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2016年5月15日 (日)

リクルートウォーズ【劇団走馬灯】160514

2016年05月14日 元・立誠小学校 音楽室 (95分)

和田謙二でお馴染みの役者さんが多かったので、色は出るだろうなと思っていましたが、これは、ほぼその濃い色に塗りつぶされてしまったかのような作品ですね。
やり抜く、熱く濃厚な役者さんの姿に感動です。

ダメダメ男の成長物語。
主人公の周囲にいつもいる仲間。そして、分かりやす過ぎる敵。
多くの悩みを抱え、葛藤しながらも、必死に敵と戦い、傷つきながら前へ向かって進む弱い人間。
いつしか、仲間たちと共に、弱い人間は真の強さを勝ち取り、本当の敵に立ち向かう。
ただの青年が勇者となって最後には魔王と戦うような王道のRPGを、現代版として描いたかのような作品に見えます。
少年ジャンプの友情、努力、勝利の世界だな。
就活という大人へのステップをテーマにしているのに、結局、そこに通じるのか・・・

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は月曜日まで>

大卒3年目の新戸。
新卒時の厳しい就活面接ですっかり自信を失い、今は定職に就かず、缶詰工場でバイトをしながら、幼馴染の女の子といい仲になるみたいな妄想を抱きながら、不毛な日々を過ごしている。
そんな新戸の下に、同級生だった華城が現れる。ハローワークの職員をしていて、新戸の就職アドバイザーになると言い出す。半ば脅されるように就活を始める新戸だが、第二新卒でスタートが遅い上に、しっかりとした面接訓練もしていないので、当然のごとく、上手くいかない。
IT企業で社長に認められ、活躍著しい、新戸の後輩、万丈はそんな新戸に厳しくも的確なアドバイスを与える。
しかし、華城は万丈を新戸から遠ざけようとする。華城のやり方は、何度も失敗して心折れさせるべきというもので、効率を重視する万丈とは真逆のようだ。

新戸は就活の中で、大学4年生の就活中の学生、安部と出会う。髭を生やし、肉体美を追求する、自分なりのポリシーを大事にするおっさんみたいな学生。
フレッシュさの無さや、個性の強さは協調性や従順力の無さと見なされ、彼も全く上手くいっていない模様。
新戸と安部はいつの間にか、自己啓発セミナーに参加することになり、より新しい自分を見つけ出すために、20万円もの合宿セミナーに参加しようとするまでに洗脳されてしまう。
そんな洗脳されかけた新戸を救ったのが、同級生で幼馴染の女性、鴨居。
鴨居が新戸を連れて行ったのが我流システムという会社の説明会。
素晴らしい数々の商品。それをただ売るのではなく、その良さを分かり合える仲間を増やしていく。そんな会社のシステムをいかがわしい男たちが説明している。つまりはマルチ商法だ。
そんな説明会に紛れ込んでいた華城。
マルチ商法を追求し、またしても洗脳されかかっている新戸を連れ去る。

新戸は、華城から愚かさを指摘されるが、何も上手くいかず、どうしようもない自分にとって道が開けると思ったことを涙ながら語る。
そう、それでいいんだ。華城は新戸に仕事を与える。
それは新興宗教の教団の教祖。
華城は信者たちに語る。弱者たちよ、今こそ、この弱者であるあなたたちのことを本当に理解できる教祖と共に世の支配層に対して聖戦を始めようと。
新戸は悩む。
ボーっとしている新戸の下に1人のおじさんがやって来る。IT企業の社長だ。
新戸は今の自分の弱さを語る。世の理不尽さ、上手くいかない自分。そんな悩みはおじさんにだってあったようだ。そして、道は必ず開けるとおじさんは1通の書類を新戸に手渡す。それは内々定通知だった。万丈が社長に口添えをしてくれたようだ。

新戸は華城に教祖を辞めることを伝える。そして、内々定通知を見せる。
そんな訳がない。あれだけ弱いダメ人間になるように仕向けたのにと、華城の本音が出る。
彼は、自分が操れる、信者の共感を生む弱者の親玉を作りたかっただけだったみたい。
こんなやり方は間違っている。新戸は逃げ出す。
華城の追っ手。その前に万丈が立ちはだかり、新戸を逃す。
しかし、逃げ出せたとしても、華城はしつこく新戸を追い続けるだろう。根本的に教団を、華城を潰すために、万丈は策を練る。信者たちに新戸が内々定通知をみせる。そして、自分たちだって頑張ればやれることを伝える。そうすれば、華城の野望を打ち砕ける。
万丈は新戸に連絡をして、もう一度戻って来て、最上階で信者に向けた放送をすることに。

新戸の前に、我流システムの男たちが立ちはだかる。
教団と手を組むことにしたらしい。
マルチは、一部の支配層にいい思いをさせるために支える弱き最下層の人たちがたくさんいる。教団の信者たちがちょうど都合が良かったのだろう。
鴨居がやって来る。両親が亡くなり、鬱病も患い、どうしようもなくなった時に出会った我流システム。その優しい言葉を信じたかった。信じていたから悩む新戸を誘った。
でも、全部嘘だった。
突然だが、鴨居は有名な護身術の師範クラス。誘拐犯グループをボコボコにした伝説もあるらしい。
戦いは互角。でも、このままでは鴨居もやられてしまいそう。
新戸は我流システムのエナジードリンクを鴨居に渡そうとする。いかがわしい会社だが、商品の質はけっこう高い。
でも、それを奪われて男に飲まれてしまう。
パワーアップする男。新戸は、とっさにそれに目薬を入れたと嘘をつく。
それを聞き、腹痛に見舞われる男。
トドメを鴨居が差して、最上階に向かう。

最上階では万丈が待ち構えていた。
すぐに放送を。
しかし、華城が現れる。
弱者を誘導して、支配層を倒す。そのために必要だった弱者の代表、新戸。
共感を得る言葉は、心に響き、信者たちを思いのままに動かせるはずだった。
華城は、皆を襲う。
強い。新戸と万丈は戦闘キャラではないので、鼻から相手にならない。でも、あの鴨居もかなわないくらいに。
そこに安部が現れる。自己啓発が成功したのか、逃げ出せたのか、とにかく元気な姿を見せる。
そして、華城の嘘を暴く。あの男は、華城では無い。本当の華城は未だ引きこもりの生活を送る弱者だ。
一瞬、ひるんだ華城を安部はご自慢の肉体で抑え込む。
新戸はマイクを握り、信者に語りかける。
俺たち、弱者だって頑張れば就職できる。
大事なのは自分に自信を持つこと、大切な友を得ること、そしてコネだ。

新戸は最終面接を迎えている。
教団も、我流システムも解体したみたい。
行き場を失い、借金も抱える鴨居は新戸に養ってもらうつもり満々。
万丈は新戸が無事に入社できたら、学生時代に後輩だからと散々な目に合わされた復讐をするつもり満々。
色々とあったが無駄にはなっていないはずだ。
自分に自信も少しはついただろう。
何よりも自分の周囲には助けてくれる友がいることは何よりも大きな勇気となるはず。
エナジードリンクに目薬を入れたなんて嘘。そんな話術もしっかりと身につき、それで強そうな人も簡単に騙せてしまう弱さが誰にもあることも知った。
あとは、律儀すぎるところを気をつけて、いらんことさえ言わなければいい。大卒後も、成長するたくさんの経験をしてきたことをPRすればいいだけ。
社長との面接。
あれほど、言っておいたのに、新戸はこれまでのことをバカ正直にそのまま話してしまう。
面接が終わり、新戸が退室して、社長は声をあげる。その言葉は・・・

就活は私も、もう20年前ですが、苦労したので、あの頃を思い出します。
書類だけなら100社、面接だって50社近く落ちましたからね。
これが落ちた全ての原因ではもちろんないでしょうが、安倍と同じように髭を生やして。肉体は貧素でしたが。
馬鹿呼ばわりされて悔しい思いをしたものです。
そして、入試とかと違って、努力でどうにかなるものではない人格否定ですので、自分への自信も無くなったんではなかったかな。
そんな弱いところを社会は上手く突いてきます。権力者にとって、弱い人ほど嬉しい存在は無いことでしょう。
あれから、何とかやって来れているのは、綺麗ごとでは無く、周囲の友達や自分の声を聞いてくれる人との出会い、ちょっとした成功の積み重ねによる自己肯定みたいなもので、おちゃらけた作品ではありますが、この話に通じるところはあるように感じます。
そんな懐かしみを持ちながら、楽しいキャラたちの弾けた笑いをたくさん楽しみました。
個人的に、クズのようなキャラをスマートに、うざいくらいに堂々と演じる役者さんがお気に入りになることが多いのですが、またまた、一人発見しました。
初見かなあ。押谷崇史さん。ちょっと名前を覚えて、しばらく注目したいと思います。

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コメント

SAISEI様

昨年3月の旗揚げ公演『二度と帰らぬ死出の旅』に行っておもしろかったので。

前回は自殺を扱い今回は就活ですか(笑) 私は前回の方が好みだった感じがします。

旗揚げからずっと応援している劇団が私にはないのでここが候補になりますかね。

系統としては笑の内閣みたいな社会問題をエンターテインメントにする、みたいな作品を作る劇団ですかね。笑の内閣の方がマニアックな題材を扱ってますが(笑)

投稿: KAISEI | 2016年5月23日 (月) 00時29分

SAISEI様

5月になってからまだ被りませんね(笑)

1日(日)演劇集団関奈月→男はくさいよ→劇団ショウダウン
2日(月)劇団「劇団」
7日(土)劇団ZTON→劇団ショウダウン→劇団ショウダウン
8日(日)劇団暇だけどステキ→劇団ショウダウン
12日(木)演劇グループsomthimg
13日(金)ないすばでぃプロジェクト
14日(土)Lover Project→カメハウス→劇団925
15日(日)Lover Project→劇団離風霊船→KING&HEAVY
16日(月)劇団走馬灯
21日(土)アカル劇場→遊劇舞台二月病→何色何番
22日(日)演劇ユニットエストロゲン→The stone age ヘンドリックス→ビーフケーキ近藤企画→劇団伽羅倶梨
27日(金)cheeky.queens
28日(土)劇団流星群(予定)→劇団ほどよし→劇団冷凍うさぎ
29日(日)アマヤドリ→ゲキバカ

5月は32本ペースですね。

投稿: KAISEI | 2016年5月23日 (月) 00時43分

>KAISEIさん

作・演が、元月面クロワッサンの稲葉さん。
以前拝見していた作品が、まあまあ自分にはまりそうな感じだったので、今回ご出演の役者さんと合わせて、いいのが観れるのではないかと足を運びましたが、まずまず正解でした。
まあ、もう2、3回観ないと分からないですけどね。

投稿: SAISEI | 2016年5月30日 (月) 14時42分

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