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2016年3月

2016年3月30日 (水)

ハローハローハロー【大阪府立桃谷高等学校 合同卒業公演】160330

2016年03月30日 桃谷高等学校8階視聴覚教室 (90分)

TheStoneAge作品を高校生が演じる。
家族など、人の想いを大切にした作品が多く、高校生がされる作品としては合っているように思う。純粋に真摯にそんな登場人物の想いに向き合って、いい作品が出来るんだろうなあとは思うものの、いかんせん、この劇団はキャラが濃い。
それに平均年齢的なことを考えても、とても高校生の若さがはまるとは思えない。
数人、HPF関係でお名前を覚えている方がご出演されていることや、どんな感じになるのかなあという興味もあり、足を運んでみる。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/100-3fe7-2.html

感想は正直なところを書くと、偉そうな書き方にはなるが、まあ自分の中では合格点だなといった感じだろうか。
比較の必要性は無いことは分かっているが、どうしても本家で、それも昨年、拝見しているので、記憶もまだ新鮮だ。
ワンシチュエーションで、人が入れ替わり立ち替わりするコメディースタイルの舞台。
個性豊かな名役者さんが、弾け過ぎなぐらいにご自分方の魅力を存分に発揮しながらも、心情変化を実に丁寧にしっかりと浸み込ませていくような話の展開。ドタバタしながらも、しっかりとした安定感が常にある。
この本家で拝見した時の出来に比べると、やはりキャラをしっかり出すことで、どうしても演じている感が出て、自然の雰囲気が消えたり、緊張もあるのか、どこかぎこちない感覚が残っている。
ただ、この作品を観て、もう一度ここを楽しみたかった、笑いたかった、この想いが自分の中に伝わってきて温かい気持ちになりたかったといったところが幾つかある。これは全部満足させてもらえた。というか、そのレベルを超えて、ここ独自の描き方に、その魅力をより楽しめたような気がする。

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2016年3月28日 (月)

Wish Land (C)【劇団空組】

2016年03月27日 インディペンデントシアター2nd (120分)

ラストが3パターンあり、そのうちの一つだけを拝見。
拝見したCは完全にハッピーエンドだと感じるが、他はどんなだったのかが分からないのは残念な話だ。

辛い、悲しい現実から逃げて、幸せな島で歩みを止めてしまった人たち。その再び歩み出すまでの姿を様々な悩みを抱える若者の群像劇として描いている。
立ち止まり、忘れてしまった、見えなくなってしまった自分の未来の像。
失敗しても、挫折しても、そんな自分へのこうなりたいという願いは、強い想いとして心の中にあるはずである。
それを引き出し、その願いを自らの手で叶えよう、その想いを皆に伝えようとした時に、人生は再び動き始める。
そんな強い生き方を始める人の姿を、演技はもちろん、歌や踊りに、熱を込めて表現し、その人への願いとして描き出したような作品。

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2016年3月27日 (日)

うめうめ。【837B】160327

2016年03月27日 インディペンデントシアター1st (70分)

ここは感想が毎回書きにくい。
ブログ書きには辛い劇団です。
面白いとしか書きようがないから。
冒頭からトップギアに入ってしまっているハイテンションの役者さん方。それも全員。そして、最後までずっと。
しかも、全キャラ、とんでもない個性の塊。
暴走する車に70分乗せられたような感じでしょうかね。
それで、疲れたとか思わさずに、何かほっこりとした感覚も残して、面白かったと言って、降りさせるのですから大したものです。

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アインザッツは鳴り止まない【箱庭計画】160326

2016年03月26日 ウィングフィールド (100分)

けっこう複雑な話だと思いますが、スマートに100分でよくまとめあげられたなあと。
役者さんの熱演もかなりのもの。
ちょっとクサいぐらいだが、そこにそのキャラを真剣に見詰めた真摯な姿が浮かび上がり、心揺さぶられる。

自分が人の記憶から消えてしまう。それは一つの死。
そんな死をもってしても、守りたいものがある。それが正義なのだろうか。
誰かを想う尊い気持ち。
思い出したくない、思い出さないほうがいい記憶。でも、そんな想いがある限り、その記憶は必ずまた蘇る。
だから、その悪い記憶を否定するのではなく、そこにあった大切な想いの素晴らしさを信じて、そんな記憶を自分たちの人生の未来への糧とするべく、今を頑張って生きていこう。
そんなことを感じるような、近未来のちょっとダークだけど、人の美しさや誇りを感じる話でした。

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フツーニアルアシタ【追手門学院高等学校 演劇部】160326

2016年03月26日 芸術創造館 (60分)

昨年のHPFで拝見した作品の続編というのか、習作だったから本物の作品として表現できるようになるまでに至ったことを披露してくれたのか。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/55-97dc.html

前作は、顧問の先生が変わってしまうことから、これまでのフツーが崩されてしまうことへの、不安や心の揺らぎをドキュメンタリー風に描いて、自分たちが変化することへの糸口を見出そうとする姿を見せるような作品。
今作は、顧問の先生の変化は、自分たちの人生の一変化と捉え、もっと様々な変化の中で明日を迎えなければいけない人の生き方に対する気持ちをぶつけてきているような感覚を得る。

変化によりこれまでのフツーを喪失する。
でも、変化が無い日々なんて無くて、自分たちはその変化に走って、止まって、跳んで、転んでとぶつかったり、避けたり、抗ったり、受け止めたり、立ち止まったり、逃げたりしながら、生きていくしかない。
今のフツーに執着していては、きっと明日は来ないのだろう。
喪失は辛いことだが、失うことは捨ててしまうことではない。新しいものを掴むために、その手を空けなくてはいけない。これまで掴んでいたものは身体の一部に吸収させてしまうようなイメージだろうか。これが人の成長なのかもしれない。
変化に対する自分たちの対応は各々だろう。能力、性格、環境とその時々の置かれる状況がある。
でも、いつだってその変化をしっかりと見詰め、考えて生きていく。
フツーに明日はきっとやって来ない。自分たちが、変化する今日のフツーと向き合って、自分で引き寄せるのが明日なのかなと思う。
こうして、明日、あさって、しあさって・・・と、過去に掴んだ大切なものを吸収しながら、未来を自分たちの手で掴むという、今回の経験、この作品を通じて得た決意への自信と誇りを感じさせられる。

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2016年3月25日 (金)

アストライアー【アマサヒカエメ】160325

2016年03月25日 HEPホール (130分)

先日、拝見した大阪ゲキバカの作品で、あまりにも下劣なクズを名演技で魅せた方がご出演ということで、その方目当てでどんなものかと足を運ぶ。
奥深い真剣なテーマ、それを魅せる繊細な演技、程よい笑い、様々な考えを膨らませられる脚本と、満足の一品。

何かを失ったり、辛い環境に追いやられたり、最悪は生死を分かつことになったり。
降りかかる様々な運命や試練に翻弄され、自己を見失ってしまいそうになる人間。
でも、大丈夫。
自分は自分であり、また同時に、他人にとっても、やっぱり自分である。
喪失による傷跡や生きる環境での自己否定により、失いそうになってしまう自己は、必ず人同士の想いによって修復されて、取り戻すことが出来る。
人が生きるということは、その人が誰かのために絶対に必要であるという、命の価値を見出すものだから。
そんなことを感じる話でした。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

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2016年3月24日 (木)

裸に勾玉【MONO】160323

2016年03月23日 ABCホール (115分)

まず、舞台セットね。
舞台をどこまで変えてしまうのかと驚愕でした。
そして、まさか、この劇団で感動泣きするとは思わなかったなあ。
哀愁とか切なさでしんみり涙を滲ませるようなことはありましたが、今回は単純に感動して心震えて涙が出てきた。

弥生時代のつまはじきにされた家族の話。アウトロー的なその家族と多数派の村やそれを従える国との絡み。
こんなことも本当にあったのでしょう。昔は。
じゃなくて、今もあるじゃないか。公園で遊ぶ友達同士や学校のクラス、もっとマクロ視点で見てみれば、企業や国家のレベルなんかにおいても。
弥生時代の人たちは、現代語とはちょっと、濁音や助詞の使い方が違う言葉を用いています。そんなズレがまた面白いのですが、違う言葉でも十分通じ合うことは出来ています。なのに、同じ言葉で語り合う者同士が、ここでは互いに通じ合えなくなったりしている。言葉が巧いがために、人を裏切ったりする者もいる。
言葉に頼り過ぎて、心を見ないことが引き起こす人の愚かさなんかも、どことなく感じる話でした。

<以下、あらすじがネタバレしますが、東京、名古屋公演の後なので、白字にはしていませんので、ご注意願います。大阪公演は日曜日まで>

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花かんざし・三人会【劇団KAZUMA】160323

2016年03月23日 池田呉服座 (芝居70分、口上20分、休憩15分、ショー90分)

観劇仲間で大衆演劇通の方に誘われて、実家近くの劇場での公演を観劇。
誘われての観劇はなかなか感想が書きにくいところがあります。
残念ながらいまひとつであまり良く書けないのも気が引けるし、けっこう面白くてテンション高く面白いと書くのも何かわざとらしいかなんて思ったりして。
誘っていただいた方は、前日に某演劇プロデューサーの役者さんの娘さんと同行したらしく、その激しいテンションにご満悦だったようで、冷めた私はそんなテンションは無理だしなあ。
ということで、私はいつも通り、思ったままの感想を書きます。

結論から言うと、普段、小劇場と呼ばれるジャンルを観劇している者にとっては、この大衆演劇はありですね。
以前から、歌舞伎、大衆演劇、落語、ストリップは通じるものがあると思っていましたが、歌舞伎は実際に経験してそれを確認しましたが、今回、間違いなく大衆演劇もいけます。
芝居の作りと、客と創り手の一体感みたいなところは同調するところがあり、姿こそ大衆演劇独特の感じはありますが、そこにある表現の魅力は通じているように思います。
実際、けっこう気楽にいつの間にやらすっかり楽しんでいる自分がいましたから。
ただ、自由度というか、観る側の気ままさ、悪く言えば周囲をあまり考えずに自由奔放に楽しむスタイル、創り手側の幅広さ、悪く言えば、あまりにも作り込み過ぎているのか、デフォルトが見えないようなところはありますが、これも、とにかく楽しく、自由をモットーにしているなら、それも一つのスタイルとして受け止めることは十分できるように感じます。けっこう、ハメを外したことに口うるさい堅苦しさがある私が、許容できる楽しさだと思えるぐらいなので、普通なら、何の問題も無く、面白いじゃんとなるのではないでしょうか。

今回拝見した芝居の花かんざし。
これはかなりいいです。泣けて笑えての人情芝居。男のかっこよさ、どうだという、いい男の魅力を存分に味わえるものでした。
続いて行われるショー。こちらは、役者さんの魅力を知るための時間です。
芝居で拝見した役者さんの違った魅力を味わいながら、他の役者さんの魅力も知るという贅沢な時間となっているようです。
少し踏み込んでみてもいいかなと思える、劇団、役者さんに興味を惹く公演だったように思います。

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2016年3月22日 (火)

通天閣ブルース【劇団そとばこまち】160321

2016年03月21日 十三Black Boxx (80分)

6年前に拝見した作品。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/kitchen100322-e.html

そとばこまちの公演としては3回目に拝見した作品です。192本目の観劇。
あれから、6年も経って、今回は2020本目の観劇となりました。
観た作品の中には正直、その内容や感動を忘れてしまった作品も多々ありますが、不思議といつまでも心に引っかかるように残る作品というものもあります。
この作品はその中の一つかと思います。

あらすじは上記リンク先とほぼ変わっていないと思います。
人が人として生きる中で、忘れてはいけない大切なことを提示して、心に留めさせてくれるような話です。
みんながみんな幸せになんて、確かに綺麗事で、何かを変えていくために切り捨てないといけないことも多々あることは事実でしょう。
でも、その切り捨てられてしまう人たちに、自分の命は軽い、自分は不必要だなんて思わせてしまうようなことは絶対にしてはいけないことでもあります。
そんな改革は破壊だけであり、そんな悲しみの上に何かが創造されるとは思えません。
切り捨てるのは物や事であり、人であってはいけないと思います。そのことによって関わる人がどうなるのかを常に考え、その人に寄り添える社会でありたいと感じます。
それが本当に未来を見詰めた改革なのだと思うのです。
大阪という義理人情に厚く、それが文化として根付いた町だからこそ、そんな人を大切にするというポリシーに基づいた改革が実現出来るはずという願いも感じられます。

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THE GOOD MAN -RETURNS-【演劇ユニットはなうたロック】160321

2016年03月21日 インディペンデントシアター1st (105分)

3年前に拝見した作品の続編。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/the-good-man121.html

まあ、嫌いじゃないな。
と素直に好きと書くことにためらいが出てしまうような、おふざけ感たっぷりの作品ですが、とても楽しい時間でした。
もう、キャラ自体がかなりふざけた設定ですからね。それが小ネタ、下ネタを挟み込みながら、ドタバタを繰り広げる。しかも、定番の正義と悪の対決。
気恥ずかしくなるような王道コメディーの姿が堂々と浮き上がります。
それにしても、やはり何事も真剣に懸命に、かつ丁寧に真摯にするということは大事なようで、そんな想いが込められたこの作品は、引くことが許されないくらいに惹き込まれてしまう舞台だったように思います。
突き抜けた熱演、キレのある張った声、随所に見られるこだわりの細かな工夫、綺麗なシーン転換による滑らかな話の流れ。
楽しいだけでなく、舞台の魅せ方の技光る一品だったと感じます。

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2016年3月20日 (日)

ニドメマシテ【らぞくま】160319

2016年03月19日 船場サザンシアター (60分)

死んでしまった若い女性の未練をたどり、最後に自分の人生の肯定、本当の自分の魅力を知って旅立つまでの話。
よくありがちな話であり、全体的にコミカル色を強めているが、観終えて振り返ると、ずいぶんと観る側の感情を巧妙に制御していることに気付く。
なんてこの女性は可哀想なんだろうとその切ない姿に胸をキュンと締め付けられたかと思えば、実はけっこうあざとく黒さを醸すたくましさがあり、そのときめきは薄れる。
酷いな、この女なんて思って憎々しく観ていたら、実はそこに潜む弱さやずっと抱え続ける葛藤や苦悩が見えてきて、ずっとつらい気持ちを隠して頑張ってきたんだねと励ましの言葉をかけてあげたくなるくらいの同情感を得ている。
心が透き通っている人なんだなあと思ったらただの天然だったり、その美しさや綺麗さは本当の荒々しい自分を隠した偽りの姿であったり、怪しげな人だなと思ったら、それは本当にそのまま怪しいゲス男だったりと。

ある登場人物に深く入り込もうとすると、違う視点での観方でその人を見詰めるような展開に持っていかれ、また違ったその人の姿が浮き上がる仕組みか。
こんな風にきっと人は人を観る時に、ある一つの視点で勝手に決め込んでしまうことは多いのかもしれない。それは他人だけでなく、自分自身ですらそうみたいだ。
見てあげられなかった自分、隠し持つことになってしまった自分。生きることはなかなかに大変で、偽りの仮面をかぶり、いつしかそれが本物みたいになってしまうこともあるだろう。死ぬ時の未練なんてものは、そんな奥に潜んだ本当の自分と対峙しておきたかったみたいなところになるのかな。
色々と感情を揺さぶられながら、笑いと切なさの絶妙なバランスに翻弄されて、生と死を見詰めた巧妙な作品だったように思います。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は月曜日まで>

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2016年3月19日 (土)

NEXNEISIST【有馬九丁目ANNEX】160319

2016年03月19日 STAGE+PLUS (50分)

難しい。
何を描こうとしているのか、とてもじゃないが分からない。
下記に頭を振りしぼって、感じたことを書いてみたが・・・
神やら運命だとか言って、さも全てを分かったかのように安易に受け止めてしまう人たちへの否定。知識や経験が乏しい故に、無防備に入り込まれてしまう幼さも否定。
たくさんの努力で得た知識や経験を基に、神や運命の本質を見詰めて、生きてみよう。神や運命と言っても、勝手に自分に降りかかってきたものではなく、自分自身で導いてきた、今この時の自分にきっと必要なものなのだから。
といったようなことを感じる作品でした。

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THE BEE【劇団六風館】160318

2016年03月18日 大阪大学豊中キャンパス 21世紀懐徳堂スタジオ (80分)

ちゃうかちゃわんの卒業公演とはしご。
向こうは楽しくコミカルで、幸せ気分だったが、こちらは気分悪くなる作品だと聞いていたので、一応覚悟をしておく。
結果は覚悟が足りないくらいに、非常に嫌悪感が残る作品。
なんていう作品なんだと驚く。最後もこんなにまで、突き放して終わってしまうのと。
そして、凄いし、なぜか面白く感じる。もちろん、胸に嫌な気分は残るのだが。

カーテンコールで叱咤激励の叱咤はいらないので、社会に飛び立つ自分たちに激励をと冗談めかして言われていた。
とにかく、凄いなという印象が強く、叱咤は無いが、何でまたこんな作品を卒業公演に選んだのかという疑問が残る。何か、この4年間に負の感情を蓄積しておかしくなってしまったのかと心配になる。
と思いながら、帰宅。何か気持ち悪いと凄いの感情が入り乱れて、頭を整理したいから、飲みに出掛ける。
色々と考えていたのだが、この作品、実は相当の力が無いと、とんでもなくくだらない作品になってしまうのではないのかという考えに行き着く。
結局、話としては復讐が復讐を生んで、ルーチン化されていくような日常の恐怖みたいなことを延々と描いているもの。
この単純な構造の中に、狂気を常に潜め、目を背けたくても背けさせないくらいに客を飲み込む空気を作るのは、役者さんの表現力、演出、舞台美術、照明や音響の効果などあらゆることが卓越していないと厳しいだろう。
そうじゃないと、単なるエロやグロが舞台で見せつけられるだけで、心はきっと舞台から離れてしまうだろう。
そうか。それをこの期の方々はやってのけるだけの力があることを、この劇団の歴史に刻み込むことにしたのだなと思う。
そうなるとたった一つの腑に落ちない疑問も消える。
残るのは、この人たち凄いという賞賛だけだ。

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CROCKERS【劇団ちゃうかちゃわん】160318

2016年03月18日 大阪大学 豊中キャンパス 学生会館2F 大集会室 (90分)

例年、ここの卒業公演は個性豊かな役者さんたちの集大成といったエンターテイメントを見せてくれるが、今年も同じく。
楽しく華やかな舞台を創る腕前は、数ある学生劇団だけでなく、普通の劇団も含めてトップクラスだろう。
昨年はちょっと不気味な不穏さを残す話の中でのエンターテイメントだったが、今年はまだ未知なる力を秘めていると信じる若者たちの頑張る力を温かく描いたような感じか。

卒業される方々は、ほぼ全員、顔と名前が一致している。恐らく、2012年に拝見したオムニバス公演の印象が強かったのだと思う。
何か、この時、癖が強い新入生が多いなあと思ったのを覚えている。
あの時、自分の頭の中に植えついたキャラと今回もあまり変わっていないかな。
相変わらず男前のままだなあ、ガツガツしているなあ、いかがわしさが漂うなあ、真面目さの中の飄々とした笑いがいいなあ、可愛かったけど随分と大人っぽくなったなあ、相変わらず破壊的な笑いで勝負されるなあ、何か悪さを隠し持つ空気を醸すなあ、ちょこちょこと可愛らしく笑顔で踊る姿がいいなあ・・・
と色々と、個性的な役者さんの晴れ姿を楽しく拝見。

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2016年3月18日 (金)

骨から星へ【プロジェクトKUTO-10】160317

2016年03月17日 ウィングフィールド (90分)

あるさびれた駅のホームにたたずむ中年男性二人を通じて、生き方を学ぶような作品だろうか。
今のどこか飢えているような、急ぎ過ぎて、みんなちょっと休憩したいのに、なぜかそれを許さないような空気が漂う社会が浮き上がる。
話はやたら現実。本当に存在しているのか、消えてしまいそうな感覚を得る儚い夢のような世界が舞台で描かれながら、現実のえげつなさが同時に見せられる。

中年男性は、このどこか歪んだ社会で自分を見失ってしまっている。幼き頃に描いた未来の姿と今の現実の乖離に気付いてしまったのかもしれない。
自分はついていけていない。
振り返ればたくさんの過ちや悔いも浮き上がる。
もちろん、自分なりに頑張ってきた。誇りだってある。
でも、そんなものが容易に崩されてしまう世の中でもある。
残ったものは、負の遺産ばかりで、自分は本当に必要だったのかと、自己否定の念が強くなってしまったかのよう。
壊れてしまった心。
そこにたくさんの想いが入り込み、骨を軋ませながらも、その想いを骨に浸み込ませる。
ゆっくりと考える時間。痛みも伴うが、自分の大切な気持ちをもう一度知るための時間。
生み出される、わずかながらの自己肯定の念。
それは自分を想う人がいて、自分もまた想う人がいることの認識。
昔、人は骨を拾い、武器にして、それを空に投げて文明にしたらしい。よく知らないが、映画の話なのだとか。
今、中年男性は、その想いが詰まった骨を空に投げて星にする。それはこれからの自分が歩む道の道標となる。
そして、それは、今、描かれる未来の姿への道標でもあるはずだ。

大丈夫。あなたは大丈夫だから。
疲れたならどこかへ逃げ込んで、生き急がずに、今の自分をたくさん見詰めてあげなさい。
過去の過ちや悔いは許しなさい。
過去の事実をすり替えるのはいけないが、そこにあった自分の想いを見詰めて、過去を変えることはきっと許される。
あなたが生きてきた物語を創り、これからのあなたの人生へと繋げなさい。
それはどんな社会だろうと関係ない。あなたの身体の骨に浸み込んだ想いに誇りを持って、あなた自身が投げ込んだ先の光に向かって歩きなさい。
そんな、ちょっと宗教的な感じもあるが、許されるとか安堵を得るといった感覚になる作品でした。

<以下、あらすじがネタバレしますので、重々ご注意願います。大阪公演は日曜日まで。次の週には東京公演もあり、公演期間が長いので、白字にはしていません>

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2016年3月14日 (月)

MOON【ユリイカ百貨店】160313

2016年03月13日 元・立誠小学校 音楽室 (70分)

昼の回は、子供たちも観劇できるようにしている公演。
託児ワークショップがある回を選んだのだが、別に必ず預けないといけない訳では無いようで、結局、小さなお子様たちと一緒に観劇。
まあ、泣いたりお喋りしてうるさいわなと、少し嫌な感じがしていたのだが、今の子はずいぶんと賢いものだ。
全然、許容できる範囲のお喋りをする子が1人いたぐらいかな。後の子たちはおとなしくしっかりと観劇。観劇中、お喋りする学生、大人たちは、この姿を見て自分たちが恥ずかしいと思って欲しいものです。

ちょっと、受付からかわいらしく、お子様がチケットをもぎる。綺麗には当然もぎれず、これがまたかわいらしい。どうぞと当日チラシをもらって、おっさん一人観劇なので、いつもとは異なり、空気を読んで最後列に座る。
作品もとてもかわいらしいものだ。
上手くできていて、確かにこれなら大人も子供も楽しめる。
視覚や聴覚での楽しみを純粋に受け取れる子供なら、魔女たちの素敵な衣装、絵本のような舞台美術、ミュージカル調の楽しく美しい音楽、驚きの人形のマイムパフォーマンスと存分に楽しめるだろう。
そして、話としては、人が人を想う気持ち、笑顔で一緒にいたいという、心温かく描かれるものに心を打たれて感動する。
人を好きになることで生まれる溢れる喜び、笑顔の素晴らしさ、そして、ちょっぴりとした苦味なんかは話の内容は分からずとも、どこか感じることが出来るような素敵な作品でした。

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2016年3月13日 (日)

いつか みんな なかったことに【ウミ下着】160313

2016年03月13日 KAIKA (85分)

様々人たちから得た震災の記憶を、その言葉、そして、自分たちができる身体表現のダンスを用いて形にしたような作品だろうか。
ドキュメンタリータッチで、あの時のことが淡々と言葉で綴られる。全て、インタビューして聞き取ったものらしい。それを受け止めた証拠のように、その身体表現を舞台上で見せる。
そして、自分たちの想いを真摯に込めたダンスを踊ることで向き合おうとしている。
いつか本当になかったことに、忘れることが出来る日がくるように、今の私たちはまだ忘れてはいけない、目を背けてもいけない。向き合って、そんな日を一緒に導こうと伝えているような感覚が残ります。

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2016年3月12日 (土)

Yesterday 「   」 Tomorrow【水彩suisai】160312

2016年03月12日 近畿大学 Eキャンパス D館3階ホール (30分)

苦手なコンテンポラリーダンス。
と同時に分からないなりに、想像して色々と感じることが出来るので、楽しみだったりもする。
作品名の「   」を埋める何かを感じてみたいなと思い、足を運んでみた。
答えは分からないというか、多分、言葉では無く、観た後の自分の気持ちみたいなものなのかな。

登場する3人。
その人たちには当然、昨日という過去がある。それは当然のごとく、様々なもの。
明日という未来もある。明日、何をするか、何が出来るかの答えは無い。どうなるか分からないものだから。
でも、きっと何かをしたいと今、思っている。
何も変わらずしたいことをそのまましたこと、したいと思っていたのに出来なかったこと、するはずも無かったのに降りかかってきた運命に翻弄されてしたこと。
そんな明日を受け入れるために、今の私たちがしないといけないこと。
繰り返される昨日から今を経た明日。その中で生み出されたたくさんの想いに寄り添いながら、今の自分を見詰める。
そんな分かち合うための想い合いから、明日の自分を見出そうと考える作品のように感じます。

<以下、何を書いているか、自分でもよく分からないので、ネタバレと言うのがおこがましい気がするので、白字にはしていません。ただ、ちょっと舞台演出等でのネタバレはあります。気になる方は、重々ご注意願います。公演は明日、日曜日まで>

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僕らはそこにいる【STAR☆JACKS】160312

2016年03月12日 STAR☆JACKS Studio (70分)

The Rising Generation's Act 宴と称して、劇団の若手の男たちが創り上げた公演。
まあ、分かりやすく言えば、どうしても舞台にいるだけで威圧的な存在感が出てしまう、あのお二人をのけもんにして、ちょっと羽目を外したくらいの楽しい公演をしてみたといったところだろう。
確かに普段のSTAR☆JACKSの公演に比べれば、信じられないくらいのはっちゃけ具合である。
でも、それがまた楽しい。
そして、楽しいだけで終わるなら、正直、大したことだとは思わない。若手と言っても、これまで拝見した中では実力派の役者さんが揃う。面白いことするくらいなら、むしろお手の物だろう。
さすがだ、やっぱりSTAR☆JACKSだと思わすだけの、この劇団が公演する作品の多くにある、男の生き様を描く芯がしっかりと感じられた。
むしろ、ちょっとおふざけ展開なだけに、その部分が突出して際立つくらい。

少年。未来を担う若者。
そんな若者が、あの時代、変わりゆく世の中や、大人たちの欲望に翻弄されながらも、自分が信じる道を切り開くために懸命にその時を生きる。必ず、より良き未来が訪れることを願って。
そんな若者と触れた、現代を生きる若者が、また、未来を見詰める。そこに確かにいた人たち。それは僕たち。
僕たちが生きた証が、未来へと繋がる。
今、懸命に生きる僕たちがいるから、きっと輝く未来が生まれる。そう信じて生き抜く若者の姿は、この素晴らしき劇団、演劇界の未来を担う若手としての決意を作品に込めたようにも感じる。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

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紡ぎ屋カラムと紅い糸【羊とドラコ】160311

2016年03月11日 芸術創造館 (125分)

何か、観劇を始めた2009年頃に、観終えた後に残る心の動かされ方に似た、懐かしい響きを得た感じですかね。
と言って、ただ懐かしい、昔、観た古き良さを感じたという訳だけでは無い。
あれから、私もたくさんの作品を拝見して、色々な楽しみ方が出来るようになった。だからこそ、感じることが出来るようになった良さも、一緒に味わえたような気持ちです。
この感覚は、この作品の中で描写されている、紡がれる糸、新しい紡ぎ方、紡ぎの里の変わらぬ想いとそこから変化して生み出される新しい創作のような考えに通じているような気がします。
沁みる言葉に、美しい心情表現が、素晴らしく合わさって、素敵な作品が生み出されているように思います。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

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2016年3月 9日 (水)

祭!2016 vol.3【足一】160308

2016年03月08日 かつおの遊び場 (30分、30分、25分 休憩10分、10分)

今回は、3作品全て、ソロパフォーマンス。
ご自分方の魅力を、お得意のジャンルでPRといった感じの公演だったように思います。
培った演技力、歌唱力勝負あり、自分を曝け出す作品で勝負する者も。
共通するのは、やはり自分の魅力を限られた時間・空間で魅せることが出来る表現者の凄さですね。
この企画公演らしい、表現を楽しむいい空間だったように思います。

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2016年3月 6日 (日)

BALL【東洋企画】160305

2016年03月05日 アトリエS-pace (95分)

ようやく、観ることが出来ました。
第1回公演以来、注目しているから観に伺うと言っておきながら、なぜか、いつも日程調整が困難だったり、体調を崩したりして。
今回も、結婚式の二次会にぶつかり、ちょっと風邪気味。
これでまた、観に伺うのを辞めたら負の連鎖が続くだろうと強行しました。

正直、話はよく分からないところがたくさんあり、下記の感想も絞り出すのに苦労しましたが、人生の様々な段階で見詰めるべきことを考えさせられるような作品かと思います。
前日に拝見した夜光殺陣に負けない美しい舞台。こちらはその美しさを人間の身体で表現したような感じです。
夢のような世界にいながら、時折、戻って来る現実。その世界の切り替えが、役者さんの身体表現でとても綺麗に描かれていることが印象に残ります。

<以下、許容範囲と言うか、よく分からないのでネタバレはしないと判断して、白字にはしていませんので、ご注意願います。公演は、本日、日曜日まで 2016.03.06訂正 : 公演、月曜日までです。月曜日17:00がラスト

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樂猿祭【演劇ワークショッププレゼンツ】160305

2016年03月05日 インディペンデントシアター1st (75分)

劇団ミライ缶 もも組のバック・トゥ・ザ・ヴァージンロードを観劇。
まあ、面白いと言えば、面白いんだけど、あまりにも脚本が雑じゃないかな。
突拍子も無い展開が多用され過ぎで、話を楽しむことが出来ない。
その分、役者さんのキャラ押しだったところはあるが、それだけでは、かなり濃かったとはいえ、ちょっと物足りなさが残る。
こんな魅力的な役者さんが巣立ちましたよみたいなことは理解するが・・・

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は、本日、日曜日まで>

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エンプティブルー【夜光殺陣】160304

2016年 03月04日 大阪大学豊中キャンパス 21世紀懐徳堂スタジオ (105分)

美しい舞台で定評のある夜光鯨と、殺陣部の合同企画公演。
照明、音響、映像、舞台美術・・・と何がどうなっているのかは、私には分かりませんが、とにかく美しい舞台になっていることは間違いないでしょう。
それも、ふわ~っと茫然となるような美しさではなく、どちらかというと何か奮い立たされて熱を帯びるような。

話は神話みたいな感じでしょうか。
神と言っても、人間以上に人間臭いその姿から、日本人の中にずっと根付く大切な精神が見えたような気がする作品でした。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は本日、日曜日まで>

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