« 火曜日のゲキジョウ【daisen minori×カヨコの大発明】160126 | トップページ | TOUCHABLES【メイシアター×ホルマリン兄弟】160129 »

2016年1月29日 (金)

ソドムの紅い月~やっぱ、すっきゃねん~【大阪ゲキバカ】160128

2016年01月28日 世界館 (135分)

何か聞いたことはあるけど、よく知らないので、ソドムをあらかじめ、ネットで調べて観劇。
確かに、この話、ソドムだわと感動。
ただ、そんなことどうでもいいくらいに、駆け回るハチャメチャなキャラたちを楽しみ、一緒になぞ解きをするという作品でしょう。
なかでも、あのキャラは酷かったな。久しぶりに見ましたね。あんな下劣極まりないクズ男を熱演で魅せることが出来る方。

作品の中に隠された人の憎しみ。その憎しみの炎は、人の愛する心や想いでもなかなか消えない。全てを焼き尽くすまで、燃え続ける。
何も無くなってしまった焼け野原。そんなやるせない現実の中に、それでも、そこにあった人の優しい想いを信じて、新しい自分たちの町を創り出しましょうという希望も見せるような話でした。

<以下、ネタバレしますので、ご注意願います。特に基本、ミステリー形態の作品ですので、犯人がいます。それも書いてしまっていますので、重々、ご注意ください。公演終了まで白字にします>

謎解き大好き。往年の名探偵たちに憧れて、それに没頭し過ぎると、裸になる癖も災いして、警察を辞めて、探偵事務所を立ち上げた、二流探偵、明智大吾郎。
今日も、大した依頼も無く、事務所でダラダラしてたら、淀川コ●ンを名乗る悪魔のようなガキがやって来る。散々、掻き回された挙句、今度は妹のゆずとその友達の桃子が、小遣いをせびりに来る。アホなのか、いつも明るく弾けまくっているゆずと、思ったことを平気で口にする、思いやりの欠片も無い桃子。こちらもある意味では悪魔だ。
聞けば、ゆずはこの体は子供、あそこは大人のコ●ンという奴と付き合っているのだとか。彼女もできず、こんなくすぶった日々を過ごす明智にはショックな話だ。
そんな明智にさらなるショックな手紙が届く。幼馴染、相沢裕子からの結婚式招待状。手紙ぐらいしかやり取りはしなくなったけど、ちょっと想いを寄せていたのに。
それでも、明智は、結婚式が行われるという山荘に向かう。ゆずと桃子を連れて。だって、置いていったら、自分がいない間にコ●ンに何をされるか分からないから。

コ●ンが寝ている隙に出発。半日かけて山を登り、最後に吊り橋を渡ってたどり着いた山荘。おかげで結婚式には間に合わなかったが、裕子はティンティングループという財閥の印南家の息子と結婚するので、その後の豪勢なパーティーには参加できるだろう。玄関の鍵は開いている。呼んでも誰も出てこないので、勝手に入ると何やら嫌な空気がする。誰かに見られているような。
腰の曲がった気味悪い年老いた使用人が出てくる。
結婚式の日は何と明後日。
ふもとの町に泊まる金は無いし、ゆずと桃子は帰りたくないと駄々をこねるし、明智が困り果てていると、屋敷の者たちがやって来る。
分かりやす過ぎるいかがわしい成金キャラのご主人に、そのキャラに負けない、自分を人形とでも勘違いしているのか、華やかなドレスを身に纏った奥様。
どこかこの世の者とは思えないような不可思議な空気を醸すティンカーベルと呼ばれる女使用人。先ほどの年老いた使用人はセバスチャンというらしい。
だったら、明後日までここに泊まればいい。その言葉に甘えることになる。
ただ、この山荘、今朝方、窓ガラスが割られ、泥の付いた足跡が発見されている。財閥だから世間から憎まれることも多い。山荘の中にまだ何者かが潜伏している可能性があるので、注意を促される。
明智は玄関の鍵は開いていたのにと、不可解な思いを浮かべるが、ご馳走が食べられると騒ぎ出すゆずと桃子のおかげでうやむやになる。

裕子とも再会。相変わらず清楚で綺麗で、明智は緊張。ゆずたちに好きなんだろうとからかわれるが必死に否定。でも、そんな気持ちはどこかにずっとある。中学生の時のクリスマス会でもらった彼女からのオルゴールを今でも大切に持っているのだから。自分のあげたスペースシャトルのプラモは、彼女は今、持っているのだろうか。
裕子はどこか寂しげで暗い表情をしている。結婚式前でナイーブになっているのかもしれない。
新郎の寛希は、友達4人と貴族の遊びだろうか、くだらないゲームで盛り上がっている。30になっても、バカそうな連中だ。海外から結婚式のために久しぶりに帰国してきている寛希の姉もいる。絶世の美女。ただ、かなり不機嫌そう。どうやら、この結婚をいいように思っていないらしい。そんな中で、騒がしい弟連中に腹が立ったのか、思いっきりケツを引っ叩く。バカな連中はM心をくすぐられ大喜びだ。
これで、山荘にいる人たちは全て。
・・・ではない。なぜかコ●ンがやって来ている。それも先回りして。先ほどからの妙な視線はどうやらこいつだったらしい。
下劣極まりない言動で、山荘の空気を一挙に不快なものとする。

そんな中、トイレに行っていた、一番調子に乗ってた寛希の友達が、ヴェールをかぶり、血まみれの死体で発見される。
刑事がすぐさまに呼ばれる。
全員が集められ、刑事は、この付近を逃亡中の連続殺人犯の犯行をほのめかす。
現場に残されていたメッセージ。
全てが終わった時、あの紅い月を思い出せ。裏切者は死ぬ。
コ●ンがでしゃばって推理をする。紅い月を肛門と読み取ったゲイの連続殺人犯とその友達の仲間割れの犯行。
確かにあいつはゲイだった。むちゃくちゃだがあり得ない話ではない。
ただ、そんなことより、問題はまだ殺人鬼がこの山荘のどこかにいるということだ。
いつの間にか電話線は切られ、吊り橋も破壊されている。
この中に犯人はいる。

捜査は刑事に任せながらも、裕子を悲しませたくない、友達の敵を討ちたい、印南家の名に傷を付けたくないといった、各々が勝手な理由で動き出す。
明智はゆずと桃子を引き連れて山荘の中を調べるが、ゆずとはぐれてしまう。ゆずは、山荘の中を好き放題に駆け回り、途中、シスコンの刑事といい仲になる。
明智は途中、裕子と出会い、時計台へと上がる。そこから見える綺麗な月と町並みの景色。今はダムの底に沈んでしまった裕子が住んでいた町も見える。
中学生時代の思い出を語り合う。あのクリスマス会から、親しくなった。プラモは捨てられていたようだが、今でも互いに気になる人として頭に残っているみたいだ。
あの頃は良かった。ずっと、それが続けば良かったのに。裕子は寂しげな表情を浮かべて空を見る。
紅い月。表情が一変する。全部、私が悪い。怯えだす裕子を明智はなだめて理由を聞き出そうとするが、裕子は時計台をさらに駆け上がって行った。そして、明智は彼女がそこから飛び降りる姿を目の当たりにする。
友達連中は物置小屋を探索することに。一人は怖がって山荘に残る。
二人は物置小屋で、血の付いた衣服を発見。
犯人はやはりここに潜んでいるはず。敵を討つ。
その時、セバスチャンが凶器を手にして登場。
お前たちのせいで皆が不幸に。そんな言葉を口にして、二人を惨殺。ただ、セバスチャンも一人の男と相討ちとなり死ぬ。
印南家では、こんなことになってしまい、どう体裁を守るかを話している。人が死んでも知ったことではない。財を成すということは厳しいことだから。主人はこんな状況でも仕事。ティンカーベルを連れて、仕事部屋へ向かう。きっと楽しい仕事をするのだろう。それを察した奥様は部屋に乗り込む。悲鳴だけが聞こえる。
寛希は姉と話す。どうして、素直に結婚を喜んでくれないのか。姉は寛希をじっと見詰め、近づく。あの頃のように。寛希は姉の誘惑になすがまま。でも、裕子のことが頭をよぎり、何とかその呪縛から逃げ出す。姉は怒って立ち去る。
コ●ンは、そんな皆に影で付きまとい、情報収集を一人楽しんでいる。

再び、皆が集められる。数人、いなくなってしまったが。
犯人はセバスチャンだった。恐らくはこき使われたことへの復讐だったのだろう。
これで事件は解決。
しかし、連続殺人はまだ続く。
残った友達も殺され、さらには主人、奥様、寛希、姉、ティンカーベルと印南家の者たちは全員毒殺。
転がる死体を見て、コ●ンはテンション上がってしまい、いつも以上に下劣さを見せる。
まだ、死体を見たりないのか、コ●ンは明智と物置小屋に。
そこで、コ●ンから渡された裕子の日記。
それを見て、明智は全てを理解する。
裕子の町は火事で全焼した。その時に両親を亡くしている。
同じように家族を亡くした者も多い。セバスチャンもその一人。
そして、その火事の原因は寛希とあの友達連中の焚火だった。
燃え盛る町。逃げ惑う中で見た月は真紅だったのだろう。
セバスチャンは偶然にも、そのことを知ってしまった。裕子も偶然にも、そんな両親の敵の家に嫁ぐことになった。そして、セバスチャンから全てを聞いてしまった。
となると、犯人はあいつしかいない。恐らくはセバスチャンと共に生き残った息子なのだろう、あの刑事。
ゆずたちが危ない。屋敷にはきっと刑事が潜んでいる。
その時、屋敷が炎に包まれていることをコ●ンが発見する。

明智と刑事が対面。
推理は完璧だったようだ。
刑事は妹を道連れにするつもりだ。そして、明智にはこのことを世間に伝えるように言って立ち去る。
コ●ンも遅れて登場。ゆずは自分が守る。助け出せたら、付き合いも認めてもらうからと。
その時、屋敷が崩れ落ちる。
明智と桃子は何とか逃げ出せたようだ。
でも、中にはまだゆずとコ●ンが。
明智が必死に叫ぶ中、ゆずを抱きかかえたコ●ンが現れる。
コ●ンは地面にゆずの足を付けさせ、確かにゆずがこの地球を掴んだことを見届けて力尽きる。

クリスマス。
明智とゆず、桃子はビルの屋上から町並みを眺める。
宅急便がなぜか届く。大きな箱だ。
明智は嫌な予感がする。
探偵だけに、その予感はたいがい当たる。
中から登場するコ●ン。
三途の川から戻って来たのだとか。
サンタクロースからのクリスマスプレゼントだと大喜びしてはしゃぐ、ゆずたち。
クリスマスプレゼント。
あの頃、自分は宇宙飛行士になりたかった。あのスペースシャトルで裕子を月に連れて行ってあげられれば。
コ●ンは相変わらずのおふざけの中、明智に裕子と向こうで会って、元気そうだったことを伝える。自分の言うことは信じないだろうけどと。
いや、信じる。明智はそうつぶやいて、綺麗な月を眺める。
空からは雪が降ってきた・・・

多くの村人たちを死に追いやり、家族を失った者たちの悲しみ、苦しみに目を向けることもなく、自己の欲望を満たすためだけに生きている印南家。そこではびこる、不貞、同性愛、近親相姦という異常性愛。
悪と腐敗の象徴とも言われる、聖書に記されたソドムの町と同調させているのか。
そこから、潔白な心を持つ者を救い出すために、聖書では天使のようだが、こちらでは冴えないおっさんと悪魔のようなガキを神は派遣。
本当ならば救い出したかった裕子は、憎しみの呪縛に囚われてしまい断ち切れない自分への苦しみ、そんな自らの罪の意識が働いたのか、自ら命を絶ってしまう。
あの時、燃え盛る炎を映す紅い月は、それを見た者たちの心の中に刻み込まれ、全てを滅ぼすまで、その憎しみの炎を消すことは出来なかったようだ。
炎が全てを焼き尽くし、燃え尽きるまで消えない。憎しみが、全ての敵を討ちとり、自らの悲しみ、苦しみの原点である人の死をもってでしか消えない。
何も生み出さない憎しみの負の感情に囚われてしまう人の悲しさか。
セバスチャン、刑事、裕子はあの空に浮かぶ綺麗な月をずっとどのように見ていたのだろうか。
あの憎しみを生み出した町は、ダムの奥深くに沈んだ。その水面に映るであろう月はきっと綺麗なものだったはずなのに。
そんな美しい景色をもう一度感じ取れる日が来て欲しかった。幼き頃に夢見た、あの美しい月に一緒に連れて行ってあげたかった。
叶わなかった明智の想い。
どうしようもない人の人生のやるせなさ。
でも、自分たちはあの憎しみ渦巻く山荘から、自分たちの町に戻って来た。
あの山荘での悲しみを胸に、今を生きていかないといけない。
そして、この町をあの焼き尽くされた山荘のようなソドムの町にしてはいけない。あの美しい月を憎しみの炎で彩られた紅い月にしてはいけない。
死という悲しい結末となったが、全てが浄化されて、あの頃の自分が好きだった清廉潔白な美しい裕子が空の向こうで元気にしていることを強く信じる明智の姿で、むちゃくちゃだった話は最後に信じられないくらいに切なく締められる。

|

« 火曜日のゲキジョウ【daisen minori×カヨコの大発明】160126 | トップページ | TOUCHABLES【メイシアター×ホルマリン兄弟】160129 »

演劇」カテゴリの記事

コメント

SAISEI様

『旧約聖書』の「ソドムとゴモラ」と関係があるんですかね。

日曜日の千秋楽に観劇します。大阪ゲキバカ初観劇です。

今週末は
(金)ホルマリン兄弟
(土)大阪ゲキバカ
(日)Micro to macro →プロトテアトル→大阪ゲキバカ

観劇予定。どこかでお会いできますかね?(笑)

投稿: KAISEI | 2016年1月29日 (金) 14時21分

SAISEI様

観劇ブロガーの方が2人ほど淀川コ●ンがウザいウザいと書いておられたり下ネタが多いと書かれていたので覚悟して行きましたが思ったほどでなく山咲和也さんよう動けはるなあ、と感心しました(笑)

投稿: KAISEI | 2016年2月22日 (月) 00時24分

>KAISEIさん

ねえ、あれは感心しますよね。
あのウザさの醸され方は、見事だと思いますが。
アマサヒカエメの公演は観に伺いたいなと思っていますが。

投稿: SAISEI | 2016年2月22日 (月) 15時29分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549536/63134558

この記事へのトラックバック一覧です: ソドムの紅い月~やっぱ、すっきゃねん~【大阪ゲキバカ】160128:

« 火曜日のゲキジョウ【daisen minori×カヨコの大発明】160126 | トップページ | TOUCHABLES【メイシアター×ホルマリン兄弟】160129 »