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2016年7月

2016年7月30日 (土)

たゆたう【HPF高校演劇祭 堺西高等学校】160729

2016年07月29日 ウィングフィールド (65分)

人が持つ絶対的な、人を想える力が、必ず連鎖して繋がり合い、自分自身も、その周囲も、もっと言えばこの社会全体を幸せへと導くことが出来る。
辛さや悲しみは、この広い海へと、決して消えなくとも、流して薄め、たまに揺らぐ波と共に現れた時に想いを馳せながらも、希望を抱いて、今を前へと進んでいく。
そんな人間の持つ強い力と、そこから生み出される希望溢れる幸せな未来を、傷つき、悲しみを抱く若者が、自分たちの想いの繋がりを知ることで、それに打ち勝ち、希望の未来へと歩み出す、素敵な姿を感じさせる作品でした。

すごく好みの作品でした。
自分を否定してしまい、いつの間にか、その周囲の人も否定して、殻を作ってしまう。
でも、その否定は、人を想い、その力になってあげられない自分へのもどかしさや情けなさから生まれているようです。
人を想うから、そんな悩み苦しみが生まれてしまう。でも、それが人であり、人を求め、繋がり合いたいという純粋な気持ちなのだと思います。
そのことを分かち合って、自分たちのより良い未来を皆で考え、共に進んでいくことになる。
そんな人の優しい想いが、希望ある未来を生み出せることを信じる世界を、今、きっと様々なことで傷つき、悩み苦しみの中にいるのであろう若者が、素敵に描き出されています。

観たままの感想を記しておくと、やはり前半はぎごちなさが感じられます。
話の展開のテンポは心地よく、転換もスムーズで観やすい印象がありますが、どうもしっくりこないなあと。
後半、心情が積み重なると全く気にならなくなるだけに、序盤の惹きつけ方に何かしら巧い手法があるなら、もっと心惹かれて感動を生み出すのではないでしょうか。
気になるのは、前半は相手を見る眼差しがしっかりと向き合えていないように感じました。キャラの把握、話の設定の理解にウェイトがあり、観る側の問題もあるのでしょうが、会話が、単なるセリフのやり取りといった前半から、心の通じ合いを感じさせる後半になっているようなところの一つの理由のように思っています。
まあ、こんなことは、一応、講評委員なので、素人ながらも少しでも技術的なことをと考えながら観ているので、残したメモをそのまま書いているだけです。的外れはご容赦願いたい。
本当のそのままの感想は感動しましたでいいのかと思います。
一番後ろの席で見ていたので、誰にも気付かれていないはずです。
最後の方で、少し泣いて、声が出そうになったのを咳でごまかしたことは。

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2016年7月29日 (金)

悩殺ハムレット【HPF高校演劇祭 北かわち皐が丘高等学校】160728

2016年07月28日 ウィングフィールド (90分)

この作品は、本家の柿喰う客で拝見している。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/111007-4db6.html)
その迫力に驚いた作品だ。
そんな作品を高校生が演じる。
まず、現代口語にされたセリフは、日常の生活で恐らくそのまま使っている高校生の方がより自然で、それがこの作品の特徴であるリズムあるテンポのいい展開に繋がるのではないだろうかと。
ノリの良さも、偏見かもしれないが、今の若者はお得意とするところだろうと。
そんな、観る前のイメージを勝手に持って拝見。

観終えた感じは、あくまで本家と比べたらの話だが、まず全体的にスピードが緩めか。
リズムやノリも若干おとなしめであり、演じること優先で、舞台で思い思いに弾けた姿を見せるまでの余裕が、一部の方を除いて、無いような印象を受ける。
ただ、この点は、個人的には、私の感覚では、少し無骨な感じの方がハムレットのイメージには合う。
悩み苦しみ、立ち止まり。悪く言えば、ウジウジしている、葛藤するハムレットの姿は、洗練され過ぎて、テンポのいい背景はあまり合わない。
それよりも、悩む中で、必死にぎごちなくも、前へ進んでいる感じ、遊び幅が無いから、自分を、相手をとことんまで追い詰めてしまうことで、引き起こされた悲劇、一王子としてのプライドを持ち、虚勢を張って懸命に自分を表現しようとすることへの皮肉めいた面白さが引き立って良かったようにも思う。このあたりは、演じるハムレットの魅力の醸し方が大きく、実に実直で朴訥な、きっとシェークスピアの姿と同調したハムレット像が浮き上がっているのではないかと思う。

本家と同じである必要などはもちろん無く、この高校での悩殺ハムレットを観れたことは、総じて満足に値すると思う。悲劇性、それも愚かな人の業が招いた悲劇の感は、強く表現されているように思う。本家と違って、不満を感じるのは、そんな話の中にでもあるエンタメ的な、楽しさだと思う。いっぱいいっぱいの中で、遊びの空白を入れようとしているような感じがあり、どうしても、不安感が出てきて、安心した観劇がしにくい。
あと一点、どうにも気になり、この感想を書く前に、本家のDVDを早送りだが見直した。シーン転換の止まるところが中途半端な人がいる。
この作品は、けっこうシーン転換がたくさんあり、そのたびに、役者さんは止まり、主要キャストの次へ繋がる表情を楽しむという魅力があるように思う。
シーン転換で止まっても、なぜか、連続性を本家はDVDでも感じる。今回、拝見して一番思ったのは、止まるたびに、本当にいったん止まって、いったんリセットされてしまうような感覚になるところかもしれない。もちろん、全てでは無く、前半よりも後半はノッテきて改善されたように感じるし、しっかりと止まっての魅力を魅せる方もいらっしゃりはするのだが。
メリハリというのか、動と静、緊張と緩和といった、演じるテクニックで解消できるならば、この点は明確にした方が、この作品は、話が比較的はしょって端的に進められるだけに、より惹きつけられやすい舞台を創り上げられるような気がする。

まあ、私は観ることしかしないが、柿喰う客を演じるのはきっと難しいのだと思う。観るのも独特の観方が必要だったりすると思うので。
それに挑戦して、話を理解させる、この作品の特徴である、現代口語やリズミカルな魅力を出せている点は、十分成功なのだろう。
多分、私もこの作品を初めて観ていたのなら、新感覚のシェークスピアを観たと手放しで喜んでいただろうから。

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2016年7月28日 (木)

熱海殺人事件 売春捜査官【HPF高校演劇祭 北摂つばさ高等学校】160727

2016年07月27日 ウィングフィールド (100分)

熱海殺人事件は、これまでオリジナル、モンテカルロイリュージョン、ザ・ロンゲスト・スプリングバージョンを拝見している。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/140601-c1a2.html
この作品は、オリジナルにほぼ忠実な感じかな。
女性を軽視した男優先社会をメインに、同性愛、在日朝鮮人問題なども絡めて、当たり前の感覚で見失ってしまっているのか、それとも見ないふりをしているのか、差別社会を言及しているようです。
その中で、差別される者が、どれほど踏ん張って、辛い思いをしながら生き抜こうとしているのかを見せて、それを軽んじる周囲の誤りを導き出そうとしているようです。

基本は4人だけで、舞台も取調室から動くわけでもなく、シンプルな場で、心情を蓄積していく熱い芝居を見せないといけない、恐らくは役者さんは挑戦してみたい作品なのではないでしょうか。
正直なところ、最初の30分ぐらいは、全体的なぎごちなさ、個のレベルでは、熱意とセリフの噛み合わなさなどが目立ち、まあ、はっきり書いてしまえば稚拙なところが多々あるなあと感じていました。
伝兵衛のキャラが目立ち過ぎて、独断場のようになっており、他のキャラが若干弱い。その勢いに飲まれて、ぶつかり合いの状況になっていないので、個々がただバタバタしているように見えてしまう。
セリフの噛みはまあ特に気にはならないのだが、言い澱みみたいなものは、その心の気持ちがストレートに吐き出されない何かがあるのかと思い、やや冷めてしまうところがある。
話の展開のテンポは悪くはないように思うが、どうも、キャラの特殊な個性を押し出すの精一杯で、心情が伴わない熱さや気迫だけがうごめく舞台に感じられた。

そこから後半、ラストに向けて、じわりじわりと良くなっていく。
一通り、登場人物のキャラ把握も出来て、劇中劇の中での、繊細な、かつ情熱に溢れる心情表現に注力できるようになったからだろうか。
ラストの方の、各々の独白は、人生の悲哀を浮き上がらせ、そこにある情念を狂おしいほどに表現して、心を震わせる巧みな演技も見られる。
故郷というか、親への愛情。ひいては、生まれてきたことに、尊さを抱いているような感覚が残ります。
このことは、どんな人でも同じ。
今、ある自分がどうであろうと、生まれて生きてきた尊さを否定することは、自分も他人も出来ることではありません。
差別や格差ある社会が、人を歪ませ、そんな尊さを否定し、傷つけ合わせようとするなら、原点に立ち返って、自分たちが本来、抱いている優しい想いに目を向けてみようというメッセージが感じ取られます。

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2016年7月26日 (火)

十二人の怒れる女たち【HPF高校演劇祭 大谷高等学校】160726

2016年07月26日 吹田メイシアター (90分)

感じとしては、これまで何回か拝見した、親の顔が見たいという作品のように、密室で、およそ相容れられなさそうな個性豊かな登場人物の、様々な意見が飛び交う中で、一つの真実に収束していくような姿を描いているみたい。

ある殺人事件の被告は有罪か無罪か。
与えられた証言と状況証拠から、その真実に迫る推理サスペンスのような話の展開に、観る者の心を惹きつけながら、個性あるキャラ設定をじわじわと印象付けていかないといけない。
場面転換が無いので、会話の掛け合いのテンポいい流れも重要。
被告の死刑がかかっている深刻な設定。堅苦しすぎても、息が詰まって退屈になってしまうだろうし、調子に乗って、笑いばかりを誘うコミカルを前面に押し出されても、真剣味が薄れてしまう。
この全体的なバランスを調整するのは、非常に難しそうだが、巧妙に創り上げているように感じられ、さすがの出来だと思う。
役者さんにとっては、きっと、独自のキャラを生み出す腕前を魅せるには、最高の作品であり、それをきちんと成し遂げているように感じる。

キャラが立ち過ぎなくらいだが、皆、現実に出会ってきた人を思わせるような設定になっており、自分も含めて、こうした人たちが集まって、人を裁くという陪審員制度における問題点が浮き上がる。
同時に、その議論の中で、自分たちの考えや経験がぶつかり合うことで、偏見や執着する考え、流されてしまいがちな人の意見に、何らかの制御がかかり、真実へと導かれることも示唆しているようだ。
こうした裁判だけに関わらず、疑問を口にして、様々な意見をもって検証することの重要性が感じられる。
自分の抱く真理は、絶対的なものでは無い。人の考えを受け入れることで、その真理の中にある囚われてしまっている部分の考えを見出すことが出来る。
それも見詰めた上で、なお、自分の心に刻み込まれている考え。それが自分の本当の主義、真理であり、それは流されることなく主張し、ぶつかり合えばいいようなことを感じる。

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僕たちの好きだった革命【HPF高校演劇祭 金蘭会高等学校】160725

2016年07月25日 吹田メイシアター (140分)

凄いな。
今年も講評委員をさせていただいている手前、もっと、何がどうだから、どう素晴らしかったみたいにきちんと書かないといけないのだろうが、これだけ突き抜けた素晴らしい作品を観てしまったら無理だ。
所詮、舞台を観ることはずっと続けているが、演劇作品を創るなどという経験は一度もしたことが無い。
だから、こんな凄い作品を創って、見事に公演できるんだ。しかも、高校生が。凄い、凄い、素晴らしい、感動した。ということぐらいしか感想が書けない。
高校生がという書き方は失礼かもしれないが、だって自分の子供ぐらいの歳だし、それに自分が高校生の時のことを考えれば、およそ実現できるとは思えないような、想像し難いレベルの作品のように感じる。
いったい何なんだ、この素敵な子たちはって感じだ。
それに設定が1969年の学生運動時代から、38年後の世界。よくよく考えれば、演じる高校生は、どちらもそれほど知らない世界なのではないか。
それなのに、あの頃の思想、熱い気持ちを、今を生きる自分たちの言葉に変えて、熱いメッセージを込めた劇にしている。
いくら時が経とうと、未来を信じる想いに変わりは無い。夢や理想を追いかける。そのことで、何度も負けてしまうこともあるのだろう。でも、自分たちの想いに真摯に対峙して、自分が正しいと思うことを貫けば、いつの日かきっと勝てる。
貫くことはきっと大変だ。嫌な思いもいっぱいするだろうし、悲しく辛い気持ちに苛まれて、どうしようもなくなってしまうこともあるだろう。
でも、未来なんてどうせいいことなんかない。夢や希望を追っても、大人や権力層、時代に潰されてしまう。そう思って、じっとしている方が本当はもっと苦しい。だから、僕たちは未来を夢見て、動き出す。それぞれの理想を掲げて。そんな自分自身の革命を実現し、未来に希望の光をもたらす若い力が力強く描かれているように感じる。

劇中の高校生は、あまり認知されていない、いわばインディーズでくすぶりながらも、それに救われ、勇気づけられて、今の日々を過ごすファンが多いミュージシャンの言葉、音楽で想いを表現する姿を見て、自分自身が変わるきっかけを生み出している。
変わっていく自分自身を楽しみ始める。何で楽しいのか。それは、自分たちが、自分たち自身で輝く未来を創造して、それに向かって歩んでいるから。
こんな世の中だから、先への不安感を誰もが抱き、いつの間にか口を閉ざして、そのうち、もう何もしようとしなくなって、時間にただ流されてしまう。
何も思っていない訳ではない。心の奥深くでは、このままではいけない。何かを変えなくてはと思っている。それを引き出してくれたのが、そのミュージシャンだったなら、この演劇作品を公演した、この高校の演劇部がそれに同調する。
私たちは、彼女たちの熱いメッセージのこもった、この作品を観て、心震わされたその想いが、きっと、このまま終わっていく未来なんかにはしない。未来にはやっぱり希望があって、それを絶えず望む私たちの手によって掴めるように、今を、これからを生きるんだという気持ちを呼び起こしてくれたのではないかと思う。

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2016年7月24日 (日)

ティル・ナ・ノーグ~太陽の系譜~【劇団ZTON】160723

2016年07月23日 ABCホール (75分、休憩15分、75分)

繋がれる時を描いた重厚で奥深い話に、この劇団お得意の殺陣パフォーマンス。
心震わされる圧巻の舞台だった。
異民族・異文化が共存し合うことを祈る人たちの戦い。
その武器は剣でも力でも無く、自分たちが相手を想う気持ち、それを伝える言葉、文字だった。
そんな想い合いの力を信じ、未来に繋がる平和で豊かな社会のために、意志を貫いた人たちの姿が描かれている。

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2016年7月23日 (土)

小さな妹の新しい夢【オセロット企画】160723

2016年07月23日 KAIKA (75分)

新しい道を歩むことになって、不安で消え入りそうな妹に、厳しくも優しい想いをただただ投げかけ続ける兄。
それは妹だけでなく、今を苦しみ、先に不安を抱く人が描く夢を祈る姿として映し出されているかのよう。
人は大人になっていき、幼い頃のままではいられない。辛くとも、想いを分かち合っていた幸せな時から、そんな想い合いが希薄な現実的な新しい道へと歩まないといけないこともあるのだろう。
今までを否定して、新しい道を肯定して進む必要は無い。逆に今までに執着して、これからを否定することも無い。幸せな理想、夢を抱いて、その道を一歩一歩、着実に歩んで欲しい。その先にきっとそんな理想や夢にたどり着くことを信じて。
作品名どおり、小さな妹の旅立ちを祈るような優しさで包んだ兄の姿も見えるし、仲間たちとの楽しい時間から、自分だけで出発しないといけない人へのエールのようなことも感じる。もっと言えば、一国家が、分け合うことをベースにした社会から、資本主義へと発展する時に、皆の理想や夢を崩してしまうような道へと進まないで欲しいという願いも感じる。
集団の中から、個として踏み出さないといけない時の、絶望に近いような不安を、優しく包み込んで、それでも自分の向かう先にある理想を見失わずに歩みたいという力強い想いがあるような気がする。

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Z ~一度ならずも二度も手にとってしまったアレの話【HPF高校演劇祭 箕面・豊島高等学校】160722

2016年07月22日 シアトリカル應典院 (85分)

Zというアルファベットの最後の文字という意味深さに、何かを掴むことを意識しているような作品名。さぞかし、奥深い難解な作品なのだろうと構えて拝見したが、拍子抜け。
意外にこの手の熱血、恋愛と学園青春群像劇スタイルの作品はHPFでは珍しいのでは無いだろうか。
よくもまあ、こんなアホみたいなこと考えるはとか思いながら、クスリと笑いながらリラックスして観ていたが、意外にしっかりしたことを伝えている作品でもあるみたい。
ちょっぴり恋心や今の自分への悩みなんかが入っているところが、まさに高校時代の心の葛藤を描いている。
そう思うとヅラ部のヅラは、色々なヅラで今の自分が、これからの自分が輝く姿を思考錯誤して見つけ出すこと。ズラ部の三輪車は幼き頃の乗り物で最後に必死に駆けて身体と精神を鍛え、次のもっと大人の乗り物に乗り継げるようにすること。そんな、高校時代に、未来の自分をより輝かすためにも成さなければいけないことを、クラブ活動として描いているようにも見える。

出演者が大人数だが、見ているとけっこう整然としていて、メリハリがある。
ヅラ部、ズラ部、生徒会、ヅラ髪様たちと大きく分ければ4つぐらいのグループに分かれ、各々が個性豊かなキャラたちから成り立つ。
これが様々な形で交錯しながら、話は進むのだが、舞台上には必要最小限の人数を立たせている感が強い。
元々は人数がもっと少ない作品だったらしく、その時のことを活かしているのか、キャラがぶつかり合い過ぎて、舞台が騒然とし過ぎるのを巧く制御しているのか。どちらにせよ、綺麗にまとめて話を進行していることが、最後の皆で力を合わせる大団円の迫力へと繋がっているように思う。
弾けたキャラたちの魅力を損なうことなく、整然とした話の流れをキープして、しっかりとコメディスタイルが貫かれた良作に仕上がっているように思う。

 

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2016年7月22日 (金)

凛笑バースデー【劇団KAZUMA】160722

2016年07月22日 天然温泉 ゆの蔵 (70分)

千咲凛笑さんの誕生日記念舞踊ショー。
初めて大衆演劇に連れて行ってもらって、この方がいらっしゃらなかったら、どうだったかな。こうして、一人で観に行くようになっていただろうか。まあ、味ある役者さんがいらっしゃるので、芝居を観には伺っているだろうが、やはりそのテンションは落ちてしまっていたことだろう。
そんな、私の大衆演劇の観劇に影響を与えている女優さんの記念公演。

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2016年7月19日 (火)

メロメロたち【悪い芝居】160719

2016年07月19日 HEP HALL (75分、休憩10分、85分)

戦争で、大切なものを失ってしまう。
戦争の足音が聞こえるという漠然とした不安の中で、これまでの日常は徐々に壊される。
人はどん底へと陥れられる。
それが終わり、復興の道が開かれる。
日常は再び、徐々に戻って来る。
しかし、それに人の悲しみの心は同調してついていけていない。
悲しみや辛さを心に抱えたまま、戻る日常の中で、強制されるかのように懸命に笑顔を見せて、ポジティブな自分を見せる。
本当はまだまだ辛くて、手を差し伸べて欲しいし、抱きしめて欲しいのに。
真の復興。人の心が、本当に修復されて、未来へと気持ちが向くまでを描いた救済の姿を優しい人の想い合いの心を持って描いているような秀作。
音楽劇形態のすさまじい迫力、役者さんの熱演はもちろん、音が人の心を響かせる音楽となり、言葉が人の心を動かす想いへとなっていくような、想いの溢れる話の展開が非常に良かった。

<以下、かなりネタバレしますので、重々ご注意願います。大阪公演は明日まで、東京公演が来週からと、公演期間が長いので白字にはしていません>

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2016年7月18日 (月)

一家団欒【魚クラブ】160718

2016年07月18日 ウィングフィールド (95分)

両親を殺した息子が、その両親の墓にやって来る。墓参りとかではなく、長い人生の時を全うして、その墓の中の一員となる。
再会した家族。
でも、生前、本当に家族だったら、そんな悲劇的な事件は起こらなかっただろう。何がおかしかったのか、間違っていたのかを、現実には無理だから、こんな虚構の設定で考えてみる。
そこには、ごく普通と言われている家族の中にも生み出されそうな歪みが存在しているかのよう。それから目を背けずに、自分は関係ないと放り出さずに、しっかりと受け止めて見詰めてみる。
その先に、自分たちが願う家族の形、一家団欒の姿が生み出される。
そんなことを検証しながら、その中で感じたことを、実生活の家族との触れ合いに活かしてみようとしているような作品か。
不可思議な、少しコミカルな設定も盛り込んで、欝々とならぬように、でも、本当に真剣に家族を考えることが出来るような時間だったように思う。

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INDEPENDENT:3rd Season Selection 大阪公演 160718

2016年07月18日 インディペンデントシアター2nd (30分×3)

他観劇、仕事の都合で、結局、10本中の3本しか観れず。
今回の10本は全て、当時の一人芝居フェスティバルで拝見しており、懐かしい作品もあったのだが。
拝見したのは下記3作品。

米山真理(彗星マジック)×勝山修平(彗星マジック)
「シロとクロ」
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/independent13-1.html

もう何回も拝見しているので、新たな感動はさすがに薄れてきていますが、やはり輝く美しい作品です。観るたびに、シロの年齢がどんどん幼くなっているように感じる純粋さが醸されていて、それだけにクロとの別れ、そして、シロの成長に温かい感動を呼び起こされるようです。

泥谷将(劇団鉛乃文檎)×鈴木友隆(ともにょ企画)×オダタクミ(カラ/フル)
「あのとき」
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/independent1313.html

今ある現実は、いくつもの可能性の先にたどり着いたもの。たまたまかもしれない。だから、良いとか悪いとかは無い。同時に、今ある現実は、いくつもの可能性をまた生み出す。自分を肯定して、信じて、前へ進む人の力強さを、熱く、かつ繊細丁寧に描いている。

中嶋久美子(ムーンビームマシーン)×二朗松田(はちきれることのないブラウスの会)×泉寛介(baghdad cafe)
「次の場所までさようなら」
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/independent11-1.html)

今回は、これが観たかった。もう一度。今まで、たくさんの作品を観てきましたが、衝撃的過ぎて、いったいあれは何だったんだろう。幻ではなかったのだろうかと思うような作品が幾つかあります。その中の一本。あの時、感じた、何なんだこれはといった衝撃的な面白さは、やはり現実でした。

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お犬騒動【劇団明朗会計】160717

2016年07月17日 TORII HALL (100分)

なかなかに熱の籠った、迫力ある舞台でした。
人間の弱さや醜さが、純粋な想いで繋がった絆を断ち切ってしまう悲劇。
決して悪意だけが渦巻く中で起こったことではなく、そこには、厳しい世の中で幸せに楽して暮らしたいというエゴを、みんなのためだという大義にすり替えて正当化してしまうような過ちがあったようです。
エゴにただ忠実に生きることは獣のようなものなのかもしれません。人は、そのエゴを巧妙に隠しながら、欲望の赴くままに生きることが出来るようです。でも、それは汚いとされる、獣以下の醜い生き方のようにも思います。
現実的な問題は多々あるものの、人が幸せに生きることってどういうことなのかを考え、自分が求めているものが、ただ自分の欲望を満たすことなのか、周囲の人も幸せに導くことなのかを見詰め直さなければいけないようなことを感じさせます。

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Qbic!!【社会人劇団短編上演フェスティバル】160717

2016年07月17日 インディペンデントシアター1st
                    Aブロック (30分、25分、25分)
                    Bブロック (30分、25分、25分)

若手というか、学生劇団を卒業されて、根強く社会人として、この演劇界でご活躍されている方々の集まりといった感じでしょうか。
学生劇団もけっこう観ているので、意外に観たことある劇団や役者さんがたくさん。
まあ、イメージどおりの、劇団色を出されている作品がほとんどだったように感じます。
もちろん、合う合わないは、癖が強ければ強いほど、出てくるもので、ちょっと厳しいなというところもありますが、今回ご出演の6劇団は、それでも、まだ観続けてみようと思っているところばかりです。その気持ちは、今回拝見しても変わらず。
まあ、毎回、その劇団が懸命に創られて、これだと思ったものを見せてくれればそれでOKです。
こんな作品を創っているんだと、自信を持って、世に送り出そうと、社会人になって色々と忙しいだろうに、頑張っているその姿を、舞台上の作品として観たいという気持ちが強いですから。
各々の劇団の感想は下記します。
一応、簡潔に評価しておきましょうか。
観た順に◎、〇、◎(本当は三重丸)、△、△、◎。あくまで、私の好みで。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は本日月曜日まで>

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2016年7月17日 (日)

天守物語【劇団¥おやのすねかじり】160716

2016年07月16日 芸術創造館 (65分)

これは絶対に観に行かねばと思い、足を運びました。
今年拝見した、ある高校のこの作品をベースにして、ご自分たちの演劇部を描いたような作品。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/70-f77d.html
恥ずかしながら、当時は、この作品のことなど、全く知らず、Wikiで軽く調べて観劇。
なかなか、興味深い作品で、本を読んだりしないので、いつか、原作を演劇で観れたらなあなんて思っていたら、こんなに早く実現。
そして、私の願ったとおりの作品形態でした。
昔言葉というのでしょうか、原作そのままの感じで観たかったのです。
あらすじは幸い、上記作品で知っていましたので、言葉が分からなくても、けっこう平気。日本語ってやっぱり美しいんだろうなということを感じるくらいの余裕もあり。

上記作品では歪んだ権力構造のある社会が浮かび、その中で純粋な恋愛みたいなことも描かれているような印象でしたが、こちらは、純愛の一点ですね。
切なく、狂おしいような美しい愛の姿が見られます。
よく分かっていませんが、きっと泉鏡花の美しく妖しい綺麗な世界なのだと思います。
人と妖という幻想的な設定の中で、人間同士以上に力強く真っすぐなロマンチックとも思えるような想いが絡み合う二人の恋。
女優陣の妖艶なダンスも相まって、とても印象に残る美しい作品でした。

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或いは魂の止まり木【A級MissingLink】160716

2016年07月16日 アイホール (100分)

ある家族と家を描いたお話。
たくさんの悲しみや辛さの上にある現実世界と、もし、そんなことが全く無くて、楽しみや喜びだけだったらという嘘の世界を交錯させて話を展開する。
喪失からの立ち止まった現実と、希望溢れる、拡がり続ける妄想。
やがて、その現実と妄想は境目を曖昧にし、喪失を受け止めて、悲しみや辛さを心に刻んで、希望ある未来へと歩みを進める世界を新たに生み出す。
そんなことを感じさせる、失い立ち止まる、もしくは立ち止まるから失わない、先を見出せず彷徨う人たちを優しく包み込むような作品だったように感じます。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は月曜日まで>

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2016年7月16日 (土)

JACK【劇団ハネオロシ】160715

2016年07月15日 シアトリカル應典院 (105分)

切り裂きジャック事件を題材に、そこに潜む人の歪んだ欲望と同時に、尊き愛も描いて、より良き社会を創る道標を導き出そうとしているような作品か。
今の貧困や格差が渦巻く生き辛い世の中にも通じ、そこであらゆる人たちが、どのように生きていけばいいのかを、人が愛し合う、想い合う姿を通じて考えさせられるような話でした。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は月曜日まで>

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2016年7月15日 (金)

箱根八里の半次郎【劇団KAZUMA】160714

2016年07月14日 天然温泉 ゆの蔵 (55分)

池田呉服座、オーエス劇場に引き続き。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/post.html
職場が近いので、非常に行きやすい大衆演劇の劇場。
しかし、大衆演劇は、劇場の空気が違い過ぎますねえ。時間さえあるなら、旅しての劇場巡りも、なかなか楽しいのではないでしょうか。

この劇場は、いわば銭湯に附属されたレストラン。まあまあ、立派なものだと思います。
1000円の入場料で、風呂入って、観劇は無料ですから。
ただ、座長も冗談交じりに言われていましたが、芝居と舞踊ショーの間の時間が長過ぎて。
芝居を見て、次のショーまでの2時間は一人では、ちょっと寂し過ぎて潰せません。
ということで、今回は芝居だけ。
箱根八里の半次郎、大井追っかけ音次郎をベースにしてるのかな。大衆演劇らしい、喜劇よりの人情ものって感じでしょうか。
単純明快で分かりやすい作品でした。人情ものと言っても、泣くより、笑いの方が強い作品かな。

芝居の後は、役者紹介がありました。普通の大衆演劇の劇場だと、最初にするミニショーと言われる部分に当たるのだと思います。これはありがたいですね。今、観ていた役を演じられた方の名前がその場で分かりますから。
その後、せっかくなので、風呂へ。
それなりにくつろぎ、電車で帰って地元の飲み屋へ。ビール一杯飲んだあたりで、そろそろショーの時間。やっぱり、間、長過ぎですわ。
お気に入りの役者さんの舞踊を観たかったなと少し悔いながら、そのまま楽しく飲みました。

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2016年7月11日 (月)

虫のなんたるか【劇団第一主義】160710

2016年07月10日 STAGE+PLUS (110分)

10年前の作品らしいが、今に通じる放射性廃棄物の時事ネタや、恋愛事情、生きるためにというか、生活するために守らないといけないもの、捨てないといけないものなど、色々な要素がこの狭い土地の狭い鍾乳洞の中で展開されて、ちょっとごちゃごちゃ。

降りかかる環境や社会の変化、生活するために必要な欲望や裏切り。
そんなことに目をつぶり、見ないふりして生きていくことも出来るが、それは変化を受け止めておらず、成長できない。
人としての進化が成し遂げられない。
変化を受け止めて、それに適応しようとすることで、自らを進化させていこう。
変化は怖いし、必ずしも上手く適応できるかどうかは分からない。絶望へと突き落とされるかもしれない。
無駄なく機能的に効率的な適応、生き方が出来る虫だったらどれほどよかったか。
でも、人には感情がある。変化を怖れて不安で立ち止まりそうになるあなたを想って、差し伸べられる手がある。
それを掴み、変わりゆく明日へと向かって歩んでいこう。
難しい内容でしたが、何となくこんな感覚を得る話でした。

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2016年7月10日 (日)

ヤだなコワいななんかヘンだな【イエティ】160709

2016年07月09日 インディペンデントシアター1st (90分)

えっ、こんなオチなのと、さんざん笑った後に、とまどいと驚きが残る。
何とも、男の哀愁を漂わせる、単なるコメディーに留まらない形にしたものだ。
半ば強引な設定でありながらもスムーズな話の展開、絶妙な会話の掛け合いによる安定した笑いとさすがだなと。
いつもながら、スマートな面白さを感じる作品でした。

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13~招かざる客人~RADICAL【Artist Unit イカスケ】160709

2016年07月09日 芸術創造館 (100分)

かなり細かく巧妙な構成で描かれているミステリー。
個性豊かな、濃いキャラを面白おかしく演じる役者さんによるコメディー。
ミステリー×コメディーと融合した魅力をふんだんに味わえる面白い作品。
と書きたかったのだが、正直なところは、ミステリーの脚本の凄さが勝ってしまい、コメディーをあまり感じられなかった印象が残る。
観られた方なら分かるだろうし、普段、観劇をされている方なら、ご出演の役者さんの名前を見ただけで、だいたいは想像できるだろう。かなり弾けて突き抜けたコミカルさを醸されていたことは間違いなく、笑えて面白いシーンもたくさんあった。でも、それよりも、この巧妙なミステリーとしての話の展開に頭がいってしまい、そちらを存分に楽しめなかったのではないかなといった感じ。
感想は笑えて面白かったではなく、話が凄くて面白かったに留まる。
まあ、これで十分ではあるのだが、イカスケならば、やはり笑えるし、話は凄いし、やっぱり面白かったわとなって劇場を後にしたかったなという思いが残る。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は本日、日曜日まで>

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2016年7月 9日 (土)

日々雑景 夜【七月ハリケーン】160708

2016年07月08日 カフェ+ギャラリー can tutku (70分)

ある喫茶店の日常風景を描く。
夜・昼とバージョンがあり、今回は夜を拝見。
どちらも、3組の客の姿を同時進行で描きながら、ごくありふれた日常会話の中から、ぼんやりと自分の日常を思い起こさせるような感じでしょうか。
拝見した夜は、ちょっと不思議な男二人、これからのことを考える男三人、悩む男の3組。感覚的には、ちょっと夜の暗闇を彷徨いながら、迎える朝に不安もありながら、期待も抱く男心をくすぐるようなところがあります。
昼は夫婦、女子たち、悩む男の3組で、女性中心で昼というイメージどおり、明るい雰囲気なのかな。

感想としては、ふ~んって感じです。
まあ、面白いのは面白いです。けっこう、笑えるシーン、セリフはたくさんありましたから。
でも、やっぱり、どうだったと聞かれたら、普通だったと答えるような感じですね。これが、不可思議なことや、大変なこと、辛いこと、楽しいこととか色々ありながらも、ごく普通に流れる日常っていうものを意識させるような創りなのでしょうか。
突拍子も無い設定もあったりするのですが、あまりにも自然過ぎて、そのまま素で楽しむだけだったような。
それに、同時進行で描かれる3組が、どうも収束しないんですよね。してるのかもしれませんが、少なくとも私には全く分かりませんでした。共通テーマもあまり浮かばないし、繋がっていることもないようだし。まあ、人生ってけっこう、こんな普通の日常の流れの中の、ちょっとしたことの積み重ねで、いつの間にか大きな変化がある未来に行き着くのかもよっていったメッセージは何となく感じますが。
むしろ、昼と夜に繋がりがあるのかもしれません。昼はもう満席で観れないので、また、DVDでも出たら、確認してみようと思います。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

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2016年7月 8日 (金)

ゆるりゆらり【あみゅーず・とらいあんぐる】160707

2016年07月07日 Free Space 座・九条 (95分)

リーディング公演は苦手なので、途中、寝なかったという事実だけで、けっこう楽しんだという証明になると思います。
ただの本読みではなくて、やっぱりその作品を観て聴くための、空間、空気も創られている魅力があることが、ようやく、最近分かってきたのかなあ。

4作品。
お茶目で愛らしい遊び心のある女優さん方に、それを大きな懐で受け止めるような男優さんお二人。
バックでは、美しいピアノ演奏。
なかなか、素敵な空間で、不思議な作品の魅力を味わえたような。

<以下、劇団HPで、4作品の題名を記載していないので、ネタバレになると判断し、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

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2016年7月 3日 (日)

変調・三人吉三巴白浪【カン劇cockpit】160702

2016年07月02日 芸術創造館 (115分)

これ、ちょっと感動する素晴らしい作品でした。
歌舞伎作品だから、名作ではあるのでしょうが、これをこんな迫力あり、味ある、魅力的な作品に仕上げる力に感激します。
話は、歌舞伎らしく、けっこうご都合主義的なところも多く、どこまで因果や悲劇が連鎖すんねんとツッコミをいれたくなるくらいのもの。
それがまた安心した古き面白さを感じられるのだと思っていますが、それを損なうことなく、変調と称するだけあって、どこか新しさも感じさせられます。
何か違う作品の空気も組み込んだりしているみたいで、この作品がいいということに留まらず、舞台表現する作品としての全体的な面白味を魅せるレベルの公演になっているように思います。
とりあえずくらいの感覚で足を運んだのだが、これは伺って良かった。
観劇することの楽しみを改めて感じることが出来たように思います。

<以下、あらすじしか書いていません。ネタバレしていますが、歌舞伎の同作品でネット検索すれば、詳細な情報が出てきますので、白字にはしていません。公演は月曜日まで。お薦めです>

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梓巫女C子の無謀な賭け【アカル×大熊隆太郎(壱劇屋)プロデュース】160702

2016年07月02日 アカルスタジオ (60分)

関西で観劇してたら、嫌でも耳にするお二人、匿名劇壇の福谷圭祐さんの脚本で、壱劇屋の大熊隆太郎さんの演出作品となれば、自然に足が動くもの。
なぜか、チラシを入手しておらず、直前まで情報が入っていなかったが、Twitterで話題になっていたので。

みんな一緒なんだみたいな、ちょっと恥ずかしいぐらいの熱き想いが話の中に込められているのに、それを悪ふざけにも近いキャラや不条理な展開、知的な視点からの描写を交えて、あくまでクールな空気を維持している。もちろん、メタ構造もとっている。
鏡やアクションを駆使して、照明や横長の特殊な舞台とも相まって、不可思議な空間を創り上げている。そして、どこか温かい空気が流れる。
匿名劇壇や壱劇屋を各々、拝見した時のイメージが、確かに混在している。
作品ってこうやって、融合するんだなあ。新しいものって、こうしていいものが互いに認め合うみたいな感じで、生まれるんだなあと感じる作品でした。
そして、話自体も、そんな個性を尊重し合うことで、新時代が切り開かれるみたいなことを思わせるものでした。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は本日、日曜日まで>

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2016年7月 2日 (土)

SERVICE【万博設計】160701

2016年07月01日 ウィングフィールド (100分)

よく分からないことも多い、不思議な話なのだが、結局は、大切な人を失い、それに囚われ立ち止まった男が、再び歩み出すまでの物語なのだと思います。
止まった時間。でも、その人の生きる社会の時間は変化し続けながら、流れている。
その時間の流れにもう一度、乗って、社会の一員として生きていくために、差し伸べられた手の中にある、様々な人たちの想いが描かれているようです。
特殊な趣向が凝らされた舞台が、状況描写の想像を膨らませ、そこにある複雑な想いの交錯を強く感じさせられます。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

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