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2015年12月26日 (土)

ババロワーズ・ショートショート・カタログ Vol.9 ゴールデンベストの巻【ババロワーズ】151225

2015年12月25日 道頓堀ZAZA (125分)

先月に引き続き、観劇。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2015/11/130-c6bf-1.html

5作品。
可愛らしいダンスで綴られる身体表現パフォーマンスの1作品を除いて、何か情けない男ばかりが出てくる哀愁ある切ない作品ばかりでした。

これまでにご出演された役者さん方が勢揃い。
凄いものですね。それだけで愛されていることが分かります。
作品間の作・演のたかせかずひこさんのトークは、先月同様、ずいぶんとぼやき口調で面白い。この人の話ならずっと聞いていてもいいなあと思えるのは、きっとトークに愛があるからのように感じます。
こんな人が創った作品なんだから、作品に愛を感じ、それを演じる人たちが愛し、愛されるのは当然か。
愛おしい気持ちでいっぱいになれる楽しく素敵な時間でした。

・人魚
女が目を覚ますと浜辺。記憶はぼんやり。
目の前におじさん、いや下半身が魚なのでおっさん人魚だ。
聞けば、船から落ちた自分をここまで運んでくれたのだとか。
命の恩人ということだ。
ありがとう。そう言って家に帰ろうとする女に、おっさん人魚は声をかける。
もう少し、何かないかなあ。グジグジしてて、はっきりしない。要するに付き合って欲しいと言っているようだ。
付き合うメリットが無い。鮮魚食べ放題だとか言っているけど苦手だし。それに、これでは車を運転もできないからドライブにも行けない。
だったら、海の神様にお願いして、声を失うけど人間の足を手に入れるとまで言うおっさん人魚。恋が実らなかったら泡になって死ぬという高いリスクをものともしない必死さだ。
友達ならいいけど。女のその言葉におっさん人魚は嘆く。
これまでずっとそうだった。いい人で終わる。何が悪いのか。
優しすぎるのでは。ギャップが無いと女はダメ。自分をさらけ出し過ぎなのかも。ミステリアスさが足りない。
いつの間にか、若い女性に恋愛相談をする行き遅れ中年男性の構図に。
でも、いつの間にか、女は心の底から笑っている自分に気付く。同時に記憶も戻る。
フラれて、船から飛び降りたのだった。彼はギャップが激しく、たまに優しくしてくれるから、はまってしまった。でも、そんなのは本当の優しさではなく、酷いフラれ方だったようだ。
でも、このおっさん人魚と出会って、もう一度、生きる勇気をもらえた。
だったら、自分と一緒に。
おっさん人魚のその言葉を女は遮る。
楽しかった。本当に楽しい会話。そんなあなたの声を奪うことはできない。
女は深く感謝をして去っていく。
後には、またいい人で終わった哀れなおっさん人魚が・・・

優しさはデフォルトで必要だけど。この言葉が妙に頭に残っています。
いい人って、どうでもいい人のこととか。
響く言葉がたくさん散りばめられていましたね。
傷つくと痛みを知るから人って優しくなるような気がします。辛さや苦しみを知る強い人って、たいがい優しいように思いますから。
このおっさん人魚はそんな優しさを磨くことに終わりが無いような悪循環にはまってしまったのでしょうか。

・カミングアウト送別会
東京から出向で大阪に来ていた男の送別会。
男は課長、先輩たち、唯一の後輩に感謝の言葉を述べる。
花束贈呈。
後輩の女性が男に花束を手渡す。
と思いきや、その花束で男を殴りつける。
遊ばれたみたいだ。仕事にかこつけて巧みな言葉で誘われた。それが、東京に彼女を作って、自分と別れる。男のために必死にナースコスプレまでして尽くしてきたのに。
性癖まで暴露されて面喰らう男。
止めに入る一人の先輩。会社の送別会なんだから、もっと分別をと諫める。
固いなあ。だから嫌われるんですよ。私のどこが嫌われてるというのか。だってLINEのグループにも入れていないですよね。別のいざこざが始まる。
そのうち課長のセクハラが暴露。いつの間にか、付き合っている二人の発表まで。
収拾のつかなくなった場を抑えるべく、課長がパンイチになって、全てを謝罪。
離婚が決まった。実はずっと離婚問題で家庭が揉めていた。そのイラダチからみんなにあたってしまっていたのかも。 妻とは弁護士を通じてしか話していない。今、こうしてみんなの前で土下座して思う。 どうして、もっと早く謝らなかったのか。ごめんなさいもさよならも、もう妻の顔を見て言えなくなってしまった。
課長は男にきちんと謝るように言う。 男は後輩に謝罪。自分の気持ちを伝える。実はずっと彼女がいた。遊びだった。でも、大阪に来て、右も左も分からない時にいつも優しくしてくれたことにはずっと感謝をしている、これからも。
後輩は男にビンタを一発。でも、それで終わり。全てを水に流す。
そんな二人の姿に皆も拍手。
課長が良かったと締めの挨拶。場が収まったので気分良く話している様子。
店員が幹事に終わりの時間を告げる。二次会だ。そそくさと皆は店を立ち去る。
後にはパンイチで早く出て下さいと店員に促される課長が一人・・・

人の内に潜んだドロドロ。そのドロドロは、最初は寂しいとか孤独から生まれたものなのかなあと思わせられます。
一人ぼっちになったら人間ってダメなんでしょうね。こうした負の感情を膨らませてしまう。
だから、こうしてみんなで集まってケンカになってもいいから、カミングアウトすることも大事なのかも。

・レインダンス
雨。
お母さんから傘を渡され外へ出る女の子。
雨もあがって友達と遊ぶ。バイバイして、歩いていたら、また雨。彼氏と出会って相合傘。 雨があがったけど彼氏とケンカ。
別れて歩いていたら怪しい男に声をかけられる。変なことしてこようとした時、イケメンが登場、守ってくれた。
お別れして、また一人で歩く。 こけて怪我をする。男が助けてくれるけど、街中のあちこちの女に目移りしているいい加減な男。結局、違う女のところへ行ってしまった。
泣きながら歩いていると、また雨が降ってきた。傘を差し出してくれるいい男。二人で相合傘で歩く。でも、急にどこかへ行ってしまう。
ひとりぼっち。街はカップルで溢れている。 男が戻ってくる。傘を買ってきたみたい。
二人で並んで歩く。 幸せ。二人は傘に隠れて、顔を近づけ・・・

とっても可愛い作品。
前2作品、この後の2作品と同じ人が創ったとは思えない。
きっと、ものすごくいいことがあって、心晴れ晴れした時に出来たんですかね。
こういうのに一発でやられるんですよね。あ~、この女優さん、可愛いって。

・最初の晩餐

父が料理本を買って来て、カレーを作る。
黙々と食べる息子たち。弟がこんなのカレーじゃないと怒り出す。椎茸とか変なものが入っているし。でも、レシピ通りだと反論する父。兄は黙々と食べ続けている。
兄が口を開く。要するにうちのカレーじゃないと言いたいんだろ。つまりは、家を出て行ったお母さんのカレーじゃないと。
どうしてお母さんは出て行ったのか。
父は青春を取り戻しに行ったとか巧いこと言っているけど、要するに不倫相手の男と一緒に家出したということ。寝取られたということだ。
悔しくないのかと息子たちに責められる父は、最初こそ苦笑いで対応していたものの、その生意気さとしつこさに遂にキレ出す。
お前らはお母さんの性欲を知らないから。女のことが分かっていない。お父さんも必死に頑張ったけどもう限界。お父さんが倒れるか、お母さんが男と駆け落ちするかしか道は無かったと。
とんでもない理由に口を閉ざす息子たち。
また、カレーを食べる。らっきょう。ポリポリ。美味しい。
これは母が漬けたもの。まだ冷蔵庫に残っていたらしい。
ポリポリ。やっぱり美味しい。
男たちはお母さんと哀れに叫ぶ・・・

自分がお父さん世代の歳なので、何か分からないでもないですね。欲に対する執着や大きさは女性の方が大きいんじゃないかと思っています。
そんな欲を満たすために現実の世界で、きっと男と楽しんでいる女。
思い出に浸り、ただ女を懐かしむしか出来ない男。
クリスマスなのに、辛くなる作品です。

・俺たちはサンタじゃない
サンタの格好をして貴金属店で泥棒をして追われる男二人組。
警察に見つかるが殴り飛ばして逃げる。
後輩の男は、怪我をした警察の心配をするくらいに人がいいみたい。
警察の追跡を逃れて、街を彷徨っていると、養護施設の職員の女性に出会う。
お待ちしていましたよ。子供たちがみんな楽しみに待っています。どうぞ、こちらへと。
どうやらクリスマスの慰問のサンタと間違っている様子。
いったん、身を隠すためにもその施設に向かうことに。
子供たちは大喜び。一人の子を除いて。
みんなで歌を唄って踊っても、その子だけは本を読んで輪の中に入ろうとひない。
後輩の男は、自分の息子を思い出し、声を掛けるが無視される。
サンタさんに質問コーナー。
先輩はアホらしいので金目のものが無いか見てくると後輩に任せて、部屋を出る。
無邪気で可愛らしい質問。後輩は誤魔化しながら答える。
さっきの子供にも質問が無いか聞く。
子供はうっとおしそうに、どうして生きないといけないのかを聞いてくる。ずっと一人ぼっち。いいことだって無い。死んでも別に誰も悲しまない。なんで生きるのか。答えてみろと。
男は答えられない。
答えられないんだったら聞いてくるなと吐き捨てる子供に、男は語り出す。
自分の負け犬人生。そうさ、いいことなんて無い。息子にだってさびしい思いをさせて。どうしようもない。そんな質問をする気持ちはよく分かる。でも、答えなんか分かるわけない。だから、こんな情けない姿にまで身を落としているんだから。
空気が悪くなったので、歌を唄うことに。男はクリスマスなのに長渕。せいや、せいや。
負け犬が必死にあがく姿を見せる。
プレゼント。袋の中身は盗んだブランド品だらけ。
男はそれを皆に渡す。
男が子供にも渡そうとするが、いらないと言い張る。いいから、いいからと言い合っている中、先輩が戻って来る。
けっこう金目のものがあったらしい。後輩はここの物は盗むのを辞めようと言うが先輩は言うことをきかない。そして、子供たちがブランド品を手にしているのを見て、全て取り返す。
そんな中、本当の慰問サンタが。
巧く誤魔化して逃げようとする二人組。
しかし、警察もやって来て、あっさりと捕まる。
とんでもないサンタだと連行される。
子供がそんなサンタに声を掛ける。本気で自分の質問に答えてくれた。ありがとう。だから、自分には本当のサンタだと。
養護施設の職員の女性は、二人を連れて行くのは、最後のクリスマスソングを一緒に歌ってからにして欲しいと警察に願い出る。
皆で歌うクリスマスソング。
色々な境地の中で生きていく人たち。辛い、悲しい、苦しい人も今日ぐらいは幸せを。
男は連行されながら、自分はこんなになってしまったけど、お前は本当のサンタになってくれと子供に最後の言葉のプレゼントを渡す・・・

いいことない。だったら、いいことしてみれば、どう。
サンタクロースのプレゼントの精神ってそんなところから生まれたのかなと思わせるような話でした。
いいことすれば、された方が喜ぶことは、いいことないって言っている自分が一番良く知っている。そして、いいことした自分も何か幸せになる。
大人のサンタも子供たちもみんな幸せに。
そんな願いがクリスマスにはあるんでしょうか。
祈りを信じたくなるような優しい作品でした。

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