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2016年6月

2016年6月28日 (火)

ただしヤクザを除く 菊組【笑の内閣】160627

2016年06月27日 アトリエ劇研 (100分)

桜組に引き続き、観劇。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/95-3e8a-2.html

この組特有なのか、私が忘れているのか、プラスアップしたのかは定かではありませんが、前回拝見した時よりも、少し盛り込んでいるところがあるみたい。
2回目ということもありますが、話の展開がとてもスマートで、その内容が把握しやすく、かつ、このヤクザ人権問題に関しての様々な視点からの主義主張が明確に伝わってきたような気がします。
前はあまり意識しませんでしたが、ネタにけっこう演劇界のことを絡ませているみたい。違和感が無いのは、演劇界もヤクザの世界とけっこう似ていて、ともすれば、演劇している人も人権否定される日が来る警鐘も自虐的に込めているのかも。

前回拝見した桜組はおとなしめで、こちらの組は騒がしいみたいになっているようなことをTwitterや前説で言われていましたが、確かに。
共にスマートで、それもちょっと過ぎるくらいで、そこに物足りなさみたいなものを感じるという感想は大きく変わりませんが、確かにこちらの菊組はうるさい感じ。この劇団らしいと言えば、そうかもしれません。
それでも、共に、この題材を巧く理解させ、いつものようにコミカルさを込め、ヤクザだけにちょっぴり人情風の色も持たせた作品に仕上がっているように思います。

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2016年6月26日 (日)

旅路の果てから ~妄想プロデュースの妄想をしてみた~【妄想プロデュース】160626

2016年06月26日 船場ユシェット座 (75分)

妙齢を迎え、人生の葛藤の渦に飲み込まれてしまい、ちょっと足踏みしないといけなくなってしまった苦しみの中にいる一人の女性が、自分自身と対峙しながら、再び歩み出すまでを描いた話かな。
女性を意識して創り上げられているようで、自分のやりたいことと同時に結婚なんかも盛り込んで、様々な葛藤への複雑な感情を、世代別の大胆なキャラを用いて描かれているようで、女性が今の社会で生きることを普遍的な観点で見せているような感もあります。

やたらキャラが立っている女性の登場人物ばかりなので、その掛け合いは、少し毒もあるブラックな面白さもあり、男は若干引き気味で、苦笑いを浮かべざるを得ないところも。
人生の中で、その時、その時のステージがあり、そこで悩みながらも、その時間を走る女性。大胆に行動できる若かりし頃もあれば、勝負をかける転換期を迎える時期も。歳をとれば、慎重にもなるだろうし、限界も知り、立ち尽くしてしまう時も。
そんな人生のどんな時でも、自分を見続けてくれていたお母さんの想いで作品は締められているようです。そのお母さんも女性。想われて走ったその先に、今度はその感謝の心を込めて、次の世代へとその想いを繋げていくことが出来る。
そんな女性ならではの、優しさ、強さを持った繋がりも感じられる作品でした。

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ゼクシーナンシーモーニングララバイ【片岡自動車工業】160625

2016年06月25日 インディペンデントシアター2nd (120分)

2013年に、ミジンコターボで拝見した作品
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/post-1.html
<↑あらすじがネタバレしますので、ご注意ください>

この時、絶賛しています。
奥歯うんぬんは、嘘では無く、本当に詰め物とれたんですよね。そこまで喰いしばらないと、涙腺が完全に決壊するぐらいだったのです。
今回は、一応、自分のブログを読んでから観劇。だから、そこまで、また同じように感動するかなあと少し自分への疑いもあり、ハードルを上げて、足を運んでいます。

まあ、結果は、これが凄いこと。
前も良かったですが、今回はそれに輪をかけて良い。良いなんてもんじゃないくらいに。
ハードルも何も。良いものは変わらず、やはり良かったというだけの結論になりました。
話を既に知っているところもあるかもしれませんが、流れるように話が進むテンポ良さは、前と比べて相当に上がっているのではないでしょうかね。
それだけに、そんな気持ちよく連れて行かれたラストでの感動は、相当に膨れ上がり、もう、どう表現していいのか、ぶわ~っとなりました。色々なものが、色々なところから、ぶわ~っと溢れかえってきました。
素晴らしい作品。
また、出会えた喜びでいっぱい。

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ベリーショート【しろみそ企画】160625

2016年06月25日 カフェ+ギャラリー can tutKu (105分)

大切な人の死を受け止められず、苦しみの中にいる男が、自分を見詰めて、再び歩み始めるまでの物語という、演劇らしいコンセプトで綴られた、全25作品のショート集。
過去の自分、そこにいた仲間たちの姿を思い描きながら、自分自身の心を整理していく。
辛い過去との決別。そこにあった大切な想いを抱いて、男は、今、生きる皆との日々を過ごす決意を固めた時に、暗闇に一瞬光が瞬く。
いわば、銀河鉄道の夜のしろみそ版だろう。

よく構成されているショート集だなと思います。
面白さは、まあ、正直言えば、良くも悪くも、まあまあといったところでしょうか。
コントだけの笑いに徹しず、本公演にも通じる、この劇団特有の温かさをきちんと込めている芯が見える公演だと思います。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は、本日、日曜日まで>

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2016年6月24日 (金)

THE END '16【吉本新喜劇 佐藤太一郎企画】160623

2016年06月23日 YES THEATER (115分)

これは極上品だな。
最初から最後まで、全キャストが走りっぱなしで展開される話。
やがて、そのランマイムの姿は美しくも見え始め、溢れ出る熱い感情に心打たれる。
ここまでの熱さを魅せる、作品への真摯な向き合いが感じられ、舞台表現の力に圧倒される。

追い続ける背中があるから、それに向かって、負けないぞと走り続けることが出来る。
自分の背中を追い続けてくる姿があるから、それを意識して、抜かれてはなるまいと走り続けることが出来る。
立場は違っても、同じ人生というレースで、共に走り合っているのでしょう。
そんな大切なライバルがいるから、頑張って、自分に勝とうと必死に走ることが出来る人たちの幸せな姿が描かれているようです。
そのゴールは、抜こうと抜かれようと、自分に勝つことが出来た時であり、ゴールラインを超えたその時、自分だけに見える真実のゴールの風景なのだろうと感じます。
そして、そのゴールを掴んだ時に、人はさらに、自分を高める厳しくも、より豊かな、新しいレースを走り出しているような感覚を得る作品でした。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

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2016年6月23日 (木)

ただしヤクザを除く 桜組【笑の内閣】160622

2016年06月22日 アトリエ劇研 (95分)

関西で2週間、その後、東京で1週間と、ロングラン公演の初日を拝見。
それだけに、あまりマイナス感想は避けたいところではありますが、正直、いまいち感が残ります。
と言って、決して面白くなかったわけではありません。お薦めできないわけでもなく、せっかくロングランなのだから、うまく日程を合わせて観に行けばいいと思いますし、トリプルキャストなので、私も違う組に伺えるように日程を調整するつもりです。

何でいまいちだったのかと聞かれると答えに困るところもありますが、感じるのはスッキリし過ぎで、綺麗にまとまり過ぎだからでしょうか。
主要キャストが7人。このキャラが、けっこう明確に今の社会の各々の考えを代表するような形になっており、この人、何者なんだろうといったような、遊びのキャラや、キレキャラがいません。この話を展開して、何かしらのオチをつけたラストを迎えるのに、あまりにも役割がはっきりしていて、それが枠にはめられているような窮屈さを役者さんにも、作品にも感じたのかもしれません。
いわば、この作品名のとおり、暴対法におけるヤクザの実態を、教育ビデオのような感じで勉強しながら観たような感覚が残り、笑い飛ばすことがいつものように出来なかったかなあといった感じです。

描かれてることは、寛容できない者を徹底的に排除する、今の不気味な社会への警鐘でしょうか。
排除し尽くせば、次はどうなるのか。人は、次に排除すべき者を求めて、狩りに出るのかもしれません。
それよりかは、認め合える社会。受け入れられない人や考えはたくさんありますが、それを全否定してしまえば、それで終わり。後はどちらが、排除されるかだけになります。だから、どこかを肯定できるような視点を持って、人と接する。無理してでもしなくてはいけないことなのだと思います。
排除したところで、それが自分の幸せ、豊かさに繋がるわけでは無い。
劇中にそんな考えを抱かせる言葉が出てきます。
この考えは、人が人を認めないことの無意味さを理解するのに、非常に分かりやすいもので、だったら、拒絶せずに、少し認めてみようとか、触れてみようとかいう考えに至るように感じます。
その先に、皆が守られて、脅かされない社会が成立するように思います。

<以下、ネタバレしますが、公演期間が長いため、白字にはしていませんので、重々、ご注意願います。公演は大阪は7/3まで。その先に東京でもあるようです>

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2016年6月20日 (月)

迷路【劇団大阪新選組】160619

2016年06月19日 ウィングフィールド (140分)

お誘いもあったし、難解そうだけど、観劇を趣味とするからには、アラバール作品を一つぐらいは観ておかないといけないのかなと、ちょっと足は重かったけど、観に伺う。
とんでもない作品ですね。圧倒される迫力が伝わってきます。
分かりそうな話なんだけど、考え出すとすぐどこかへ思考が迷い込んでしまうような、巧妙な話の構成になっているようで、なかなか掴ませてもらえないような感覚が、この作品名そのままだなあと。

実際は70分×2みたいな形で、男役を若い青年と中年に変えて、ほぼ同じ話が描かれます。
自分を縛るものを断ち切って走り出しても、迷走してしまう不条理な世の中。その中で、生きることの残酷さを突き付けてるかのような、厳しく不安感を煽る話ですが、そこにたとえ思考が迷路に陥っても、自分の求める出口があることを忘れてはいけないような生き方を示唆しているようにも感じる作品でした。

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2016年6月19日 (日)

WORK OUT【Y2Pチャレンじ】160619

2016年06月19日 金毘羅 (85分)

一見、かなりバカバカしい話で、観ている途中もそう感じて、あんまり好みじゃないなとか思っていたのだが、最終的になかなか巧く創られている作品なのかなと。
作品名のワークアウトのとおり、何となく、惰性で、仕方なく、言われたことに従ってとかで生きていることを止めて、自分自身の明確な意志を持って、目標に向かって生きていきましょうと伝えているような作品でした。
そのために、自分と向き合って、本当に自分がしたいことを見詰める。そこには自分の弱さとか情けなさとかも見え隠れするのだけど、そんな自分を肯定して、本当の自分で生きていこう。飾った自分で、見出した自分の居場所なんか、きっと本当は居心地なんかいいはずが無く、そこからどこかへ進みたいと思っているはず。そのことに気付いて、今、出来ることから始めてみよう。
そんなことが感じられる話だったように思います。

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父が愛したサイクロン【DOORプロデュース】160618

2016年06月18日 space9 (85分)

日程調整ミスで、ある劇団と予約をダブルブッキング。
こちらは演劇パスだし、向こうはチケットぴあで予約変更も出来ず、どちらかを選ぶしかない状態に。こんなミス、2000本以上観劇してきましたが、初めてですね。
どちらも、コミカルを交えて、ハートウォーミングな作品だろうなと。
それだけに、かなり悩みましたけどね。
正直、最近の作・演の虎本剛さん作品は、心がざわつき、観劇後、すごく心苦しくなるので、逃げようかなとも思いましたが、自分と向き合い、見詰め直すなんてことはこういった機会でしかなかなか出来ないので。
チラシのあらすじ、既にご覧になられた方の感想を拝読する限り、父娘愛を描いた泣ける作品であることは歴然ですが、きっとそこに守るべき者を守る豊かな生き方が描かれているのだろうと。そこが、個人的に、どうも最近辛いのです。両親も亡くなり、未だ独身で、妹はいるものの、もう一人みたいなもので、自分が生きることだけを考えてこれからを歩むことに、何かしらの不安と、その人生の豊かさに疑問を感じて、厭世観が心のどこかに漂う今の自分には何か責められているような感覚すら覚え、すごくきついのです。
観劇後、思ったとおり、何かしらの心苦しさはやはり残ります。
でも、それ以上に人の隠れた想いを見出すことは、自分自身と向き合い、真剣に見詰められるようになった成長した自分が成せる技なのだろうと感じました。
守るとかは別に、人の想いを汲み取れるだけの成長を続け、自分自身のヒーローでもいいから、そんな人を想える人間となることを考えて生きていけばいいのかなといったような気持ちも生まれたような気もします。
不安の中にいる人に、優しい笑顔と真摯な言葉を投げかけ、それをありがとうの言葉で受け止めている登場人物の素敵な姿がそう思わせたような気もします。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

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2016年6月18日 (土)

3years【劇団空組】160618

2016年06月18日 シアターカフェ Nyan (105分)

多分、このスタイルの作品が好みなのかな。
これは、相当いいぞとけっこう興奮気味に観劇。
歌って、踊って。歌詞に同調させた芝居仕立ての踊りも交えて、話を展開。
どこかの劇団と似ているという表現は、両劇団に対して失礼で語弊を招く恐れもありますが、あくまで賞賛、両劇団へのリスペクトとして受け取っていただきたいのですが、私の中では、梅棒を彷彿。
梅棒が歌って、あのかっこいい人たちが、可愛らしい若い女の子たち、一部ちょっとおもろい人に変われば、今回みたいな作品になるのではないでしょうかね。

これまで各々の環境の中で培ってきた自分の生き様を持って、入学した高校。そこで出会った仲間たちと、3年間の中での様々な出来事を通じて、自分と向き合い、次のステップの人生への道を各々が切り開くまでを描いた話。高校という多感な時期でもあるので、そこに恋や進路の悩みなんかも交えながら、多くのどうしようもない寂しさ、辛さに翻弄されながらも、楽しみ、喜びを見つけ出そうと踏ん張る素敵な若者たちの姿が浮き上がってきます。
歌って踊るというハードな中で、しっかりとエンタメを魅せる技術力と、繊細な心情表現をその都度きちんと伝えて蓄積していく表現力の高さが成し得た素晴らしい作品だと思います。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで。私は日程の都合で拝見できないのですが、同時公演で1通の手紙という作品もあります。残念だったのでDVDを予約しておきました。観れる方は是非、両方を>

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2016年6月16日 (木)

COACHES OF OVAL【THE ROB CARLTON】160616

2016年06月16日 HEP HALL (95分)

ラグビーの試合だけど、選手には焦点を当てず、その選手に試合中は一切、指示を与えられない中で、必死に戦略を立て続けながら、選手と共に勝利を目指す、コーチボックス内のコーチ陣に焦点を当てた作品。
上手と下手に、各々のチームのコーチボックスを用意して、試合が進む中で起こる、様々な出来事をコミカルに、かつちょっと人生訓めいたことも交えながら描かれる。
大胆にも真ん中は、デッドスペースでほとんどの時間で人はいない。
各コーチボックスをシーン切り替えとかはせずに、常に同時進行。だから、どちらを観ていいのかと、けっこう右左と首を振っての忙しい観劇となる。恐らく、攻撃と守備が入れ替わる普通の試合を観るよりかは難易度が高い観戦能力を要求されるのではないだろうか。
会話は巧妙に同調させたりして、いつもながら巧いとうならせる。そして、もちろん、いつものごとく、その会話の掛け合い、話の展開は非常に面白い。
またしてもやってくれたな。
そんなすっかりこの劇団にはまりつつある自分を再確認できる見事な一品でした。

<以下、あらすじは書いていないので、ネタバレは許容範囲内だと思います。ただ、様々な起こる面白い出来事を、ぼかして書いているのでご注意願います。白字にはしていません。公演は日曜日まで>

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2016年6月12日 (日)

Popcooorn!!【演劇畑ハッピーナッツ】160611

2016年06月11日 カフェ+ギャラリー can tutku (120分)

3年前に同じような短編集を拝見していたことをすっかり忘れていて。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/post-8.html

全9作品ですが、前説を兼ねた最初の作品でけっこう心掴まれて、2作品目でけっこう面白いな、そして3、4作品目で、これはなかなか見かけない秀逸レベルのコント集だと。
そして、5作品目でようやく思い出しました。そうそう、前にもこの作品を拝見して、ここはかなり面白い、要チェック劇団だと思ったのだと。
あとは、最後の9作品目まで思う存分楽しむ。
好みはあるでしょうが、私の中ではハズレがありません。
会話の掛け合いがしっかりしているのか、けっこう淡泊そうだけど、濃い役者さんの魅力なのか。
とにかく、面白い。それも、けっこういけるレベルで。
上記リンクした公演のDVDも出ていたので、迷わず購入しました。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は本日、日曜日まで>

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屋根のない城【ムーンビームマシン】160611

2016年06月11日 HEP HALL (100分)

作品名でもある絵画を探し求める女性がたどり着いたある画廊。
そこに飾られる3つの絵画に纏わる物語をオムニバス形式で描く。
3作品通じて感じることは、人を人でいさせなくなる原因は全て人の欲望や人への負の感情であり、生み出しているのは人間であるということ。
だからこそ、人間の力でそれを解決することが出来るはず。
愚かな人の姿を見せると同時に、人の尊き姿も浮き上がる。
その感覚は、ブラックな話を楽しいエンタメスタイルで描出す、この劇団の魅力とよく似ているようにも感じる。
作品名はよく分かりませんが、しっかりした柱や壁がありながらも、未完成でまだ拡がる可能性を持つ。でも、不完全で外界からの刺激を受けて容易に傷ついてしまう。それでも、決して崩れることなく、いつしか立派な城となるように成長していく。
これは人間なんじゃないかな。
人間の本当の姿を深く突き詰めようとした女性の話のように思います。

<以下、あらすじがネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は本日、日曜日まで>

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2016年6月10日 (金)

無名稿 機械【無名劇団】160610

2016年06月10日 シアトリカル應典院 (100分)

今年の2月に予告編らしき、30分の短縮版を拝見。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2016/02/160207-458c.html
<↑リンク先にあらすじを書いているのでネタバレしますので、ご注意願います>

原作の横光利一の機械も読んで伺いました。
ネットで公開されていて、文体が独特で、正直、すごく読みにくいですが、まあ20ページぐらいの短編です。
読んでおけば、本筋の登場人物の関係性はすんなりと頭に入ってくるはずです。
あと、この本筋の登場人物の心情をより明確にするエピソードを絡めているような構成だと思います。
人間が人間でなくなって、機械のようになってしまう。そんな人間の脆さと同時に、その脆さを巧みに利用して創り上げられる無機質な社会への警鐘が感じられるような話でしょうか。
登場人物が女性が多いということもあり、偏見でしょうが、けっこうえげつない妬みや恨みがいやらしく、さらに暴力的に描かれています。
心が無く保身的な飄々とした姿、ねちっこくいやらしい笑み、感情を失った冷たい表情、常に攻撃的で荒々しい獣のような眼差し。そんな嫌な人間の姿が、心を失ってしまった、機械の部品のような存在であると言ってるが、同時にそれが人間の本性でもあるようなことが言及されており、自分が自分らしく、人として豊かに生きることってどういうことなのかに頭を巡らされる作品だったように思います。

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2016年6月 8日 (水)

歓呼の纏・またしたな【劇団KAZUMA】160608

2016年06月08日 オーエス劇場 
            (ご挨拶15分、休憩15分、芝居65分、口上15分、休憩15分、ショー75分)

前回に引き続き、大衆演劇を観劇。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/kazuma160323-ad.html
前回は、大衆演劇をよく観劇する方にアテンドしてもらいましたが、今回は、早速、独立して足を運んでみました。
しかも、なかなか濃い雰囲気たっぷりのこの劇場に。
前回、池田呉服座だったので、ずいぶんとギャップが。でも、イメージしていた大衆演劇の劇場って、ここみたいな感じ。
少し怪しげで、言葉がおかしいかもしれませんが、ちょっと観劇することに後ろめたさみたいなことを感じる空気は嫌いじゃありません。そういうところが、またいいように思うのです。

感想は後述しますが、今回は初、藤美一馬座長。
この劇団を観に伺いながら、座長のお姿を見ていなかったという。噂には聞きますが、本当にどれほど凄い方なのか、素敵な方なのかに興味津々。
拝見して、確かにちょっと特殊なオーラがありますね。今回は、イカしてる、痺れるみたいな男のかっこよさみたいな印象が強めですが、真逆のポワーっとしてしまう、メロメロになってしまうみたいな女の魅力も少し見れました。

芝居の演目がいまひとつ好きな感じでなかったのと、前回拝見した時に素敵だったお目当ての役者さんがいらっしゃらなかったなど、少し物足りなさが残りますが、一馬座長のけっこう圧巻される魅力を味わえ、また、一人、ちょっと目を惹く、素敵な役者さんが見つかったのは良かったかな。
まあ、またこの独特な雰囲気で、個性ある役者さんの想い溢れる演技、心惹かれる舞踊といった芸する素敵なお姿を拝見できました。

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2016年6月 5日 (日)

ルービックキューブ【ThE 2VS2】160605

2016年06月05日 インディペンデントシアター1st (85分)

ここは感想が書きにくいので、最近、こんな書き方にしています。
24回公演は、場外ホームラン1本、ホームラン1本、いい当たりのヒット2本、ポテゴロ1本、空振り1本。
25回公演は、場外ホームラン1本、いい当たりのヒット5本。
今回は、場外ホームラン3本、ホームラン1本、いい当たりのヒット1本、ポテゴロ1本です。

それより、いつの間にかDVDを販売するようになったのですねえ。
20回記念公演のDVDは持っていますが、22、26回公演も販売されていました。
特に26回は嬉しい。東京公演だったので、観に伺えていないので。
また、家で楽しむとします。

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ものわかりのいい病院【かのうとおっさん】160604

2016年06月04日 芸術創造館 (115分)

驚くぐらいに面白く、凄い作品でしたね。
面白いのは、いつもどおりですが、これも過去作品との比較だと少しポイントアップかな。
それ以上に、これだけ交錯する登場人物を、数々の伏線回収と共に、巧く収束させる技が。それも、けっこう無茶苦茶な笑いを組み込んでですからね。
いやあ、驚きました。笑いました。そして、可愛らしい女優さん方、味のある男優さん方の姿を楽しみました。
ただ、本当の感想は、劇中にも出てきてしまうセリフを引用すれば、処理できないよって感じでしょうか。

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魔女が詠うは、とある娘の御伽噺。【NOISY BLOOM】160604

2016年06月04日 シアターカフェNyan (100分)

前回拝見した作品がなかなかお気に入りで、今回はチラシから漂う、いい作品オーラがぷんぷんと匂っていたので、足を運んでみました。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-1.html

非常に良かったですね。
ファンタジーベースに、恋する人の美しさを、その素敵さと同時に残酷な一面も交えて描かれています。
人は醜く、汚い。想い合いなんて言っても、そんなもの欲望で容易に消し去ってしまい、後に憎しみ、恨み、妬みを残す。
御伽噺みたいな、幸せで綺麗な話なんか無い。あるのは厳しく、汚く、歪んだ現実。
でも、そんなことを越えて存在する美しい愛を人はきっと生み出せる。
それを信じて、人を好きになって、幸せを願いながら、生きていければ。
そんなことを感じさせる話でした。

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2016年6月 4日 (土)

翼とクチバシもください【クロムモリブデン】160603

2016年06月03日 HEP HALL (95分)

閉じた世界で日々を過ごす人たち。
それは液晶画面で外とは通じているし、ドローンとか、監視カメラの存在で外の世界をモニタリングすることも出来る、情報化社会の中で生み出されているのかもしれない。
いつしか、そんな人たちは感情を失う。
でも、本当は自分の中に眠るようになってしまった感情の沸き立ちを求めている。思いっきり泣きたいし、笑いたいし、怒りたい。自由に空を飛びたい。
薬で感情は手に入れられない。科学の力で人に物理的に作用して、感情無しに笑ったり泣いたり怒ったりは出来るのだろうが。
翼を手にして、空を飛ぶことは可能かもしれない。でも、空を飛べればそれで満足なのか。きっと違う。空へと飛び立ち、自分はここにいるんだと、その口から声をあげたいのではないか。
だったら、どうしたらいいのか。
それは、人と触れ合い、心をぶつけ合うことなのではないかと伝えているような作品だったように思います。

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2016年6月 3日 (金)

ランニングホーム【ステージタイガー】160602

2016年06月02日 シアトリカル應典院 (100分)

様々な人間ドラマを描きながら、それが交錯する群像劇の中で、色々なことを抱えながらも走り続けて生きる人間を賛歌するような話でしょうか。
今、自分がしたいこと、手に入れたいこと、守りたいことは何なのかを見詰め、そのために懸命に走る。
それが本当に正しいことなのかは分からない。でも、決して否定されることでもないし、これから先の自分を形作る大事なことになることは確かなのでしょう。
今の自分がいい表情が出来ているか。今の自分を否定したりしていないか。自分の大切にしないといけないことが見えているか。
自分に問いかけながら、悩みながらも、必死に走る。
その先に、自分のこれからがある。
それが人の生き方であり、成長であると思わせられるような作品でした。

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