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2016年3月30日 (水)

ハローハローハロー【大阪府立桃谷高等学校 合同卒業公演】160330

2016年03月30日 桃谷高等学校8階視聴覚教室 (90分)

TheStoneAge作品を高校生が演じる。
家族など、人の想いを大切にした作品が多く、高校生がされる作品としては合っているように思う。純粋に真摯にそんな登場人物の想いに向き合って、いい作品が出来るんだろうなあとは思うものの、いかんせん、この劇団はキャラが濃い。
それに平均年齢的なことを考えても、とても高校生の若さがはまるとは思えない。
数人、HPF関係でお名前を覚えている方がご出演されていることや、どんな感じになるのかなあという興味もあり、足を運んでみる。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/100-3fe7-2.html

感想は正直なところを書くと、偉そうな書き方にはなるが、まあ自分の中では合格点だなといった感じだろうか。
比較の必要性は無いことは分かっているが、どうしても本家で、それも昨年、拝見しているので、記憶もまだ新鮮だ。
ワンシチュエーションで、人が入れ替わり立ち替わりするコメディースタイルの舞台。
個性豊かな名役者さんが、弾け過ぎなぐらいにご自分方の魅力を存分に発揮しながらも、心情変化を実に丁寧にしっかりと浸み込ませていくような話の展開。ドタバタしながらも、しっかりとした安定感が常にある。
この本家で拝見した時の出来に比べると、やはりキャラをしっかり出すことで、どうしても演じている感が出て、自然の雰囲気が消えたり、緊張もあるのか、どこかぎこちない感覚が残っている。
ただ、この作品を観て、もう一度ここを楽しみたかった、笑いたかった、この想いが自分の中に伝わってきて温かい気持ちになりたかったといったところが幾つかある。これは全部満足させてもらえた。というか、そのレベルを超えて、ここ独自の描き方に、その魅力をより楽しめたような気がする。

あらすじは上記リンク先と同じだと思う。
上記したように、注目していたことが数点。
そのことの感想を記す。

観た方なら、分かると思う。
頭にこびりついてしまうキャラがいる。
幽霊となった亡き母の、幽霊友達のロシア人。そして、ミトの母代わりであった女性に想いを寄せるミトの伯父さん。
このキャラたちをもう一度観たかった。
ロシア人は堤万里奈さん(堺西3年)、伯父さんは田中優人さん(精華1年)が演じる。
ロシア人は期待以上の弾け方。女を捨ててしまった突き抜けたキャラ、うっとおしいくらいの自由奔放さに、ボケ倒す面白さと非常に楽しく。さすがに本家よりかは控え目ではあるが、ちょっとやり過ぎて話を壊すよりかは良く、いい塩梅だったように感じる。
伯父さんは、本家より、イラッとするくらいの気持ち悪さだ。デリカシー無く、勝手気ままに生きながら、どこか憎めないというか、可哀想な微妙な空気を漂わす男の雰囲気が面白い。
こういったキレキャラで、もう一人、叔父さんの方。狩谷隆雅さん(泉大津2年)が演じる。おネエキャラなのだが、本家でどうだったか全く覚えておらず。誰がされていたかも記憶が無く。アイロンの下りや容易に操られるみたいなシーンで何となく思い出したが、ここまでのキャラだったかな。おかしなキャラだが、オカマだからか、分け隔てなく皆を愛するといった空気が出ており、ドタバタの収拾、高ぶる感情をいったん抑えてまとめているみたいな、話のスムーズな展開にけっこう大きく寄与しているキャラなのではないかと今回拝見して思う。
その叔父さん、変なキャラを連れて来て、巻き込まれるように変な空気に入り込まされていたなあ。堀川創一郎さん(精華2年)演じる霊能力者。緊張していたのかな。それとも、後半途中からの登場なので、この舞台のテンションにいきなり合わせるのは難しいか。それとも、その緊張感が胡散臭さを強めるという計算だろうか。

ミトの亡き母、父の再婚相手。
二人は似ているなんて言葉が劇中に出てくる。けっこう現実主義で、大らかで、ちょっといい加減で、笑顔が優しく。
この同調感は、実は本家で感じられなかったところ。今回、二人の空気が元々、似ているのか、合わせるような演出なのかはよく分からないが、この同調が非常に心地いい。
亡き母は治村瑠壱子さん(関西大学)、再婚相手は齋藤幸菜さん(泉大津3年)が演じている。
再婚したからといって、すぐに母娘になれるわけではないだろう。再婚相手の女性はミトと向き合うのが不安だと言っているし、ミトも同じような不安があるのだろう。でも、二人とも相手の想いを汲み取りたいんだという気持ちがある。その想いが育てば、きっと母娘の間柄になれる。その姿が、もう叶わなくなったかつての亡き母とミトの姿なのであろうという、たどり着いて欲しい希望の姿が頭の中で想像しやすくなっているように思う。
ミトの母代りだった女性は、そんな友人であった亡き母も、その母が愛した父が再び想いを寄せた再婚相手の女性も、ミトも、他の色々な人も、恐らくは伯父さん以外の全てを愛する優しい人だ。原田有里さん(鳳3年)が演じる。
大阪のおばちゃんって感じのチャキチャキのちょっときつめキャラであるが、彼女の周囲にはいつも笑顔が生まれそうになっている。太陽のような素敵な人なのだろう。ややこしいことを言ってないで、互いに寄り添い合いたい、分かち合いたいって気持ちがあるのは、家族なんだから当たり前。そんなことに恥ずかしがらずに、思いのままにぶつかり合いなさい。みたいな思いっきりの良さが、彼女の豪快さと共に、みんなをいつも信じて想い続けているという優しさを浮き上がらせる。

あとは、もちろん、入れ替わりの妙だ。
ミトとお父さん。山根千尋さん(桃谷2年)と湊海さん(桃谷3年)のコンビ。
役者さんだから、こういうのは当たり前に出来ることなのだろうか。あまりにも平然と入れ替わり、そのことから生まれるスレ違い、勘違いで笑わしながら、ジワジワと互いの想い、周囲の人の想いが浸み込んでいく様を見せられて、驚いている。
クールで知的な雰囲気、冷静沈着さが、少し冷淡残酷さを醸しながらも、その飄々とした空気に温かみも感じさせられるような芯のしっかりしたミト。本家に比べると、やや幼さと可愛らしさのウェイトが多目だろうか。それが、彼女のクールさの中に潜む、今の不安や辛さを大きく見せる。まだ父も母も、みんなで彼女を見守ってあげないといけない、しっかりした子だけど、ずっと無理して強くいてるところもあるから。そんな弱さも自然に見えてくるようである。
そんなミトの身近にいるバンド仲間の従兄、その彼女。西郁馬さん(金岡1年)、比嘉千仁さん(鳳3年)が演じる。何か振り回されっぱなしになってそうな感じの従兄と、その従兄をがっつりと捕まえる肉食系みたいな感じの彼女。でも、これは姿恰好からの想像で、実際、見ていると、互いに自由で距離を置きながらの信頼関係が成り立っているような感じである。真摯な想いを秘めて、父と同じなのか、上手くそれを出せない従兄と、その想いに気付いているのか、気付いていないのか、楽観主義で自分も皆も楽しくを貫いて自由である彼女。
当日チラシに相関図が書いてあり、本家を拝見した時にそこには気付けなかったことが分かりやすく記されている。
亡き母と父、母代りの女性という3人組が、ミトと従兄と彼女というバンド仲間の仲良し3人組と同調されているんですね。
そう思うと、従兄と彼女の姿は、かつての亡き母と父のような感じなのでしょう。それならば、ミトは母代りの女性のように強く、そして皆を笑顔にしてあげられる存在なわけで。居場所という言葉が劇中に出てきますが、互いに誰かが誰かの居場所を作り合って、絆を生み出しているような感覚を得ます。
そんなちょっと変わった不器用な従兄と同調しているのか、お父さん。
素朴で不器用で、オヤジの空回り感というのか、中年の哀愁を感じさせます。不器用だから、自分の真の想いに気付くことも下手くそなんでしょう。娘や亡き母の親友、周囲の人たちと触れ合うことで、自分の想いに気付けたような感じです。それをじっくりと丁寧に、朴訥な空気を醸しながら、描写しているようでした。

強烈なキャラで楽しませながらも、じっくりと人の優しさや温かさといった心情表現も見せないといけない作品。
素人目から見ても、いい作品だけど、演じるのはなかなか苦労が多いのではないでしょうか。
弾けたキャラの個性的な魅力の表現の仕方に工夫を重ね、この作品の中にある人への想いを丁寧に見詰めている熱意は十分に伝わってきたように感じます。
人情コメディーですから、笑わせて、泣かせて、何か心に温かいものを観る者に持ち帰らせれば、それでOKでしょう。
そういう意味では十分満足な公演だったように思います。

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コメント

ご観劇、心より感謝します。桃谷高校の梅本です。
SAISEI様のお顔を存じ上げませんでしたのでご挨拶ができず、ご無礼をいたしました。お詫びいたします。

この作品は生徒たちと本家の芝居を観に行き、私も生徒たちも心から癒された作品でした。生徒たちの是非演りたい!という声に、まさかのありがたい上演許可を頂き、挑戦をさせていただきました。

少しでも本家ストーンエイジ様の幸せな世界を表現しようと皆で必死でしたが、至らぬところは全て私の力不足です。
このような幸せな作品に関わらせて頂いたこと、無名の高校の校内公演にSAISEI様はじめ、たくさんのお客様が来ていただいたこと。この幸せを忘れることなく、少しでも良いもの、お客様の心を動かせるものを生徒たちと作っていくことが、ストーンエイジ様への恩返しだと思っています。

このように感想をいただけたこと、心からお礼を申し上げます。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
ありがとうございます。

桃谷高校 梅本

投稿: 桃谷高校 梅本 | 2016年3月31日 (木) 06時49分

SAISEI様

幅広くカバーされてますね。確かにどこかで本公演のこと観たことあるような気がしますが。。 どこで情報得られたんですか?

桃谷高校はHPFで拝見してますが。一昨年、ストーンエイジさんの『ハローハローハロー』観に行ったときに学生服の子が複数いたのですが桃谷の子やったのかなあ。。

梅本先生4月の『はやぶさものがたり』も演出じゃなかったでしたっけ?

お忙しいなあ。

念願の『はやぶさものがたり』ようやく観れます。

今日はフルーツケイクを朝から観劇予定でしたが中止。夕方のイベントに行くべきかどうか。

1日(金)テノヒラサイズ
2日(土)はやぶさものがたり元服版
3日(日)夢歩行虚構団
4日(月)ぽんこつチョップ※

※きゃなこさんが出演されます。

投稿: KAISEI | 2016年3月31日 (木) 12時40分

>桃谷高校 梅本先生

コメントありがとうございます。

こちらこそ、はやぶさものがたりのアフタートーク等で、先生のお顔は覚えておりましたので、ご挨拶しないといけないのに、失礼を致しております。
いくつになっても、やっぱり先生は何となく苦手で(^-^;

The StoneAgeは、これまでも数作品を拝見していますが、独特のリズムでの話の展開と、ずっと漂う温かい空気がありますからねえ。
本家を観てしまっているので、それとは少し違うとは感じましたが、やはり温かく、人の優しい心、想いを信じたいという気持ちの上で創り上げられていることはしっかりと感じ取れたと思っています。
たくさん笑えましたし、やはり最後はホロリとしました。そして、こうして1日経った今でも、何かほんわりと温かみが心に残ります。
間違いなく、人情コメディーとして、しっかりと出来上がった作品だったと思います。

はやぶさ、元服版も拝見するつもりです。
今後も益々ご活躍ください。

投稿: SAISEI | 2016年3月31日 (木) 13時15分

>KAISEIさん

たまたまですわ。
実は完全にノーマークで、前日にTwitterでのつぶやきから知り、急遽、足を運んでみることに。

多分、ストーンエイジさんの時に出会われた方々はそうだったんでしょうね。
しかし、表現者の方々は、この作品を観て、感動するだけじゃなくてやりたくなっちゃうんですねえ。
けっこう、個々の魅力と演じる技が要りそうだから、闘争心に火がつくのかな。

投稿: SAISEI | 2016年3月31日 (木) 13時23分

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