三人どころじゃない吉三【少年社中】160807
2016年08月07日 近鉄アート館 (130分)
だいぶ前に観劇仲間から、凄くいい劇団だと教えていただき、DVDをお借りして拝見したことがある。
(http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/dvd-8ba8.html)
この機械城奇譚がなかなか良く、続いて借りた作品がネバーランド。
(http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/dvd-241e.html)
この迫力ある舞台を、いつか生で観たいなあなんて思っていましたが、ようやくそれが叶いました。
想像以上の魅せるエンタメ舞台で、素敵な役者さんの宝庫って感じか。
程よくコミカルさも交え、楽しく観ることを、凄く意識して創られている感があり、さすが、力があり、人気がある劇団は一味違うわなあと感じる。
ただ、どうも、今回の作品、何を伝えたいのかが分からず、観終えて、すごく消化不良な感覚が残ります。
一緒の時間を楽しむというエンタメ性は抜群ですが、どうも、この点が残念な結果。好みの問題でしょうが、私は作品の真意が読み取れないと、とたんに面白さが激減してしまいます。自分の読解力の問題は多々あるのでしょうが・・・
話は、ちょうど、この作品の原作とほぼ同じであろうものを、最近、拝見。
(http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2016/07/115-cbf9.html)
悲しいエンドを迎える、この作品を、お嬢吉三と、作品中で重要なアイテムとなる庚申丸の化身みたいな者が必死に、ハッピーエンドに変えようと、タイムリープを繰り返しながら奮闘します。
その奮闘たるや、相当な熱演で、本当にどうにかならんのかと一緒になって苦しむ感じになるくらいに、惹きこまれます。このあたりは、客席を引き込んで舞台を創る魅力の一つになっているのだと思います。
確かに、三人吉三は、かなりの負の連鎖で、どうしてここまで、業を背負わないといけないのかと、ちょっと腹立つくらいになります。ここで、どうにか出来ていたら、何とかならんかったのかと思う、その気持ちがそのままこの作品になったみたいで、少し嬉しい気持ちにはなります。
結局、ハッピーエンドになったようなのですが、ここがどうもしっくりこない。何か道の選択肢を変えたのではなく、業を背負わせていた、地獄の閻魔様自身も苦しんでおり、それを吉三たち自身に委ねて、世界を変えようとしたみたいな話になっています。
それに、もうみんな吉三になって、新しい世界にしてしまおうみたいな。
業は誰でも背負っており、その中でみんな懸命に生きている。そういう意味では、誰しもが吉三になり得る存在であり、そのことを受け止め、皆で助け合って、その業を封じ込めながら、幸せを掴む愛ある世界が、自分たちで創り上げられるのではないのかみたいなことなのかな。
辛さや悲しみが蔓延る世界は決して、神が人に与えているものではなく、自分たち人間なら必ずある負の心が生み出している。だったら、それは変えられる。何回でも、変えようとやり直してみて、その先にそんな悲しみや辛さを打ち消した、希望ある未来の世界を創る。バッドエンドに諦めるのではなく、それをハッピーに変えようとする力を持とうということを、吉三の作品を変えることで伝えようとしているようにも感じます。
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