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2016年6月 5日 (日)

ルービックキューブ【ThE 2VS2】160605

2016年06月05日 インディペンデントシアター1st (85分)

ここは感想が書きにくいので、最近、こんな書き方にしています。
24回公演は、場外ホームラン1本、ホームラン1本、いい当たりのヒット2本、ポテゴロ1本、空振り1本。
25回公演は、場外ホームラン1本、いい当たりのヒット5本。
今回は、場外ホームラン3本、ホームラン1本、いい当たりのヒット1本、ポテゴロ1本です。

それより、いつの間にかDVDを販売するようになったのですねえ。
20回記念公演のDVDは持っていますが、22、26回公演も販売されていました。
特に26回は嬉しい。東京公演だったので、観に伺えていないので。
また、家で楽しむとします。

・まくら
前説を兼ねたフリートーク。
今公演のルービックキューブにまつわる知識。27ブロックで出来ているが、もしかしたら真ん中は空洞かも。人の心と一緒で、肝心なところは見えないのかなんて、上手いこと言っている。
キャスト全員、舞台に登場。いつの間にか、会話が繰り返されるカオス。そんな中、この劇団でお馴染みの白ボックスを舞台に設置した時、どこかから声がする。封印されし、白ボックスを転換させてしまった。ルービックキューブの呪い。
キャスト全員がルービックキューブを回して完成させないと、とんでもないことになるらしい。

毎回、名物にもなっている赤字の原因ともなっているのであろう、無駄にクオリティーの高い当日チラシの今回の内容は、この劇団公演でお馴染みの白ボックスの歴史。特に知りたくもない白ボックスのことが詳細に記載されている。
ネタなのか、いつも以上にしどろもどろになっている長橋さんと、いつもどおりどっしり構えた番匠さんの、何か不安を覚える掛け合い。キャスト全員による統率された動きで、相変わらず、クオリティー高いのか、緩々なのか分からない不思議な空気を創り出し、スタート。
今回の幕間は、このルービックキューブの呪いと戦う皆の姿が見られるみたい。

・寝たふりしてる男たち
あ~、宿題忘れた、誰かにノート写させて欲しいななんてワザとらしく大きな声で叫ぶ長橋。同級生の番匠と川村は、長橋の目が女子にこれまたワザとらしく向けられていることを逃さず、からかい始め、男たちは揉め出す。
長橋の視線の先には下島さんと澤井さんが。長橋はじめ男性陣は澤井さん推しらしい。下島さんは事態を収拾させるために、嫌がる澤井さんを諭して、ノートを長橋に渡す。
醜くキモい。それを意識しているのか、長橋は人の声が気になる。気になり過ぎて、寝たら聞けないと寝られなくなるくらいに。そんな長橋に特殊な能力が。それは寝ていながら人の声が聞こえるというもの。
しかし、寝たフリをして聞き耳を立てていると、気になってなかなか帰れない。もうとっくに授業は終わった。早くトイレにも行きたい。でも、教室に人が出入りするので起きられないでいる長橋。
長橋が寝ていると川村と澤井さんがやって来る。空気が完全に川村が澤井さんに告白するパターンだ。起きるわけにもいかない長橋。長橋に声が届く。番匠。彼もまた寝てても人の声が聞こえる能力の持ち主だった。彼も気付いている。告白されたら困る。でも、どうしたらいいのか。
その頃、澤井さんも困っていた。川村とはいつも一緒に帰っている。いいボディーガード。この場で寝ている番匠や長橋も自分に好意を寄せているので、利用価値のある奴ら。そんな3人はこれからもとりあえずキープしておきたい。
4人、各々が心の葛藤に苦しむ中、長橋が遂に限界を迎える。
トイレ。間に合わなかった。噴射されるウンコは異臭を放ち、さらにゲロを誘発する。
食中毒だとして、救援を呼びに向かう川村と澤井さん。修羅場を凌げた。助かった。長橋、ありがとう。
番匠も長橋を抱き締める。みんな、お前のおかげで助かった。
クソまみれの長橋。厳しい修羅場を戦い抜け、視力を失った番匠。
男たちに傷を残し、戦いは終わる。

冒頭から惜しみなく、キモキャラ、ウンコ、ゲロと、お得意ネタを盛り込む。
後半はシュールで何のことやら。
ただ、この作品は、この公演の最後の演目での伏線となっているみたい。
ネタふりってやつだろうか。

・サイレント
仲良し男女4人組。
番匠と澤井はいい感じだ。
それをあまり快くは思っていない長橋と下島。
でも、友達だから。
二人の付き合い、そして結婚を複雑な想いながら、長橋と下島は祝う。
番匠と澤井の結婚生活。料理が異常なまでに下手な澤井。番匠と大喧嘩。
長橋と下島の下に電話がかかって来る。
家に招き入れて、相談にのることに。長橋と下島は、各々、部屋を綺麗にして、チャンス到来とウキウキしている模様。
二人がそれぞれ、長橋と下島の部屋を訪ねる。
長橋と番匠。下島と澤井。
悩みを聞きながら、長橋と下島は、各々、番匠と澤井の身体に触れて・・・

作品名どおり、サイレント芝居。
固定観念に囚われることを利用して、意表を突くことは分かってはいるが、こういうのにすぐ騙されてしまう。セリフが無いからか、より普通を頭の中で想像してしまい、刻み込んでしまうのかもしれない。
最後、長橋と番匠が下手で、下島と澤井は上手で乳繰り合う。
この日、上手最前列に座った自分は間違いなく勝ち組だと思う。

・昨日天気になあれ
時空を飛ぶことが当たり前になった時代。
長橋は、過去に向かう電車の管理をしている。
タイムトラベルを終え、現在に戻る人たちに、お疲れ様とねぎらいの言葉を掛けるのではなく、毒づいて、その人の過去を否定するのが仕事だ。過去に執着して、未来が干渉されることがあってはいけないから。
長く働いてきたが、こんな世界でも、相変わらずの格差社会。情けない自分がいる。
こんなクソみたいな人生を変えたい。
気付くと長橋は、運転手の川村を闇に葬り、自分で電車を動かし、過去に向かっていた。
それは30年前のあの日。
向かった先は競馬場。
この日、自分は闇金で借りた金を馬につぎ込み、負ける。それ以後は、お金に困り続け、今に至る。当たり馬券を買わせれば。
そう思いながら、自分を探す長橋。途中、さっき殺した川村もいた。お互い似た生き方だったみたいだ。
自分がいた。
長橋は過去の自分を説得する。なかなか信じてもらえないが、自分しか知らないことを全て言い当てる長橋を見て、信じてくれたみたいだ。
当たり馬券。いや、違う。ギャンブルを辞めろ。まっとうに生きろ。そうすれば、こんな情けない男にならなくてすむのだから。
過去を変えれば、自分は消える。長橋はそう言う。でも、それでいいんだと。
長橋は、過去の自分に女に告白するように指示する。当時、自分に気がある子は二人いた。下島さんと澤井さん。過去の自分は下島さんに電話。こっぴどくフラれる。
レースも終わった。当たり馬券も買っていない。長橋は全く消えない。
時間切れ。でも、30年後のこの情けない姿を見ることで、きっと過去の自分は変わるはず。ギャンブルを辞めて、頑張って生きろ。そして、自分がまた30年後に、過去の自分を助けに向かえと。負のループになっているようだが、今はそうするしかない。
別れ際、長橋は有馬記念の勝ち馬を過去の自分に教える。
その瞬間、長橋は消える。

綺麗なブラックオチか。
これだけのダメ男だ。今のダメ長橋が消えても、また別のダメ長橋が生み出されることだろう。
そして、きっとまた、過去の自分に会うことになる。
負の連鎖からは抜け出せない。
長橋さんのダメおやじっぷりはいつもどおり。このあたりから、今回は最前列だったので、ビシャビシャになっている姿が光って見える。

・●○○
会社の商品開発部では、上司が部下たちに偉そうにはっぱをかけている。
合戦場では武将が兵隊たちに、無茶な戦闘指令を出す。
作家は編集者たちに、イライラしてクソ生意気な態度をとる。
こっちは必死でアイディアを出して頑張っている、命を惜しまず戦場で戦っている、締め切りに追われているのに何とかしようと必死だ。
自分だけノホホンとして偉そうにふんぞり返りやがって。2代目のボンボンが。
そんな悪口がはびこる中、状況の変化に応じて、かばいだてをする者や去ろうとする者が現れる。
人には裏表がある。成功をおさめていたとしても、ちょっとしたことで、逆転される。逆もまた然り。
ツクダオリジナル、織田信長、シェイクスピアは、そんな経験をする中で、世の常を描いた、一つの作品、オセロを生み出す。

一つ一つの感情は単純ながら、それが絡み合い複雑な展開を見せる人間心理を、オセロとして描いたような話かな。
毎回、色々と考えるものです。

・大事件
澤井さんの実家に向かう長橋。ウンコきっかけで付き合うことになろうとは。そして、今日は結婚を前提に付き合うことを澤井さんの両親に認めてもらうつもり。
かなり緊張している長橋。
新築らしく、ずいぶんと立派な家だ。
両親にご挨拶。母は澤井さんの腹黒さを心配しているようだが、そのあたりは重々承知している。
父は娘を幸せにして欲しいと言ってくれて、とてもいい人そうだ。でも、話が長い。
また、あの時の波が長橋を襲う。
トイレに駆け込む長橋。
数分後、長橋はトイレの中で絶望に包まれる。
床一面に散乱されるウンコ。そして、壁一面を茶色く染めるウンコ。
長橋は電話をかける。
澤井さんは、もしかしたらと思っていた。大丈夫。それでも、私はあなたのことが好き。
両親には私から説明する。父は潔癖症だけど。
しばらくして、トイレの扉がノックされる。ここを開けてと澤井さんの声が聞こえる。
長橋は扉を開く。
床を流れ出すウンコ、壁一面に付着するウンコ、漂う異臭。
ここまでとは。
父は出て行けと長橋に怒鳴りつける。
澤井さんも、この状況に開いた口がふさがらず、何も言えない。
すいませんでした。ただただ頭を下げることしか出来ない長橋。
そんな中、一人の男が現れる。
目を悪くしているのかサングラスをして白衣姿。医者になった番匠だ。
彼は長橋の病気を説明する。何たら言う難しい病気を併発しており、要は、極度の緊張を感じるとウンコが我慢できない体質ということみたい。
それを克服するためにオムツをしていたことも。
番匠は続ける。彼がトイレでどんな状況に陥ったのかも推理してみせる。
第一波はオムツが全てをカバーした。しかし、その安心感が第二波を呼ぶ。必死でオムツでそれを受け止めようとするが、量が多過ぎた。オムツとウンコの格闘。負けたオムツは宙を舞い、壁に当たってウンコを塗りつけながらずり落ちる。
倒れる長橋の尻からは床にウンコが噴射された。
さらに、番匠は澤井さん、両親に向けて語り掛ける。
緊張したらこうなることは分かっていた。でも、彼はオムツをしてまで、挨拶をしようとした。本当は手術をして治すことも出来た。それには時間がかかる。新築祝いも兼ねて、招待されたので、先延ばしには出来なかった。
全て、彼の誠実さによるものであり、本当に責められるべきことなのかと。
黙ったままの澤井さんと両親。
番匠は長橋に声を掛ける。もう行こう。この家族には分かってもらえないみたいだ。病院へ行って手術をしよう。しばらく入院だ。
もう一度、すいませんでしたと頭を下げて、番匠と共に去ろうとする長橋。
澤井さんが、長橋に声をかける。本当の想いを伝える。あなたが好き。だから、ずっと待っている。手術を終えて、また戻って来るまでずっと。そして入院中もずっとお見舞いに行くと。
続いて両親が土下座して長橋に頭を下げる。娘をどうかよろしく頼みます。
長橋も土下座をして、両親に応える。
頭を床にこすりつけ、そのウンコの匂いにゲロを吐きながら。
そんな長橋と両親を澤井さんは幸せそうな笑顔で見守る。
あの頃と同じだな。番匠は幸せを掴めた友達、長橋を祝福する。

ラスト、コミカルな役もよくされるが、けっこう想いを溢れさせる熱情的な演技も素敵に魅せる澤井里依さん(舞夢プロ/evkk)と、クズみたいな人間を演じることも多いが、朴訥だけど本当に真摯に懸命な姿を魅せる力を持つ長橋秀仁さんの名演技。
それをハードボイルド風にかっこよくきめる番匠真之さん、実直で家族愛に溢れる父親の川村和正さん(Artist Unitイカスケ)、娘のことを裏表含めて一番よく見詰めて優しさを注ぐ母親の下島りえさんが囲み、さらに感動を深める。
涙が出ないのは、そこにウンコとゲロがあるからだ。
こんな設定で、役者さんの演技の腕を、思いのたけ魅せる作品。この作品自体が、作品名のごとく大事件だと思う。

作品間はいつものように転換を兼ねた幕間の小ネタ。
正直、ずっとルービックキューブの呪いだ、完成させろで、ダメだったの同じパターンで、今回は幕間はいまひとつだったと書かないと仕方ないなと思っていたが、最後に綺麗にオチをつけていた。
赤色の面だけが揃ったルービックキューブ。赤は、この劇団を知る者は、客でもあまり目にしたくない色のはずだ。そんな呪いが今回もかかっているとは。
でも、次回はまた東京公演。赤を黒に替えることだって出来るかも。
黒で揃え返してやれ。
でも、無理だ。ルービックキューブに黒は無い。
そう、黒なんてこの世界にはきっと存在しないんだ。
そんな呪いの呪縛から解き放たれなかったこの劇団の姿で、今公演は締められる。

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