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2016年2月28日 (日)

野獣郎見参!~BEAST IS RED~【劇団万絵巻】160227

2016年02月27日 芸術創造館 (130分)

祝2000本観劇。
先週ぐらいから、2009年から始めた観劇の通算2000本目をどこにするかを考えて、観劇日程も色々と調整していました。
満員御礼で予約がなかなか出来ず、結局、上手く調整できず、観るつもりだった作品を幾つか観に行かないということになってしまいましたが、まあ仕方ありません。
ここにしたいなと思ったので。
多分、2010年のここの卒業公演が、私が初めて観た大学生の学生劇団の作品で、その時、凄く感動したのです。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/100110-cbdd.html
その後も、ちょこちょこ拝見するようになって、今では頻度は少ないものの、色々な大学の劇団を拝見させていただくようになっています。
私にとっては、学生劇団観劇の原点となる大切な劇団です。

昨年は、母が末期がんでもう危ない時だったので、卒業公演を拝見できないことをとても残念に思っていました。
今年の卒業生の方々は、2012年にずいぶんと山奥の高槻キャンパスで拝見した公演で初めて観たのかな。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/2012.html
もう、ほとんど忘れてしまってますが、けっこう、あの時、目を惹いた役者さんが、今回、主役クラスで大活躍。
立派になられてと少し感慨深い気持ちも沸いてきます。

正直、ここは、う~ん、いまひとつといった時と、めちゃくちゃ凄いやんという時がはっきりとしていて、前者だったらちょっとなあなんてことも少し、頭をかすめましたが、そんな心配は何も必要なかったようです。
まあ、ここまで立派に創り上げられてと感動の一言です。
上手く言葉にできません。
この域まで達する公演を実現したこの劇団の力にただただ感服。そして、この劇団を知り、私の観劇人生の記念にここを刻み込めた嬉しさで一杯です。
素敵な公演を拝見させていただけたこと、ここに至るまでの数々の公演を拝見して時間を共に過ごせたことを誇りに思います。
ありがとうの一言を感想にしたいと思います。

舞台は、応仁の乱により、荒れ果てた京の都。
遡ること250年。安倍晴明は世を乱す芦屋道満を永遠の命を得る秘法、晴明蟲と共に封じ込めた。
その封印が、戦の動乱の中、何者かによって解かれ、都には魔物たちが氾濫することに。
女官をはべらせ、全く頼りにならない京都所司代に代わり、都を護る晴明の末裔、安倍西門は、魔物たちの首領、道満王を倒すことを、その力を認めた二人の男に命じる。
魂を抜かれた北の宮の眠り姫。道満王は、月に一度、その姫に会いにやって来るはず。

男は殺す、女は犯す、金に汚く、己に甘いという信念の下に好き勝手に生きる、不死身の物怪野獣郎。暴れて賞金がもらえるならばと了承。
野獣郎が、法外の金をふっかけて、妖怪から助けてあげた大工の兄弟、錐蔵と甚五。甚五は姫に想いを寄せている。姫を助けるために野獣郎と行動を共にする。錐蔵はそんな弟のために力を貸す。穴掘り名人でもある錐蔵。色々なところで役に立つはずだ。

そして、芦屋道満の末裔である芥蛮嶽。彼は晴明蟲により、絶対的な力を手に入れ、密かに人と妖が共存する世の中をつくりたいと考えている。
蛮嶽は、晴明蟲を探す中で知り合った妻がいる。美泥。彼女は、かつて野獣郎に惚れられていた。しかし、母である葛鬼を斬り殺され、今は憎むべき相手となっている。
人と妖の間に生まれた子。そんな悲しい宿命を持つ美泥に、蛮嶽は代々伝わる霊剣を授ける。美泥は、その剣に涙丸という名を付けて、共に戦うことに。
さらには、その美しさからか、彼女を守ると誓った5人の親衛隊も。

満月の夜、婆娑羅鬼と荊鬼が道満王の下へ向かう皆の前に立ちふさがる。
婆娑羅鬼は、大工を襲った妖たちのリーダー。あの時、取り逃がした野獣郎は今度こそと意気込む。
荊鬼は、美泥の母、葛鬼の親友。自分に何かあれば、娘を頼むと言われていたらしい。そのためか、美泥とは距離を置いて、様子を伺っている。美泥が鬼の血を引くことを知った親衛隊の中には、恐れて逃げる者も。そして、実は鬼だった者もいたらしく、敵に寝返る者も。
蛮嶽は、全てお見通しだったらしく、特に焦ることもなく、自らの陰陽の力で道満王を呼び起こそうとする。五傍星が現れ、道満王が現れる。仮面を被り、その姿は分からない。いいところまで追い詰めるが、やはりかなわない。道満王は去って行く。 しかし、道満王が人であることに野獣郎は気付く。五傍星と人。蛮嶽は疑いの念を抱いていたことがどうやら本当であったことを確信する。

道満王は、所司代の女官頭である雪目の下へと戻っていた。
雪目は、所司代の魂を抜き、道満王が世を制覇することに仕えているようだ。
道満王がその仮面を外す。そこには、西門の姿があった。
姫を探しに潜入していた甚五。見つかり、道満王の姿にさせられる。そして、西門は、その偽道満王を部下に斬らせる。
野獣郎たちが駆けつけた時、甚五は既に息絶えていた。
最初はしらをきっていた西門だが、蛮嶽がその正体を明かす。
しかし、既に晴明蟲を使って、強大な力を手に入れている西門。皆が絶体絶命の状況に陥る中、どこからか風鏡を名乗る僧が現れ、唱える念仏により助けられる。

晴明蟲は元々、芦屋道満の家に伝わる秘法。晴明は、その力に魅せられ、道満を封じ込めて、自らのものとした。
晴明蟲により、その血は、今、西門に取り込まれ、西門は晴明王として蘇った。
安部家の陰謀が明らかになり、皆は協力して再戦に挑む。
蛮嶽が晴明王を斬り倒す。これで、全てが終わったと思いきや、その血を浴びた、蛮嶽が晴明王になってしまう。
私がこの世を支配する。 その言葉と共に野獣郎を切り裂く。

正気を取り戻した姫と美泥は逃げる。
婆娑羅鬼と荊鬼がその後を追う。それだけではなく、晴明王は葛鬼を蘇らせ、美泥を狙わせる。
本当は分かっていた。かつて、葛鬼は鬼の心に支配され、美泥を喰らおうとおかしくなってしまっていたことを。野獣郎はそれを助けるために、母を斬った。認めたくない心が、いつしか野獣郎への憎しみへとすり替わってしまっていたことを。
美泥が窮地に追いやられる。
そこに、逃げていた親衛隊が現れる。風鏡という僧に、力を与えてもらったらしい。
婆娑羅鬼が、美泥に襲い掛かる。美泥が斬りつけられる。
とどめを刺そうとしたその時、荊鬼の剣がそれを止める。
母との約束は守る。荊鬼は美泥をその場から逃がし、自らは婆娑羅鬼はじめ、妖たちによって殺されてしまう。
しかし、美泥の傷は深く、その息は消えてしまった。

その頃、風鏡は、バラバラになった野獣郎を訪ねていた。
霊力で彼を復活させようとするが見事に失敗。
三途の川を彷徨う野獣郎は、甚五に出会う。
金を払わず死にやがって。文句を言う野獣郎に、甚五は姫を錐蔵に任せると伝えてくれと頼む。
葛鬼とも出会う。彼女は深々と笑顔で野獣郎に頭を下げる。
野獣郎の前に美泥が現れる。まさか、お前まで。
こんなことをしている場合ではない。惚れた愛する女を助けなくては。
野獣郎は、自らの超越した力で、体を再生し、再びこの世に蘇る。

道満王を倒す方法が一つだけある。
実は西門の兄である風鏡の血は、晴明蟲を中和する力がある。
風鏡は、自分を犠牲にして、晴明王の力を封じようとする。その血を晴明王に浴びせようとした時、雪目がその前に立ちふさがる。
かつては風鏡と恋仲で、共に平和な世を作り出そうとしていた雪目だが、その考えを捨て、絶対的な力で世を支配する西門を信じようとしたみたいだ。
晴明王は、その力を中和させられることなく、風鏡を亡き者とする。
そして、野獣郎が晴明王と戦おうとした時、その実体は蛮嶽であることに気付く。
蛮嶽は晴明蟲によりおかしくなった訳ではなく、自らの意志で、この世を絶対的な力で支配しようとしたみたいだ。人と妖の共存を願っていた蛮嶽。しかし、その絶対的な力の下に、その考えはどこかへ消え去ってしまったらしい。
この世がどうとかなど関係ない。愛する者を守るために戦う野獣郎は蛮嶽に剣を向け、妖に心を支配された蛮嶽を倒す。
この世を妖から守る力が消えた。
地獄の門は開き、魔物たちがこれまで以上にこの世にはびこることに。
それでも構わない。
野獣郎は美泥と共に、現れた魔物を成敗していくだけだ・・・

話は比較的、単純だけど、文章にするとけっこう、ややこしいですね。
上記した以外にも登場人物はいるのですが、入れ込むと私のまとめの力では収拾つかなくなるので、だいぶ削除してしまいました。
まあ、それだけ壮大な物語ということです。
感覚的には、この世を泰平に導くためにどうするのかという考えに至る話のように感じます。
一番、いい例が三国志でしょうか。
野獣郎が自らの運命や妖などに惑わされず、己の道を突き進む劉備、美泥が人と妖の狭間に生きる自らの運命を断ち切り、それを乗り越えようとする孫権、蛮嶽が甘き考えを律して絶対的な力の下に世を支配することで安泰の道を導こうとする曹操。
信長、秀吉、家康みたいな感じでもいいのかもしれません。
妖は、人間の欲望や弱さが生み出す。それにただ好きなように翻弄されたりしてもダメだし、それから目を背けてもいけない。
受け止めて強い力でそれに打ち勝つ。それが出来なければ、この世に本当の平和は訪れないようなことを感じさせます。
野獣郎、美泥、蛮嶽、誰が正しいという訳ではなく、己の道を信じて突き進むだけの強い力が必要だということでしょう。
そして、その力を生み出すものは、大切な誰かを守りたいという想いに通じているように思います。

卒業生の方々に一言コメント。
ネットと当日パンフレットで調べただけなので、抜けがあるかも。
野獣郎、西村友志さん。傍若無人なキャラな割には、一番冷静で、世を見詰める知的さを感じさせるかっこよさ。
蛮嶽、茶髪さん。共存などと君子の姿を見せながら、いつしか欲の権化と化してしまう姿。人の弱さを如実に狂おしく表現。
美泥、散葉さん。外観だけでなく、己の運命に翻弄されながらも打ち勝とうとする凛とした美しさ。
錐蔵、グルメさん。ゲームキャラのような見た目の愛らしさ。大衆の力強さも感じさせるイキイキとした躍動感がいい。
西門と風鏡、高橋=Kathleen...さん。狂気と正気の切り替え。独特のコミカルさも交えて、両極の姿を演じる達者さ。
雪目、アイルさん。役はもちろん、この作品をここまで凄くさせる演出が見事なのかな。どう凄いのかは演劇経験ないからよく分からないが、これだけ楽しめたことは事実。登場した時から、この人、悪いこと考えてるなということが感じられ、肉食的な欲望が浮き上がる。
婆娑羅鬼、チャーリーさん。妖そのものか。その狂気の心に完全に支配されているかのような絶対的な負の力を感じさせる。
荊鬼、冬花さん。美泥が鬼の血に抗い乗り越えるなら、このキャラは受け止め乗り越えるみたいな感じか。優しさが捨てきれないからこその葛藤が終始、滲む。
後は、調べた限りでは、上記していない、舞監、ナスカさん、舞台美術、まりぞんさん、大道具、冬花さん、照明、a---minさん、衣装、あみなつのさん、広報・制作、ゆっきーさん、PV、もーりんさんかな。
裏方の方の仕事は、なかなか分からないところが多いですが、舞台美術や大道具は色々と工夫されていて面白かったし、衣装はとても素敵。剣とかは小道具になるのかな。ずいぶんと様々なものを作られて。たぶん無事に皆、怪我無く、公演を終えていることでしょうから、舞監さんも仕事を果たしたのでしょう。音響、照明は舞台に惹き込まれたという事実がその魅力を語っているでしょう。
広報・制作は、ここはいつも公演を気持ちよく観ることができ、今回も変わらなかったことがその仕事の出来を証明していると思います。PVは、今、観ました。わざわざ、殺陣を撮影したのかな。綺麗どころがいないのが残念だけど、男優さんずいぶんとかっこよく決められて。

昨年、一度も拝見していなかったので、もう知っている人がいなくなってしまったかなと思っていましたが、まだ、2・3回生に知っている人がたくさんいますね。
また、これからも万絵巻を楽しませていただこうと思っています。
とりあえずは、ご卒業おめでとうございます。
願わくば、また、プロデュース公演などを含めて、様々な舞台で拝見できることを楽しみにしております。

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コメント

SAISEI様

私も万絵巻さん初観劇。感想はまた。

2000本おめでとうございます、と言いたいところですが私の計算ミス? 昨年末で1945本でしたよね。。1本ずれてませんか?

投稿: KAISEI | 2016年2月29日 (月) 00時34分

SAISEI様

あっ!Σ( ̄□ ̄;)そうか。劇団ゴサンケを2本まとめたはったからや(笑)

今日の私は演劇ユニット遊走子→sputnik. →劇団万絵巻のハシゴ。sputnik. と万絵巻が逆やったんですね。

主役の男子2人良かったです。

投稿: KAISEI | 2016年2月29日 (月) 00時41分

>KAISEIさん

うん。ということです。
先に会ってしまったけどね(゚ー゚)

いやあ、二人をはじめ、本当にしっかりした作品を創り上げられていて良かった。
2000本目に十分の作品で満足です(゚▽゚*)

投稿: SAISEI | 2016年2月29日 (月) 22時27分

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