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2015年12月 2日 (水)

火曜日のゲキジョウ【イヌチャンネル×Micro To Macro】151201

2015年12月01日 インディペンデントシアター1st (30分+30分、休憩10分)

国家。
時として、その見えない闇の力に抑えつけられる者たち。
そんな力に屈せず、自分自身の大切なポリシーの下に、誇りを持って戦うということを、ハイテンションキャラを活かしたコメディーで描くイヌチャンネル。
そんな負の力を包みこんでしまえるような、もっと大きい力が自分たちにはあると信じて、その温かい人の想い合う強さを描き出すMicro To Macro。
といった感じの共通テーマと、それに対する抗いを各々の視点で描くような二つの作品でした。

・クドリャフカの宇宙 : イヌチャンネル

ごく平凡な男。
周囲には姿が見えない、いつもくっついている女の人がいるくらいを除いて。
ずっと一人ぼっちだった。いつの日からかそんな女の人が傍にいるようになった。
まあ、それだけが理由ではないみたいだが、おかげで彼女も出来ない。
部屋に帰ったら、変な人形が。管理人が荷物を受け取って勝手に部屋に入った模様。
玄関のチャイムが鳴る。隣に引っ越してきた女子大生。何か自分に好意を抱いてくれている感じがする。
ついに春が来たのかと思いきや、女子大生は急変して男に襲いかかる。どこかに連絡を取り、どうやら拉致されてしまうみたいだ。
その時、変な人形が動き出し、さらには怪しげな人たちが現れ、男を救い出す。
国家組織、人類解放戦線「太陽の方舟」。ヌーディストであることが必須のようだ。
そして、亡き父はこの組織で活躍し、かつてこの国であった戦争で人々を救ったらしい。
この日が来ることを、男の母である女の人はずっと待って、男を守り続けていたのかもしれない。
男は決意する。自分もかつての父のように、世界を救う。
男は服を脱ぎ・・・

平凡な男の中にずっと眠っていた、父から引き継がれた誇り高き志。それがいつの日か男の中で目覚める日まで見守り続けた母の愛みたいに家族の繋がりから導かれる世界の平和を感じなくもないが。
作品名から察するに、国家レベルでの戦略の犠牲となりながらも、それが今、そして未来の新しい世界を創り出しているようなこともほのめかしているのか。
感覚的にはエリーの晩餐会が公演した同系統の作品を思い出す。当たり前かのような裸に、強烈なキャラの弾けによる笑い。
ただ、非常にまとまりが無く、ゴタゴタした印象が残る。個性的過ぎるキャラがケンカしてしまって、話と噛み合っていないのではないだろうか。
言ってしまえば、楽しんだのだろうけど、楽しませたのかには疑問が残る感想。
基準点5点から、話の魅力が引き出せていないことに-2点、オチもよく分からないので-1点。役者さんの熱き姿に+1点。別に否定をする気はない。これをスタートに小劇場界盛り上げて欲しいし、機会があればまた観に伺いたい。旗揚げ頑張れの気持ちとして+1点。4点評価。

・真夜中を飛ぶ : Micro To Macro

真夜中にラジオを聞く少女。
462.6Hz。こんな変な周波数で番組をしているとは思えないが、少女には何か確信めいたものがあるようだ。ベタで、ちょっとスカしたDJの声が聞こえてくる。DJだけど、本当は売れないミュージシャンなんだとか。どこか親近感を覚え、少女はその番組のリスナーに。
悩み相談のコーナーにメールをしてみる。
少女は夜中、コンビニでバイト。けったいな客も多い。
因縁つけて金を巻き上げようとするチンピラ。100km先の物が見え、匂いが分かり、音が聞こえるだとか言って少女に絡む。仕方ないので金を渡して帰ってもらう。
マイナンバーを探すとかいって、ちょっとボケちゃってる婆ちゃん。寒いから店のホッカイロを渡して帰ってもらう。
こんなことばかりしている。
そんな少女の悩みにもう一人のリスナーから、激励のメールが入る。病気療養中の女性が病院から。
真夜中の妙。みんな、お昼に心に溜まったものを吐き出そうとしているのかも。聞いて欲しい、自分の不安な心に触れて、寄り添って欲しいのかな。頑張って。
結局、この日は悩みを解決することもなく終了。
次回の放送は政府の規制により、0:00で一般の放送は制限されてしまうみたい。きっと、政府が電波を独占して、都合のいい方向へと国民を誘導するような、心の籠らない言葉がたくさん並べられるのだろう。
ラジオ局では、ヨルジロウと呼ばれるディレクターが、放送を終えて、また止まってしまったDJのネジを巻いている。
少女は、真夜中の暗闇、静寂の中で考える。
再手術を受けたけど、状態はかんばしくないお母さんのことを。悩みに返答してくれたリスナーの言葉は確かかも。その人もきっと、真夜中に襲ってくる不安の中、色々と吐き出したいことがあるのだろう。きっと、コンビニに来る人も、自分自身も、そして、お母さんも。
少女は、遂にコンビニ店長に色々なことがばれてしまう。そして、それをネタにセクハラされる。本社にチクってやったら、クビになった。そう、自分が。世の中は理不尽なことだらけだ。
ラジオで愚痴る。DJは酷い話だと怒っている。それ以上にDJは、その店長に殴りかからんばかりに激怒している。自分の娘のことでも頭に浮かんだのだろうか。
願い事を叶えるコーナー。
真夜中に辛い想いでいる人のために、DJとディレクターが考えた新コーナー。
電話がかかる。少女からだ。電話番号をなぜ知っているのかは分からないが。
少女の願い事は、ある歌を、DJのギターで合わせて歌いたいということ。
その歌を知っているのは、この世で二人しかいない。母と自分。
母の友人のバイオリン弾きが作ってくれた。母に想いを寄せていたのかも。でも、母はその頃、父のことを愛していたから。
父と母は結婚。双子が生まれる。でも、お兄ちゃんは亡くなってしまった。その頃から、父は何か大事な研究をすると言って、家を離れがちに。死んだ人でも生き返らせる研究なのだろうか。何か本当に困ったことがあればと渡された電話番号。さっきはそこにかけた。きっとそうだと思っていた。462.6Hz。ヨルジロウだから。
少女は歌いだす。DJはそれに合わせてギターを弾く。DJはなぜかこの曲を知っている。大切でいい曲だからと、ディレクターからずっと練習させられている曲だから。
0:00が近づく。ディレクターは電波塔へ。政府に邪魔はさせない。電波ジャックする。
今日は妻、そして娘の誕生日だ。
離れているけど、その誕生日を祝いたい。おめでとう。その一言を、この真夜中のラジオを通じて、自分の大切な人に想いと共に飛ばす。
0:00を過ぎても放送は終わらない。ラジオでは、少女が歌い、DJがギターで合わせ、ディレクターはそれを守るために走る。
その歌はきっと、病室の母も聞いている。
どこかから、バイオリンの音も流れてくる・・・

ラジオ局の父、あの世の兄はDJを通じて、自宅の妹、病室の母。そんな家族に素敵な音楽をプレゼントしたバイオリン弾き。
離れた場所にいる皆が、最後は真夜中にラジオを通じて飛ばされた音楽、言葉に想いを乗せて、通じ合う。
よく考えたら、この劇団がいつもしていることが、そのまま作品に描かれている。
真夜中は暗くて静かで不安で、何かを吐き出したくて。でも、夜の闇とも相まって、その恐怖がその声を荒げてしまいそう。コンビニに来るおかしな客などはそんな感じで描かれているのだろうか。本当は大丈夫だよと言って欲しかったり、ただ抱きしめて欲しかったりするだけなのかも。
そんな真夜中が、この作品の話の裏に潜む国家の暗躍と同調して感じられる。何をしようとしているのか見えない、でもきっとそんなにいいことではない。後ろめたさが感じられるから。そんな不安や恐怖が、怒りの声となって出てしまう。昼間の嫌な生活のこととかも頭をよぎって、人を非難する、傷つけることで、自分の不安、恐怖、怒りを消そうとしてしまう。
そんなことをしても、結局、自分が傷ついてしまうだけで、夜が明け、明るい朝がやって来た時に、その明るさ、美しさ、楽しさに気付けなくなってしまうのかも。
そんな真夜中には、自分が繋がっている人との絆を考えてみる。今、離れていたり、これから離れてしまうのかもしれないけど、今、こうして絆があるのだから、共に過ごした時間があるわけだ。夜遅いし、物理的に遠かったりすれば、もちろん会えない。でも、想いを飛ばしてみる。きっと受け取ってくれる。そして、その人からの想いも飛んでやって来るのかもしれない。
そんな時間で真夜中をやり過ごせば、きっと爽やかで素敵な朝を迎える。そして、また頑張ればいい。昼間は忙しいからがむしゃらになってしまうけど。また、夜になって思い出せばいい。自分にはいつだって傍にいてくれる人がちゃんといることを。
基準点5点に、ベテランお二人の笑いも含んださすがの魅力に+2点。対して、若いお二人のとても好感のある真摯な演技に+2点。そんなベテランと若手の融合、それを繋ぎ合わせる音楽を奏でる者の魅力に+1点。家族愛が素敵に描かれているので+1点。ミクマクは好きだから+1点。と余裕で満点を越えてしまったので、10点評価。

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コメント

SAISEI 様

今回もご観劇頂き有り難うございました。
いつも丁寧な感想を下さいまして、本当に嬉しく思います。

今回頂いた評価に恥じぬ作品をまたお届け出来ますよう、これからも劇団員一同で力を合わせて励んで参ります。
本当に有り難うございました。

投稿: 泥谷 | 2015年12月 2日 (水) 17時25分

SAISEI さん
観劇、丁寧な感想ありがとうございます。
ツイッターにもコメントしましたが
作品内容をここまで正確に覚えて頂いてる上に
たくさんのこと、感じて頂き、
本当に嬉しいです。ありがとうございます。
本公演も良いものを作れるよう頑張ります!
本当にありがとうございました。

石井テル子

投稿: teru | 2015年12月 3日 (木) 23時44分

>泥谷さん

コメントありがとうございます。

ご無沙汰でしたね。
ちょっと、痩せてスマートになった感じが(゚ー゚)
若い子に負けずに、たくさんいいところ獲ってましたね。
また、本公演でお会いしましょう。
楽しみにしております。

投稿: SAISEI | 2015年12月 4日 (金) 11時26分

>石井テル子さん

コメントありがとうございます。

話が繋がっていくのと同時に家族が繋がっていく感じが、巧く描かれていますよね。
伏線が回収されて、すっきりしながら、心は温まるという妙。
非常によく設計されている作品だと思いました。
本公演も楽しみです。
また、お会いしましょう。

投稿: SAISEI | 2015年12月 4日 (金) 11時28分

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