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2016年6月18日 (土)

3years【劇団空組】160618

2016年06月18日 シアターカフェ Nyan (105分)

多分、このスタイルの作品が好みなのかな。
これは、相当いいぞとけっこう興奮気味に観劇。
歌って、踊って。歌詞に同調させた芝居仕立ての踊りも交えて、話を展開。
どこかの劇団と似ているという表現は、両劇団に対して失礼で語弊を招く恐れもありますが、あくまで賞賛、両劇団へのリスペクトとして受け取っていただきたいのですが、私の中では、梅棒を彷彿。
梅棒が歌って、あのかっこいい人たちが、可愛らしい若い女の子たち、一部ちょっとおもろい人に変われば、今回みたいな作品になるのではないでしょうかね。

これまで各々の環境の中で培ってきた自分の生き様を持って、入学した高校。そこで出会った仲間たちと、3年間の中での様々な出来事を通じて、自分と向き合い、次のステップの人生への道を各々が切り開くまでを描いた話。高校という多感な時期でもあるので、そこに恋や進路の悩みなんかも交えながら、多くのどうしようもない寂しさ、辛さに翻弄されながらも、楽しみ、喜びを見つけ出そうと踏ん張る素敵な若者たちの姿が浮き上がってきます。
歌って踊るというハードな中で、しっかりとエンタメを魅せる技術力と、繊細な心情表現をその都度きちんと伝えて蓄積していく表現力の高さが成し得た素晴らしい作品だと思います。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで。私は日程の都合で拝見できないのですが、同時公演で1通の手紙という作品もあります。残念だったのでDVDを予約しておきました。観れる方は是非、両方を>

自分大好き、お調子者で不良のケン。
高校デビューを目論む、真面目でダサいトオル。
今どきのギャル全開のめい。
地味でおとなしい優等生の優子。
美春はそんな同級生のいる高校に、幼馴染の樹と一緒に入学。
担任は、爽やかイケメン、ちょっと抜けてる一臣先生。
セクシーアピールがすごい保健のすみれ先生は元恋人で、彼女の方はまだ未練がある様子。
美春は一臣先生のことをよく知っている。それは樹のお兄さんだから。
両親を事故で失った一臣先生と樹。一臣先生は、樹の兄として、親として頑張っている。美春も家族ぐるみで二人の面倒をみたりしている。
そんな樹は、兄が先生では何となくやりにくいのか、反抗期を迎えたのか、入学早々、学校をサボって、兄や美春を心配させる。
学級委員は、高校デビューしたいトオルを差し置いて、優等生の優子が順当に就任。
美春たちの高校生活が始まる。

高校と言えば青春。青春と言えば恋だ。
女の子が集まれば、自然に恋バナが始まる。
優子は一臣先生を好きになるという禁断の恋にいきなりはまる。
めいは彼氏募集中。ギャルらしく、やはりカッコいい系が好きらしい。例えば、運動会でハチマキを腕にするなんて、めんどくさい人がタイプのようだ。
美春は、みんなから幼馴染の樹とお似合いだなんて囃し立てられ、男としては意識していないと答えながらも複雑な表情。
男の方も、揃えばやはり女の子の話だ。
エロ本片手に、一臣先生まで交じって、妄想にふける。
そんな輪の中にいつも入らず、孤独な樹。両親を事故で亡くすという経験からか、寂しさを抱え込み、自分の気持ちを人に伝えることが下手。自分が自由奔放に思ったまま言動するから、それがいけないのかと悩む兄。

体育大会、夏休みのお祭り、合唱コンクールと高校生活は進む。
そんな中で、めいはちょっとアウトローな樹が気になったみたいで、強引にアタック。いつの間にか付き合うことになる。兄は、明らかに好みのタイプでない女の子と付き合う樹の真意が計り知れず心配する。美春は、微妙な心持ちであるが、少しずつ学校にも来るようになり始める樹の姿を素直に喜ぶ。
そんな美春がケンは気になり始める。と言っても、どうアタックすればいいのか分からず、悩ましい日が続く。
優子は美春やめいの援護もあり、一臣先生にアタック。子供のような生徒に手を出すことなどありえないと常々言っている一臣先生だが、すみれ先生は気をつけろ、油断するなと再三にわたって忠告。
さすがは元恋人で大人の女性だけあって、その不安は的中。
地味な風貌の下に隠されていた優子の美しさにメロメロになり、一臣先生はあっという間に落とされてしまう。
トオルは未だ高校デビューできず。

2年目のバレンタインデー。
樹はめいに、今年はチョコは受け取れないとお別れを告げる。
いつかこんな日が来ることをメイは知っていた。樹の気持ちが自分には無いことには初めから気付いていたから。
めいは初めてフラれてショックを受ける中、ようやく自分と向き合え、自分の気持ちに気付けた樹のことを思いやり、涙のお別れを。
男なんていくらでもいる。めげずに、たくましく、めいは次の男に牙を向ける。
美春はケンに義理チョコを渡す。
お調子者だけあって、ケンはすっかり本命チョコと勘違い。自分ではきまっていると思っているのだろうが、全くかっこよくない姿で告白。それも、どこから仕入れた情報なのか、かなりの上から目線で。
でも、そんな純粋で素直なケンの姿に、一緒にいたら楽しいかもと美春の女心は揺れたらしい。二人は付き合い始める。
そんな姿を樹は複雑な表情で見守る。
トオルはまだ入学当初のまま、何も変わっていない。

3年生。
先生と優子の仲はさらに深まっているみたい。
めいは相変わらず、色々な男を狙っているみたいだ。
美春もケンとそれなりに。
樹。進路も決まらず、いつも一人で悩みを抱え込む。
そんな樹に美春は、両親が亡くなって寂しい中、一緒に過ごしたあの頃のことを思い出しながら、語りかける。
一人じゃない。ずっと見守っている人が周りにたくさんいるから。ゆっくりとでいいから、樹の思う道を歩けばいい。それで大丈夫だからと。
トオルは、ようやくデビューを果たす。変身の仕方をかなり間違えた感じだが、彼もまた、時間がかかったが、自分の新しい道を切り開いた。

学校で火災が起きる。
火災発生の倉庫に美春が閉じ込められているらしい。
樹は、駆け出し、救出に向かう。
燃え盛る炎、崩れる建物の中で美春を見つけ、その手を掴む。
無茶をして、何かあったらどうするつもりだったんだ。先生は、兄として樹を殴り飛ばす。そして、きつく抱き締める。
美春も樹も、自分の気持ちに気付くことができた。
二人の視線の先には、互いの姿が映し出されている。

もうすぐ卒業。
皆で進路発表をする。
デビューを果たしたトオルは、おかしなテンションになったが、真面目さは変わらず学者を目指すらしい。
めいは、意外にも大学へ行くらしい。
ケンは密かに練習していたギター片手にミュージシャンの道を。
優子は大学に行って、それからは素敵なお嫁さんになるらしい。隣にはデレデレした先生がいる。保健の先生が許さないのではと思いきや、彼女はアメリカ人と結婚するらしい。これで障害は無くなった。
美春は大学で自分のやりたいことを見つけるつもりだ。
樹。
両親を事故で亡くした。現場仕事をする父に憧れていた。いつか、父のように働きたいと思っていた。でも、まだまだ甘い自分に気付いた。あの日から、親として兄として自分を支えてくれた兄。ずっと自分の憧れ、尊敬する人だった。
だから、自分は兄のような先生になりたいと思う。
樹は、自分の素直な気持ちを皆に伝え、その夢に向かって歩み始める。

卒業。
各々の道を進み始める皆。
3年間。
みんな、それぞれ変わっていった。きっとこれからもずっと、変わり続けていく。
小さな夢でもいい。いつまでもそれに向かって歩み続ける自分でいたいと願う美春。
そう、樹がずっと笑っていられるように。

みんなが少しずつ変わっていく。高校生活の日常、様々な行事を通じて。もちろん、そこには高校生らしく恋愛や進路などの悩みの中で。
恋愛や進路と同じように、自分の本当の気持ちには、なかなか気付けないものなのかもしれません。
自分と向き合い、そこにはどうしようもなく弱い自分がいたりして。どうにもならないこともたくさんあって。でも、そんな自分を支えてくれる大切な人がいることにも気付いたりして。
そうして、自分を知っていくのでしょう。そして、自分を信じることで、自分の進む道が分かり、それを切り開いていく。
いつだってその先には、自分の夢がある。だって、自分が歩く道だから。
そして、その隣にいる人に笑顔を見せて、同時に笑顔も見せてもらいながら、進んでいく。
不安もいっぱい。悩みなんていつも付き纏ってくる。でも、自分の道だから、ゆっくりと大切に。立ち止まっている人がいたら、大丈夫だよと声をかけながら。
そんな3年間の中で人生の歩み方を見つけ出した人たちの姿から、自分を見詰め、その先の自分の未来を見出せるような気持ちになる作品でした。

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