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2015年12月 9日 (水)

祭!2015 -Final-【足一】151208

2015年12月08日 かつおのあそび場 (30分、20分、20分、25分、休憩20分、5分、5分)

今年のvol.2~11までの上位4組が揃う。
そのうち3作品は、ほぼ二人芝居。
二人ということもあるのか、そこにある想い合いが共通して感じるようなところでしょうか。
悲しく辛く、不安に苛まれてしまい、どう前へ進めばいいのか分からなくなった人の一歩を踏み出させるのは、あることに気付くことだと伝えているような話だったように思います。
そのあることは、自分が想われている存在だということでしょう。
そのことを互いに見詰め合う中で、見出していく。それを、様々な個性的な設定を基に描き出しているような感じ。
どれも、個々の役者さんの魅力はもちろん、その掛け合いがさらに魅力を高めている熱演光る素晴らしい作品が揃っていました。

・1+1 : 足一

女性の先輩に告白した男。
話をきちんとしたこともなかったけど、笑顔が素敵で可愛いと思った。
他の人に盗られたら嫌、自分だけの彼女にしたい。そんな想いもあったのか、勇気を持って告白した。
それで付き合うことに。
ちゃんと。普通に。電話をして、どこかへデートして、キスをして、体を重ねて。
その全部が男にとっては大切な思い出。
このまま、ずっと。それが幸せだと思っていた。
1年後、女性は知らない男と普通に出掛け、そのまま朝を迎えるような行動をする。
男は、素数を数えて、自分の中の割り切れぬ想いを落ち着かせる。
ちゃんと付き合っていたはず。
ちゃんと付き合うってどういうこと。一緒にいること。独り占めすること・・・。その質問に男は答えられない。
男と女。1+1。その答えは2で割り切れるのではないのか。
男は女を愛していた。でも、愛されてはいなかった。女に愛されるような男はどんな奴なのか。女の傍にいつもいるような男たちか。だったら、自分は愛されない男だ。そう気付いた時、男は女をより愛したくなった。
二人の愛は始まっていない。始まっていないから終わっていない。
二人は回り続けている。どこが始まりで、どこが終わりかも分からずに。
だから、今、二人はもう一度始める・・・

二人芝居。会話劇。
人が良さそうで、おとなしく真面目、不器用だけど真摯な男。
要領が良く、冷たく、あざとさを見え隠れさせながらも、どこか寂しさを漂わせ、救いを求めているような女。
温度差のある二人の噛み合わない不条理な会話。
音響なのか演出家なのか、二人の恋愛を客観視して、話を展開させる役割の男を舞台に同時に立たせるメタフィクション設定。
コミュニケーション不全とも思えるスレ違いの会話の進行が、やがて、二人が同じ道を歩もうとしていることが見えてくる展開。
私の中では、これは別役実作品です。
乏しい読解能力もあって、作品の本質をしっかり見抜くまでには至っていませんが、名作の域に達しているぐらいの作品かと思います。
追う男と逃げる女みたいな感じでしょうか。
女は、どこかで二人がはっきりと向き合って始まることから逃げているよう。
男は追いながら、どこかで二人で立ち止まって、そのスタートを切り出そうとしていますが、それがどれだけの覚悟がいることなのかはまだはっきりと分かっていないよう。
男を演じるまなかさん(劇的☆ジャンク堂)、女を演じるこうめさんの外観からは真逆のような感じですが、幼き男と人生を少し知った大人の女の恋愛のやり取りを見ているかのようです。
結局、二人はクルクルと回り続けている。でも、それが二人だけの世界を創り出しているようにも思えます。
男と女、1+1は、凸と凹のようで、その二人の出会いからの想いのぶつかり合いによって、一つの形が出来上がるように見えます。
その形は、自分たちで作り出したたった一つの形で、それでしか割り切れない素数でも無い、1であり、それが二人だけの特別の世界を表しているような印象を受けます。
作品の冒頭に、言葉をリズミカルに話すだけで音楽は生み出されないようなことが語られています。
一人一人の考えが言葉、これに想いを乗せてリズムを刻んでも、それは音楽ではないというようなイメージでしょうか。
個性のある言葉、例えば様々な楽器の音が、その言葉、音を発する人の想いがこもったものとして発せられる。これを受け止めて、またその人の言葉、音で返される。
この繋がりが音楽であり、男と女なら愛という形を生み出すような感覚を得ます。
そう考えると、男と女は、演者と客、その二人が生み出す愛は、この祭!というイベントそのもののメタファーのようにも考えられ、まだ始まりもしていないから終わりもしない、これに関わった者たちで回り続けながら、共に愛を育もうとする世界が見えてくるようにも思えます。
まなかさんの朴訥だけど真摯な想いのこもった一つ一つの言動が光ります。対して、つっけんどんだけど、どこか弱さや依存を見せる女性の空気を醸すこうめさん。お二人の投げる、受け取るといった普通のキャッチボールではないけど、どこかで通じ合いを終始見せながら、その想い合いを膨らませていくやり取りが微笑ましく感じます。

・ふたりの、交点 : Libera

夜中、どこかへ出掛けて、自分の部屋に帰って来た女性。
部屋には、赤いロリータファッションで、ハイテンションなアイちゃんと名乗る女がいる。
出て行けと言っても、泣き喚かれ、結局、居座られる。
テンション高過ぎだから、もうちょっと普通にして欲しい。でも。、普通って何だ。
人は過去と未来のどちらかが見れるならどっちを選ぶだろうか。
両方とも選べない人は今を見詰めるしかないのか。
女性は自分の記憶を消そうとしていることに気付く。
急に一人ぼっちになってしまったから。それを信じたくなくて、毎日、部屋を出ても、たどり着けない母親のお墓。
初めて出会ったあの日。自分の名前はめぐみ。愛と書く。だから、アイちゃん。
押し入れにしまい込んだりして、決してずっと大事にしていたわけではない。
でも、アイちゃんは教えてくれた。
一緒にママと過ごした日々のことを。
今日はクリスマス。メリークリスマス・・・

前回、拝見した時とずいぶんとイメージが異なり、どストレートな優しさを醸すお話。(http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2015/05/post-1.html
一人ぼっち。
きっと、一人ぼっちは、必ずしもではないでしょうが、環境や出来事によってなってしまうものではなく、自分でそうなってしまうように仕向けてしまうものなのかもしれません。
昔から、めぐみはすぐに自分の殻にこもってしまうような子だったのかもしれません。そんなめぐみにママは人形というお友達をプレゼントした。めぐみはその子に、自分の名前からアイちゃんと名付け、大切なお友達にした。
ママはめぐみを愛していたでしょうし、そんなママをめぐみは愛していたでしょう。そして、めぐみはアイちゃんを大切な友達として想っていたでしょうし、自分に名前もつけてくれためぐみをアイちゃんはいつも元気づけようとしていたでしょう。そんな二人を出会わせてくれたママ。
3人は想い、想われの通じ合いの中で一緒に時間を過ごしたはずです。
一人ぼっちという中に自らを落とし込んだめぐみは、そんな過去を見る余裕が無くなり、同時に未来も見ることが出来なくなってしまっています。
一人ぼっちじゃない。
そんなことに気付かせてくれたアイちゃん。思い出させてくれた。
そこから生まれるありがとうの気持ち。それは、何で現れたのかは分かりませんが、ママにお願いでもされたのでしょうか、アイちゃんに、そして、二人を出会わせてくれたママに向けられます。
きっと、誰かが見てくれている。あなたを愛した誰かが。
めぐみを大切に想い続けてくれているアイちゃん、そしてママ。
そんな想いを知っためぐみは、過去の大切な時間を糧に、今を、そして未来へと足が向くようになったみたいです。
出オチ覚悟のようなアイちゃん、Liberaさん。その後も弾け続けます。それに対照的な、深刻に物事を捉え過ぎるような感じのめぐみ、西村瑠美さん。漫才コンビのようなボケとツッコミの様相から、いつの間にか、その間にある一つの大切なママという存在、共に分かち合ってきた時間を浮き上がらせます。作品名の交わりの点が見出せるようなやり取りが絶妙でした。

・エニシダワゴン詰め合わせ : エニシダワゴン

この祭!で行われた11作品の一人芝居ダイジェスト。
数々の作品を彩った福助、カピパラと共に振り返る・・・

ベスト5。
エニシタワゴンがウィケッドにすっかりはまり過ぎて、全部一人ですることになった初演の独りWICKED。
ちょっと可愛らし過ぎできつかったらしいが、終演後は主宰の涙を止まらなくさせた百万回生きた猫。
舞台にトースターを持ち込んで、実際にパンを焼くという奇抜な演出をしたしあわせの食卓。
怪談、刀を振りまくった嗤ったらよつや。
舞台に登場人物が多過ぎて、仕込みも大変だったひとりSister Act。
1回しか観ていないけど、偶然にもベスト1を観ていた。
http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/100-3fe7.html
これは見事でしたけどね。
それ以降、結局、観に伺えずで、どんなことをしているのか気にはなっており、残念に思っていたのですが、No.1を観ていたのかと思うと少し気が楽に。
最後は、これまでの締めとして、結婚独奏曲で使用したらしい、Let it goを熱唱。
小さな幸せがいつもみんなの傍にありますようにという願いだそうです。
梶原くみさんの客を掴むというのか、舞台の空気を創り出す力は相変わらずの圧巻です。
まあ、またどこかでこれまでの作品の再演をしていただきたいものです。

・宇宙人うるう2 : ぽんこつチョップ

トランプ。1~13を足して91。4種類で364。ジョーカーで365。一枚あまりのジョーカー。366。
夏休みも終わりに近づく頃。花火大会。
女の子は幼馴染の男の子に告白。一緒に花火大会に行こう。
と思ったら、肝心な時に電話がかかってくる。非通知。
そんな電話に構っていたら、タイミングを逸脱。しかも、いつの間にか男の子の横に知らない女の子。
何だ、彼女がいたのか。大事にしてあげないと。泣きそうな心を抑えて、そう男の子に告げる。
見事に玉砕。
そんな時、宇宙人が現れる。うるうと名乗っている。
私もうるうだ。
でも、宇宙人は違う、うるうじゃないと言い張る。お前はお姉ちゃんだと。
めんどくさいので、お姉ちゃんということに。そして、すっかり家に居座る。
本当は一人にして欲しい。泣きたいのだから。無理して笑顔でいるんだ。
花火大会。
男の子がいる。
宇宙人はいつもつぶやく。助けて。一人は寂しい。
でも、お姉ちゃんは地球人だから、宇宙人になってはいけない。でも、宇宙人になってしまった。こいつがお姉ちゃんを宇宙人にしたんだ。
そんな宇宙人の言葉に煽られてしまったのか、女の子は叫ぶ。
本当は好きだったのに。ずっと、ずっと。その場を走り去る。
これで、もう本当に終わりだ。
でも、宇宙人は地球人は笑顔が似合うだとか、優しいから笑わないととか言ってくる。
男の子が後を追って来る。
女の子は涙をこらえて、さっきのことを謝り、彼女と仲良くと言うが、どうも勘違いだったみたい。
自分はやっぱりうるうじゃなかったみたい。
宇宙人は女の子が余りじゃなくて良かったと微笑んでいる・・・

星村彰さんとばんちさんがコンビ組んでることは、だいぶ昔にチェックはしていましたが、なかなか観に伺えず。
こんなに面白いとはねえ。しかも、心澄む、気持ちのいい熱演。
会話のテンポもいいし、盛り込まれるダンスパフォーマンスも楽しい。
ボケ倒し、面白さで勝負する星村さんに、絶妙なツッコミだけでなく、女優さんとしての見事な心情表現を魅せるばんちさん。
お二人の息の合った素晴らしい作品でした。
最後は幸せの連鎖のような締め方でしょうか。
地球人の笑顔を宇宙のみんなに届けますといったような感じ。
うるうという余りとか、疎遠だとかの環境にいるがために、人の悲しみや辛さを知っているからこその笑顔は力強く、出会う人の心を変える大きな力となるようです。
どこかに助けて、寂しいよと言っている人がいるから、自分はいつも優しく、笑顔でいられる人でいたい。そして、その叫びをいつでも受け取ってあげたい。
そんな自分の幸せは、幸せであって欲しいと願ってくれる誰かから受け取ったもので、自分だけのものではなく、周囲にまた還元しなくてはいけないという、温かい幸せの連鎖が浮き出てくるような話でした。

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