ダークマスター【庭劇団ペニノ】160514
2016年05月14日 OVAL THEATER (135分)
先週に引き続き、観劇。
(http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/135-f3da.html)
色々な解釈が出来る面白い作品といった感想は、前回も書きましたが、改めて、今回拝見したところ、やはり今の日本の国際的な位置づけみたいな感覚が強く残りますね。
マスターが接客下手で技術があるキャラで、これがアメリカと結びつきにくかったのですが、アメリカが相手にするのは国であり、その国の国民の声に耳を傾けてくれるわけでは無いことや、技術があるのではなく、キッチン長嶋というしっかりした土地と豊富なお金といった資源に恵まれているだけであると解釈すればまあ辻褄は合うような気がします。居抜きで見つけた店をここまで自分の店へとした。新大陸に集まった移住民が切り開いた国と何となく合致するような。
前回は少しトラブルもあったようで、あまり流されなかった映像は、アメリカが日本を含め、あらゆる国を監視下に置いているような不気味な印象を強めます。それも日本に関しては、戦後、新しい日本となって生まれた時からずっと、親のように見続けていますよといった感じで。
また、多分、前回は無かった演出だと思いますが、中国人が技術を盗むなんてことを露骨に描写しているようなシーンもあります。
日本人らしく謙虚にしていれば、甘く見られて色々と盗んだりされますし、強く出れば、相当の覚悟を持った強さで無いと返り討ちにあう。傷つけられたと訴えたところで、それも今や金で解決されてしまいます。ましてや、アメリカがいつの間にかいなくなってしまったような状況であればなおのこと。
いつの間にかキッチン長嶋からいなくなってしまったマスター。乏しい経験で力をつけたと勘違いして驕りを見せる新しいマスター。もうアメリカさんは不要だと独立しようとする日本の風潮は本当に正しいのかみたいなことも考えさせられます。
関西一の洋食屋、キッチン長嶋は、中国資本の巨大ビルの前に、単なる店となる。アジア一の国、日本は中国の脅威の下、アジアの単なる一国家としてしか見られないようになるみたいなことに通じているような。
最後、やって来る若者は、初めにキッチン長嶋にやって来た若者とオーバーラップして繰り返しの不気味さを出しているのかなと思っていましたが、少し違った感じがしますね。最後、やって来た若者はグローバル視点を持つ、今の若者のようです。よく分からないのですが、天井から現れるマスターの亡霊のようなものは、そんな若者を開戦へと煽るようなアメリカのイメージ。前回は全く気付きませんでしたが、何か若者以外に訪ねて来る者がいるようなのですが、無視されます。これが、キッチン長嶋にもう一度チャンスをくれる、危うき道へ進む日本を救う存在だったのでしょうか。
何回観ても、その不条理な設定に笑いを得ながら、そのたびにちょっとした言動の違いで解釈を妄想のごとく様々にして楽しめる非常に優れた作品なんだろうなと思います。
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