。あれがベテランの味ってやつですかね。

投稿: SAISEI | 2016年8月13日 (土) 12時11分

SAISEI様

皆さん、ホッコリという言葉を使われますよね。私はそうは。。

劇団伽羅倶梨の前回公演で初めてお話しした小池さんと次のような会話を。

私:「空晴観たことないんですよ。気になってるんですが」
小池さん:「8月上旬にHEPで公演するので是非」
私:「8月上旬は忙しくて。。行けたら行きます」

という会話をしていてこの前エレベーター下でSAISEIさんと別れたあともう一度HEPに戻ったんですよ。物販のところにおられた小池さんに近付くとすぐに気がついていただいて。覚えていてくださったことが嬉しかったです。5月下旬のことですからね。それもリップサービスかもしれない来るか来ないかわからん客を。感激でした。

投稿: KAISEI | 2016年8月17日 (水) 01時12分

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