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2016年5月 8日 (日)

暇だけどナニか?【劇団暇だけどステキ】160507

2016年05月07日 カフェスロー大阪 (30分、35分、35分、オープニング、幕間に各5分)

劇団員の方々だけの3作品オムニバス公演。
最近、どの方が劇団員なのかよく分からなくなっていたから、ちょうど良かったな。
各々の個性的な魅力を、もう一度インプットし直しました。今まであまり目を惹くことがなかったけど、けっこういいんじゃないかなと思った方も。
これで、本公演の観劇に臨めば、より楽しめることでしょう。

男同士の恋愛、老人の恋愛、大人の恋愛。
劇団、老人ホーム、居酒屋。
同じ目的を持つ者同士の絆、時代を越えて繋がり続ける想い、心のいざこざに打ち勝つ人の力。
くどい、温かい、うるさい。
こんな感じでしょうか。
3作品、個性的ではありますが、連作のように少し繋がりを見せるところもあるようです。
まあ、これだけの守備範囲、いや攻撃範囲かな、凄いものを持っているというアピールには十分過ぎる公演ではないでしょうか。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は本日、日曜日まで>

・「恋より儚いステージで」

ある劇団の役者、堀、小出、酉、北。みんな男。
小出と堀は付き合っている。いわゆるBLだ。
堀は実家の両親から、見合いを勧められており、それが嫌でたまらないが、本当の自分を打ち明けられないでいる。
そんな劇団に中島という新人が入団。酉に憧れての入団ではあったが、どうも堀が気に入った様子で、けっこうガツガツと迫る。どこかいじめたくなるような空気が中島の心をくすぐるらしい。
酉はプライドを傷つけられていい気分では無さそうだが、元々、幸薄い感じなので、何も出来ないでいる。
中島に嫉妬する小出。小出の稽古と称したネチネチしたいじめのような扱いに、中島はまんざらでもない様子。どうも、男なら誰でもいいところがあるみたいだ。
こんな状況を北は全て把握している。ここは劇団。恋をするところでは無いと問題視しているが、自分にも眠る変態性のため、強くは言えないでいる。
堀の両親がやって来る。噂通り、うるさそうな母親だ。父親はその母親に押されて、大したことを喋らないが。
堀のために皆は思い思いの女装。我こそが堀の彼女だと見せつける。
その姿を見て、母親は安心。父親は明らかに男だと分かりながら、母親を連れてその場を去る。昔から何も言わずとも堀のことを理解してくれる父親だったから。
中島は、自分が入ったことで輪が乱れてしまったことを気にし始める。役者を続けていく自信を無くしたようだ。このままでは迷惑をかけるからと、劇団を辞めることに。
数日後、寂しさで抜け殻のようになった劇団員たちがいる。
北はきちんと考えていた。ここは劇団。役者がダメでも、作品を創りたい、演劇が好きという気持ちがあるなら幾らでもポジションがある。
制作助手として、図太く元気な姿を見せて現れる中島・・・

劇団という一つの閉鎖空間で、協力、信頼という絆の下で結ばれる各々の立場の方々が、同じ目的、それも演劇作品を創り上げるというけっこうマニアックな世界の中で過ごしていると、こうした性愛の形も生まれてくるのでしょうか。
この劇団自体が、けっこう濃い役者さんが多いし、何か最近、やたら脱いで肉体を魅せるなんて方向性も垣間見られ、あながち全てが嘘では無いのではないだろうかと疑いの目を向けてしまう。
話自体は、BLをベースに好き放題している作品。
最後は演劇が好きなら、劇団はいつでも門を開いているような感じで締める。その中で、あの門も開けて待ち構えている人がいるのかもしれない。

・「想い出夜曲」

森田は会長職を孫の一郎に譲り、隠居の身。老人ホームに入る。
ホームには、お上品でいつも本を読んでいる幸子さんや、元々なのか、痴呆が進んだのか、かなりボケた久子さんがいる。
皆の面倒を見てくれているのが寮母の愛。
愛は、何でか知らないが、森田と幸子さんをくっつけたがっている様子。
愛は森田に恋愛話を聞きだそうとしたりするが、すぐにうっとおしがられてしまう。
森田は思い出す。
見合いで結婚。その3日後には戦地に向かった。
好きな人がいた。初恋だった。いつも河原で本を読んでいた。外国に憧れているようなお嬢様で、自分には身分が不釣り合いの人。その想いを打ち明けることなく、ずっと詩にしたためていた。
その詩集は、戦地で失くした。口の悪い先輩に、本当に好きな人と結婚すれば良かったのにとからかわれたりする中、物音がして、敵襲かと様子を見に行った隙に狐に持って行かれてしまった。ちょうど良かった。あれで自分のあの人への想いを断ち切ることが出来たのだから。
愛は、なかなか煮え切らず頑固な森田を一旦諦めて、切り口を幸子へと変える。
幸子も見合い結婚。半年後に夫は戦地に向かいそのまま帰らぬ人に。その人との間に子が1人。その後、再婚して子供を2人もうけた。今は孫、ひ孫までいるらしい。
好きなタイプは、はっきりしないが、まとめると長身の隠れ肉食男子のようだ。
森田は長身。肉食なのかはよく分からないが、チャンスは十分ある。
愛は、体を鍛えるプロを知っている。だらしない体をした男といかがわしい狂気を見せる男がやって来て、森田を特訓。
愛は森田をいい体にして、幸子に告白させるつもりだ。
幸子のひ孫がホームを訪ねてくる。初恋の女性にそっくり。
ただ、なかなか男前の自分の孫の一郎を見て、何かおかしな妄想を始めるような腐女子みたいではあるが。
森田はあの日のことを思い出す。伝えられなかった想い。
あれで良かったんだ。そんな時代だったのだから。
ホームの中が騒がしい。幸子さんがまだ戻って来ていないのだとか。外は雨が降っている。
森田は、そう騒ぎ立てることではないと冷静だ。
まあまあ引き締まったいい体になったが、森田は幸子に告白するつもりは無いらしい。元々、お遊びで愛に付き合っていただけ。自分の中の初恋の女性はあの頃のままの姿で脳裏に焼き付いている。
ふと愛を見ると、何か本を持っている。詩集だ。どうして、寮母が。愛は外に飛び出して逃げてしまった。
追いかけるように森田は外に飛び出す。
彷徨い、たどり着いた先には幸子さんがいた。
詩集を持っている。愛からもらったのかと聞いても、初めから持っていたような答え。
あの時に戻ったのだろうか。
伝えられなかったあの人への想い。今、幸子さんが手にしている詩集の中には、自分の想いがたっぷり詰まっている。
森田は、あの日、出来なかった自分の想いを伝え、愛の告白を幸子さんにする。
自分の想いを、思いのままにぶつけることが出来なかった時代。戦争でその想いが容易に断ち切られてしまった時代。そんな時代の中で、その想いを抱き続け、日々、懸命に働き、家族を守り、会社、日本を支えてきた、男、森田は今、眠りに就く。
棺の中の森田は笑顔だ。
間に合った。愛は、その笑顔を見届けた。

序盤は、前作品の印象が強過ぎて、兵隊姿を見ても、おかしな妄想をしてしまう。
懸命に時代を生き抜いた男に、狐が見せた一時の夢なのか、叶わなかった想いを、今、この平和な時代で子孫へと託したのか。
叶わなかった、伝えることの出来なかった想いは、どこに眠っているのだろうか。奪われても、捨ててしまっても、どこか自分の中にいつまでも抱え込んでいるかのようだ。
そんな想いの蓄積が、歳を重ねることのように感じる。
抱えたままの想いは、死によって消えるのではなく、きっとその想いが叶えられるような未来へと繋げられるのだと思う。
温かみのある、どこか歳をとることに喜びを覚えるような素敵な作品だった。

・いざこざ屋

鳥居のある神社。そこに宿る神は、使いである稲荷を人間の住む俗界に送り、人々の安寧を祈る。
そんな神社も都市開発により潰れてしまい、神は行き場を失い、居酒屋のようなところで働いている。
今日も、そんな店、通称、いざこざ屋に客がやって来る。
極美という女性に意を決して熱く告白したものの、あっさりフラれた大地。
鞣尾というクズのような男の下でバイトをしていたが、あっさりクビにされた治。
二人は意気投合して、すっかり友達に。カツ丼でも食べるかということになり、店を後にする。
店にやって来たのは、鞣尾。神はイチオシならぬ命押しの一杯を振る舞う。倒れる鞣尾。
ここは神と人間の境界。鞣尾はあの世へと送り込まれた。
続いてやって来た女性、極美。
鞣尾を見て、困惑した表情を浮かべている。確かに、あの時・・・
戻って来た大地と治。
極美は、高校を卒業して鞣尾と再会。憧れの先輩だった鞣尾。その鞣尾から告白され、すっかりその気に。気付けば薬中に。更生施設での地獄のような生活を終え、鞣尾とまた出会う。鞣尾はすっかり自分のことを忘れている。だから、極美は復讐することにした。
その復讐を今夜決行したのだ。
でも、鞣尾は気付いていたみたいだ。また騙してやる。今度は結婚詐欺で。そんなことを鞣尾は友人に語っていたみたい。
極美は、鞣尾に復讐を遂げた後、警察にこのビルから飛び降りて自殺すると電話した。外ではサイレンの音が鳴り響いている。
そんな馬鹿なクズのような男にずっと囚われて。
刑期を終えたら、必ず俺の下に。大地は熱く語る。
ずっと待ってて。私はあなたのことを忘れないから。そう大地に告げて、極美は警察に投降する。心のいざこざが無くなったから、またこの境界から俗界に戻ったみたいだ。
稲荷が俗界から戻って来る。すっかり変わってしまった神社、落ちぶれた神にショックを受けている。
治は心のいざこざをまだ抱えている。それは鞣尾のこと。クビになった後、もう一度鞣尾と会っている。鞣尾は誰かに殴られたのか、死にそうだった。助けろと命令される。治はTwitterに鞣尾のことを投稿する。フォロワーが0であるのに。案の定、助けは来ずに、鞣尾は息絶える。
友達がいないこと、そしてそのことで人を死に追いやったことを思い悩むが、大地は治を友達だと言う。それに、あのクズの鞣尾が死んだのは神罰であると神は判断している。
治は心のいざこざが無くなり、また俗界で頑張ると店を出る。
甘過ぎるのではないかと稲荷はちょっと不満気だ。
ここはもう神社では無くなった。でも、人々が生きる中での心のいざこざを取り除くところだから。

何かやたら騒々しい作品で、ちょっとごちゃついて、把握できていないところが。
大地はいざこや屋の店員みたいな者なのかなあ。
人の心のいざこざを救うのは神では無く、人間同士の想い合い。神はその場を提供し、きっかけを与えるだけみたいな感じでしょうか。結局、神が何かしたわけではなく、人間たちで自己解決しているみたいなので。
王道のドタバタコメディーの中に、ちょっとサスペンスやら、熱き友情、クサい恋愛みたいなものも混ぜ込んで、無茶苦茶にしたみたいな作品。
もう少し、スマートな展開の方が分かりやすかったかな。でも、そんなこと関係あるかとばかりに力で押し切る魅力を味わうのが正解なのでしょう。

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コメント

御来場いただきましてありがとうございました!
毎度ながら素晴らしい考察恐れ入ります。
役者の振れ幅を存分にいかせる公演になったと思います。
今後ともよろしくお願い致します!
またお会い出来る日を楽しみにしております(*´∇`*)

投稿: 西田美咲 | 2016年5月 8日 (日) 23時26分

>西田美咲さん

コメントありがとうございます。

暇ステの個性的な役者さん、存分に味合わせていただきました。
今回は狐繋がりだったのかな。
おかしなおじいちゃん、おばあちゃんたちへの優しくも軽快なツッコミが冴える寮母さん、弾けた可愛らしいボケキャラ稲荷と、いつもながらの巧みな役者さんっぷりでした。
次回は無名劇団かな。
楽しみにしております。

投稿: SAISEI | 2016年5月 9日 (月) 12時08分

SAISEI様

暇ステさんなのと好きな女性役者がおられるので行きましたが。。今回はそこまでムリしてでも行くほどのことはなかったかな(笑)

勢い重視の芝居が多かったし元ネタ知らないと面白くない部分がちょこちょこあった気がします。要は普遍的でなかった。

2作目が一番好き。前から気になっていたおささんの老婆役が抜群にうまい。

ああやって皆さん一堂に会して拝見するとやはり小出さん凄いなあ、とかベテラン、中堅役者は叫んでも台詞聞き取れるとか役者間の力量の差がわかりますね。

北さんや酉さんは低温の声がステキ。

原さんはアマサヒカエメの公演の方がステキでしたね~♪(笑)

西田さんは入団後、初暇ステ舞台か。挨拶の時、恥ずかしかったのかパパッ、と後に行かれたのでもう少しキチンと挨拶してほしかったかな。でもいい役者さんです。

投稿: KAISEI | 2016年5月11日 (水) 01時18分

>KAISEIさん

本公演とはちょっと違って、祭りムードが強かったかな。
私は、役者さんの魅力を改めて、頭に刻むいい機会になりました。

作品としては、まあ2作品目ですよね。
あ~いったのも出来るし、1・3作品目のようなものもいけるという劇団の力の証明にはなったのでは。

投稿: SAISEI | 2016年5月15日 (日) 19時39分

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