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2016年3月24日 (木)

裸に勾玉【MONO】160323

2016年03月23日 ABCホール (115分)

まず、舞台セットね。
舞台をどこまで変えてしまうのかと驚愕でした。
そして、まさか、この劇団で感動泣きするとは思わなかったなあ。
哀愁とか切なさでしんみり涙を滲ませるようなことはありましたが、今回は単純に感動して心震えて涙が出てきた。

弥生時代のつまはじきにされた家族の話。アウトロー的なその家族と多数派の村やそれを従える国との絡み。
こんなことも本当にあったのでしょう。昔は。
じゃなくて、今もあるじゃないか。公園で遊ぶ友達同士や学校のクラス、もっとマクロ視点で見てみれば、企業や国家のレベルなんかにおいても。
弥生時代の人たちは、現代語とはちょっと、濁音や助詞の使い方が違う言葉を用いています。そんなズレがまた面白いのですが、違う言葉でも十分通じ合うことは出来ています。なのに、同じ言葉で語り合う者同士が、ここでは互いに通じ合えなくなったりしている。言葉が巧いがために、人を裏切ったりする者もいる。
言葉に頼り過ぎて、心を見ないことが引き起こす人の愚かさなんかも、どことなく感じる話でした。

<以下、あらすじがネタバレしますが、東京、名古屋公演の後なので、白字にはしていませんので、ご注意願います。大阪公演は日曜日まで>

弥生時代の日本。
狗奴という国のある村。すぐ隣はあの邪馬台国らしい。
オトヒコという変わり者が、奴隷となるはずだった親のいない子供たちを集めて育てたことで出来た家族の話。
冴えない二人の兄、オユマロ、アクタ。要領が良くて妻が二人いるシコオ。妻は占い師のウシメと、踊り子のマトリメ。二人とも怠け者で全く働かない。
そんな二人の分も働くのが妹のアマリ。知的で仕事もよく出来る子。
オトヒコは、村の長に色々と意見したことが原因で殺されたらしい。
そんなこともあってか、この家族は村の人たちから嫌われている。狗奴国民の証である顔への彫り物もしていない。オトヒコが、狗奴も邪馬台国も変わらぬ人同士だという考えだったから。でも、従順であれ、多数に従え、長いものには巻かれろみたいな感覚は古代から根付いているようだ。
今は一応、オユマロが家族の長。もっとも、市での物々交換の巧さなど、生活をする上で力が秀でて、妻も二人もいるシコオに頭が上がらない状態ではあるが。

そんな家族の下に、サクライという男が現れる。
スーツ姿で怪我をしている。明らかに現代の人。つまりはこの時代の人から見れば未来人。
半年前から、なぜか会社の同僚2人と一緒にここにやって来てしまい、自分だけはぐれ、彷徨っているらしい。
スーツという言葉はなぜかこの時代でも通じるが、他の言葉は微妙に通じない。どうも、この時代は、通常会話時には濁音が存在せず、独特の言葉も幾つかあるみたい。
ただでさえ、村の人たちから目をつけられている家族。こんな、まこと稀有な人をかくまったりしたら、どうなるか分からない。
ウシメの占いでも、この男は家族に災いをもたらすとでている。
しかし、アマリは直感的に悪い人ではないと判断する。この人を追い出すなら、私も出て行く。そんなことを言われては、兄たちも従わざるを得ない。
怪我をマトリメの踊りで治す。いや、治るはずがない。アマリは後で薬草を取りに出掛けるつもりだ。
そんな中、村の長の使いがやって来る。急いで、サクライを隠す。
北の方に住む偉い人みたいで、家族たちは皆、敬いのポーズで出迎える。
この国は基本的に北が富裕層、南に行くにつれて貧民層となる。邪馬台国との境にあるこの家は、とりわけド貧民という位置づけな訳だ。
その男が、サクライに気付く。
もうダメだ。緊迫する空気。
しかし、サクライは叫ぶ。キモトさんじゃないですか。男はサクライと叫び、二人は抱き締め合う。

キモトは今、村の長のアドバイザーみたいなポジションにいるらしい。すっかり、この時代に馴染んでしまってはいるが。
ということは、妻、サヤもいるのか。サクライのその質問にいるとは答えるものの、なぜか言葉を濁すキモト。
とにかく、今、サクライは邪馬台国からの侵入者、つまりはスパイ扱いされているらしい。指名手配されているようなものだから、ここから絶対に動くなと言う。折を見て、村の長に説明してくれるらしい。キモトは去って行った。
ウシメとマトリメが揉めている。
シコオがマトリメばかりを市に連れていったりする。自分だってシコオと一緒にどこかへ行きたい。そんなことが続くので、なぜか腹が立ち、マトリメに強く当たってしまうウシメ。マトリメは、元々、ウシメの占いでシコオと結婚することになっただけなので、さほどシコオへの愛情は無い。
サクライは、嫉妬、ジェラシーという言葉を教える。
皆、スッキリしたみたい。
そして、ウシメはシコオのことを本当に好きなのは私で、これからもあなたに従う。マトリメはあなたに従うつもりはきっとない。現に家族の長であるオユマロの意見を尊重することが多いとシコオに提言。シコオもそれに納得。
そんな中、オユマロたちが帰宅。村人たちに礫を投げられ、田んぼから出て行けと言われたらしい。
どうにかしないと。シコオとウシメは村の長に直訴すると、家を後にする。

6日経った。
シコオとウシメは帰って来ない。
殺されたか、考えたくはないが裏切ったか。
しかし、あれから、マトリメは働くようになり、アマリとも仲良くなった。
サクライは新しい言葉を次々に教え、それを使っては楽しむなんて姿も見られるように。
出来の悪かった兄のオユマロも、言葉覚えの才能を見出し、面目躍如となる。ただ、アクタは相変わらず何も出来ないようだが。
そんな風に、すっかり家族の絆が強まる。
キモトがサヤを連れて来た。
美しい衣装を身に纏い、随分と高級感、地位の高さを醸している。
聞けば、村の長の妻になったのだとか。そして、今、幸せだと言う。
それは良かった。幸せなら。
あまりのことに事情を飲み込めないサクライ。
少しのタイムラグの後、怒りを露わにする。
夫婦の話し合い。キモトはオユマロたちに伝えたいことがあると家の中に入って行った。
サヤは言う。どちらにせよ夫婦は破たんしていた。互いに同じ会社で働き、忙しく。でも、家事は全部、自分任せ。あなたはよく理解できない紙袋収集に多額の金を費やす。
そんな風に自分のことが映っていたのかとショックを受けてへこむサクライ。最近、同じ言葉をみんなに教えた。
でも、けっこうサヤラブだったんだけど。これも教えた言葉だ。
もっと早く聞きたかったと言い残し、妻は去る。キモトも共に去って行った。
キモト曰く、この村は直に襲撃されるらしい。邪馬台国との戦争の拠点になる。その戦争の前に不穏な奴らを始末し、さらに士気を高めるみたいなことらしい。
そして、シコオとウシメは、向こうで暮らす決意を固めたようだ。
サクライはこの家族を守る決意を固める。
みんなで頑張れば何とかなる。その姿に皆は自分たちを救ってくれたオトヒコを重ねている。
頑張ろう。マトリメが踊る。ただ、皆が楽しく時間を過ごすためだけに。

シコオとウシメが戻って来る。
向こうで溶け込もうと頑張ったものの、やはりよそ者。結局、いじめに合い、上手くいかなかったらしい。
アクタはそんな二人を許さない。追い出そうとする。
しかし、オユマロはそれを制する。
嫉妬。自分たちはシコオに嫉妬していた。それを恨みに変えてしまった。その憎しみを消し去ろう。謝ってくれ。何度も何度も。そして許す気持ちを自分たちに生み出させてくれ。
オユマロのそんな言葉に、シコオとウシメは皆に頭を下げる。かたじけなかった、かたじけなかった。
ウシメは占いが全部嘘だったことも明かす。怠け者だった自分。家族の中で浮いていた。だから、仲間を得るために、シコオとマトリメに結婚させた。
色々なことを暴露。
なぜか、アクタやオユマロたちも謝りだす。不甲斐ない兄でかたじけなかった。
心を開け合うことで、許し合いが生まれる。
そんな中、たくさんの人がこの家に向かっている情報が入る。
逃げなくてはいけない。
さすがに、敵対する邪馬台国に向かう訳にはいかない。
人がやって来る方向を考えると、逃げ道は一度北へ向かい、そこから他の国に脱出するしかない。
皆が北へ向かおうとしたその時、キモトがやって来る。
そちらからも兵を向かわせたので、逃げられないと。
そして、サクライだけは助けるようにサヤが村の長にお願いしたから、こちらに来いと。
サクライは拒否する。
家族だから。
その言葉にキモトは呆れて、勝手にすればいいと言って去って行く。邪馬台国にでも逃げればいい。でも、これだけの多くの人を向かわせている。どこかで追いついて、皆を殺すことになるだろうと。
皆は邪馬台国に向かう。
しかし、オユマロがここに残ると言い出す。キモトの言う通り、追いつかれる。だったら、ここで誰かが少しでも戦って足止めすればいい。
その言葉にシコオがその役割を買って出る。裏切りへの謝罪も兼ねてやりたいと。
アクタも口を開く。自分は何も出来ない。不要な人間なのかとずっと思っていた。でも、ここでみんなの役に立てれば。その気持ちを汲んで、ここに自分を残してくれと。
話し合いの結果、兄弟3人が残ることに。
アマリと別れ、サクライに全てを託す。
もし、生きて会えることがあったら。ウシメはシコオを、マトリメはアクタの顔を見ている。

シコオは気付くと博物館の中にいる。
サヤが呼びに来る。あまりにも酷いダンスショーを見ていて、途中で出て行ったので、どうしたのかと後を追って来てくれたらしい。キモトさんも喫茶店で待っているのだとか。
サヤは売店で面白い紙袋を見つけたと手渡してくる。シコオとウシメがキャラになった紙袋。
茫然とするサクライに、早く戻るように伝えて、サヤはキモトさんのところへ戻った。
ダンサーが職員に叱られている。酷い踊りをしたアクタが、オユマロに優しい口調でもっと頑張ってと諭している感じ。時折、興奮してダメでしょと言うと、アクタはビクっとしている。あの時代は通常時は濁点使わないからタメだったけど、怒るとダメになっていた。
素晴らしい踊りでしたと女性ダンサーを褒めながらやって来る女性職員。マトリメが、アマリと仲良く会話。
博物館の音声案内装置が壊れたらしく、アマリはそれを修理しに、竪穴式住居に入り込む。
やがて、修理を終えて、アマリが出てくる。
サクライは声をかけるが、もちろん分かってはもらえない。
しびれを切らして、サヤとイライラするキモトさんがやって来て、サクライは連れて行かれる。
音声案内は、当時の人々の生活、邪馬台国との戦争についてテープが流れている・・・

仲間って何だろう。
同じ国、同じ村、同じ家族っていう集団の中にいるのに、皆が仲間ではなかったりする。
つまはじきにしてしまえる者がいて、それ以外が仲間なんて定義の方が理にかなっているようにも感じてしまう。
同じ言葉、同じ敵を持っているのに、言葉が通じ合わず、その敵を倒す前に、内々で敵をつくりあげ、傷つけたりもしている。
結局、別れることになったような夫婦みたいに、言いたいことを言い合わなかったから。仕事で言葉を交わすだけでは不十分で、真のコミュニケーションは言語の理解し合いではなく、やはり心の通じ合いだみたいなことになるのだろうか。

サクライは現代に戻って、あの時代の経験を活かせるのだろうか。
妻に自分の想いをきちんと伝え、妻の実は凍り始めている心に寄り添い、溶かしてあげることが出来るのだろうか。
キモトに、自分のポリシーを持たずに、地位ある者の意見に流されてしまうことが、いつか自分たちのチームに亀裂を走らせるリスクがあることを伝え、皆で分かち合った戦略で会社を導くことが出来るのだろうか。
その答えは、邪馬台国に向かった後に、サクライが起こした行動にあるのだと思う。残念ながら、その部分は描かれていない。
歴史的な事実も曖昧みたいだが、一応、邪馬台国は狗奴を滅ぼすわけではなく、徐々に取り込んで吸収していったみたいな感じで書かれているようだ。
きっと、互いの違いの調整をとって、違うことに嫉妬や拒絶して、そこから恨みや憎しみを生み出さないような努力をしたのではないかと思う。

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