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2015年12月27日 (日)

プレゼントタイム・ハローグッパイ【匿名劇壇】151226

2015年12月26日 HEP HALL (95分)

単純そうで複雑に絡み合って、歪みも出来てしまう恋愛関係を、壁を隔てた二つの世界を巧みにリンクさせて描いていく。
漫画のようなキャラクターたちのテンポのいい会話と壁を描写する美しい舞台セットを用いてスピード感のあるシーン転換を駆使した話の展開。
二つの世界に隠されている謎は徐々に浮き上がり、壁という存在が互いを分かつという現実の形としても、互いの心の中に歴史的に隔たりとして刻まれていることも見えてくる。
それでも、人は壁の向こうを知りたい、声を聞きたい、会いたいという感情が自然に湧き上がってくる。壁が無くなったとしても、そこには得体の知れない形の生き物がいるかもしれないし、言葉も通じないかもしれないのに。
そんな芽生える人の純粋な気持ちを恋愛というキーワードで描写しているような感じの作品。

<以下、ネタバレしますので、公演終了まで白字にします。公演は本日、日曜日まで>

ある国の、どこかの学校。
何か特別な夢を持っているわけではない。勉強が特別に出来るわけでもなく、スポーツに秀でているわけでもない平凡な女の子。恋愛にもさほど興味は無い。でも、テニスを一人で頑張っている夢咲。
大企業のお嬢様、大空まい。ここからどこへ向かって飛んでいるのか、プレゼントタイムという航空機はこの企業が管理している。堀内という男に恋をしているが、プライドの高さゆえか、純粋な想いを伝えられないみたい。だから、いつの間にか、その堀内に彼女が出来てしまって、イライラしている様子。
財閥のお嬢様、星野。気さくな雰囲気ではあるが、家の規律が厳しいのだろう。やたら、規則にうるさく堅苦しいところがある。このあたりの土地は、大空と星野の家が持ち主となっている。色々な事情から、立ち入り禁止の場所も多い。でも、そんな場所は格好のデートスポットとなっている。そこで隠れて、恋人たちはキスをする。星野も本当は、今、付き合っている鳥越とそんな時間を過ごしたい。彼から行こうといってくれたら、仕方ないと了承するのに、すっかり堅物キャラになってしまっているので、彼氏から言ってくることが無い。
大空の想いを寄せる堀内を略奪したのが、上木。上木から告白したらしく、堀内はすっかり調子に乗ってメロメロ。でも、本当に好きなわけではないみたい。堀内は都合がいい男。不要になったら捨てたらいいぐらいの考え。かと言って、男好きというわけでもない。自分自身の成長や変化の糧となるものとして経験することを選んでいるような感じだろうか。好奇心という言葉に置き換えられるのかは分からないが、とにかく知りたいという欲を満たすための本を読むとか知識を得るための行動の一環のようなものか。
そんな上木に想いを寄せているのが高橋。上木が堀内を選んだのも納得で、この男、ちょっと狂っている。ストーカー行為だけでなく、妄想を膨らませて、女性を単なる性の対象にしか考えていない。要するに上木じゃなくても、女だったらいいということみたい。
留年しているので、先生と呼ばれている古田。呼ばれているだけでなく、すっかり先生気取り。生徒たちが立ち入り禁止場所に出入りをしていないかをチェックしたりしている。でも、ただそれだけ。少なくとも、生徒たちの交錯する恋愛の輪には全く入っていない、俯瞰できる立場にいるようだ。

この国には壁がある。
果てと一般的には言われているが、その向こうにもきっと何かがあることは何となく皆、知っているみたい。
もちろん、その壁には誰も近づけないようにしている。
実はもうかなり昔にあった震災で、夢咲のいる国は壁を作って、向こうの世界からの避難民を排除した。その時に関わったのが大空や星野たちの祖先だったようだ。今、この国は、壁の向こうへと様々な物資を謝罪も込めて贈っている。それが、プレゼントタイムと呼ばれる航空機。その航空機はことごとく、壁向こうで迎撃されているようだ。

壁の向こう。
研究所がある。
向こうでも壁に近づくことは許されていないようで、場合によっては射撃されるぐらいの厳重体制みたいだ。
ミナトはその壁の向こうが気になって仕方が無い。
この前も近づいて、ケガをして戻って来た。恋人のナナセはそんなミナトを心配する。
ケガだけの問題ではない。何か壁の向こうの誰かにミナトが興味を奪われ、浮気されているかのような気持ちになるらしい。
壁の研究を続けて、研究所から謹慎処分をくらっている女性、ユズリ。ミナトは色々と壁のことをユズリから聞き出そうとする。ユズリの気持ちなど知らずに。ずっと吸っていたタバコを辞めたのは、誰の気を引きたいからなのかは、壁に夢中になっているミナトには分からないみたいだ。
そして、こちらでも恋愛スパイラルが張り巡らされている。
ユズリにハナキは想いを寄せ、ハナキは同僚であるナースのウズメに慕われている。
ナナセの友達、ヒヨコはミナトの友達、ソヨギといい仲だ。
そして、何でも知っていると言い張るオザキという、これまた輪の中からはみ出した男がいる。

そんなある日、夢咲がテニスの壁打ちをしていた音に、壁向こうのミナトが気付く。
ミナトは自分の携帯電話番号を書いた布を投げ込む。夢咲はそれを拾うが、何を書いているのか分からない。
先生や上木の協力もあり、それが、こちらには存在しない携帯電話の番号であることが分かる。直接、電話は無理だけど、メールは送信できた。 向こうではそれは文字化けで分からない。何でも知ってるオザキさんの協力もあって、壁での待ち合わせ時間が分かる。
二人は壁越しに出会い、互いに呼びかけ合うが言葉が通じない。
それでも、会いたい、話をしたい、声を聞きたい。
壁さえ無ければ。いや、壁があったからこそ、こうして出会えて愛おしいのかも。
こんな気持ちをどうしたらいいのか、答えなど誰も分からず・・・

二つの世界という国家間とか、震災などの被災者とそこから距離のある者の関係にも捉えられるような作り。
要は、初めは一つだったのに、何かをきっかけに分かれてしまったような関係なら何にでも置き換えて考えられるような非常に幅広さを持った話のように思う。
人が神様によって、アダムとイブという男と女に分けられてしまった時に出来た男女の壁から、互いに求め合う恋愛の感情は当たり前なのかもしれない。
こんな純粋な気持ちがあるのだったら、壁によって分かたれてしまった者同士も、互いに分かり合いたいという気持ちがあることを信じることが出来るように感じる。
分かたれたからといって、関係が終わってしまうわけではない。まだ始まっていないのだから。
観終えると、チラシに書かれているこの言葉が、平和や幸せに繋がるような輝く言葉として見えてくる。

ただ、感想はちょっと後半失速。
前半は話も面白そうだし、何といってもテンポのいい展開がとても心地よかったのだが。
賢いなあ、魅せる腕があるんだなあとか、巧さの面白さは感じるが、心震わせるような感動を得ないからかもしれない。
恋愛という形で、ストレートに綺麗に描き過ぎなのかな。
評論家みたいな者に徹すれば、高い評価なのだろうが、テクニック云々よりも涙流して感動したいとか、腹抱えて笑いたいという私のような単なる客にとっては、魅力が不十分に感じる。

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