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2016年2月22日 (月)

CRONY A【劇団Pinocchio】160221

2016年02月21日 LIVEHOUSE 39 (110分)

ちょっと力が入り過ぎな感じがするな。
脚本も、作品の描き方も、役者さんも・・・
それはそれでいいとは思うけど、たくさんのことを全力でガンガンぶつけられてきても、いつの間にかしんどくなって、かわすように観てしまうようになった感がある。
裏を掻く、巧みな話の作り方が、またそれを増長させているようにも思う。
鋭い一発が、この作品の中のどこにあったのかが明確じゃないので、結局、面白く楽しかったけど、ガチャガチャして疲れたという感覚が残ってしまっている。

バンド、トライアルのボーカル担当、アキラ。
ギターのルイ、ドラムのトラ、ベースのイナバと共にプロを目指すものの、その道は遠い。
先日のライブでは、ギターのコードが抜けて、ボーカルの歌はめちゃくちゃ、ドラムは緊張し過ぎて舞台から消えて、ベースはただ立ち尽くすといった情けない姿を見せてしまった。
そんなトライアルに、ある日、大ファンだというマネージャー志望のまどかという女性がやって来た。
その腕前やいかに。
彼女は、長年、トライアルを見ているためか、アキラの体力や精神力の欠如、ルイのバンド内の雑務に追われての練習不足、トラのムードメーカーなのに緊張し過ぎるところ、イナバのすぐに焦って余裕が無くなるところを指摘。改善案も含めて提示してくる。
そして、厳しく練習、練習と煽る。
練習が終わったら、トラの頑固親父のラーメン屋へ。もちろん、まどかも。
すっかり打ち解けて、一緒に頑張ることに。
これまで、マネージメント業務もしていたルイは、色々なことをまどかに引継ぎ。
色々あるけど、絶対守って欲しいことも伝える。
アキラの着替え中は、部屋に入るな。
アキラは双子。妹のアキナがいた。
最初、バンドをしようと言いだしたのはアキナ。彼女は、自分たちを勧誘し、励ましながら、バンドを盛り上げてきた。そのうち、アキラの実力が頭角を現すようになり、アキナは少しずつ身を引いた。
そんな中、起こった事故。
アキナは亡くなり、アキラは右腕に酷い怪我をした。その怪我を見るとアキナのことを思い出すからアキラは隠している。だから、それを私たちも見ないようにしているのだとか。
まどかは自分の知らない頃のトライアルに触れる。
もちろん、その約束は守り、さらに自分なりのマネージメントでトライアルを盛り上げていくつもりだ。

まどかが大きい仕事をとってきた。
ビッグイベントのトリ。
沸き立つメンバーたち。
しかし、それがなんとダブルブッキング。
猫耳アイドルグループ、プティ☆トロアのイベントと被ってしまっている。
ミリヤ、チヒロ、カナの、誰がセンターでもおかしくないくらいの可愛い三人組。
人気も凄く、トライアルなど相手にもしてもらえないはず。
それに、まどかは、そんな仕事を入れた覚えは無い。
どうやら、チヒロが勝手にしたことらしい。
チヒロはアキラと恋仲にある。
いつか、一緒に舞台に立とう。アキラのその言葉を胸に、チヒロは一躍人気アイドルグループにまで登り詰め、その機会を伺っていたらしい。
プティ☆トロアの所属する大きな事務所の敏腕プロデューサーであるマリアが、そのチヒロのわがままを受け入れたみたいだ。

アキラは、チヒロを説得して、今回は諦めてもらうように言うと出て行く。しかし、チヒロはなかなか引いてくれない。
マリアは、カナを呼び出す。ソロデビュー。この条件をちらつかせ、チヒロとアキラのゴシップ記事を手に入れるように指示。
カナは、イナバを利用して、密会写真を手に入れて、マスコミに流出。
マリアの自分のマネージメントの邪魔になるチヒロを葬ろうという策略だったようだ。
こういう、冷たいビジネスしか考えないマネージメントをするマリア。
それにまどかは反発する。我が妹だからなおのこと。
自分は自分のマネージメントで、必ずトライアルをどうにかすると挑戦状を叩き付ける。

まずは、アキラに会って話をしたい。
まどかは、着替え中のアキラの部屋に入る。
綺麗な右腕。どこも怪我なんかしていない。アキラは飛び出す。
ルイが真相を話す。
本当は双子なんかじゃない。二重人格といった方がいいのかもしれない。
アキナは皆をバンドに誘った。その後、そのバンドで活躍できる実力あるアキラの人格が出て来た。皆はそのアキラを歓迎した。チヒロとも、その時に出会っている。
でも、事故でそのアキラの人格が消えた。そのことは、自分たちもチヒロも知っている。
大事故だった。でも、アキナは無傷。アキラが全てをかばったとしか思えない。
アキナは、皆が求めるアキラでいようとした。みんなと一緒にいるために。チヒロを傷つけないために。

プティ☆トロアは、活動休止。記者会見に臨むのはミリヤ。
マリアから言われている。チヒロは責任を取って、東のグループへ、カナもまた西のグループへ移籍するように言えと。そして、ミリヤはソロとしてデビーすると。
しかし、ミリヤは二人の今後を伝えた後、私は二人を待ち続けると発表する。
マリアからはきつく叱られるが、ミリヤは今するべきことは、二人を待つことだと頑としていうことを聞かない。
ミリヤには気にかかっていることがある。アキナと自分は幼き頃に会っている。DVを受けていたアキナ。その時、何か違う人格が現れて、アキナはその人を突き飛ばした。チヒロのことが心配だ。

アキラは、チヒロに連絡をして、もうお終いにしたいことを伝える。でも、チヒロはそれを許さない。アキラじゃなくて、あなたが死ねば良かったのに。あなたを絶対に逃がさないと。
カナはマリアに騙されていたことを知り、怒り心頭。
再び、イナバを利用して、アキラを消し去ってしまうという狂気の考えにとりつかれる。
それが、アキナからもう一つの人格を出してしまう。アンナという、本当のアキナを保護するような役割らしい。ミリヤが幼い時に見た人格もアキナを守るこの人格だったのだろう。
アンナは、マリアに目を付けられ、その事務所に入ることになった。

ビッグイベントが始まる。
と言っても、この騒動でトライアルのメンバーは散り散りになっている。
イナバは自分のしたことを悔いて姿をくらましている。アキナは、アンナとなってマリアの下にいる。
やって来たのはトラ、ルイ。
トラは頑固親父に好きなことしないでどうするんだと怒鳴られてやって来た。ルイはあのバンドに誘ってくれた時のアンナが何かまた語り掛けてくれているように感じて。
まどかは、アキナを連れ戻すと、事務所へ向かう。
イベントは、トラとルイの夫婦漫才で。というわけにもいかず、心配してやって来た頑固親父も交えて時間をつなぐ。

まどかが事務所に向かうとアキナはいた。いや、アンナだ。
そこに、いかがわしいおじさんが現れる。エースと名乗っている。アキナの全てを司る者。
アキラがバンドをする皆から求められるアキナが作った別人格、アンナがアキナの保護者ならば、総管理者といったところだろう。
アキナの自分が求められない寂しい想い。孤独を恐れ、必死に生きてきた姿を切々と語る。
もうこのまま、アキナは心の奥深くに眠らせる。放っておいて欲しいと。
まどかは、急いでイベント会場に戻る。チャンスが欲しい。みんなでそれをアキナに伝えたい。
イベントが空になってしまう。
ミリヤとカナがやって来る。協力すると。
イベントはプティ☆トロアの二人が何とかしてくれるはず。チヒロがいないが、そこは頑固親父が穴埋めする。
まどかは、トラとルイを連れて、事務所へ向かう。
途中、イナバと出会う。イナバもまた、あの時のアンナの残像が何かを自分に訴えかけてきたらしい。
事務所に着く。
アキナは心の奥底に眠っている。
どうしたらいいのか。
音楽に決まっている。天岩戸のように。
皆は演奏を始める。
いつの間にか、アキナがマイクを握って、その演奏に合わせて歌っていた。

イベント会場に戻る。
ようやく、始まったトライアルの演奏。
これまでで一番最高の曲を披露。
その時、チヒロが現れ、アキナを刺す。アキラを奪わないでと。
アキナは、チヒロに声を掛ける。さあ、一緒に舞台に立とう。約束しただろと。
ダブルボーカル。
チヒロのアキラへの想いは叶った。

その後、プティ☆トロアは復活。相変わらずの人気で、事務所を潤しているみたいだ。マリアはそのマネージメント手腕に鼻高々。
まどかは、それにちょっと嫉妬しながらも、トライアルのマネージメントを頑張っている。私は私のやり方でやっていく。まだ、インディーズでしか活躍できないけど。
あの日、アキナのチヒロに刺された傷は、全く無くなっていた。
もしかしたら、あの時のアキラのようにアンナが全てを被ったのかもしれない。
バンド、トライアルは、いつしかビッグなることを夢見て、今日もひっそりと活躍する。
バンドのお母さんのような見守り役、ギターのルイ。
いつも明るく元気なバンドのムードメーカー、ドラムのトラ。
冷静沈着、クールにバンドを盛り上げる、ベースのイナバ。
そして、トライアルを愛し、メンバーたちを愛し続ける、皆から愛されるボーカルのアキナ。

当日チラシに作家の方が書かれているように、結局、一人を恐れる人の弱さはあるけど、それはみんなと一緒にいることを知ることで、解消されるよといったようなことを感じます。
アキナはバンドに皆を誘う。皆はそれに乗り、メンバーとなった。それはアキナの心のこもった想いに同感したからでしょう。一緒に、自分も何か変わるのかもと期待して、皆で頑張っていこうとした。
別にアキナの技術に惹かれたんじゃない。
自分が自分であることを忘れてしまっていたんでしょうか。特にDVを受けたりしていたアキナは、こんな暴力を振るわれる自分がおかしいみたいに、自分にあらゆる問題を押し付けてしまう傾向があったのかもしれません。
皆に求められるような自分、敵に倒されない自分。それがアキラやアンナだった。
別に求められなくたって、どこかに求めてくれる人がきちんといる。敵に倒されたって、それは敵だっておかしくて、自分は強くなればいいだけ。
でも、アキナは、自分では無い違う人になればいいと思ってしまった。そして、周囲もそれを止めずに、その流れに乗ってしまったような感じです。

チヒロは、自分のことを想ってくれたアキラに執着してしまう。アキラがいなくなってしまうことは悲しいことだけど、いつまでもそれから目を背け、アキナを自分を想うアキラにし続けることの方がもっと悲しいことです。
そんなことをしている暇があれば、アキラが自分にしてくれたように、今度は自分が孤独に苛まれ悲しむ人に想いを掛けてあげればよかったのです。そして、その想いを掛けてあげるべき人こそ、アキナだったように思います。

バンドやアイドルグループのように、ただ楽しくても、それを維持するためには、ある程度の成功をしなければいけない。
そこにはビジネスという言葉が入り込むことは仕方がないでしょう。
客を引き寄せるバンドのメンバーとしての技術力が足りないアキナがアキラを求めたり、自分の成功を願うチヒロやカナが、グループとしてでは出来ないことを目指して、裏切りのような行動をしてしまうことも。
それは現実としてあるにしても、そこばかり目にしての活動ではいつかダメになってしまう。マリアのマネージメントでは、本当の表現者集団は生まれないように感じます。
なぜ、こういう仕事をしようとしたのか。おとなしかったり、すぐに緊張したり、煮え切らなかったりと、むしろ、不向きじゃないと思えるような人たちが、それでも、舞台に引き寄せられて、離れない。自然に戻って来てしまう。
そこには、自分のバンドやアイドルとしての想いがあり、それをアキナは引き出してくれたはず。いつでも、それを思い出させてくれるアキナ。
原点に立ち返らせてくれて、その想いをいつでも、皆と膨らませていこうとするアキナ。それに応えるメンバーたち。そのアキナを尊重して、雑務に走るまどか。
トライアルのようなバンド、表現者集団。
小劇場界における劇団の在り方を感じさせるようなところもあるような。

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コメント

劇団Pinocchioの伊与田です。ご来場ありがとうございました!観に来て頂けて本当に嬉しかったです。
力が入り過ぎですかね…。でも、暑苦しいけど、そこが良いっていう域にこれからなっていけたらと思います!
トライアルが小劇場会の劇団の在り方…何とも感慨深いなと思いました。
また何処かでお会い出来たら嬉しいです。

投稿: 伊与田 | 2016年2月23日 (火) 09時31分

>伊与田さん

コメントありがとうございます。

かなりのご無沙汰でしたね。
お久しぶりにお姿を拝見できて、よかったです。
それも、あんな熱い姿で(゚▽゚*)

トライアルは、本当にそのまま小劇場での劇団の姿に見えてきましたね。
色々な道があっていいと思いますが、自然に集まって、何かやりたいって気持ちに溢れていた頃の原点だけはいつまでも大切にして頑張って欲しいなと思います。

また、どこかの舞台で。

投稿: SAISEI | 2016年2月24日 (水) 12時06分

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