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2016年6月16日 (木)

COACHES OF OVAL【THE ROB CARLTON】160616

2016年06月16日 HEP HALL (95分)

ラグビーの試合だけど、選手には焦点を当てず、その選手に試合中は一切、指示を与えられない中で、必死に戦略を立て続けながら、選手と共に勝利を目指す、コーチボックス内のコーチ陣に焦点を当てた作品。
上手と下手に、各々のチームのコーチボックスを用意して、試合が進む中で起こる、様々な出来事をコミカルに、かつちょっと人生訓めいたことも交えながら描かれる。
大胆にも真ん中は、デッドスペースでほとんどの時間で人はいない。
各コーチボックスをシーン切り替えとかはせずに、常に同時進行。だから、どちらを観ていいのかと、けっこう右左と首を振っての忙しい観劇となる。恐らく、攻撃と守備が入れ替わる普通の試合を観るよりかは難易度が高い観戦能力を要求されるのではないだろうか。
会話は巧妙に同調させたりして、いつもながら巧いとうならせる。そして、もちろん、いつものごとく、その会話の掛け合い、話の展開は非常に面白い。
またしてもやってくれたな。
そんなすっかりこの劇団にはまりつつある自分を再確認できる見事な一品でした。

<以下、あらすじは書いていないので、ネタバレは許容範囲内だと思います。ただ、様々な起こる面白い出来事を、ぼかして書いているのでご注意願います。白字にはしていません。公演は日曜日まで>

BoblandとNew Mursumlandのラグビーの試合。
前後半40分ハーフ、大観衆の下、フィールド内を駆け回って戦う選手たち。
その裏では、試合中は、ただ選手たちを見守るしかできないコーチたちがいる。
ヘッドコーチ、アシスタントコーチ、アナリスト。
試合中の選手への直接の指示はルール違反。もし犯せば、警備員にどこかへ連れて行かれることだろう。
彼らは、その試合をコーチボックスの中で、選手たちと心を一緒にして戦う。

前日からほぼ徹夜で解析した両チームのデータを基に、戦略を決定する。相手は正攻法の表でくるのか、それとも裏を突いてくるのか。はたまた、裏の裏で表なのか。
あまり深読みしてもいけない。それに相手のことばかり気にし過ぎると、本来の自分を見失ってしまいかねない。
一つの判断で試合が大きく変わることも多い。それだけに相手の一挙一動にやみくもに疑いの目を向けるのではなく、広い目で多視点で全体像を把握する力が必要だ。つまりは、相手に大きな敬意の念を払う、心の余裕を持つ必要がある。
自チームの基本戦略はどうするか。試合が始まれば選手たちにそれは委ねるしかないが、全員が同じ方向を向いて戦うことは重要だ。
体力の激しい消耗、思わぬ怪我を避けられないスポーツ。交代策は重要なポイントだ。早い時間帯で重要な選手を欠くことになれば、その後の試合への影響は極めて大きい。
交代はコーチ陣が指示できる。いつどのタイミングでその交代を指示するのかは、試合の流れにもよるが、あらかじめコーチ陣の間でコンセンサスを得ておく必要がある。

今はネットが発展しているので、その情報収集能力の差は試合を大きく左右する。SNS、携帯と得た情報、それに伴う戦略を正確に他に漏らすことなく、自チーム内に伝えることも大切。
大事な練習の映像を流出などしたら、それだけで相手につけこまれる可能性が高い。電話をかけ間違って、大事な情報を漏らしてしまうなどはもちろん論外。
情報は重要だが、現実はそれだけで事は進まない。データだけで全てを解析して予測することは不可能だ。
予期せぬ運命に左右されることもある。
突発的に起こること。例えば、天候。キックプレーに大きく影響する突風なんてものはその一例。
そんなことにも動じない構えも大切。

互いの意見がぶつかり合うことも出てくるだろう。誤解を生む発言や、読み間違えにも気をつけないといけない。
人をただ責めるのではなく、自分自身も振り返って見詰めることが大事だ。メモを残すなら、誰にでも分かる綺麗な字で書かなければいけない。自分の発言は人を傷つけていないだろうか、自分の字は皆に読んでもらうことを意識して書けているだろうか。
そんな、常に相手を意識したコミュニケーション能力も重大な課題となる。
コーチ陣は常に連携して、試合を鑑みて戦略を立て続けないといけない。こんなコミュニケーションのかけ違いで仲間割れするような事態にでもなれば、それで試合は負けたにも等しい。

ラグビーは紳士のスポーツだ。
もちろん、目指すのは両チームとも、自分たちの勝利。
その勝利を楽しみにしている家族、友人、恋人たち。そんな自分が想いを寄せる人のためにも勝たなくてはいけない。
でも、フェア精神を捨てることは出来ない。
相手チームがプレー以外の部分で危機に陥るようなことがあれば、それをチャンスだとほくそ笑むのではなく、自らも同じ危機に陥り、フェアを保つぐらいの紳士的な考えを持たなくてはいけない。
試合に勝つこととの葛藤も大きいが、それでも、やはりノーサイドのホイッスルが鳴った後、握手をして互いの健闘を称え合うことが出来るように。

そんな一つのラグビーの試合を通じて、数々の人生訓のようなことも交えながら、こうあるべきことをなかなか実行できない人間たちの姿を映しつつ、男たちの戦う姿を描いた作品。
いつもながらの、巧妙な仕組みに感動と、その面白さをたっぷりと楽しみました。

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コメント

SAISEI様

感想の前に(笑)

村角氏とまた話せました。話してる間の村角氏の観客対応マナーが琴線に触れました(笑)

次回の劇団925の脚本の1本も担当されますね(劇団925の公演で聞いた)。

投稿: KAISEI | 2016年6月23日 (木) 00時08分

>KAISEIさん

紳士をモットーとする劇団だけに、KAISEIさんがよく言われる脱帽の注意が前説でありましたね。
925は、じゃあ観に伺わないといけないですね。
ここはすっかりはまりましたから。

投稿: SAISEI | 2016年6月24日 (金) 11時51分

SAISEI様

戴帽注意を書くの忘れてました(笑) 私が知る限り劇団でしたのは初めてですね(アカルスタジオは私が言った後している)。ただ英語での注意だったので私が行った千秋楽は誰も脱いでませんでした(苦笑) スタイリッシュなのはいいのですがああいう場で脱がないヤツは教養が無いヤツが多いのでハッキリ言わなダメですわ。キツい言い方ですけど。以後どうしはるか楽しみです(笑) 村角氏の友人らしい人も戴帽されてた方いましたしね。

今回は本公演3本観てきて1番物足りなかったかな。。たぶんラグビー主題で一番普遍的でないと思ったのだと思いますが。シチュエーションコメディとしても今までで一番捻りがなかった感じでしたし。まあハードルも上がっているんでしょう。

ただここに客演される役者さんも気になる方が多くて。役に合ってるなあ、と思う方が多い。

上品で上質な笑いを追求してほしいと思います。

投稿: KAISEI | 2016年6月24日 (金) 14時52分

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