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2016年3月 9日 (水)

祭!2016 vol.3【足一】160308

2016年03月08日 かつおの遊び場 (30分、30分、25分 休憩10分、10分)

今回は、3作品全て、ソロパフォーマンス。
ご自分方の魅力を、お得意のジャンルでPRといった感じの公演だったように思います。
培った演技力、歌唱力勝負あり、自分を曝け出す作品で勝負する者も。
共通するのは、やはり自分の魅力を限られた時間・空間で魅せることが出来る表現者の凄さですね。
この企画公演らしい、表現を楽しむいい空間だったように思います。

・ヒーロー : 足一

仕事を終え、帰宅する女性。
タバコに火をつけて、部屋着の半纏を羽織る。晩御飯は、買ってきた新作のカップラーメン。
探偵ナイトスクープでも見ながら、時折、むせて麺をすする。
昔はもっと輝いていたような気がするが。
ヒーローの絵本を手にする。
困っている人がいました。悪い人がいるので、その人はもっと困ります。そんな時、困った人は叫びます。助けて、ヒーロー。
そう、私はそんなヒーローになりたかった。
中学時代。
頭はいいけど、おとなしく弱いのでいつもいじめられていたユキオ。
少林寺拳法で、ユキオを困らせる奴らはみんなボコボコにした。
卒業式。ユキオに呼び出される。
遂にきたか。自分からは決して想いを伝えなかった。そんなことを自分から言うのはヒーローじゃないから。
いつまでも僕のヒーローでいて下さい。ずっと傍にいて僕を守って下さい。
そんな言葉が聞けると思いきや、もう、付きまとわないで、離れて欲しいとユキオから言われた。
何となく、昔を思い出して、Facebookで友達を検索。子供の写真を載せたりして、ずいぶんと幸せそうだ。それに比べて、今のこの自分と言えば。
高校時代。
サッカー部で頑張っていたが、頭が悪いカズキ。
勉強が出来なくて、赤点ばかり。困っている。
自分の出番だ。
カズキに勉強を教えるために、自らも必死に勉強。いつの間にか、すっかり頭が良くなってしまった。
でも、カズキは一向に良くならない。それどころか、自分と一緒に勉強はせず、サッカーの練習ばかり。マネージャーと一緒にどこかへ出かけたり。
カズキには、優先していることがある。それが勉強ではなくサッカーであり、自分ではなくマネージャーなのだろう。
自分は不要。困っている人を助けるつもりが、逆に困らせていたことに気付く。とんだピエロだ。
その後、大学に普通に入り、事務員として就職した。そして、今に至る。
そんな思い出にふける中、会社から電話。
仕事の書類で困っているらしい同僚からだ。
その書類はきっと、その子では無理。だったら、私がする。その方が早いし。
でも、聞けば、家の近くまで来ているのだとか。今から来るの? ちょっと待って。それは困ると慌てふためく。
吉本新喜劇を見てニヤニヤしながら、相変わらず、新作カップラーメンを食べる日々。
ドアチャイムが鳴る。えっ、今日は半日勤務なの。食事はカップラーメンしかないけど。
子供を抱っこして、絵本を読み聞かせる。何度も読んだヒーロー。子供も飽きてしまったみたい。
だったら、今日は新しい話をしてあげよう。
困っている人がいました。悪い人がいるので、その人はもっと困ります。そんな時、困った人は叫びます。助けて、ヒーロー。
でも、ヒーローは悪い人を倒しません。ヒーローが、困っている人のために全部をしてしまったら、その人はすることがなくなって、もっと困ってしまうから。
ヒーローはただ、ずっと見守ります。
そうすると悪い人はいなくなります。だって、悪い人を倒すヒーローは普通の人になり、困っている人は、もう困らなくなっているから・・・

西田美咲さん(劇的☆ジャンク堂/劇団暇だけどステキ)の一人芝居。
中高生、妙齢OL、お母さんと、その雰囲気を姿かたちや喋り声ではなく、表情、漂わす空気で切り替えているのが印象的。
勇ましい拳法姿に、キャピキャピした学生姿、女子力を失っただらしない妙齢女性姿、温かみのある優しい空気のお母さん姿と、その変化はさすがは女優さんってところだろう。
悪い人に困らされる普通の人。それを助ける正義のヒーロー。その時に、その視点が悪い人ではなく、困っている人に向けた方がいいのではないかといった考えになるのかな。
例えば、戦争で大切な人を失った人。戦争を辞めるように、また戦いを始めるよりも、まず、その悲しむ人に寄り添ってみよう。
一緒にその悲しみを乗り越えてみよう。自分はたとえ見守ることしか出来なかったとしても、その人が自分の力でそれを受け止め、昇華できるその日までずっと。
悲しむ人を普通の人に変える。所詮、ヒーローではない普通の人。だから何も出来ないんじゃなくて、普通の人だからこそ、出来ることって、そんなことなのかも。
そうしたら、いつの日か、その悪い戦争なんか、消えてしまうんじゃないの。
そんな感覚を得る話のように思います。
新作を食べる心情。わざわざ、新作限定にしているのは、そこに彼女の深層心理を隠しているのかな。
試す。新しい、まだ、評価が固定されていないものを。
何となく、自分への不安、自信の無さみたいなものを感じます。そのことで、自分の不安な想いを埋めて誤魔化すみたいな。
好きですという言葉をユキオにもカズキにも言っていない彼女。そこには、まだ相手に対して自分は不十分だという焦りがあるように見えます。極端に言えば、相手に自分の気持ちを応えてもらうことを初めから、どこかで諦め、拒絶しているかのような。
だから、一方向で自分から相手にひたすら、何も言わずに、その想いを言葉では無い形でぶつけ続ける。
この感じが、まだどういうものなのかの答えが乏しいために物言えぬ新作を食べることで、自分を納得させているかのような行動みたいに思えます。
彼女はヒーローを目指していたようでしたが、結局、何も出来ない普通の人だと気付きます。でも、本当は彼女自身は普通の人では無く、悲しみを抱えた困った人だったようです。
その困った人は、出会えた普通の人から、その悲しみに寄り添ってもらい、その人は彼女の中に潜む想いをきちんと受け止めてくれたみたい。その人は彼女のヒーローとなったのでしょう。
その時、彼女は普通の人になります。そして、その彼女の想いは、普通の人である旦那、子供を幸せにすることでしょう。彼女もまた、旦那や子供のヒーローです。
想いの連鎖でしょう。
悪など、何も無くても、人はヒーローになれる。
それは、困っている人に手を差し伸べたいという、きっと誰もが持っている、ほんの少しの優しさの塊が大きく育つ時に実現するように感じます。
脚本の優しい空気、西田さんの魅力で、投票はここにしました。

・ライブ : YURINA

? (あまやかな微熱って聞こえたけど、ネットで調べても出てこない)
? (ゆういろの涙って  〃    )
待ち伏せ
いしだみつにゃん 公認ソング 明日への誓い
Story AI

この時、拝見した方とは別の人なのかな。
私が初めて、この企画公演に伺った時の。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/vol1130128-8464.html
名前だけ何となく憶えていたので、一応、自分のブログ感想をチェックして伺ったのですが、どう考えてもあの時のイメージとは違う人が登場されたので。
自分でボケて、ツッコんで、オチもつけて。完全な自己消化スタイル。それを間髪を入れずに、マシンガンで撃ち込んでくるような方。
歌を歌われている間が一番落ち着くといった感じでしょうか。
歌はよく分かりませんが、いしだみつにゃん、けっこういい曲でした。
3/20、京都のSILVER WINGSで、震災のチャリティーライブにご出演なのだとか。

・星降るアリス : 星村彰(ぽんこつチョップ)

うさぎさんはいつやって来るの。
道行く人にそう言って絡み、アリスの衣装を身に纏い、ワインボトルをラッパ飲みしながら、フラフラ歩く男、いやアリス。
今日、26歳になったアリス。童話の中のアリスは7歳。
7歳は自分の両親が離婚した時だ。理由はよく知らないが。聞いちゃダメだと思ったから。
そう、そうやって、ずっと空気を読んで生きてきた。いつだって、いつだって。
女に生まれたかった。でも、女が好き。だから、ややこしい。
薬をワインで飲み干す。
うさぎが現れた。
好きなことをする。生きるために仕事をする。でも、自分は生きたいのだろうか。
遺書を読み上げる。
家族のこと、続けていた芝居のこと。仲間たちのこと。
自分はあの星屑企画#3の美術館に飾られるのだろうか。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/130-c6bf.html
そこには謝罪しかない。
うさぎは見えなくなる。初めから本当にいたのか。
一人裁判が始まる。
自意識過剰。何度も手首を切った。血で生を感じてきた。
一人裁判の決着は死刑。
靴を脱ぐ。
うさぎはやはりいる。ようやくやって来た。
日が替わる。
これで何でもない日となった。
祝おう、うさぎと共に・・・

星村彰さんの一人芝居。
いわゆるサイケデリックってやつですね。
狂ったアリスの風貌、雰囲気に照明、音響も相まって、そんな空気の舞台でした。
この日は、本当に星村さんの26歳の誕生日。
どこまでが虚構で、どこまでが自分を晒して身を削った現実なのか分からないといった感覚が、闇や歪みを見え隠れさせて、その異常性を際立たせた作品に感じます。
遺書に残されたたくさんの謝罪と共にある感謝。
上記リンクした作品の時に感じたような、これまでの清算、脱却、生まれ変わりを描いているのでしょうか。
自分の中にあった苦しみ、怒り、悲しみを受け止め、それ以上に、その中で得た数々の喜び、信頼、希望にこれからを託せる自分への輪廻転生。
誕生日はこれまでの自分の死と同時にこれからの自分の生として捉えるみたいな感覚を得ます。
うさぎは自分自身みたいな感じですかね。7歳の親の離婚の時に、分離した弱い自分。ずっと、その本当の自分と出会いたかったが、懸命に生きる中で封じ込めるしかなかった。でも、26歳のこの時に、ようやく、そんな自分と対峙して受け止めることが出来るようになった。飾らない本当の自分は、どう生まれ変わっても、ずっと自分の中に刻み込まれている。
その誕生日の翌日が、本当の自分が生まれて、これからを歩み出す祝いの時といったような感じかな。

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