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2016年3月28日 (月)

Wish Land (C)【劇団空組】

2016年03月27日 インディペンデントシアター2nd (120分)

ラストが3パターンあり、そのうちの一つだけを拝見。
拝見したCは完全にハッピーエンドだと感じるが、他はどんなだったのかが分からないのは残念な話だ。

辛い、悲しい現実から逃げて、幸せな島で歩みを止めてしまった人たち。その再び歩み出すまでの姿を様々な悩みを抱える若者の群像劇として描いている。
立ち止まり、忘れてしまった、見えなくなってしまった自分の未来の像。
失敗しても、挫折しても、そんな自分へのこうなりたいという願いは、強い想いとして心の中にあるはずである。
それを引き出し、その願いを自らの手で叶えよう、その想いを皆に伝えようとした時に、人生は再び動き始める。
そんな強い生き方を始める人の姿を、演技はもちろん、歌や踊りに、熱を込めて表現し、その人への願いとして描き出したような作品。

Wish Land。
この島には、嫌なことは何も無い。
皆がいつも笑って楽しい日々を永遠に過ごすことが出来る。
島には願いを叶えてくれる洞窟がある。欲しいものは何でも手に入る。
そんな島で暮らす人たち。
爽やかにみんなをまとめるリーダーの翔流。
そんな翔流の補佐役をしながら、翔流をはじめ、島のみんなに無茶振りをして困らせる雛子。
女神のように美しいマドンナ、カンナ。刹那と恋仲に。
いい加減なところがあるけど、島一番の男前、刹那。
華やかなナルシストっぽい、蘭丸。
ちょっと間の抜けた頼りないシュウ。
そんなシュウとは違ってしっかり者の妹の渚。
男との恋愛経験豊富をアピールするマリー。
いつも明るく元気で可愛らしい姉妹の、小町と柚希。刹那ラブみたい。
純粋な少年、ララ。
ヤンキーっぽく荒々しさを醸す友美。
引いてしまうおタクの気持ち悪さを見せる佐助。雛子命らしい。
そんな佐助に対抗するかのように、おタクっぷりで張り合うマイケル。
真面目そうな学生風のあずみ。
スラっとしたプロポーションで踊り子の雰囲気を醸す早苗。

そんな島に、梨央という女性が流れ着く。
梨央はいきなり、刹那に会わせろと言う。
愛嬌はあるけど、けっこう生意気な高飛車な態度を見せる。
刹那はこんな女は知らないと言っている。
幼馴染だろうか。皆は不思議がるが、一緒に過ごすことに。
しばらくして、また島に流れ着いてきた二人。
光と美依。兄妹らしい。どこか暗い表情を浮かべ、オドオドしている。
そう、最初に皆が流れ着いてきた時もそうだった。
元気いっぱいだったのは梨央ぐらいだ。
二人への島案内はいつの間にやら梨央がすることに。
すっかりリーダー気取りだ。

そんな梨央。
皆を集めて、SKW作戦を計画する。
刹那とカンナを別れさせる計画だ。
二人の付き合いに賛成している翔流、雛子、渚に見つからないように、計画は実行される。
まずは、シュウがカンナを口説く。
あまりスマートな口説き方では無かったが、成功。二人は湖でデートすることに。
次は小町に刹那をぶつける。
上手く引っかかってくれた。刹那と小町もデートの約束を。
後は、計画通りに事を進めればいい。
湖でデートをする二人を小町が激写。その写真を刹那に見せる。裏切られた刹那はカンナと別れるはず。
シュウは、刹那が振り向いてくれなくて寂しい、慰めてと言うカンナを抱き寄せる。小町はその瞬間を激写。
刹那の下へ。刹那は怒り、二人の下へ向かう。
ここで、別れると刹那が言う予定だったが、まあいいだろう。湖に向かっても、二人の姿を見て、どちらにせよ別れることになるはず。
しかし、刹那は湖で俺が悪かった、許してくれと言い出し、カンナもごめんなさいと言って、二人は抱き合う。
唖然とする皆の下に、翔流たちが。
騙されていたのは、梨央たちだったらしい。
情報は漏れていた。それで逆ドッキリを仕掛けたみたい。
その情報を漏らしたのはララ。美依に心を寄せていたのを、上手く使われたらい。
何だ、それはとみんなで大笑い。
カンナはシュウに謝りながら、優しい気持ちが嬉しかったと言う。刹那も小町に騙してゴメンと言いながら、俺よりもっといい男を捕まえろよと言う。
ここはそういう島だ。嫌なことや悲しいことなど何も無い。
ただ、楽しい時間が続く。
ララは、そんなみんなが楽しく幸せなこの島が大好きだ。

満月祭が近づくある日。その日は雨だった。
満月祭は、皆が一緒に一つの想いを込めて、願いを叶えてくれる洞窟に祈る日。
みんなの想いの力できっと大きな願いが叶うはずだ。
ララがいない。
皆は悲しむが、それを受け入れて、すぐに日常に戻る。
この島に悲しみや辛さはあってはいけないから。
雨の日に誰かが消える。これまでもそうだった。
カンナもそれは知っていた。
でも、そのことをおかしいと思うようになっていた。それは、自分の体調が最近、どんどん悪くなっていることに気付いてから。
きっと次は自分だ。
この島は悲しいことや辛いことをすぐに忘れてしまう。
それはきっと逃げているのだろう。

梨央が刹那に語り掛ける。
本当は気付いているのではないのか。
自分が妹であることを。
そして、自分の現実も。
作曲の仕事をしていた刹那。その挫折から、疲れ切ったところ、事故にあった。怪我は治った。でも、まだ目を覚まさない。それは心が現実を避けているから。
私は戻って来るのをずっと待っている。だから、ここに迎えに来たんだ。そんな梨央の言葉に、刹那は自分を見詰め直す。
みんなだってそうだ。
この島の生活は楽しい。でも、毎日、毎日悪夢を見ているのではないのか。それは自分が逃げて来た現実の自分の姿。
弟を自分が目を離した隙に事故で亡くしてしまった翔流。
御曹司の廉太郎との結婚を前に、家柄から破談になってしまった雛子。
離婚した父に会いに行こうと、病気の母を家に残したがために、火事で母を亡くしたシュウと渚。
そして、重い病気で30%の確率でしか成功しない手術を受ける決心がつかないカンナ。
戻ろう。この島を出よう。

皆の心は揺れる。
雛子とシュウは、洞窟を壊すことを考える。
この島を出る手段は、この洞窟に願うしかない。それを壊してしまえば、ずっとここにいられる。
二人は洞窟を壊す道具を持ち寄ることに。
刹那は洞窟にたたずむ。そして、ある願いをかける。
雛子とシュウが戻って来て、洞窟を壊そうとした時、轟音が鳴り響く。
島が沈む。
刹那が願ったことはこれだったらしい。
もう、後は、この島から脱出することを皆で洞窟に願いうしかない。
梨央やカンナは、雛子やシュウに語り掛ける。
勇気を出して、戻ろう。
大丈夫。この島は願いが叶う島。
こうなったらいいという現実を思い描いて、辛くて悲しくても、自分たちの現実に戻ろう。

刹那はもう一度、梨央にも助けてもらいながら、作曲の仕事を頑張ってみる。
カンナは手術を受けて、元気になる。
小町と柚希は、家族を再生すると言っている。兄がぐれて、父と母もおかしくなって家族が崩壊したらしい。まずは、兄をぶん殴ってでも連れて戻り、もう一度みんなで家族として暮らす。
蘭丸は社内でいじめられていたらしい。そんなことは吹き飛ばしてまた頑張る。
マリーは、子持ち。旦那に捨てられてしまった。でも、きっとこれだけの良い女だから、きっと、旦那は謝ってくるはずだ。
光と美依は、いじめで学校に行けていない。勇気を出して、また足を踏み出してみる。
雛子は結婚する。もちろん、あの御曹司と。向こうから、悪かったと言ってくるはず。
シュウと渚は、父と会い、母の墓参りへ。そして、父と一緒に亡くなった母を慈しみながら暮らす。
翔流は弟の部屋を整理する。弟の死を受け止めて、自分は弟の分もしっかりと生きる。
友美はチームあがりで無職。まずは、仕事をすることからスタートだ。
マイケルと佐助は、偶然にも同じ休止中のアイドルユニットを応援していたみたい。その復帰を目指しておタク活動にいそしむ。
あずみは、受験に失敗した。でも、また勉強をし直して、その学校を目指して頑張る。
早苗はショーダンサー。ミスをして契約を打ち切られたが、社長に直訴してみる。きっと、もう一度雇ってくれるはず。
みんなが戻る現実が、各々の中に見えてきた。
満月。
みんなの願いは想いとなって、洞窟に伝えられる。
自分たちは戻る、現実に。その現実の中でまた笑って楽しい、この島での生活のような日々を過ごせるように頑張る。
そして、また、出会おう。

島の洞窟は本当に何でも願いを叶えてくれるものだったのだろうか。
それとも、皆の願う気持ち、想いの力が強かったのだろうか。
皆、各々、あの島の最後に描いた現実に向けて動き始めたようだ。
カンナの手術はやはり相当厳しいものだったようだ。
カンナも、一時は諦めかけたみたい。でも、あの世へ逝ってしまいそうになった時、ララが現れて、彼女をこの世に押し戻した。
そして、今、こうして元気に町中を歩けるようになった。
一組の兄妹とすれ違う。
あの時、二人が願った想い。また、出会おう。
洞窟は最後に二人の願いを叶えてくれたみたいだ。

大千秋楽だったので、噂どおり、チョコチョコ、いやふんだんにネタが盛り込まれる。多くの登場人物が、話の中でのキャラとはまた違った弾けた姿となり、また話の中へと戻っていく。
普段から、鍛えられているのだろうか。ネタの面白さより、その適応能力に驚くばかりだ。こんな振幅の大きさも、役者さんの大きな魅力の一つだろう。

このWish Landは、皆が現実から逃げてきてたどり着いた場所だが、決して嘘では無い世界だったように感じる。
みんな、悲しい、辛い体験をして、どうしようもなく悩み、不安の中でどうにもならなくて、歩みを止めてしまった。
それで、この島で何も考えずに、嫌なことからは目を背けて時間を過ごす。その間も現実の時間は、残酷にも進んでいるのに。
でも、その時間は無駄では無く、こうして願って、それが叶うという繰り返しにより、自分がどんな願いを持っているのかには気付けたように思う。悩みの中に溺れてしまった人間は、自分がどうなりたいのかも見失ってしまうものだ。
その願い、自分がこうなりたいという強い気持ち、想いはこの島だからあるのではなく、現実の自分にも同じようにあるものだ。
それを分からすためなのか、いくら幸せの島だと言っても、皆の辛い過去は必ず夢として現れて、消え去ることは無かった。
島では、便利な洞窟があったけど、現実はそれを自分の手で叶えないと仕方ないという差があるだけ。洞窟を壊そうと、無くなろうと、その願いは消えない。願いは必ず、強い想いとなって自分自身に降りかかる。
それを無理なことだと諦めてしまうのか、当たり前のことだと頑張ってみようとするのか。願いが叶うかどうかはただそれだけに委ねられているようにも思う。

こういう島にいると、自分の辛さ、悲しさだけに囚われて、周囲の人が見えなくなってしまうのかもしれない。
こんなにたくさんの人と一緒に暮らしているのに。
自分を傷つけた人、傷つけた事だけを恨み、妬み、マイナスのことばかりに思いを馳せてしまう。
少し、見渡してみれば、そんな自分を思いやってくれる人がいることに気付けるのに。
島の中でも、恋愛や仲間意識によって、そんな想い合いは、実は潜んでいた。でも、その大切さにはなかなか気付けなかったみたいだ。
きっかけになったのは、梨央の来訪だろう。
彼女が兄を想う気持ちが、みんなにもそんな想いを与えてくれる人の存在がきっとあること、同時に自分もそんな想う大切な人を残してきてしまっていることに気付く。
そんな皆の想いが膨らんだ様子が、浮き上がってくる。

あの島で願った、自分自身に対して想った強い気持ちは、現実に戻った皆の生きる支えとなるのだろう。
現状に満足しきって、もしくは完全に諦めて、何の願いも、向上も見出せなくなってしまっては、ただ止まってしまった自分と流れる時間だけの人生になってしまう。
立ち止まった自分と、流れる時間の距離が離れ過ぎてしまえば、置き去りになった自分はもうこの世にいられなくなる。そんな死の姿が、あの島で雨で消えた人たちのように映る。
願いを叶えたい。この強き想いを伝えたい。そんな力が自分が動くための駆動力となって生きられるのだと感じる。

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演劇」カテゴリの記事

コメント

SAISEI様

私が観たのはA公演でしたが記事拝見して少しこんなネタあったかな? と思うところはありますがほぼ一緒でしたよ。

終演後の口上ではA公演とB公演が違う。C公演はA公演+αみたいな言い方されてた感じがしました。私の耳が悪くなければ(笑)

この日程で3パターンは行くのキツい上、激戦週でしたしね(笑)

私は例によって当日パンフを見ず。

卯津羅さん、ホンマに女性ですよね? いやあ、雰囲気男やわ。あんなホストやはるわ(笑)
卯津羅さんはまあ知ってますけどね。

細野さん。劇団925で拝見して好印象。もともとダンサーなんですかね? キレイな動きされますよね。舞台上では存在感あらはります。

空山さん。ここまでのお三方が過去拝見したり御名前を記憶している方。空山さんは顔がまだわかってなくて。。ただ芝居前半の声と台詞が印象に残って身長などから空山さん違うかなあ、と思ったら空山さんでした。ヤッパリ目立つ人はわかりますわ。

作品は上手く作ったと思うところもある半面、女性らしい(少女チックな部分など。島が海に呑まれる場面の直前)入り込めないところもあり(笑)

2ndの音響が悪いのは知ってますが台詞や歌詞が聞き取れない方もおられて。。

他劇団でもよくある遅れ客の待ち、そのうえ前説後、植松さんの髪飾りが上手くいかないとのことでの前説復活による開始時間の遅れなどマイナス点はいくつかありますが(苦笑)

あ、女性だけの劇団で思い出し(笑)

9月最初の土日だったかな。いるかHOTELが女性だけの関西弁で『真夏の夜の夢』されますね。

投稿: KAISEI | 2016年3月28日 (月) 13時17分

>KAISEIさん

そうか。恐らくAを基本にして、大千秋楽で少しおふざけも盛り込んだのがCなのかな。

卯津羅さん、あのかっこよさですからね。この方、一度、ABCホール前で私にしては珍しいことですが、わざわざ話しかけてくださりまして。確かに女性ですね。話し方が和らぎがあります。素敵な方だなあと思いますね。
細野さんは振付されたりするから、ダンサーの役者さんだと思っていますが。この方は、確かに踊る時の身体のキレのかっこよさと、演じる時のポカーっとした柔らかい感じと、少し冷淡なきつめの空気を醸す感じと、振幅の大きい方ですね。

まあ、女性だけという独特の空気は作品にも出ていますよね。
それに違和感を覚えることも多々あると思います。
私は、最初、その印象が強かったけど、何となく、慣れてきたというか、自分の中にはまりつつありますね。

投稿: SAISEI | 2016年3月28日 (月) 18時48分

SAISEI様

よろずや『青眉の人』行かれなかったんですね。

私の方は

(木)劇団ひととせ
(金)アマサヒカエメ→劇団空組
(土)P☆MAP→neomarch
(日)劇団SOLA→P☆MAP

でした。土日の夜に仕事があったので。。

MONOとよろずやが観れなかったのが残念(。>д<)

投稿: KAISEI | 2016年3月29日 (火) 01時53分

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