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2016年5月

2016年5月30日 (月)

モノクローム・ダイアリー ~読劇 風の又三郎【劇団ほどよし】160529

2016年05月29日 芸術創造館 (110分)

異様なまでに統率された動きの中で、読み綴られる風の又三郎。
役者さんの言葉と身体が、舞台の音響や照明と相まって、美しい風景を創り出している。
これが言葉で上手く説明できないが、圧巻である。

舞台上で描かれる学校が、そんな風の又三郎の幻想的な世界となり、同時に今、生きている現実の社会の様相を浮き上がらせる。
その中で、人が生きること、自分が自分として生きることを示唆し、そのための社会の在り方を導き出そうとしているような話でした。

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偽フェスティバル5【劇団壱劇屋】160529

2016年05月29日 門真市民文化会館ルミエールホール (70分)

改めて、いい方たちが揃った、いい劇団なんだなあと。
純粋に楽しく、幸せな気持ちでいっぱいの時間でした。
ずっと、この劇団の舞台を観続けられればいいなあと思います。
この訳の分からないゆるゆるのネタ集の公演で、そんなことを思わせてしまう力が凄いですね。

以下、簡単にその内容を記しましたが、元ネタをほとんど知らず、ほぼ意味が分かっていないです。まあ、面白かったのは面白かったですが。
スクエリであの素敵な少女役を演じられたことをはじめ、数々の作品で、不思議な存在感を醸される小刀里那さんの舞台での姿をもう一度拝もうと思って足を運んだだけなので、それで十分です。

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2016年5月29日 (日)

the game【崖淵五次元】160528

2016年05月28日 音太小屋 (100分)

心理サスペンスみたいな感じでしょうか。
密室でのゲームを通じて、謎を解く。その犯人は誰なのか。
単に事象から推理するのではなく、登場人物たちの心の動きを感じ取りながら、その言動の基になるものを読み取っていく。

実に面白かったですね。
何が面白かったって、私は自慢じゃないですが、こういったミステリーもので犯人や謎解きが出来た試しが無いと言っても過言じゃないくらいに鈍い人。
恐らく、作家からすれば、面白いようにミスリーディングして、騙されて、混乱する姿を見せる良い客なのだと思います。
でも、今回はばっちりでしたね。
後半はほぼ完ぺきに謎を解き明かせて、さらには犯人の心情をきちんと読み取れたような気がします。
そして、迎えるラスト。
謎解きがきちんと出来て、ラストを迎えるとこんなに爽快な気持ちになるんですね。
何か自分が偉くなったような感じで、実に気分がいい。
心の中で犯人と一緒に笑っていました。
おかげで、この日の夜は飲み過ぎてしまい、すぐにブログの感想を書けなくなってしまいましたが。

まあ、私ごときにトリックを読まれてしまうということは、ひねりが足りないということになってしまうのかもしれません。
ただ、これはきっと役者さんの心情描写が非常に真に迫っていたということでもあるように思います。
自分の表面に露出したり、奥の中にある汚さや弱さ。それでも、純粋に秘めた人への想いもある。そんな裏表、人が知らない自分、自分も知らない自分があるという不思議な人間を丁寧に描いている作品だと思います。

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ペチカとエトランジェ【劇団冷凍うさぎ】160528

2016年05月28日 シアトリカル應典院 (125分)

難解だ。
普通に話は進んでいるのだが、その時空間の繋がりが混乱し、今、何を観ているのかさっぱり分からなくなる。
絶望の中にいる人。もういいと諦め、厭世の念を募らせる。
それでもいいじゃないか。それが本当の自分なら。
逃げることもないし、したくないことをする必要も無い。
今、自分がすべきことを真摯に見詰めて生きればいい。
さっぱり分からない中で、話を思い返しながら、そんなことを感じている。

<以下、ネタバレするような明瞭なあらすじではありませんが、一応書いてしまったいるので、公演終了まで白字にします。公演は月曜日まで>

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ごんべい 緑組【ゲキバカ】160528

2016年05月28日 HEP HALL (135分)

もう改めて感想を書くこともないかな。
過去の感想は下記リンク先から遡っていけます。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/130211-91af.html

本当に好きな作品です。
2011年に500本観劇記念として東京まで観に行って、その年のNo.1作品にして、2013年に大阪で再会。
やっぱり素晴らしくて、再演するたびに、その年のNo.1作品になったら、私が年末ベスト10を決めるのが楽しくないので、殿堂入りさせました。
そして、また再び出会えました。通算2057本目です。
本当は、今回、また大阪に来てくれたので、もう1回ぐらいは会ってもよかったのだけど、もういいです。
十分満足です。
観るたびに凄いっとなるのですが、今回もやはりそうなりました。
ここまで、楽しめる作品はなかなかありません。
この作品に出会えて、DVDも含めれば、何度も何度も楽しませてくれたごんべいにただただ感謝です。
ありがとう。

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2016年5月28日 (土)

アタシたちには明日しかない【Cheeky☆Queens】160527

2016年05月27日 インディペンデントシアター2nd (115分)

この劇団の旗揚げ公演ということで、そのままメンバーである、女性4人の想いを描いた話であると同時に、今のくすぶる日本の若者たちにも伝えたい想いを込めているような作品でしょうか。
自由な国、アメリカの中で、様々な文化が存在し、そこに住む人たちの個性や生き方は多種多様であることが描かれています。
そんな人たちが、ぶつかったり寄り添ったりしながらも、明日のより良き自分を見詰めて、今日という日を悩みながらも必死に生きます。
そのことが、いつの日か、本当に願った明日を掴み取り、その時、世も変わる兆しを見せる。
観終えて、今日、懸命に生きる者たちだけに、明日の夢は訪れるような感覚が残ります。

兄貴分のSTAR☆JACKSが、これから出発するこの劇団、そのメンバーの方々に、ご自分方の経験も踏まえて、厳しくも優しく、その想いを伝えているような話でした。
正直な話、兄貴分よりかは格段と見劣りする舞台になると失礼ながら思っていました。
とんでもないです。
その想いを真摯に受け止めているのでしょう。
彼女たちはじめ、周囲の役者さん方の魅力たるや。
ダンスやアクション豊富なエンタメ作品としてはもちろん、自分たちの覚悟たる想いをしっかり伝える素晴らしい作品として創り上げられていたように思います。
全力の魅力。それは全力を出せるだけの個の技術の向上や巧みさが必要でしょう。
それと同時に、全力を出せるように周囲が最高の環境を作って支えることも必要なのでしょう。そのことが、作品の中の話から、そして、この公演自体から強く感じられます。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

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2016年5月25日 (水)

Social walk【VOGA】160524

2016年05月24日 京都・石清水八幡宮野外特設舞台 (90分)

人が自分を想った瞬間に、この世にたとえ見えずとも、生まれてきたこと。
この社会の中で、色々と彷徨いながら、自分が自分として生きていくこと。
そこに一人では無い、人との繋がりがあること。
その生きた道筋は、残された者の生へと繋がっていること。
生まれてきた自分、生きている自分が、尊く大切な存在であることに安堵を覚え、この社会の一員である自分として、思いのままに生きていけばいい。
そんなことを一人の少年の生を通じて、社会を行き交う様々な人たちの生きる姿を観ながら、導き出そうとしているように感じる作品でした。

神社ということもあるのか、清らかな空気や鎮まる木々の自然の力が、スピリチュアルな凛とした雰囲気を醸し出す。
そこに、熱のある舞台上の役者さん方の力が、美しく融合し、生を強く感じさせる時間だったように思います。

<以下、あらすじを書いていますが、恐らく、何を書いているのかよく分からないと思います。それでも、若干ネタバレしてしまうところもありますので、ご注意願います。公演が来週火曜日まで続き長期間なので、白字にはしていません>

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2016年5月22日 (日)

チョコレートの楽しみかた【演劇ユニットエストロゲン】160522

2016年05月22日 インディペンデントシアター1st (70分)

女性3人の会話劇。
仕事に生きるキャリアウーマン、恋に生きる一般女性、結婚して専業主婦の座を射止める女性。
繰り広げられる会話には、各々の立場から出る多くの嘘や、ドロドロした妬みやひがみが垣間見られる。
その隙間に、よく見てみると確かにある、想い合いの本当みたいなものを見つけ出そうとするような作品かな。

同時に嘘なのか本当なのか、着飾った自分。
自分の本当の姿は、いつ、どこにあるのだろうか。
家族、友人、恋人、仕事仲間・・・
そんなことに思いを馳せられる話でもあったように思います。

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Re:きつねの花嫁【何色何番】160521

2016年05月21日 人間座 (65分)

見事にミスリーディングにはめられたなあと、ラストあたりで苦笑い。
後々考えるとたくさんの伏線は散りばめられていたのですが、ボケとツッコミの連発、爽やかな自然体の女子トークを微笑ましく見て笑ったり、何かの深い念から生み出された影であると分かっていながらもどこか飄々としている謎の幻影に惑わされたり、純粋無垢で何とも可愛らしい男性の言動に男女の力差を感じながら、どこか男の哀れを思いながら観ているうちに、すっかり固定観念にとりつかれてしまっていました。

決してハッピーで終わるような話では無いと分かっていながらも、そんなほとんどの楽しい時間からは、想像できなかった、何とも切なく、胸が苦しいラストが印象的です。
叶わなかった想い、押し殺すしか無かった想い。そんな悲しい想いたちはどこに今いるのでしょうかね。人生の中で、そんな想いはたくさんあったと思うのです。
きつねの嫁にでもなってくれたら、晴れた気分の中で、洗い流されてくれるのでしょうか。
元々は幸せになることを夢見て生まれた想い。それを大事に育てて大きくなったら、それに潰されそうになってしまう人間の不条理さ。
翻弄されながらも、強く生きなくてはいけない人間が狂おしいほどに愛おしく感じられるような話でした。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は本日、日曜日まで>

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2016年5月21日 (土)

THE KING OF THEATER【がっかりアバター】160520

2016年05月20日 HEP HALL (95分)

この劇団の中では一番好きな作品と似たような感覚を得る作品かな。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/120-a76f-1.html

色々とまたこの劇団らしい、不可思議な設定、えげつない描写を多用していますが、一言で言うと、生きるって色々と大変だけど、バイブス上げて、いい生き方していこうぜみたいな感じでしょうか。
一人ぼっちでさみしいからと、世捨て人のようになって自堕落な生活をしていては死んでいるようなものだし、降りかかる災難に身を任せて、もうこのままズルズル落ちていけばいいなんて抵抗しなければ、そのまま本当に這い上がれないところまで落ち込んでしまう。
だからといって、別に根拠なく、イエ~イとノっていればいいわけでもなく、誰かと体を重ねてセックスしていても一時的な快感でさみしさがまぎれるだけだろうし、薬の力を借りても仕方がなく。
大事なことは、今の自分、生きている自分を肯定することだと伝えているような印象を強く受けます。
そのためにどうすればいいのか。
この作品では、自分のルーツを探るような形で、自分がどのようにして、この世に生を得て、それを多くの周囲の人たちによって見守られてきて、今があるのかを見せているようです。
自分だけの力で生きてきたのではなく、場合によっては、人の幸せを吸い取って、また、自分のさみしさを誰かに押し付けたり、受け止めてもらって、自分の生は守られてきたことが分かります。
最後、そのことを知って、生きる力を得た人間が、同じように苦しむ人間の心を救います。
想われていることを知る強い人間は、想うことでその力を他の人に分け与えることができるのでしょう。
孤独のさみしさ、降りかかる災難と、生きることの悲しみ、辛さは、いつの時でも存在しますが、同時にいつの時だって、それを消し去ってくれるだけの大きな想いが、それこそ時空を超えて自分の傍に存在していることに気付く。
それが生きる力となって、私たちをこれからの時間へと連れて行ってくれるのだと感じます。

今回の公演の観劇代金は客が勝手に決められます。
私は4000円。
一応、内訳を記しておきます。
HEPで若手劇団公演の私の勝手な相場で2500円を基準。
作品の良し悪しよりも、私は上演時間案内、受付対応、観劇環境をよりよくするための努力、・・・などなどに金を払いたいと思っています。
上演時間はしっかりとした案内がされていたと思うので+500円。
初日ということもあってか、開場時間の大幅な遅れ、さらに隣の客のまあちょっとだけどお喋り。前説で私語は慎めということを言えばいいだけだと再三思っているのですが。
本当は、これだけで今回は支払い無しでもいいかと思ったぐらいですが、一生懸命スタッフさんが動いているのを見て、それを否定することは観劇のファンとして出来ません。
今後の改善を信じてマイナスは無しです。
残りの+1000円は、この劇団が好きなこと、こういった企画の挑戦への敬意、あとは、ネタバレになりますが、セットも色々と壊れるんだろうなと、補修費の補助です。

<以下、ネタバレしますので公演終了まで白字にします。公演は月曜日まで>

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LEFT~榛名ベース到れる~【遊劇舞台二月病】160520

2016年05月20日 シアトリカル應典院 (95分)

連合赤軍の総括によるリンチ殺人事件を、報道的な事実描写ではなく、演劇らしく、そこにあった者たちの生き方をたどりながら、その想いを見詰めようとしている作品。
犯罪事件を扱った作品は、私の中では大竹野作品で幾つか拝見しているが、それと似たような感覚だろうか。
犯罪性や悲劇への問題視はもちろんあるが、それよりも、世を変えたいという純粋な想いがあの時代に確かにあって、それを実現するべく起こした行動が悲劇を生み出してしまう人の弱さを知ることで、今、現在においても学ぶべき多くの考えが導き出されるような話として創り上げられているようであった。

<以下、あらすじっぽいことを書いていますが、当日チラシで渡される年表の歴史的な事実を超えるものではないと判断して白字にはしていません。ネタバレに一応ご注意願います。公演は日曜日まで>

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2016年5月15日 (日)

どろどろどるーんぷらすてぃっく【劇団カメハウス】160515

2016年05月15日 シアトリカル應典院 (125分)

死に囚われてしまった男が、性に生の救いを求めながらも、自分で決めた死へ向かって時間を過ごす。
そんな男を救い、彼の進む道を生へと向かわせるまでの姿を愛をもって描いたような作品かな。
同時に、そんな救いの力が演劇というものにきっとあることを強く示唆しているような感も残る。
難解だが、生きることを冷静に見詰めながらも、その力強さ、そこにある想いを信じる優しさに溢れた美しい作品だと思う。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は月曜日まで>

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ダークマスター【庭劇団ペニノ】160514

2016年05月14日 OVAL THEATER (135分)

先週に引き続き、観劇。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/135-f3da.html

色々な解釈が出来る面白い作品といった感想は、前回も書きましたが、改めて、今回拝見したところ、やはり今の日本の国際的な位置づけみたいな感覚が強く残りますね。
マスターが接客下手で技術があるキャラで、これがアメリカと結びつきにくかったのですが、アメリカが相手にするのは国であり、その国の国民の声に耳を傾けてくれるわけでは無いことや、技術があるのではなく、キッチン長嶋というしっかりした土地と豊富なお金といった資源に恵まれているだけであると解釈すればまあ辻褄は合うような気がします。居抜きで見つけた店をここまで自分の店へとした。新大陸に集まった移住民が切り開いた国と何となく合致するような。
前回は少しトラブルもあったようで、あまり流されなかった映像は、アメリカが日本を含め、あらゆる国を監視下に置いているような不気味な印象を強めます。それも日本に関しては、戦後、新しい日本となって生まれた時からずっと、親のように見続けていますよといった感じで。
また、多分、前回は無かった演出だと思いますが、中国人が技術を盗むなんてことを露骨に描写しているようなシーンもあります。
日本人らしく謙虚にしていれば、甘く見られて色々と盗んだりされますし、強く出れば、相当の覚悟を持った強さで無いと返り討ちにあう。傷つけられたと訴えたところで、それも今や金で解決されてしまいます。ましてや、アメリカがいつの間にかいなくなってしまったような状況であればなおのこと。
いつの間にかキッチン長嶋からいなくなってしまったマスター。乏しい経験で力をつけたと勘違いして驕りを見せる新しいマスター。もうアメリカさんは不要だと独立しようとする日本の風潮は本当に正しいのかみたいなことも考えさせられます。
関西一の洋食屋、キッチン長嶋は、中国資本の巨大ビルの前に、単なる店となる。アジア一の国、日本は中国の脅威の下、アジアの単なる一国家としてしか見られないようになるみたいなことに通じているような。
最後、やって来る若者は、初めにキッチン長嶋にやって来た若者とオーバーラップして繰り返しの不気味さを出しているのかなと思っていましたが、少し違った感じがしますね。最後、やって来た若者はグローバル視点を持つ、今の若者のようです。よく分からないのですが、天井から現れるマスターの亡霊のようなものは、そんな若者を開戦へと煽るようなアメリカのイメージ。前回は全く気付きませんでしたが、何か若者以外に訪ねて来る者がいるようなのですが、無視されます。これが、キッチン長嶋にもう一度チャンスをくれる、危うき道へ進む日本を救う存在だったのでしょうか。
何回観ても、その不条理な設定に笑いを得ながら、そのたびにちょっとした言動の違いで解釈を妄想のごとく様々にして楽しめる非常に優れた作品なんだろうなと思います。

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リクルートウォーズ【劇団走馬灯】160514

2016年05月14日 元・立誠小学校 音楽室 (95分)

和田謙二でお馴染みの役者さんが多かったので、色は出るだろうなと思っていましたが、これは、ほぼその濃い色に塗りつぶされてしまったかのような作品ですね。
やり抜く、熱く濃厚な役者さんの姿に感動です。

ダメダメ男の成長物語。
主人公の周囲にいつもいる仲間。そして、分かりやす過ぎる敵。
多くの悩みを抱え、葛藤しながらも、必死に敵と戦い、傷つきながら前へ向かって進む弱い人間。
いつしか、仲間たちと共に、弱い人間は真の強さを勝ち取り、本当の敵に立ち向かう。
ただの青年が勇者となって最後には魔王と戦うような王道のRPGを、現代版として描いたかのような作品に見えます。
少年ジャンプの友情、努力、勝利の世界だな。
就活という大人へのステップをテーマにしているのに、結局、そこに通じるのか・・・

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は月曜日まで>

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2016年5月14日 (土)

ラジオドッグ【KING&HEAVY】160513

2016年05月13日 HEP HALL (120分)

前に拝見した時もそうだったのだが、ハイスピード過ぎて、考える時間を全くもらえない作品。考え込んだりしたら、あっという間に別の場所や時間に連れて行かれてしまいます。
私にとっては苦手意識の強い作品。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/cat21684339/index.html
<2016.05.16改訂 リンク先間違っていました。下記となります>
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/remixchickn-hea.html
これがHEPホールという大きな舞台になったらどうなるのか、今、小劇場界を騒がす若手劇団と言ったらまず名前を挙げるであろうこの劇団が創り上げたらどうなるのかに興味を持って、足を運ぶ。
結果、この劇団らしく若々しい熱に溢れていますので、輪をかけて速い。私の知る限りでは、観劇をここまで続けている原点ともなっているピースピットの圧巻のレベル。パワーマイムっぽい演出も多々あるので、私は拝見したことは無いですが、きっと惑星ピスタチオを思い起こしたりされる方もいらっしゃったのでは。
ラストシーン手間の暗転まで秒単位で空く時間は無かったように思います。
とにかく駆け抜けるとかいったレベルじゃないですね。感想が速え、凄えとなります。

で、やはり前もそうだったのですが、面白いとはあんまり思えないところがあります。
もちろん、劇中にも出てきますが少年ジャンプを彷彿する、若い少年少女たちの、飛びまくりの設定の中で、クサいくらいの熱血青春が散りばめられ、なんかノスタルジックな感覚も残る不思議な魅力はあります。
ただ、たくさんの個性的なキャラや、ベテラン役者さん方のさすがの安定した面白キャラがいるにも関わらず、必ず3人組に焦点がいくように収束してしまう感じがあり、その楽しみを味わえないように思います。まあ、周囲がしっかりしているからこそ、3人組が自由に飛び跳ね、輝けるのではあるのでしょうが。
一昔前の作品なのに、今のTwitterなど、SNSを予言しているかのような話は、時代を先読みする作家の力が顕著に現れているのだと思います。きっと暗に警鐘を鳴らしているところがあると思うのですが、それが若さ溢れるパワーに押し消されてあまり見えてこない。もしかしたら、時代は若者の力で創られるみたいな、そこが重要なのかもしれません。結局、3人組が、10年後の若い3人組にバトンを渡しているかのような印象も受けますから。

世の中を無茶苦茶にしたいのではない、自分が強くなりたいと心に抱いたら、世界はおかしくなった。
皆の幸せを願ったら、行き着く先が今の経済を破綻させることになった。
若者たちの前向きな願いは、1人の少年の姿となって今も昔も世界を混乱へと導こうとします。
でも、そこに悪意は見えてきません。
3人は友達もいなく、問題児と疎まれ、自分の中に眠る本当の力がまだ見えていません。
世の中は、上っ面の言葉や情報が飛び交い、どこに人の想いがあるのかなかなか見えない生きにくい社会です。
3人が起こした行動は、友人や仲間と共に、自分自身も、社会も、悪意での全否定をしないで、わずかの善意を見つけ出して、自分を、世をより良く変えたいという真摯な気持ちだったように思います。
世に溢れる情報や言葉から、そこにある本当の想いを見つけ出し、それを胸に自分を、世を変えていく。それに伴う大きな試練は、辛さや悲しみとなって降りかかるけど、若いこれからの力で乗り越えていこうみたいなことを感じます。
時代が一致するのかは知りませんが、昔、言われていた痛みを伴う構造改革の本当のあるべき姿みたいなものを描き出しているようにも思います。

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2016年5月13日 (金)

マンサク【四方香菜PRODUCE】160513

2016年05月13日 うずめ (85分)

2013年に拝見した作品。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/130531-29ca.html
<↑リンク先、あらすじがネタバレしますのでご注意願います>
そのコミカルでテンポのいい会話の掛け合いの面白さ、温かく優しい空気に包まれた話、生死を真摯に見詰め大切な想いを思い起こさせる力強さ、巧妙に仕組まれた脚本の妙などなど、数多くの魅力を味わえて、この年308本の観劇作品の中の10本指に入れた作品です。
今回も、ほぼ同様の魅力だったように思います。
強いて言えば、こんなにスイッと観れる作品だったかと思うぐらいに、体感時間が短く感じられる、けっこうコテコテの関西弁が飛び交いながらのリズムのいい会話がとても良かったように思います。
以前に拝見した時は、けっこう窮屈な客席で、かなり尻と足が痛かった覚えがあるので、その影響かもしれませんが。

公演は日曜日まで。お薦めしたいところですが、けっこう席が埋まっているみたいなので要確認。
ゲネを撮影した撮って出しDVDが売り切れで予約しました。
この作品、部屋の中の会話が中心で、その外の世界の風景は想像して自分で膨らます感覚が大きいので、多分、DVDでも楽しめると思います。

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2016年5月 8日 (日)

メビウス ’16【劇団ショウダウン】160507・160508

2016年05月07・08日 船場サザンシアター

(澤井里依×為房大輔 : 85分)
(水木たね×佐竹仁 : 80分)

今や、ショウダウン数々の名作の中でも、一際輝く、切なくも温かい素敵な作品という位置づけのメビウスを、男女2人の6組が各々創り上げるという企画公演。
残念ながら、GW中の仕事や他劇団公演の観劇との日程調整で、全てを観に伺うことは叶いませんでしたが、他作品でもたびたび心打たれることの多い、役者さん方、2組の公演を観劇させていただきました。

2012年6月に拝見した作品。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/120624-e160.html
思い出すために、自分のブログを読み返して、観劇に臨みました。
今、愛する人との出会いを大切に、そしていつまでもそのめぐり合いの中で、今の時を一緒に刻みたいななんて思えた作品。
恥ずかし気も無く、そんなことを書いていますね。
そりゃあそうでしょう。
この年の1月に劇場でたまたま出会った子と仲良くなり、そろそろしっかりと告白しようと考えていた頃だったはずですから。私だってテンション上がるというものです。ちなみに、なかなか自信が出ず、告白したのはこの年の12月という情けない有様でしたが。
ずっと一緒にいようね。そんな約束をしたかは定かではありませんが、その約束は果たされることなく、昨年の9月に終局を迎えます。
再演は昨年の10月。何で観に行かなかったのかが、不思議だったのですが、多分、本能的にこの作品を観ると今は辛いぞと思ったのかもしれません。もしかしたら、観る資格無しと自省したのかな。
そして、今回の公演。想いを繋ぎ続けていく。命と共に、きっとそこに宿る想いは、人が人であることの素晴らしさ、尊さを思い起こさせてくれるようなやはり素敵な話でした。
忘れてはいけない人が人を大切に想う気持ち。日常の慌ただしさの中で、そんな大事なことをすぐにおろそかにしてしまう自分。
切なくも温かい、この物語をもう一度噛み締めて、人を想うこと、愛することの美しさ、優しさを心に刻みたいと思います。

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暇だけどナニか?【劇団暇だけどステキ】160507

2016年05月07日 カフェスロー大阪 (30分、35分、35分、オープニング、幕間に各5分)

劇団員の方々だけの3作品オムニバス公演。
最近、どの方が劇団員なのかよく分からなくなっていたから、ちょうど良かったな。
各々の個性的な魅力を、もう一度インプットし直しました。今まであまり目を惹くことがなかったけど、けっこういいんじゃないかなと思った方も。
これで、本公演の観劇に臨めば、より楽しめることでしょう。

男同士の恋愛、老人の恋愛、大人の恋愛。
劇団、老人ホーム、居酒屋。
同じ目的を持つ者同士の絆、時代を越えて繋がり続ける想い、心のいざこざに打ち勝つ人の力。
くどい、温かい、うるさい。
こんな感じでしょうか。
3作品、個性的ではありますが、連作のように少し繋がりを見せるところもあるようです。
まあ、これだけの守備範囲、いや攻撃範囲かな、凄いものを持っているというアピールには十分過ぎる公演ではないでしょうか。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は本日、日曜日まで>

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2016年5月 7日 (土)

Mother ~母が残してくれたもの~ 160506

2016年05月06日 近鉄アート館 (115分)

ずっと観たいと思いながら、タイミング合わずに観逃し続けていた作品。
再々演でようやく拝見できました。
題名から母と娘の絆を描くような作品だと思っていましたが、それを基に、自分たちが生きている中で、どれほど多くの人の想いを受け取っているのかに気付かされる話へと膨らませているような感じです。そして、その想いに感謝して、自分の周囲や子供たちに繋げていかなくてはいけないのだということを考えさせられるような作品だと感じます。

今年拝見した、父と息子を同じように描いた、この作品と同調したような感じでしょうか。作家が同じなので、込められていることを、また別の視点で見詰めているような印象を受けます。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/105-d6aa.html

観終えて、たくさんのことが心に残っています。心に響くことがたくさんあったというのでしょうか。
上記作品の観劇の時もそうでしたし、あの時はかなり涙が滲みました。
でも、今回はなぜか全くといっていいくらいに泣けなかったですね。
それよりも、自分の生き方、成長の仕方、周囲を想う気持ちに対して、何か悔いや恥みたいなことを感じて、何か心苦しい感覚が残ります。
自分に対して、深く突き刺してくるような言葉に苦しい気持ちの方が大きかったように思います。
人との想いの繋がりを温かく描いてはいるが、そこに甘え無く、厳しさが強く感じられるような気がします。女性の凛とした強さがそうさせているのでしょうか。
もし、踊りや歌が無かったら、エンタメで楽しんで心を和らげる時間が無く、かなりきつい作品だったように思えるくらいです。

<以下、あらすじがネタバレしますのでご注意願います。再々演なので、白字にはしていません。公演は本日、土曜日まで>

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2016年5月 6日 (金)

ダークマスター【庭劇団ペニノ】160506

2016年05月06日 OVAL THEATER (135分)

さびれた洋食屋のマスターが、たまたま訪れた若い男に、その仕事を任せ、大繁盛の後に、衰退していくまでの様を描いている話。
メタファー作品として、色々な観方を楽しめる作品だと思います。
もちろん、深く考えずとも、気楽に時折、クスリと笑いながら、話を楽しめるというのは重要なことです。この点も、この作品は満たしており、かなり高品質な見事な作品だと感じます。

今週は日曜日まで公演があります。
来週は、上記した若い男が違う役者さんで、また木曜日から日曜日まで公演があります。
ダブルキャストなので、とりあえず、どっちかを観ておこう。
といった気持ちでしたが、観終えると、ダブルキャストではあるのでしょうが、何か連作となった続きが来週、観られるのではないかといった感覚になります。そんなラストでした。
この妙な感覚を味わうためにも、両週観ておくのもいいかもしれません。
私も来週、違う役者さんの作品を観る予定です。

<以下、あらすじがネタバレします。内容はけっこう異なっているようですが、再演なので、ネットで出てきますので、白字にはしていませんので、重々ご注意願います>

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2016年5月 5日 (木)

演り人始動2都市ツアー【演り人知らズ】160504・160505

2016年05月04・05日 中崎町コモンカフェ 

(Via B、シュA : 35分、50分)
(Via A、春B : 30分、45分)

名古屋・大阪の4人の作家の脚本を、各々ダブルキャストの作品として公演する企画。
8本全て観られたら良かったのだが。
体調が悪いというか、右腕がずっと痺れっぱなしなので、はしご観劇を控えていることと、GW中は仕事もまずまずあるということで、結局、ViaBとシュAの回しか予定が立たなかったのだが、あまりにももったいないので、追加で観に伺う。
このブログを書いた後に、2時間20分の芝居をはしご観劇するが、大丈夫だろうか。

3作品拝見したが、カフェ公演ということもあり、コーヒーが一応、キーワードになっているのだろうか。
ほろ苦さの中に、爽やかな酸っぱさ、ほんのりとした甘さ、どろっとした濃さみたいな様々な味わいを感じられる作品が並んでいるようだった。

<以下、あらすじがネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は明日、6日休演で7日土曜日まで>

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2016年5月 1日 (日)

~ゲキゲキがいっぱい~【劇団「劇団」】160430・160501

2016年04月30日、05月01日 芸術創造館

(B公演:40分、30分、35分、オープニング、幕間に各5分)
(A公演:35分、35分、35分、オープニング、幕間に各5分)

2日に渡って観劇。
一言で言えば、これは凄いといったところでしょうか。
全6作品、オープニング、幕間の作品も含めれば、+5作品。
好みの問題はあれど、全部、安定して当たりでした。

観た順番から言うと、ワンシチュエーションコメディー、推理ミステリー、アニマル系ハートフルストーリー、ヒーロー物ドタバタコメディー、心理サスペンス、ハートフルファンタジーみたいな感じかな。
全作品、共通して言えることは、まず、個々の魅力を持つ面白さがしっかりとあること。
そして、その面白さが単なる言葉の掛け合いから生み出されてるのではなく、人の心を描くことでその通じ合いの妙から現れているような感覚を得るところでしょうかね。
うまく伝えられませんが、コント風だったとしても、そこに演劇的な面白さを感じるようなところです。
名前のとおり、やっぱりここは劇団であり、その演劇の力をたくさん魅せてくれているのだろうなと思います。

<以下、あらすじがネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は明日、月曜日まで>

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おぼろおぼろ【てんこもり堂】160501

2016年05月01日 KAIKA (90分)

かつて、父に捨てられるということで、辛い思いをしてきた家族。
その中で、特に自分を押し殺して、懸命に生きてきた兄を想い、妹が兄の花嫁を探すことから話は始まる。
そこから浮き上がる家族の想い。
関わることになった花嫁候補たちは、自分たちの本当の姿と向き合うことになる。

辛い中で、ただただ悲しんでいても、己の不幸を嘆いていても仕方がない。
いつかは、そこから自分を信じて出発しないといけないのだから。
だから、自分の殻に閉じこもって、辛いと言っていないで、逆に周囲の辛い人に手を差し出したり、想いを寄せてみてあげて欲しい。
そうすることで、押し殺してしまっていた本当の自分の姿が見えてくるはず。
殻を破って進み始めるのは、とても不安で厳しいことかもしれない。
でも、あなたはあなたの個性・魅力を信じて、そして、あなたが人を想ったのと同じように、必ずあなたを想ってくれる人がいることを忘れないで自分の道を進んで欲しい。
そんなことを感じさせられるような作品でした。

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