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2016年5月22日 (日)

チョコレートの楽しみかた【演劇ユニットエストロゲン】160522

2016年05月22日 インディペンデントシアター1st (70分)

女性3人の会話劇。
仕事に生きるキャリアウーマン、恋に生きる一般女性、結婚して専業主婦の座を射止める女性。
繰り広げられる会話には、各々の立場から出る多くの嘘や、ドロドロした妬みやひがみが垣間見られる。
その隙間に、よく見てみると確かにある、想い合いの本当みたいなものを見つけ出そうとするような作品かな。

同時に嘘なのか本当なのか、着飾った自分。
自分の本当の姿は、いつ、どこにあるのだろうか。
家族、友人、恋人、仕事仲間・・・
そんなことに思いを馳せられる話でもあったように思います。

デザイン事務所を立ち上げた、ちあきの仕事場に集まるアラサー女子3人。
近々結婚する予定のひなたからの突然の電話がきっかけで、親友のるいも駆けつけている。
ウェディングドレスのデザインの依頼であるが、ちあきは忙しいからと冷たく断る。ビジネスとしてならいいけど、友達だからとそんな余裕は無いみたいだ。
3人は中学生の頃からの親友。
ちあきはかなりの現実主義だ。仕事が今の自分の全て。仕事至上主義を貫く。女っ気の無い服装でバリバリと仕事をこなす。女の子らしいフリフリの可愛らしい服。そんな理想では無く、自分に似合う服を着ればいいというのが信念。無駄なことをするのが嫌いだと堅苦しい。事務所を立ち上げたばかりで、今は仕事をこなすことで精一杯。仕事をして、生活のための家事もそれなりにこなしと日々忙しさに追われている。恋人どころか、男も近づかないような感じだ。
ひなたは控え目で気配りがよく出来るような女性。いわゆる女子力が高く、男性受けがいいタイプだろう。結婚相手もかなりのイケメンを捕まえたみたいだ。家事はもちろん、髪飾りを作ったりと、これまた女性らしさを感じさせる。3人の中で最初に結婚を迎えたのも納得出来る。専業主婦になる予定で、ふんわりと平和な日々をこれから過ごすのだろう。
るいは、違った意味で男性受けするタイプ。恋愛至上主義という感じだ。派遣社員でちあきのように独りで生きていくだけの生活力は無いし、家事も全くダメ。恋人とか遊び相手ならいいけど、結婚の文字がチラつくと急に男に構えられてしまうような感じだろう。ひなたの結婚相手とは同じ街コンで出会って、けっこういい感じになったこともあったようだが、この結果になったこともうなずける。

ちあきは仕事が忙しく、この日もアメリカから帰って来たところ。明日も仕事の用事が入っていて出掛けなくてはいけない。
ひなたとるいの願いで、唯一の休日を空けている。
もう用件が済んだなら、帰ってくれと言うちあきだが、ひなたとるいは女子会を始め出す。
もう女子じゃないだろうと、現実的な言葉を放つちあきを無視して、可愛らしいお菓子、フルーツを準備してチョコフォンデュ。
3人は、各々の現状に愚痴を言ったり、自虐ネタや下ネタも交えながら女子トークを繰り広げる。
ひなたとるいは、太ることもお肌のことも忘れて、チョコをたっぷりつけてお菓子を食べ、よく喋りながら女子会を楽しむ。
ちあきは仕事のことが気になってイライラしている。チョコが嫌いなのか、自分には合わないと思っているのか、フルーツだけを食べ、ちょっと専業主婦のことを攻撃したりしながら。
何か手伝ってあげられたらいいのだが。仕事が少し楽になって、ウェディングドレスをデザインしてもらえたら。まだ、2人は諦めてはいないみたいだ。
ちあきだって分かっている。みんなが幸せになれたらと始めた仕事だ。目の前の友達の願いを叶えてはあげたい。
るいが何気なく、ひなたの結婚相手に教えたフレンチの店の話をする。
私は連れて行ってもらっていないと表情を曇らせるひなた。
何か隠しているのだろうか。るいはメールでまだやり取りをしているんだ。るいは社交的だし、昔から結婚相手と仲が良かった。どうして自分を選んだのか不思議に思うことがある。
イライラを見せるひなた。
るいは少し空気を変えようと思ったのか、コンビニに出掛ける。

残ったちあきとひなた。
ちあきは仕事のことで頭一杯で憂鬱そう。
でも、それ以上にひなたの様子がだいぶおかしい。
ちあきは、あまり溜め込んだらダメだよとひなたに気遣いの言葉を掛ける。
ひなたは頭を冷やしにトイレに向かう。
るいが戻って来て、部屋にあったウェディングドレス姿の人形を見つける。
中学生の文化祭で演じた劇。
その幸せな新婦役はちあきだった。
無駄なことが嫌いなちあきがまだこんなものを残しているとは、本当は結婚に憧れがあるのではないのかと、るいはからかう。
ひなたが険しい表情で戻って来るが、人形を見て、少し表情を緩める。
確か、恋をした女性が、色々あって、その色々な部分は誰も覚えていないが、とにかく結婚式を迎えて結ばれる。そんな話だった。
現実はそんな単純ではない。人は変わってしまうから。
ひなたが声を荒げる。

浮気。ひなたは結婚相手が浮気をしていると言う。
出張と言いながら、きっと浮気相手とどこかに旅行に出かけている。日焼けした肌が何よりの証拠だ。
控え目な性格だから、言いたいことを言えない。いつも、言葉を飲み込み我慢する。
でも、もう耐えられない。別れると伝えると言い出すひなた。
るいはなだめようとするが、一度無理と思ったら、最後なのだとひなたは受け付けない。
それでも、るいはちあきにも意見を聞いたりして、別れるのを辞めさせようとする。
ちあきは冷静だ。無駄なことをする必要が無い。別れるなら別れればいい。
そのうち、ひなたは、結婚相手と仲がいいるいに八つ当たりのような言葉を投げかける。
売り言葉に買い言葉みたいな状態になり、浮気される方も悪いのではないかとるいはひなたを非難する。
ひなたは、自分がずっとちあきやるいにコンプレックスがあり、妬みやひがみを持っていて、友達と思っていなかったと言い出す。
口ケンカは収拾がつかなくなってしまう。

ちあきがもう帰ってくれと叫ぶ。
こんな状況で一緒にいても意味が無いし、仕事も進まない。
ひなた、続いて、るいもちあきの事務所を後にする。
ちあきは、事務所にあった大事な生地が切り取られていることに気付く。
ひなたが戻って来る。
ちあきの仕事を手伝おうと、その生地を使って飾りを作ろうとしていたらしい。
とんでもないことをしてくれた。ちあきはひなたに激昂。
るいが携帯の忘れ物を取りに戻って来る。
ちあきとひなたのケンカに入り込み、事務所は修羅場を迎える。
さっきの続きとばかりに、また言い合いになるひなたとるい。
そんな姿を見て、ちあきは中学生の文化祭を思い出す。
やりたくもない、いや本当はやってみたかった新婦。その役を演じて、良かったと誉めてくれた2人。自分には合わない。そう言う自分をけっこう似合うよと、着飾った自分の内に潜む自分に声を掛けてくれた。
こんな感じで、ずっと助けられて生きてきたのかもしれない。

ちあきはドレスのデザインを始める。
もちろん、ひなたのウェディングドレスの。
これを終えないと、気になって他の仕事が進まない。2人にも手伝ってもらうよ。
3人は徹夜でドレスデザイン。
明け方、疲れて眠る3人。
ひなたは、疲れて寝ているみんなを起こさないように、メッセージを残して、事務所を去る。
出来上がったウェディングドレスのデザインを見て、笑みを浮かべながら。
るいが目を覚ます。
ちあきを起こして、自分も帰ると。
その前に一つ質問。
アメリカ出張。それはどこに行ったの。
ニューヨークと少し、間をおいて答えるちあき。
日焼けには気を付けて。るいは出て行く。
誰もいなくなった事務所。
ちあきは女子会の残りのチョコフォンデュのチョコを指ですくってペロっと舐めて、満足そうな表情を浮かべる・・・

一応、覚えている限りのことを書き記してみました。
なるべく自分の感じたことを盛り込まずに描写されたままに書くようにしようと意識して書いています。
それは、そうすると、そこにある嘘がはっきりと見えてくるかなと思ったから。どうも、それがこの作品を理解するのに大事なんではないかと思ったのです。
でも、どれが本当で嘘なのかは分かりませんね。
捉え方次第でどうとでもなってしまう。
例えば、ちあきはひなたに嘘をついているのは確かでしょう。それも、けっこう酷い嘘です。こんな嘘をついてよく平気で会話できるなとも思いますが、ちあきがひなたにウェディングドレスを創ろうとした気持ちも嘘なのかというとそうではないように感じます。
ひなたは、ちあきやるいにコンプレックスがあって、ずっと妬んで友達などと思っていなかったと告白します。出てしまった本音ではあるでしょうが、でも、これも嘘かもしれません。確かにそんな気持ちがどこかにあったとしても、中学生以来、ずっと3人で仲良くしてきた事実は消えるものでは無く、そこに自分には無いものを求め、助けてくれる大切な人であると思っていたことも本当だと思うのです。
るいは、浮気されているひなたに、まだ分からないようなことを言って落ち着かせようとします。友達が容易に傷つくようになって欲しくないという気持ちから出た嘘でしょう。と言って、逆上して浮気されるのも悪いと出てきてしまった言葉が本当かというと、彼女の恋愛観からはそうも思えません。
嘘も本当も、その人の捉え方でどうとでもなってしまうように見えます。

どこまで善意で見るか、悪意で見るかにもよるでしょう。
ひなたをかなりの悪意で見てしまうと、もしかしたら、ちあきのことも全部知っていたのではないかと疑うことも出来ます。
自分の浮気する男と結婚する友達のウェディングドレスを創らせる。何となく女性がしそうなゾッとする復讐のようにも思えます。
手伝いたいとちあきに向ける言葉がどれくらいちあきに咎めや悔いを与えるか、生地も知っていて飾りにしたのではないか、出来上がったデザイン見て、見せた笑顔は何に対しての満足なのか。
るいも悪意で見ると、結婚するひなたに、仕事が出来るちあきにコンプレックスを抱いていたのかもしれません。ひなたの結婚相手が、女性にいい加減だということも、もしかしたら先の浮気相手として知っていたのかもしれません。だから、共に崩壊する姿を高みの見物で楽しむことができます。
善意での視点を無くすと、人は幾らでも人を悪く見ることが出来ますね。
でも、逆に善意だけで見れば、やっぱり3人は仲良し3人組なのです。人間ですから、色々と利益相反は起こったりするのでしょうが、ごめんなさい、ありがとうといった言葉を交わして、3人でウェディングドレスを創り上げられるのですから。

要は、よく言われる事実は一つだが、真実は複数あるということに繋がっているような話に思えます。
事実と真実が一致しなければ、それは嘘となりそうですが、全く違うのでしょう。
あるのは、その人にとっての真実。
色々な嘘が飛び交って、ドロッとした汚い様相も垣間見られますが、そこに互いに想い合っているという本当は確かにあるように感じられる話です。
出来上がったウェディングドレスのデザイン。
そこには、ちあき、るい、ひなた各々の色々な正も負もある想いが込められていることでしょう。
でも、それを創り上げられた。かつての中学生時代の文化祭で演じた劇と同じように。
あの頃と何も変わらない、大人になったから、その想いの交錯はより複雑になったとしても3人は今もかけがえのない友達なのだと思います。

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