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2016年2月20日 (土)

OPEX【匿名劇壇】160220

2016年02月20日 カフェ+ギャラリー can tutku (65分)

フラッシュフィクションという、ここの特許みたいな公演に少し慣れたのでしょうか。
時間も適していたのかもしれません。
とにかく、フラッシュで綴られる各作品を、存分に楽しむことが出来たような気がします。
一応、テーマにお金が掲げられています。どこかで絡んでいるような、全く関係ないような。そんな様々な作品が、演劇の在り方を現実的なお金のことも交えて考えさせる作品も組み込みながら、綴られています。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は日曜日まで>

・OPEX①
黒子よりも暗くて目立たない、病んでるヤミコ。今回、スランプだというレイジの代わりに脚本を担当。
それがこの公演。
今回は大阪の未来を考える演劇エキスポに参加。
日常の何から何までをごちゃまぜにしたフラッシュフィクション。いわば、ヤミコがゲロみたいだと嫌っているもんじゃみたいなものか。まあ、もんじゃは関東のものだが。
こんな公演でもメタは外さないみたい。

・いとこのハルちゃん、いとこのナツくん
思春期のナツくんと、妙齢のハルちゃん。待ち合わせの人が遅くて、ナツくんはイライラしているけど、この二人の時間がちょっと嬉しい。ハルちゃんのいとこって結婚できるんだってという言葉に、そんなこと知らねえよってふりをしながら、頭の中では色々な思いがグルグルと。30歳になって彼氏がいなければ結婚してやると言い放つ。プロポーズじゃない。予約みたいなものだと、自分の言葉に言い訳。もう二人でどこか行こうかというハルちゃんの言葉にも妄想が膨らむ。カラオケ。見透かされて、からかわれる中、ハルちゃんは承りましたと。
日常に潜むちっちゃいけど、最高の幸せかな。たまに、こんな淡い微笑ましさを出してくるところもここが好きな理由の一つかな。

・結愚
行ってくる。うん、いってらっしゃい。愛してるよ。
始まりはいつも普通すぎるくらいに普通。
連続恋愛ドラマの始まり。

・女優大脱走
女優のミルキーが失踪。
劇団員たちは集まり、話し合い。
彼女と一緒に消えた通帳と金に言及。
いや、それよりも彼女の安否が大事だろう。だから、警察を呼ぶべきだとさっきから言っている。
話の焦点を絞ろう。
大事なのは何だ。彼女、いや、まずは金が無いと支払えない数々の費用か。
金は私が出す。いや、そういう問題ではないんだ。
帰ってきて欲しいのは人か金か。答えは皆が分かっているとおり、どちらも帰って来ない。劇団という設定のためか、いつものとおり、その虚構の世界で女優を心配する演技をする者、現実の中で正論を語る者みたいに、現実と虚構がぶつかり合ったみたい。

・悲しみはうわの空の彼方に
携帯をわざとらしく、放り出す男。拾う。
近くにいた女性はびっくりするものの、交換しようかと言ってくる。
端末を。えっ、アドレスじゃなくて。
冗談。ドタキャンされてしまったので、どこかへ行こうかと。
まあ、チャンスはどこにでも転がっているみたいな格言かなあ。まず、何でもやってみなさいみたいなことか。

・公私混同
劇団は皆がきちんと話し合って、分かち合っていないと成り立たない。
そのことを重要視する演出家は、劇団員に自分の想いを投げかける。
自分の演劇のペニス、フィクションという描き方のペニスを受け入れて欲しいと思っている。
だから、今度、開こうと思っている乱交パーティーについて意見を求める。
要はペニスを入れたいってことね。

・サルでもできる男女交際
終電間際の飲み。そこからホテルに向かって、ヤッてヤられての関係に至るまでの、心理合戦を分かりやすく解説。
ありがちなネタだが、ちょっと違う。普通は、男か女かどちらかの単一視点で、どちらがその城を落とすかといった形で描かれることが多いはず。この作品は両側視点を同時に扱っている。どちらもヤりたいヤられたいという関係が成立していることが前提なので、その城は開放されている。スマートにその城に互いに入り込むのをどうするかを教えているので、恐らく、普通の場合は信じて真似をすると恥をかくことになるはず。

・馬鹿が馬鹿に金を貸す
3人の馬鹿が金の貸し借り。
馬鹿ゆえに騙し騙される感覚無しに繰り広げられるトリックと、同時に飛び交うストレートな馬鹿な考えを楽しむ。ただ、私も馬鹿なのか、そのトリックがどうなっているのか、いまひとつよく分からない。

・OPEX②
毎日、安上がりの朝飯食べて、稽古場借りて、数千円の公演のために赤字を出しながら演劇なんかお先真っ暗だとヤミコは言う。レイジは堂々と舞台に立ち、自分はプライスレスだと。0円ってことじゃん。
ここだけ妙に具体的で現実化してくる。虚構を利用して、叫ぶみたいな感じか。いや、叫びもしないくらいに、冷静に自分たちを見つめてしまっているようにすら見える。

・結愚
行ってきます。あっ、お金が。財布から金を出して渡す女。いってきます。愛してるよ。
二人の間に金が入り込んできた。きっと、破滅する道への始まりだ。次は男のDVが始まるのでは。わずか数十秒程度の作品。でも、はまった連続ドラマを見ている時ぐらいの期待感が高まる。

・思い出でいっぱい
別れる二人。
あの恥ずかしい写真は全部、消してね。流出とか嫌だから。
自分だけが持っておくのは。それも気持ち悪い。
いや、思い出は大事。指輪とかも本当は捨てずに残しておいた方がいい。
分かった。消す。でも、明日。今日は最後の晩餐になるから。
こういう作品を観ると思い出す。
最後にヤらせろって言う男の話を聞いて、最低、情けないなんか思ったことがあるが、自分がある女性と別れることになった時、口には出さなかったが、心の中でそんな思いが出たことがある。あれは、この作品のように思い出を大事にしたい純粋な自分がいたんだと信じているのだが。

・理想と現実と現実
よくある登校中の男女生徒のぶつかりから生まれる恋、命をかけて女を守る男なんて話。
虚構の世界だと分かっている。でも、もしかしたらなんて思いも。
それを砕くために、きちんと現実はこんなもんだろと描いて見せる。
最後は二段オチ。現実は現実以上に現実だということを冷淡に突きつける。
題名も実に巧い。

・ケイコとマナブ
話をする男女。
互いに名前を間違い合い。どちらも責め合うが、どうしても出てきてしまう名前のため、微妙な空気が漂う。
互いに弱点を見破られて、攻め切れないボクシングの試合を見ているみたい。イライラする。

・女の子の気持ち
暗闇の中、女の子に気持ちのいいことをしてもらう男。
いいよ、無理しないで。だって、疲れるでしょ、顎とか。
よく分かるんだ。自分もしてみたから。
ゲイじゃないよ。気持ちを分かりたかったから。
思いっきり引く女の子。そこからは、この男のおかしな感覚が次々に溢れ出す。
嫌々してたと思ってたんだと怒って出て行く女の子。
一度、自分で経験してみないと、人に物を言うのって難しい。そんな気持ちは仕事とかでもそうだと思うので分かる気はするが。でも、これは違うな。気持ちを分かるためというのはきっと嘘で、自分にとっての損益を明確化するためだと思うから。多分、5分はやれるだろうみたいなことを、自分の中で確立するための行動なんじゃないか。

・あたしのいないときは
?。 どんな話だったかな。
一応、キーワードだけメモを残すようにしていて、だいたいそれで思い出せるんだけど。
タバコとだけ記してあるが。

・愛の酷薄
ラブレターを女性の前で読み上げる男。歯の浮くようなこともチラホラ。抱きたいなんて、よくシラフで言えたなって言葉も。
女性は男の気持ちにずっと気付いていた。だから、ずっと告白されないような素振りをしてきた。
まず、それをごめんなさい。あとは、返事としてごめんなさい。
今はゴミになったラブレター。せっかく筆ペンまで使って書いたのに。捨てるという男に、女性はもらっておくとしつこい。もういい。泣き出す男に、女性はごめんなさい。
題名がやっぱりいいですね。そのまま。女性の残酷さと薄情さを同時に描き出した秀作。こんなことが日常の様々から拾い出せてくることが恐ろしい。

・リーズナブル
援交も嫌だし、下着を売りに来た女の子。汚れていたら価値は高い。写メ付き、その場で脱ぐとか付加価値はいくらでも付けられる。
やっぱり辞めた。その帰り、電車の中で痴漢される。もちろん、ただで。
価値と金の関係性を皮肉に描く。需要と供給バランスにも繋がるだろう。そんな程度なんだよ、君の本当の価値は。女性に恨みがあるわけではないが、そんな負の感情が沸き上がる。

・なんかやる
舞台に登場する二人。
何も始まらない。
演出家にお題を求める二人。
なんかやると台本に書いた。それをするのが役者。ト書きみたいなもの。お題がいるなら、お題をもらってなんかやると書くと厳しく怒り出す作家。
作家に、客に、劇団員に、互いに謝る二人。
まあ、確かにそうだ。間違っちゃいない。それでも、作家に感情移入できないのは、日常でこうした不条理なことが、恐らくは役者側の立場で経験しているからなのかもしれない。

・結愚
行ってきます。あっ、お金が。財布から金を取り出す男。女のスカートをめくったりしてジャれる。女も嬉しそう。いってきます。愛してるよ。
うんうん、確実に悪い方向へ向かっている。あの女の無邪気な笑顔が何よりの証拠だ。

・OPEX③
野球と水球だったら、野球にお金がかけられるのは当たり前だ。
演劇だってそうだろう。それは、昨今の公共の稽古場閉鎖や助成金廃止が物語っている。
そんなのおかしい。それを演劇する人が言っているのがおかしい。
芸術は社会のためになる。いや、自分のためってのが丸分かりじゃないか。結局、かまってちゃんみたいになっている。
お前らも悪いんだぞって言われているのかな。確かに、普段、演劇を楽しませてもらっている身分なのに、こういう問題は無視だ。でも、観るのもけっこう、金だけじゃなく、体力とか使うんだよ。ただ楽しいから観るだけでなく、盛り上がって欲しいと思うから、頑張って観に行くとかいうところも、今は少しだけあるから。それにこちらもこちらで、こんなことってあるからね。お互い負けずに頑張ろうよとしか言えない。

・結愚
行ってきます。あっ、お金が。財布から金を取り出す男。女はただ黙っている。いってきます。愛してるよ。
何か、この作品にはまってしまった。テレビドラマなど全く見ない方だが、これだったらきっと録画するね。

・あたしの可愛い遺書
オカマが何か、よく分からない遺書を読み上げる。
遺書の内容以上に、この作品のツボがよく分からない。

・わらえない過去の口がすべらない話
芸人夫婦。妻は引退しているのか。
夫が帰ってきて、今日、色々と聞いた過去の妻の男関係を問い正す。
妻はシラを切るが、うっかりと。
芸人だったら、あらゆることですべったらダメなのかな。
すべってしまった妻。夫は男として、芸人として、そのすべりを怒らないといけないのでしょう。

・路上にて
路上ライブをする男。LIVEと貼り紙。
金は一銭も投げられない。
マジックでLIVEをDIEに書き換えて、その場で横たわる。
注目を浴び、にやつく男。
だから何よって話なんだけど、男と同じようににやつく自分。

・インフィールドフライ
野球を恋のメタファーにしてみた作品かな。
ボールは球だから、想いの魂。男と女はバッテリー。
バッターは二人の想いの邪魔をする敵。味方は友達が守備につく。
あいつは味方だったか。それは移籍前の話か。
馬鹿げてるけど、名作ですね。恋のキャッチボールとか言うものね。適当に投げてたら確かに打たれるわ。

・まぬけよ、何故そこにいる
まぬけじゃない風にまぬけの男が、まぬけの父親にまぬけの娘のことで挨拶に。相手にされない。だから、本性を出して、まぬけのまま、挨拶に行った。結ばれた。
という話だと思います。キャラが強過ぎて訳が分からないけど。郷に入れば郷に従えをまぬけに説明しているのかもしれません。

・遠距離恋愛
遠く離れて、愛を叫び合う二人。遠い。だったら、男は世界一周をすることに。そうすれば背中から抱き締められるから。
さっきのまぬけの父親の役者さんが男役。なんか引き摺ってしまっているのか、口調がちょっと変。これも、若かりしまぬけの父を描いたさっきの続きなのかな。

・OPEX④
脚本に不安を感じるヤミコ。
照明や音響の人がよく言う。大事なのは光が当たっていない時、音が無い静かな時。
脚本だって同じ。そんなアドバイスを脚本を書けてもいないのに平然とのたまうレイジ。
前日に観た作品で夜空の星よりも、闇の方が大きいなんて言葉があり、何か心打たれたりしたが、作品やその形態が違うと、心に響きませんね。
でも、こうして行間を意識した世界を想像して作品って創っているんだろなと。

・結愚
行ってきます。あっ、お金が。財布から金を取り出す男。女はお金を返してねと言う。返す、返す、いつか。女はだんまり。結婚しようか。ずっと一緒にいて、いつか返す。そんな告白、何も嬉しくない。お金があったら、いやお金なんか無かったら、よかったのかなあ。そんな女の言葉は男に届かない。
一瞬、まさかハッピーエンドにするつもりかと焦りましたが、落ち着くところに落ち着きました。
舞台の両側には、たくさんの着替えの衣装がハンガーに懸けられて準備されています。作品が進むごとに、その衣装は使われ、舞台後方に投げ捨てられる。
だから、最後から二つ目のこの作品では、女の財布が入った服がただ一つだけハンガーに懸かった状態に。
何か消費されて無くなっていった服が、今回のテーマらしいお金を思わせます。お金と同時に、この二人の愛もただただ消費し続けて、ついにこの最終回で消費し尽くされたのでしょう。どこかで、その愛を膨らます、増やす努力をしていれば。
そして、それは演劇においても言えることなのかもしれません。きっと、今の厳しい現況ではお金は消費される、少なくとも増えることは恐らく無いのでしょう。それと同時に、演劇の愛情、情熱まで消費され続ければ。増やす努力を怠れば、行き着く先はこの二人の末路かもしれません。増やすというのは、きっと創作することで、その力を後押しするのが、観に来る客ならば、いつまでもその助力でいたいとも思います。

・OPEX⑤
不安を抱くヤミコをレイジは舞台に上げる。
堂々としていればいい。
自分たちは、この舞台で笑顔で待ち構えていればいい。
大阪の、演劇の未来をテーマに掲げる演劇エキスポに参加する劇団として、自分たちの率直な想いを宣言したかのような形でこの公演は締められます。

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