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2016年5月29日 (日)

the game【崖淵五次元】160528

2016年05月28日 音太小屋 (100分)

心理サスペンスみたいな感じでしょうか。
密室でのゲームを通じて、謎を解く。その犯人は誰なのか。
単に事象から推理するのではなく、登場人物たちの心の動きを感じ取りながら、その言動の基になるものを読み取っていく。

実に面白かったですね。
何が面白かったって、私は自慢じゃないですが、こういったミステリーもので犯人や謎解きが出来た試しが無いと言っても過言じゃないくらいに鈍い人。
恐らく、作家からすれば、面白いようにミスリーディングして、騙されて、混乱する姿を見せる良い客なのだと思います。
でも、今回はばっちりでしたね。
後半はほぼ完ぺきに謎を解き明かせて、さらには犯人の心情をきちんと読み取れたような気がします。
そして、迎えるラスト。
謎解きがきちんと出来て、ラストを迎えるとこんなに爽快な気持ちになるんですね。
何か自分が偉くなったような感じで、実に気分がいい。
心の中で犯人と一緒に笑っていました。
おかげで、この日の夜は飲み過ぎてしまい、すぐにブログの感想を書けなくなってしまいましたが。

まあ、私ごときにトリックを読まれてしまうということは、ひねりが足りないということになってしまうのかもしれません。
ただ、これはきっと役者さんの心情描写が非常に真に迫っていたということでもあるように思います。
自分の表面に露出したり、奥の中にある汚さや弱さ。それでも、純粋に秘めた人への想いもある。そんな裏表、人が知らない自分、自分も知らない自分があるという不思議な人間を丁寧に描いている作品だと思います。

名家の金城家。
その次男、亨は、斉藤詩織との婚約を決める。
その婚約パーティーは、さすがは金城家だけあって、市長や弁護士など社会的地位の高い訪問客ばかり。
ちょっとおかしな怪しげな客はだいたい詩織側の来賓。と言っても、斉藤家も一流の企業らしく、家柄は決して劣っていない。
政略結婚の要素が多い縁談ではあるが、亨も詩織も互いに心惹かれあっており、幸せな結婚となりそうだ。
でも、結婚だけあって、二人が愛し合っていればそれでいいものでは無いらしい。
金城家の後妻、麗子は遺産目当てで金城家に潜り込んだと悪評高い人。亡くなった夫への疑いが持たれるくらいに、狡猾な姿を普段から見せている。長男の裕は、自由奔放に遊び歩いている。警察に勤めているみたいだが、金と権力を傘に、悪い付き合いの噂も絶えない。
そんな中、亨は周囲の期待に応えるべく、医者となった。従順で素直な子。いつも人の目を気にして、かつ自尊心も高い。いつの日か、自分を客観視して、他人には心の底から想いをぶつけることを恐れるようになった。そんな亨にとって、詩織の存在は好きという気持ちに嘘は絶対に無いが、不安も大きくなっている。
そんな不安を友人であるルポライターの藪内に告白。亨のことをよく知っているので、なるほどそんなところがあると否定はしないが、若干めんどくさい理論的な話で亨を力づける。
麗子はあまり詩織を心よく思っていない。裕はどうでもいい話としか思っていない。
そんなことが詩織に伝わるのか、婚約をして金城家で暮らすようになったが、窮屈で朝起きても不安がまず最初に襲ってくるような状態に。
そんな詩織の心に安らぎを与えてくれるのが、皆には内緒で参加している目隠し会。怪しいことをするわけでは無い。ただ、目隠しをして、人と話す。
そこではオトハと名乗る詩織は、カナタと名乗る男と話をすることを楽しみにしている。カナタとは趣味が合うだけでなく、不安や納得できなくても前へ進めばいいんですとか、不安な詩織の気持ちを汲み取ってくれて、勇気を与えてくれるようだ。

カナタは現実世界では桐原という名前で、画家の卵。自分の画廊を訪れて、気に入った絵を買ってもらいながら生計を立てている。まだまだ食べていくことはできていないが。
成美という恋人がいて、桐原を色々と助けているみたい。
そんな画廊に麗子が訪れる。
麗子の目当ては絵では無く、イケメンの桐原。絵を買ってやるからといきなり肉体関係を迫ってくる。
桐原は自分の絵を好きでも無い人に売る気は無いと追い返す。
詩織もその画廊を訪れる。もちろん、共に気付かない。彼の母親へのプレゼントを探しに来たらしい。
詩織は桐原が一番気にいっている未完成の絵に目をつける。桐原は認めてもらえたことが嬉しくて仕方がない。プレゼントするなどと言い出してしまうが、結局、完成したら料金は支払うという約束で購入することに。

麗子は裕を呼び出し、自分に恥をかかせた桐原を陥れるように指示。
ついでに、詩織も追い出せないのかと。
桐原のことを調べ上げ、裕は目隠し会に乗り込み、桐原を無実の罪で逮捕。一緒にいた詩織も見つけ出し、婚約を破談にする。
成美の援護むなしく、裏で手を回されているのか、桐原は結局、実刑を喰らい、牢獄へ。
浮気では絶対に無いという詩織の言葉も、麗子や裕に逆らうことができない亨には届かず、詩織は金城家を追い出された。
厳しい牢獄生活に、名家から見捨てられて経営難に陥る会社の再建と、桐原も詩織も絶望へと突き落とされることになった。

2年後。
亨は別の女性と結婚し、愛人もたくさん持つという生活を過ごしている。そのうちの一人が成美だ。
そんな中、薮内は桐原が脱獄したという情報を亨に伝える。
復讐にやって来る可能性が高い。
亨は皆にも知らせる。
成美が亨の下にやって来た。
急に亨は眠くなり、その場に倒れ込む。
気付くとそこには、麗子と裕。薮内と詩織も眠らされている。
成美がライフルを片手に皆を脅す。
殴りかかろうとする悠。取り押さえられ、手錠をかけられる。
皆に毒を飲ませた。解毒剤を手に入れるためには、桐原が各自に内密に指示するミッションをクリアせよ。
従わないならペナルティー。既に裕には手錠というペナルティーを実施。
桐原の復讐。ゲームの始まり。

亨へのミッション。3人殺せ。つまりは1人だけ助けられるということだ。どうして、こんな酷いことをするのかと非難する亨に桐原は厳しい言葉を投げかける。あの時、詩織を見捨てたのは殺したも同じことでは無かったのか。保身のために逃げたのだろう。今こそ人の生死に向き合えと。
そんなこと出来ない。亨はただ悩むばかり。
麗子へのミッション。男みんなと関係を持て。裕と亨は息子だと答える麗子に、高笑いをする桐原。それがどうした。そんなこと、自分のためならどうとでも思える狡猾な人間だろうと。
麗子は早速、亨を誘う。襲いかかった時に詩織がたまたま現れて、失敗。
裕へのミッション。裕にだけ特別な毒を飲ませている。1時間おきに解毒剤を飲まなくてはいけない。その薬は準備してある。ただし、その手錠姿。誰かにお願いして飲ませてもらわないといけない。いつも人を上から見下ろすお前にとって、頭を下げる屈辱を味合わせると。
裕は詩織に解毒剤をうつように偉そうに命令。詩織は黙って従う。その従順さを不思議に思う裕に、詩織は自分のミッションが裕と麗子の命令に従うことだと言う。
裕と麗子はおかしくてたまらず、服を脱げと悪乗り。薮内が、自分が服を脱いで止めに入る。自分はホモだと裕に迫り出し、その場を凌ぐ。詩織は薮内の優しさに感謝をしている。

薮内は詩織と獄中の桐原が手紙のやり取りをしていることを知っている。ルポライターとして、獄中の桐原をずっと取材していたから。
詩織は、あの事件以来、大変な生活を強いられ辛かった自分を元気づけてくれる桐原の手紙が生きがいであった。あの目隠し会の時と同じように。
亨に見捨てられた悲しみ、桐原を地獄に突き落としてしまったという悔いに悩まされる中、その手紙は詩織に人を信じる気持ちを与えてくれた。
そんな優しさを持つ桐原がどうしてこんなことをするのか理解できないでいる。
薮内は詩織に真実を伝える。
最初はそんな手紙だった。でも、悲しむ成美の姿を見て、その恨みは徐々に蓄積され、ついには悪意のある手紙を書くようになっていた。薮内はそんな手紙を詩織が読むことが辛く、自分が内容を変えて代筆していたのだと。
そして、桐原は病でもう長くない。だから、最後にこんなことを起こしたのだろう。最後に詩織に宛てた手紙。これは最初の頃の穏やかな桐原が書く内容だった。その手紙を薮内は詩織に渡す。

銃声。
薮内が左手を撃たれる。
喋り過ぎ。ペネルティーみたいだ。薮内へのミッションは、裕と麗子の妨害と沈黙することだったから。
亨に治療をしてもらいながら、詩織にも伝えた桐原の真実を話す。
それにしてもおかしい。
病気の桐原がここまで出来るのだろうか。成美の自作自演ではないのか。そうでなかったとしても、共犯者が必要だ。それは誰か。亨は口にはしないが、詩織を疑っている。

裕が死んだ。
解毒剤はきちんとうたれていなかったらしい。詩織のミスでは無い。彼女の本当のミッションは、裕と麗子を欺くことだから。
麗子は既に裕とは交わったみたい。残り二人。時間が無い。麗子は薮内に色気を仕掛ける。薮内は性欲がたまっていたのか、付いて行ってしまう。
亨と詩織が久しぶりに話す。
懺悔する亨に、詩織はもう聞きたくないと拒絶。でも、亨は続ける。今でもずっと愛している。今度こそ、詩織を守りたい。これは本気だと。
桐原から亨に電話。その電話を詩織は奪い、桐原にこんなことは辞めてと直訴。
でも、復讐に狂う桐原にその言葉は届かない。
もう時間が無い。
ゲームは変更。狩猟ゲーム。残り時間を自分から逃げることが出来たら助かることにする。
銃声が鳴り響く。
薮内の携帯に桐原からメール。そこには、これまでの感謝、巻き込んだことの謝罪、そして、この罪は全部、自分が背負うからと書かれている。

亨と詩織は、このどこかにいる桐原を探す。
幸い、詩織は最初から桐原と話をするために、各部屋を回っていたみたい。残りの部屋は少ない。二人は片っ端から残りの部屋を探す。
桐原が見つかり、皆が集まる。
桐原は既に息絶えていた。
その手に握られていたボイスレコーダーには、このゲームを始めた理由が語られていた。ずっと自分を見守ってくれていた成美への感謝。未だ、恨みを募らす成美に最後に出来ること。これで全てを終わりにして、明日へと生きて欲しい。
毒薬も裕以外は全て嘘だったみたいだ。
レイコは逆上する。その姿を見て成美は麗子に発砲。
そのまま、その銃は詩織に向けられる。今度こそ、自分が守る。亨は手にした銃で成美を発砲する。
これでゲームは終了。
詩織宛の桐原の最後の手紙には、長い牢獄生活で、もう限界がきたこと、無力になっていく自分、病にもなり、もう終わりにしようと考えたことが書かれていた。そして、願わくば、たまに思い出して欲しいと。

人が死んでしまった。
桐原が全ての罪を背負うにしても、亨は成美を殺してしまっている。
死体は屋敷に埋めたが、ずっとこのままではいかないかもしれない。
でも、今は祝いたいことがある。
薮内と詩織が一緒になることになった。
自分はもう詩織を幸せには出来ない。だから、友人の薮内に全てを託す。
薮内が面白いことを話し出す。
桐原はゲームが始まった時には既に死んでいた。
桐原が死んでいたことを知った時の成美の発狂ぶりを考えると彼女はあのゲームの真実を知らなかったのだろう。
じゃあ、誰があのゲームを動かしていたのか。
亨は気付く。
どうして薮内が、あのゲームに巻き込まれなければいけなかったのか。あの場にいないといけなかったのか。それはゲームの参加者ではなくて、主催側ということだ。
よくよく考えれば、どうして桐原があんなに容易に捕まったのか。あまりにもタイミング良く詩織が目隠し会にいたのか。
桐原と詩織の目隠し会の情報を入手し、男好きの麗子に桐原をぶつけて煽る。相手にされないことなど分かり切ったことであり、裕に復讐させることも容易に想像できる。
桐原を牢獄に入れ詩織から遠ざけ、亨とは破断させる。
獄中の桐原に近づくことで、自分が暗に詩織と接触し続ける。
全ては薮内の企んだ長いゲームか。
亨は薮内に全てを警察に話すと言うが、薮内はあっさりと答える。
詩織をまた不幸にするつもりなのか。一度ならず二度までも。
亨がするべきことは一つしかない。それは、屋敷に眠る死体の全責任を背負って死ぬことだ。
これで本当にゲーム終了。
何も知らない目隠しをされた詩織の下へ薮内は向かう・・・

人間の弱さに切なさを感じると同時に、人を狂気的にまで想える怖さが滲み出ます。
人を想う、心を奪われるというのは怖いものですね。
人の良さそうな薮内をあんなに狂わせるし、紳士であった桐原も成美への想いから、こんなゲームをするまでに至るのですから。
自分の知らない自分が、どこかで眠っている。それは、自分が人を知ろうとした時に顔を出すようです。
想いが遂げられないからと狂気に至ってしまう人間。それは、そんな奥に潜む狂気の自分の存在を証明しているようです。
ぞっとするけど、同時に人間の脆さに何か侘しく悲しい思いも残る話でした。

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